中国サイトの「アリババ」から商品を仕入れる方は多いです。画面上で様々な商品を探せるため、見るだけでも楽しいです。
しかし、実際に商品を購入するときは、注意が必要です。海外のアマゾンと同じ感覚で購入すると、痛い目にあいます。
この記事では、アリババから輸入するときの関税や消費税など、輸入する前(仕入れる前)に知っておくべき8つのポイントをご紹介していきます。
アリババで仕入れで考える8つのポイント
「私は、海外のアマゾンで何度も購入したことがある。だからアリババでも同じだし簡単だ!」と考えていますか? しかし、次の8つのポイントを知らないと、色々と苦労します。
- アリババの関税・消費税のこと(原価の5倍で判断)
- 海外通販のノリが通用しないこと
- 購入費用+国際物流、通関費用の合計を意識する
- 商品を買ってからでは遅い。日本側の輸入規制が重要
- 保険付保・万が一の貨物破損に備えること
- 日本側の通関手配を考える。
- 費用をトータルで比較することを意識する
- 荷受けの用意を確実にする。
1.輸入諸費用(関税等)を含めて原価の5倍で判断する
「アリババから商品を輸入した場合、関税はいくらなのか?」と考える方は多いです。しかし、この分野について適切な物を計算するには、それなりの経験がいります。アリババから輸入する商品は、中国産品が多いです。そのため、関税は、RCEPが適用されて無税又は低減されます。
アリババの商品は、基本的にWTO協定税率が適用されます!
関税額の特定は難しい!
しかしながら、実際に輸入する商品に対して最適な関税率を特定するのは難しいです。そのため、輸入実務の現場では、ウェブタリフを活用して調べる他、税関の「事前教示制度」の活用、取引がある通関業者に調べてもらうなどをして、関税率と納めるべき関税額を計算しています。
もし、あなたが輸入を始めたばかりであったり、とても規模が小さく取引していたりする場合は、アリババで販売されている価格を5倍にしても利益が取れるのか?で判断をしましょう!
仮に関税率が10%、消費税が10%、国際輸送費及び国内販管費等が30%かかっても、利益を確保できる分岐点を確認しておきます。関税率は、革製品等、ある特殊な製品を除き、一律10%くらいで計算しておきます。
機械製品等の場合は、関税無税の場合が多いため、関税率10%で見積もることにより、商品のロス部分をカバーする役割としても担えます。もちろん、ロスしなければ、そのまま利益になるわけで、要は、安全対策としても余分に計上しておきます。
輸入関税の税金対策はある?
輸入時に支払った関税や消費税は、仕入れ額控除の対象です。確定申告等のさいに、必ず計上するようにしましょう。(課税対象事業者限定)
2.海外通販のノリが通用しない基準
アリババ輸入を海外通販の延長だと考える方は多いです。巷の輸入コンサル先生も、この辺りの諸事情を全く理解していないため、その方たちを信じる被害者は意外に多いです。
アリババからの輸入は、次の内、いずれかに該当すると、海外通販のノリが通用しなくなります。
- 輸入総額が20万円をこえるとき
- インコタームズがDDUまたはDDP以外を指定されたとき
2番の条件は、少し専門的なので、ここでは割愛します。多くの場合、2番の条件は、自動的に当てはまります。よって、検討するべきは、1番の「輸入総額が20万円を超えるか?」です。
もし、輸入総額が20万円(個人使用目的:海外価格の30万円ほど)を超えるときは、ご自身の手配で通関や国内手配をします。アリババ輸入の場合は「東京港」「関西空港」など、空港や港まで荷物が送られてきます。つまり、購入者は、日本側の空港又は港から、ご自身の配送先までの全ての手続きをご自身(代理人)で行う必要があります。
- すでにアリババで商品を購入しているから自宅まで商品が届く→ 間違い。
- アリババで決済をしているから、その他の費用は一切かからない→ 間違い。
3.商品代金に加えて、国際物流、通関費用を意識すること
アリババから輸入をする場合、荷物は、中国から東京港、大阪港、横浜港又は、空港等を目的地として輸送されてきます。●●市●●町など、日本側の指定の住所まで商品が届くわけではないです。また、支払う費用の範囲は、売り手との間のインコタームズで決まります。
あなたは、空港や港から先の全ての費用を負担する必要があります。
例えば「FOB SHANGHAI USD700ドル」の場合は、買い手(輸入者=あなた)次の費用を負担する義務を負います。
- 上海港から日本までの輸送代金
- 日本までの保険代金
- 日本側の通関費用
- 日本側の港の諸費用(アライバルノーティス記載費用)
- 日本側の関税及び消費税
- 日本側の配送代金
OSAKA USD700ドルでは、次の費用負担の義務があります。
- 日本側の通関費用
- 日本側の港の諸費用(アライバルノーティス記載費用)
- 日本側の関税及び消費税
- 日本側の配送代金
いかがでしょうか? アリババのでの購入は、海外通販(アマゾン等)よりもハードルが高いです。アリババで商品を購入したら終わり~ではありません。
- アリババでの商品の購入=日本までの配送が完了ではない。
- インコタームズと費用負担の関係を正しく理解するべき。
上記2点をしっかりと覚えておきましょう!
4.商品を買ってからでは遅い。日本側の輸入規制を調べる。
原則、日本に商品を輸入することは、誰でも自由にできます。しかし、ある一定の商品は、治安の維持などの観点から禁止されています。(輸入禁制品)その他、輸入に一定の基準がつけられている品目もあります。代表的な物がお酒、植物、食品などです。これを「他法令の確認貨物」と言います。
輸入する予定の商品は、輸入禁制品又は他法令の確認が必要な貨物に該当しませんか?
5.保険付保・万が一の貨物破損に備えること
「海上保険(外航貨物保険)」は、輸入貨物が破損するリスクを小さくする目的があります。アリババから商品を輸入する場合は、この海上保険の有無を必ず確認します。実は、輸入貨物は、あなたが考えている以上に商品が壊れている可能性が高いです。
海上保険の有無は、インコタームズによっても判断できます。
例えば、CIPやCIFの場合は、インコタームズ上では、売り手が付保する義務があります。よって、これらのインコタームズを使い取引をする場合は、買い手(輸入者)は、保険に関する特別な手配は不要です。但し、保険にも色々な種類があるため、カバー範囲を確認しておきます。例:オールリスク
一方、FCAやFOB等で契約する場合は、買い手(輸入者)側が自ら保険を付保します。保険の付保は、お付き合いがあるフォワーダーや通関業者に依頼します。もしくは、自ら直接、保険会社に申し込みもできます。
保険には、一回切りの単発保険の他、一定期間であれば、自動的に付保する「包括タイプ」などがあります。今後の取引形態に最適な物を選びましょう。ちなみに、海上保険代金の目安は、輸入金額×1.1×0.3(最低3000円程度)です。
また、非常に不思議なことに、海上保険は、輸出国から船が出航していても、日本側の保税倉庫に搬入されるまでは付保できます。
6.日本側の通関手配を考える。
日本側の通関手続きを考えます。通関手続きとは、税関に対して「○○国から○○を輸入します。関税と消費税は○○円」と申告することです。この申告に対して、審査がされて、必要であれば税関検査が行われます。審査と検査のどちらも問題がなければ、輸入許可となり貨物を引き取れます。この申告から貨物の引き取りまでの手続きを「通関」と言います。
通関は、ご自身の物を自ら申告をする場合は、通関業の許可等も不要で、誰でも自由にできます。これを「自社通関」と言います。
しかし、実際、この自社通関をするとなると、意外に難しい手続きや税関に出向く時間が必要です。そのため、多くの方は、専門の業者(通関業者)に依頼します。ところが、この通関業者は、税関長の許可を得て事業を運営しているため「個人や個人事業主」からの依頼を断ることが多いです。
つまり、アリババで商品を購入しても、その通関手続きを受け付けてくれる通関業者が中々、見つからないのです。これがアリババで商品を購入するときの最大のデメリットです。
個人事業主及び小規模法人の通関を受け付けてくれる業者が限られている。
7.費用をトータルで比較することを意識する
アリババの商品ページを見ていると、日本で販売されている商品の価格と比べて、恐ろしいほど安いことに気が付きます。しかし、安いからといって、安易に飛びつくべきではありません。先ほどから申し上げている通り、アリババで輸入は、商品代金の他、様々な費用が追加でかかります。
アリババで商品を購入するときは….
アリババでの価格+その他の全ての費用
この2つを合計した上で、費用的なメリットや日本では入らない希少性があるのか?などで判断します。次に「その他の費用」を確認していきましょう!
その他の費用の例示
例えば、FCA SHANHAIの貿易取引では、次の費用がアリババで表示されている金額とは別に発生する可能性があります。
- 船社チャージ
- 日本までの海上保険代金
- 日本側の通関手数料
- 食品届費用(必要な場合)などの他法令対応費
- 税関検査代金
- 関税と消費税
- デマレッジ(必要な場合)
- 搬出料金(地区により異なる)
- 日本側の国内配送料金
- 日本側の荷受け費用
いかがでしょうか? 意外に多くの費用がかかるな~と感じられたのではないでしょうか? 上記の中でも特に費用負担が大きいのが船社チャージ、通関手数料、税関検査代金、関税などの諸税、そして日本側の荷受け費用です。
ポイント:アリババで商品を購入するときは、画面上の価格ではなく、トータルで考えること
8.荷受けの用意を確実にする。
無事に輸入許可を受けた。いよいよ商品を引き取れる。しかし「荷受け」時も注意します。
例えば、荷受の場所を「自宅」にしているとしましょう。ドライバーが商品を配達してきました。そして、ドライバーはこう伝えます。
「荷台の上に貨物を用意しました。あとは、ご自身で荷下ろしをお願いします!」
上記の意味は、お分かりいただけますか?
輸入品を運送するドライバーは、荷卸し作業及び荷運びを手伝いません。家の玄関先にも運ばないと考えた方が良いです。ドライバーの輸送義務は、玄関先で終わるためです。また、トラックの停車時間の制限、配送資材の引き取り(プチプチや段ボール、パレットなど)などにも注意が必要です。
- ドライバーは手伝わない。(トラックからの荷下ろしすら怪しい)
- 宅内配送等は一切しない。
- 停車時間も限られている
- 配送資材(プチプチ、養生テープ、木パレレット、段ボールなど)の引き取りは有料
- 路上作業はNG。必ず警察署への届出が必要(短時間の停車ならok)
荷受けをするときは、上記4点が絶対的な条件です。特に個人様や個人事業の方など、輸入に不慣れな方は、この荷受け部分に関して非常に誤解されている方が多いので注意が必要です。
- ドライバーは、指定の場所の「玄関先」に荷物を届けるのみ
- 原則、購入者(荷物の受け手)が荷下ろしから宅内配送の義務を負う。
具体的には?
例えば、マンションなどに住んでいるとしましょう。通常の宅配便は、玄関先又は、エントランスの宅配ボックスまで荷物を届けてくれます。しかし、輸入品の配送は、マンションの入り口あたりにトラックを停めるだけです。
ドライバーは….
- トラックからの荷卸し
- エントランスから部屋までの運搬
- 部屋内への運び入れ
などは、一切しません。これが原則です。そのため、荷下ろしや荷の運搬に人が必要なときは、便利屋などに依頼も必要です。
- 荷物の大きさを考えて、部屋までの輸送に何らかの障害は有りませんか?
- その荷物は、エレベーターで運べますか?
- 宅内に移動する際、何かしらの障害は有りませんか?
以上、アリババでの輸入をするときに考えるべきポイントをご紹介しました。すでにお分かりの通り、非常に多くのポイントがあります。通関等の部分も手配が難しい場合が多いです。購入してからでは遅いため、まずは「専門家」に相談されることをお勧めいたします。
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