TPP(環太平洋パートナーシップ)で関税の免除を受けられるのは「協定上の原産品」のみです。そして、この原産品であるのかを判断する基準が「原産地規則」や「品目別規則」です。この内、品目別規則で規定されている「非原産部品を使用した場合に、原産品にできる条件」には、関税変更基準があります。これは、材料と完成品のHSコードの変化をもって、原産品とする仕組みです。
しかし、完成品に含まれる原材料によっては、このHSコードの変化を満たせないこともあります。この場合、HSコードの変化がなくても原産品にすることができる「デミニマス」が便利です。ただし、このデミニマスルールであっても、適用できるものと適用できないものがあります。
そこで、この記事では、デミニマスを適用できない品目についてご紹介していきます。
デミニマスを適用できない品目
デミニマスとは、関税変更を基準として、原産品かどうかを判断するCTCルールの内、変更基準を満たせないものを救済する仕組みです。TPP上では、このデミニマスは、非原産材料+関税分類変更基準を満たせない物であっても、産品価格の10%以下であれば、無視できるとされています。つまり、原産地規則に従っていなくても原産品にできます。
しかし、このデミニマスは、どんな物でも適用できるのではなく、ある一定の原材料については、除外されています。
デミニマスで除外されている品目
TPP協定の三章・原産地規則によると、デミニマスの適用除外品目は次の通りです。左側の列に含まれる完成品を生産するときに、右側の列の材料を使うとアウトです。
完成品のHSコード | 使用する非原材料のHSコード |
0401-0406各項の産品(0402.10-0402.29までの号 又は、0406.30の産品を除く) | 0401-0406各項 1901.90 2106.90 |
1901.10(乳児用品)、1901.20(混合物)、1901.90、2106.90、2105、2202.90、2309.90 | 0401-0406各項、1901.90 |
2009.11-2009.39各号の産品、2106.90、2202.90 | 0805項または2009.11-2009.39各号の材料 |
1507、1508、1512、1514 | 15類の非原産材料 |
2008 | 8類または20類の桃、ナシ、杏子 |
表の見方
表の左側のHSコードに属する完成品を作るときに、その材料として、右側に記載されているものを使用すると、デミニマスを適用することはできません。ここに記載されている商品以外は、すべてデミニマスを適用できます。
まとめ
- デミニマスとは、CTCルールの変更基準を満たせないときの救済ルールです。
- デミニマスを適用できる基準は、非原産材料の価格が産品の価格の10%以下であることです。
- ただし、この10%以下であってもデミニマスの適用除外品目が設定されています。