貿易のCTCルール 関税分類で原産確認 対比表の作成方法も解説!

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    この記事は、EPA貿易の原産性ルールの一つである「CTC」の解説をしています。CTCの基礎知識、対比表の作成方法、作成例も併せてご紹介しています。

    EPA(自由貿易)を利用するときは、その産品が日本の原産品であることが条件です。原産品とは、日本の工場で製造されおり、決められている原産条件を満たす物を指します。つまり、「どのような加工をすれば、日本の原産品として判断できるのか?」これが重要です。

    今回は、原産品を証明する「CTCルール(関税分類変更基準)英語名:Change in Tariff Classification」を解説していきます。記事の後半では、対比表の作成方法の解説もしています。

    CTCルールとは? 外国産の原材料を使ってもOK!

    EPA(関税ゼロ貿易)を利用するときは、商品の「原産国」が重要です。原産国とは、EPAを結ぶ国(協定国)を指します。

    例えば、日タイ協定なら日本とタイが協定国。日ベトナムなら、日本とベトナム。日アセアンなら、日本とアセアン諸国が協定の原産国です。そして、この原産国で製造された商品が「原産性がある商品」とみなされます。

    2021年8月現在のEPA締約国一覧
    シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
    アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
    オーストラリアメキシコチリペルースイス
    CPTPP(TPP11)日欧EPA日米貿易協定 英国
    交渉中の締約国
    カナダRCEPGCCトルコ コロンビア
    日中韓FTA

    しかし、原産国で商品を作っていても原産国の条件を満たさなければ、関税上の恩恵を受けられません。この原産国の条件の一つがCTCルール(関税分類変更基準)です。

    CTC(関税分類変更基準)とは?

    CTCルールとは、対象商品の完成品としてのHSコードと、その完成品に含まれる原材料のHSコードを比較し(対比させる)、そこに関税分類の変更(HSコードの変更)が起きているときに、原産性があるとみなす仕組みです。

    • 商品の完成品のHSコード
    • 商品の完成品に含まれる原材料のHSコード

    上記を比較し、HSコードの変更が起きている場合=原産品とみなす。

    少し難しいですね!具体的に見ていきましょう!

    CTCルールの具体例

    例えば、クッキーを考えてみましょう。

    左側にクッキー(完成品)と右側に、クッキーに使っている原材料の一覧があります。

    完成品原材料
    完成品(クッキー)小麦粉
    バター
    牛乳

    機械製品であれば、次の通りです。

    完成品部品
    ある機械製品プラスチック製管
    プロテクター
    ボルト
    ばね

    CTCルールを使うときは、このように左側に完成品、右側に原材料や部材等にして資料を作成します。これがいわゆる「対比表」です。

    完成品のHSコードと原材料のHSコードを記載

    次にそれぞれのHSコードを特定していきます。左側の完成品のHSコードは、輸入者を通じて相手国の税関で確認します。このコードは、非常に重要なため、必ず輸入国税関が認めている物を聞き出します。現地税関による正式な回答を得たいときは「アドバンスルーリングシステム」を利用します。

    右側の原材料表のHSコードは、日本税関が案内する「輸出HSコード」を参考にして特定をします。HSコードは、協定毎にバージョンが異なることに留意します。HSコードの特定は、通関士資格を持っている人が望ましいとされています。HSコードの知識がない方がデタラメにHSコードを特定しても、日本商工会議所のチェックでダメ出しをされるため注意しましょう!

    HSコードの特定が難しいときは、弊社の「対比表作成サポート」をご検討ください。数万円の費用を支払うだけで、面倒なHSコードの特定もあっという間にできます。

    • 左側の完成品のHSコード=輸入者側に確認
    • 右側の原材料(部品)のHSコード=日本側で確認

    対比表の左右のHSコードを特定する。

    例えば、先ほどのクッキーであれば、次の通りです。

    CTCルール HUNADE

    対比表

    ある機械製品であれば、次のような対比表を作成します。

    ポイントは、左に完成品のHSコード、右側に原材料(部材)のHSコードを記載することです。

    完成品と原材料のHSコードに変化があるのか?を確認

    対比表が作成したら、次に左と右側を見比べて、HSコードの規定の変化が起きているのか?を確認します。図で言うと、次の通りです。

    対比表 貿易

    左の完成品HSコードと右側の原材料を比較します。変化は起きていますか? しかし、実は、この「変化」は、品目ごとに細かく決められており、数字が違えばクリアしているわけではないです。

    求められている変更レベルとは?

    CTCルールには、品目ごとに細かい「変更レベル」が決められています。それが次の3つです。

    用語英語意味
    類変更(CC)Change of Chapter完成品と原材料の間に二桁レベルの変更
    項変更(CTH)Change of Tariff Heading完成品と原材料の間に四桁レベルの変更
    号の変更(CTSH)Change of Tariff Sub-Heading完成品と原材料の間に六桁レベルの変更

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    CTCルールは「この品目はCCレベル」「これはCTHが必要」など、非常に使う機会が多いです。一体、どのようなことなのでしょうか? この部分を理解するには「HSコードの理解」が必要です。

    まず、世の中にある全ての品目は、最低6桁の数字で表されています。

    • クッキー=1905.90
    • バター=0405.10

    などです。これらは、世界のHS条約で決まれている共通番号です。先ほどのCC変更、CTH又は、CTSHは、このHSコードの左からの桁数を示しています。

    例えば、クッキーのHSコードは、1905.90ですね! これをCC、CTH、CTSHに分解すると、次の通りです。

    • CC=19(二桁)
    • CTH=1905(四桁)
    • CTSH=1905.10(六桁)

    左から二桁がCCに該当する部分、左から四桁がCTHという具合です。そして、この変更レベルは、CC>>CTH>>CHSHの順番で厳しいです。つまり、品目表の中に「CTH(CC)」と記載されている場合は、左の完成品のHSコードと、右側の原材料との間に「CCレベルの違い」が求められます。

    下記の対比表であれば、HSコードに「CCレベルの変更」が起きていることを確認できます。

    対比表

    変更レベル(CC、CTH、CTSH)を確認する方法は?

    CTCの変更レベルは、使用する協定毎、品目ごとに細かく分かれています。条件は、税関が運営する「原産地規則ポータル」で探します。

    例えば、日タイ協定で「1905.90」を確認すると、次の表示がでてきます。赤枠の部分では「他の類」と記載されているため、この場合は「CC変更」を必要としています。その他、複数のルールが設定されているため、原産地規則としては、少し厳しいです。

    例えば、協定や品目によっては、CTCの他、VA基準SPルールを求める物もあります。

    関連記事:CTCルールとVAルールの合わせ技 日インド協定の特徴

    関税分類変更基準

    「実践」CTCルール・対比表の作り方

    それでは、ここまでの内容を踏まえて、対比表の具体的な作成方法をご紹介していきます。下の図をご覧ください。これが対比表の完成図です。この形にするのがこの記事のゴールです。

    CTC 対比表

    まずは、経済産業省からCTCルールの対比表をダウンロードします。もし、Hunade作成の対比表を使うときは、こちらからダウンロードしてください。ファイルを開くと、以下のエクセル画面が表示されます。番号ごとに説明をしていきますので、見比べてご覧下さい。

    CTCルール ワークシート HUNADE

    1. 特に意味なし(空欄にする。)
    2. 書類を作成した日付
    3. どこの国で生産された?工場はどこ?
    4. 利用する協定
    5. 適用した原産地規則とCTCの変更レベル
    6. 輸出先国における完成品のHSコード
    7. 商品名
    8. 非原産材料の一覧
    9. 原産材料の一覧
    10. 原産材料を誰から入手してる?

    特に解説が必要な個所は、次の通りです。

    4.何の協定を利用するのか?

    2021年現在、日本は17のEPAを結んでいます。この項目は、そのうち、どの協定を利用しているのかを説明しています。あなたがタイ向けに輸出するのであれば「日タイEPA」か「日アセアンEPA」のどちらかを記載します。オーストラリアであれば「日豪EPA」です。関税などは、これらの協定ごとに細かく違っているため、ご注意ください。また、後に説明する「商品ごとの関税変更レベル」も協定ごとに異なります。

    5.CTCレベルの変更

    CTCルールは、完成品と材料のHSコードが変化していることを「生産した」とみなして、日本の原産品にすることです。このHSコードの変更は、貨物ごとに「求められているレベル」が異なります。原産地規則ポータルで調べましょう!

    日ベトナムEPA 品目別規則

    日ベトナムEPA 品目別規則

    6.輸出先国におけるHSコード

    CTCルールは、完成品に関するHSコードと、使用した材料のHSコードに差があればいいです。そのため、基準となる完成品のHSコードがいくつになるのかは、きわめて大事なポイントです。

    完成品のHSコードは、輸出先の人を通して現地の税関へ確認してもらいます。

    関連記事:外国税関の事前教示制度の活用

    8.非原産材料の一覧

    ここは、完成品を作るために使った原材料(原産材料)の一覧を書いていきます。ここでいう「非原産」とは、日本国外の商品ではなく、日本と輸出先の国(協定国)以外で生産された商品です。日本と輸出先の国で生産された物は、域内として「原産材料」の扱いを受けます。部品名の左にあるそれぞれのHSコードと、完成品のHSコードに違いがあることがポイントです。

    Hunade

    9.原産材料の一覧

    ここでは、完成品を作るために使った材料のうち、原産材料を記入していきます。原産材料とは、日本と相手先の国で生産された原材料のことを言います。1番は、現在の名称、2番は、原産国、3番は、それを証明する書類(エビデンス)についての説明です。もちろん、ここに記載した書類は、ワークシートと一緒に保存する義務を負います。

    Hunade

    以上が、CTCルール対比表の作り方です。CTCルールは、原産性を証明する中でも最も広く使われるルールです。VAルールは、原産性の割合を常に閾値(しきいち)40%前後を超えるように維持しなければなりません。為替の変動や原材料の高騰などによって、閾値を割り込んでしまうと、原産品ではなくなってしまい、通常の貨物と同じ扱いを受けてしまいます。

    それに比べてCTCルールは、完成品と原材料のHSコードの変更を証明すればいいだけです。使われている原材料の原産性を問わないため、とても扱いやすいルールとなっています。たしかに最初に原材料のHSコードを調べる手間はかかりますが、一度、作れば、あとはそれを流用していくことができる点も優れています。この汎用性があるCTCルールを使って、原産性を証明することをお勧めします。

    CTCルールをスムーズに適用するための2つのコツ

    CTCルールは、完成品と材料のHSコードの変化をもって原産品かどうかを判断します。このルールをスムーズに適用するためには、次の2つのポインがあります。

    1. 使っている原材料をすべて原産品にする
    2. 完成品のHSコードは輸入国。原材料は日本の税関に問い合わせる」

    1.使っている原材料を非原産品(外国産品)にする。

    これから原産品にしようとしているのに、非原産品(外国産材料)として申請するとは、どのようなことなのでしょうか? 先ほどの表をもう一度、確認します。この中の右側に書かれているのが「原材料の材料」ですね。この部分をすべて「非原産品にすること」が第一のポイントです。なぜか? それは、追加資料の提出にあります。実は、材料の部分が原産品であると、それを証明するための「サプライヤー証明書」を添付しなければならないことになっています。

    完成品のHSコード(クッキー)材料のHSコード
    1905.90小麦粉 1101.00
    バター 0405.10
    卵 0407.21
    牛乳 0401.10

    サプライヤー証明書とは、その原材料が確かに日本の原産品であると、原料の供給者が証明する資料のことを言います。

    例えば、さきほどのクッキーの例でいうと、材料としては「小麦粉、卵、バター、牛乳」などがあります。仮にこれらの産品がすべて日本の原産品であるとすると、少なくても4枚のサプライヤー証明書が必要になります。(厳密にいうと、サプライヤーの数だけ必要)このサプライヤー証明書の作成は、正直なところ、かなり手間です。しかし、これが非原産産品となると、サプライヤー証明書の提出が不要になります。

    この仕組みになっているため、本当は日本産であったとしても「あえて非原産品」とて申請することが一つ目のポイントです。ここで疑問に思います。「本当は日本の原産品であるのに、外国産とするのは違法じゃないの?」です。これに対する明確な答えが経済産業省の資料の中で説明されています。下の図を見るとわかる通り、明確に非原産材料で申請しても良いと記載されています。

    例えば、生産者にサプライヤー証明書を頼んだけれど、発行してもらえない=だから原産性を証明できない=非原産材料で証明することにつながります。

    経済産業省

    2.HSコードの特定は、税関にお任せする。

    関税分類変更基準は、HSコードの変化を基準にしているため、商品や原材料に応じた適切なHSコードを調べることが何よりも大切です。その中で特に大切なHSコードは、完成品のHSコードです。このコードは、必ず相手国の税関へ問い合わせて確定をしてもらいます。できれば、口頭ではなく、書面にて行います。現地の税関には「事前教示制度」というHSコード聞く精度があります。これを輸入者(相手側)を通して調べてもらうようにします。

    次に原材料のHSコードの調べ方です。こちらも基本的には、相手国税関で確認するのが望ましいです。しかし、多くの場合、かなりの数を調べてもらうことになるため、現地の税関では対応が難しい場合が多いです。そこで一般的には、日本側の関税鑑査官で調べてもらうようにします。もしくは、取引している通関業者などへHSコードを調べてもらっても良いです。ただし、かなりの数になるのが普通であるため、別料金として請求される可能性が高いです。

    まとめ

    1. CTCルールは、完成品と原材料のHSコードの変化を確認する。
    2. HSコードの変化は、類、項、号の三つ。違いは産品の変化率
    3. 使う原材料は外国産でもOK! ポイントは、決められたレベルのHSコードの変化
    4. 上記、HSコードの変化は原産地規則ポータルで確認する。
    5. 完成品のHSコードは、輸入国側の税関を基準とする。
    6. 完成品のHSコードを頼りに原産地規則(変更レベルを確認)
    7. 原産地規則を知った上で対比表に落とし込む=CTCルール

    対比表の作成にお困りではございませんか?

    EPA相談/特定原産地証明書のサポート(対比表の作成)

    EPAに関するおススメの記事→初心者向けEPAマニュアル

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    この記事の執筆者
    HUNADE

    貿易サイト「HUNADE」の代表。通関業者で勤務した経験をもとにして「もっと貿易を身近に。」をミッションに活動中!難しい貿易をできるだけわかりやすく解説し、貿易の一助になることが目標。基本的には、東海地方に住みながら国内各地、海外などでも活動し、できるだけ柔軟な発想を維持できるように努力しています!

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