EPA(TPP)品目別規則(PSR)の概要と見方について解説

品目別 規則 調べ方TPP/日欧/日米協定
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EPA(TPPを含む)を利用するときは、協定内で決められている品目別規則に従って、産品が原産品であることを証明します。この証明ができない限り、相手国または日本へ輸入するときに課税される関税の免税は受けられません。そこで、この記事では、品目別規則の概要と見方をご紹介していきます。

EPAと品目別規則

「産品が協定上の原産品であること」これがEPAを利用して関税削減の恩恵を受けるための条件です。協定上の原産品とは、利用するEPAに加盟している国で生産された産品です。

例えば、日タイEPAであれば、日本またはタイで生産された物が「日タイEPA上の原産品」です。日アセアンEPAであれば、日本とアセアン諸国。TPPであれば、日本またはTPPに加盟する10カ国で生産される産品が協定上の原産品です。

ただし、その国の工場で生産されている産品であったとしても、無条件に原産品とできるわけではありません。協定で認められていない加工のみをしていたり、品目別規則を満たしたりしていないときは、協定上の原産品とはなりません。一体、品目別規則とは、どのような物なのでしょうか?

品目別規則とは?

品目別規則とは、産品ごとに決められている原産品とみなす基準です。「何の基準を満たすものであれば、原産品とする」これを品目ごとに明記しています。具体的には、完成品ごとに「RVC40%」や「CTSH」または「CTH」などの表記があります。

例えば、RVC40%であれば、輸出産品の価格の内、域内原産割合(協定上の原産品とみなす材料や費用の合計の割合)が40%以上であれば、協定上の原産品とする考え方です。一方、CTSHやCTHは、完成品のHSコードと、完成品に含まれる原材料のHSコードの「差異」をもって、原産品とする考え方です。

RVC40%とは、産品の価格に注目する付加価値基準(VAルール)
CTSH、CTH、CCは、産品のHSコードに注目する関税分類変更基準(CTCルール)

また、産品によっては、品目別規則に原産性条件が書かれてないこともあります。その場合は、協定本体にある「一般規則(協定)」に従います。

例えば、日アセアン協定であれば、協定本体の中に「一般規則:CTH(項変更)、RVC40%」などと書かれています。つまり、日アセアン協定を使うときは、

  1. 品目別規則で原産性ルールを確認する→記載されていない
  2. 一般規則を確認する→CTHまたはRVC40%などが明記されている

という2段階の確認作業をします。なお、品目別規則のことを別名、PSRともいいます。

関連記事:
【EPA貿易】品目別規則にHSコードがない! どうすればいい? 一般規則とは?
品目別規則一覧 EPA(経済連携協定)

品目別規則を調べる方法

協定ごとに決められている品目別規則は、どのように調べればいいのでしょうか? 大きく分けると、次の2つの方法があります。

  1. 各協定の付属書を確認する
  2. 税関が運営する原産地規則ポータルで調べる

品目別規則は、各協定の付属書で確認できます。しかし、品目別規則を調べるために、長い協定書を読み込むのは大変です。そこでお勧めするのが税関が運営する「原産地規則ポータル」です。こちらのサイトを使えば、利用する協定と輸出する産品のHSコードを指定するだけで、設定されている品目別規則を調べられます。

品目別規則の見方

では、実際の協定の中で設定されている品目別規則の見方を確認していきましょう。今回は、2018年12月30日に発効予定のTPPにおける品目別規則を例示します。TPPの品目別規則は「付属書3-D」に記載されています。(まだ発効前であるため、原産地規則ポータルでは未提供)

品目別規則の資料を開いた上でページを下にスクロールすると、以下の表示があります。赤枠の中に記載されている物が輸出する産品の完成品におけるHSコードです。一方、青枠の中に記載されている物は、赤枠の完成品に使う部材(材料)のHSコードです。この青枠部分に記載されている内容が「品目別規則」です。

品目別規則 見方

ちなみに、品目別規則を読みとく上で

  • 完成品のHSコードと
  • 完成品に含まれる原材料のHSコードを分けて考えることが重要です。

CTCルール HUNADE

赤枠のHSコードに対して、それぞれ別の品目別規則(青枠)が設定されています。

品目別規則 見方

具体的な品目規則例

青枠に記載されている品目別規則の内容をいくつかピックアップしています。下の画像をご覧ください。

この場合、完成品のHSコードが2845.10-2845.90の間の物は、その材料として、2845.10-2845.90の間に含まれる号の材料は、すべて使うことができません。

品目別規則 見方

この品目別規則の内容を図で表すと、次の通りです。

品目別規則 見方

以下の場合であれば、2005.10号の産品を作るときは、材料として「他の類」を指定しています。つまり、産品のHSコードは、20類に該当するため、使う材料は、20類以外の物を選ぶ必要があります。材料に20類に該当するものを使っている場合、一切、原産資格が発生しないため注意が必要です。

品目別規則 見方

最後に少し複雑なケースをご紹介します。生産する産品のHSコードは、8507.90号です。それに対しての品目別規則が下に表示されています。これまでの物より、何だかとても多くの規則が記載されています。一つずつ分解して考えていきましょう!

品目別規則 見方

上記の品目別規則を分解すると、次の通りです。

「第八五〇七・九十号の産品への他の項の材料からの変更 又は

又はという表現の通り、この部分で基準が変わっています。「又は」の前にある文章(第八五〇七・九十号の産品への他の項の材料からの変更)は、関税分類変更基準(CTCルール)で証明する場合の条件です。他の項と指定されているため、8507項以外の材料であれば、OKです。(8506項、8508項など)

品目別規則

そして「又は」からの後の文章は、価格が基準に証明する付加価値基準で証明するときの条件を示しています。

TPP協定では、使用できる付加価値基準の計算方式として4つのタイプがあります。この産品の場合、4つの計算方式で計算した結果、域内原産割合が下記の基準あるものを原産品としています。

・30%以上(積み上げ方式)
・40%以上(控除方式)
・50パーセント以上(重点価額方式)

要は、一つの産品の中に、複数の品目別規則があり、ご自身にとっても最も証明しやすいルールを採用すればいいだけです。

以上、EPA(TPP)で重要になる品目別規則の見方でした。

まとめ

  • 品目別規則とは、産品が原産品とみなされる基準です。
  • 品目別規則は、原産地規則ポータルで調べるのが便利です。
  • 最初からEPAによる輸出を考えているときは、生産段階から品目別規則を意識することが重要です。

ゼロから学ぶTPP(環太平洋パートナーシップ協定)

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