輸出企業とKnown Shipperへの対応
2025年3月から、航空輸送におけるKnown Shipper(KS)制度の規制が大幅に強化されます。これにより、輸出企業やフォワーダーは、貨物の検査基準が厳しくなり、輸送コストの増加が懸念されています。
この記事では、KS制度の変更点と、輸出企業が今すぐ取るべき対策について解説していきます。
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2025年のKS制度改定の詳細を解説しています。
Known Shipper(KS)制度とは?
Known Shipper(KS)制度とは、航空輸送の安全対策の一環として、信頼できる(保安体制がとれている)荷主のみを認定する制度です。KSに認定された企業の貨物は、検査が簡略化され、スムーズな輸送が可能になります。
一方で、Non-KS(未認定の荷主)の貨物は、厳格な爆発物検査が義務付けられ、追加コストが発生するリスクがあります。
2025年3月以降のKS制度強化のポイント
2025年3月以降(2026年1月から適用される物も含む)から適用される新たな規制では、以下の点が強化されます。
- 非KS貨物の検査対象の拡大
- 検査基準の厳格化
- パレットを「1」とする爆発物検査を認めない。
- 輸送コストの上昇
- 中身の確認
1.非KS貨物の検査対象の拡大
従来は一部の貨物のみが検査対象でしたが、すべての非KS貨物が詳細な検査を受ける必要があります。
2.検査基準の厳格化
貨物の種類に応じて、より細かいレベルでの爆発物検査が実施されるため、貨物の開封率が上昇。
3.パレットを「1」とする爆発物検査を認めない。
従来のパレット単位での検査から、カートンごとの検査へ移行し、手続きの負担が増加しています。
4.輸送コストの上昇(爆発物検査料を含む)
追加の検査手数料や、再梱包の費用が増加し、全体の輸送費が上がる見込み。
5.中身の確認
2026年1月以降は、外装だけでなく、中身も確認される予定です。
KS制度強化が輸出企業に与える影響
KS制度の強化により、輸出企業は、以下の影響を受ける可能性があります。
- 輸送遅延の発生:厳格な検査により、輸送スケジュールの遅延が頻発。
- コスト負担の増加:追加検査費用や、開封検査後の再梱包コストがかかる。
- 貨物の破損リスクの増大:開封検査の頻度が増えることで、貨物が損傷する可能性が高まる。
KS制度強化に対応するためのチェックリスト
- KS認定を受ける
- 適切な梱包材を使用している?
- 爆発物検査対策はできている?
- フォワーダー(RA認定)との連携を強化する
- 採番(貨物分類)を適切にする。
1. Known Shipper(KS)認定を取得する
最も効果的な対策は、自社でKS認定を取得することです。認定を受けることで、貨物の検査が簡略化され、スムーズな輸送が可能になります。
KS認定を受けるには?
- 貨物のセキュリティ管理体制の報告
- 一定の輸送実績の証明
2. 適切な梱包材を使用している?
KS認定が難しい場合、貨物の梱包を見直すことが有効です。指定の強化ダンボールを使用し、一体的な貨物とみなされるように工夫することで、検査対象の単位を削減することができます。
- 強化ダンボールを活用している?
- 木箱や耐水性ダンボールなど、貨物に適した資材を選択している?
- 貨物の固定や緩衝材の適用が適切に行われているか?
3. 爆発物検査対策はできている?
2025年以降、非KS貨物は個別の爆発物検査対象となる可能性が高まります。貨物の梱包方法を工夫することで検査対象を減らすことができます。
- パレット単位の一括梱包を実施している?
- 貨物が検査対象となる条件を把握している?
- 検査対応をスムーズにするためのフォワーダーとの連携ができている?
4. フォワーダーとの連携を強化する
フォワーダーは、規制対応の専門知識を持つ輸送パートナーとして、荷主にとって重要な存在です。フォワーダーとの密な連携が、スムーズな輸送の鍵です。
- 最新の輸送規制情報をフォワーダーと共有している?
- フォワーダーが提供する規制対応サポートを活用している?
- 規制対応が可能な最適な輸送ルートを確保している?
5. 事前の貨物分類を徹底する
貨物のHSコードや輸出入規制を事前に確認し、適切な分類を行うことで、検査の対象から外れる可能性を高められます。
- 貨物のHSコードを正しく分類している?
- 輸入国の規制に適したコードが適用されている?
- 関税の適用条件や優遇措置を確認している?
まとめ
- 2025年からKS制度が強化され、非KS貨物は厳格な検査対象となる
- カートン単位での検査が増え、輸送コストと時間の負担が増加
- KS認定を取得することで、検査を回避し、コストを削減可能
- 強化ダンボールを活用し、検査対象を最小限に抑える
- フォワーダーとの連携を強化し、規制対応をスムーズに進める
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