「良い製品をなるべく安く輸出する」貿易ビジネスを拡大するためには、重要なポイントです。しかし「なるべく安く」が行き過ぎてしまうと、輸入国政府から「ダンピング」と認定される可能性があります。そこで、この記事では、アンチダンピングとは、どのような物なのか?をご紹介していきます。
アンチダンピング
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ダンピングとは、別名「不当廉売(ふとうれんばい)」と言います。廉売とは「安く売りさばくこと」です。そして、この安く売り裁くことを否定するため、頭に「アンチ」をつけて「アンチダンピング」といいます。ちなみに、安い商品を販売することが悪いわけではありません。「不当に安い商品」を別の目的をもって、売りさばくことが廉売にあたります。実は、この廉売は、貿易だけではなく、国内販売でも問題になることがあります。
例えば、愛知県の大手ディスカウントストアが運営するガソリンスタンドで廉売がありました。このお店は、外資系であり、とにかく巨大な資本に物を言わせて、様々な商品を格安で販売するお店です。そんなお店がガソリンスタンドを運営したのです。もちろん、ガソリンスタンドは、周辺価格よりも圧倒的に安いです。安いというより、もう異次元の価格差があったわけです。
結局、公正取引委員会は、このディスカウトストアが運営するガソリンスタンドに対して「廉売行為」に当たるとして是正勧告を出したのです。このように廉売というのは、貿易だけではなく、国内取引の中でもあります。
不当廉売(アンチダンピング)の定義
では、貿易でいう不当廉売=ダンピングとは、どのようなことなのでしょうか? 次のように定義されています。
- 不当廉売とは、輸出国での一般的な価格よりも不当に安い価格で輸出すること。
- これにより、輸入国側に甚大な被害がでていること
これら2つの状況に陥っているときに、輸入国政府は「ダンピングをしている可能性が高い」と判断して、対象の商品を輸入する物に対して、相応の関税を払わせることができます。ただし、このアンチダンピングの仕組みを利用して、正常な取引までもダンピングとみなして、輸入国政府が不当に課税する行為も見受けられます。
例えば、このアンチダンピングの仕組みを利用するのがアメリカです。そして、アンチダンピングの認定を受けることが多いのが「中国」です。ご存知の通り、中国は世界の工場を目指すべく、安い物をどんどんと輸出します。この輸出政策について不満を持つ外国政府は、これをアンチダンピングとして認定して、自国への流入を阻止しようとします。
アンチダンピングは、WTO(世界貿易機関)でも認められている報復関税の一つですが、輸入国政府は、これを悪用して、自国へ外国産品が入りずらくなるように利用することがあります。本来、アンチダンピングは、不当に安く輸出されてくる商品を防ぐ目的がありますが、輸入国側としては、別の目的でアンチダンピングの仕組みを利用することもあるということです。
アンチダンピングの事例は?
日本政府によるアンチダンピング措置は「経済産業省のページ」で公開されています。やはり、アンチダンピングと認定されている商品は、中国や韓国からきている物が多いです。経済産業省のページを見て、どのような商品が認定されているのかを確認してみましょう!
アンチダンピングとセーフガードの違い
アンチダンピングは、輸出国側の価格より不当に安い価格で輸出されている物に制裁を与えることです。一方、セーフガードは、日本国内で同種の商品を製造販売している人が輸入品の大量流入により深刻な被害を受けたときに、その救済を求めるものです。
- アンチダンピングは制裁的な関税率の適用です。
- セーフガードは、国内市場の業者を救済するための関税の引き上げです。
まとめ
- アンチダンピング(不当廉売)は、不当に安い価格で輸出されているものに制裁を与えることです。
- 不当廉売は、日本国内の市場でも存在します。
- アンチダンピングは、輸入国側政府により悪用されることもあります。

