「良い製品をなるべく安く輸出する」貿易ビジネスを拡大するためには、重要なポイントです。しかし、安さが不当レベルにいくと、輸入国政府から「ダンピング」と認定される可能性があります。
そこで、この記事では、不当廉売とそれに対する報復関税をご紹介していきます。
アンチダンピング(英語名:Anti-dumping)の意味
ダンピングとは、別名、不当廉売と言います。廉売とは、不当な価格で安く売ることです。そして、このダンピングに否定する意味がある「アンチ」を付けたものがアンチダンピングです。不当に安く売ることが問題です。WTO協定では、このダンピング行為に対して、輸入国側の政府が救済措置を講じることを認めています。
例えば、Z国からの木材の価格が非常に安くて、日本の木材価格が暴落している!このようなときに、日本政府は、アンチダンピングを発動して、通常の関税よりも高い税率をかして、国内産業を保護します。
不当廉売=不当に安くする売ること
不当廉売(アンチダンピング)の定義
不当廉売の意味(定義)は、次の3つです。
- 輸出国の国内価格よりも輸出価格が安い
- 1の貨物が流入して、日本企業に損害が発生していること
- 1と2に因果関係があること
これら3つの条件満たすとき、輸入国政府(日本政府)は、ダンピング認定をして、対象の商品に対しして、不当廉売関税をかします。ただし、このアンチダンピングの仕組みを利用して、正常な取引までもダンピングとみなして、輸入国政府が不当に課税する行為も見受けられます。
例えば、アンチダンピングを徹底的に活用するのがアメリカです。ご存知の通り、中国は世界の工場を目指すべく、安い物をどんどんと輸出します。この輸出政策について不満を持つ外国政府(アメリカなど)は、これをアンチダンピングとして認定して、自国への流入を阻止しています。
アンチダンピングは、WTO(世界貿易機関)でも認められています。しかし、時々、輸入国政府は、これを悪用して、自国へ外国産品が入りずらくなるようにすることもあります。当然、不当なアンチダンピングに対しては、WTO上の紛争解決等にゆだねることになります。
日本におけるアンチダンピングの事例
日本のアンチダンピングの事例をご紹介します。日本政府によるアンチダンピング措置は「経済産業省のページ」で公開されています。アンチダンピングと認定されている商品は、中国や韓国からきている物が多いです。経済産業省のページを見て、どのような商品が認定されているのかを確認してみましょう!
アンチダンピング(不当廉売関税)とセーフガードとの違い
アンチダンピングは、輸出国の価格より不当に安い価格で輸出されている物に関税を引き上げる仕組みです。一方、セーフガード(緊急輸入関税)は、特定の農産物・工業品の輸入量の制限し国内流通量を下げる仕組みです。
- アンチダンピングは、制裁的な関税率の適用です。
- セーフガードは、輸入数量に制限を加えることで、国内流通量を減らす仕組みです。
アンチダンピング(不当廉売関税)と相殺関税の違い
相殺関税は、輸出国政府による何らかの補助金を得て、安く輸出している物に対して課される物です。他方、不当廉売関税は、輸出国の国内販売価格よりも、輸出価格が大幅に下回るときに課されます。
- 輸出国政府の補助金を得て輸出をし、不当に安く価格になっている。
- 輸出国の国内販売価格よりも大幅に安く輸出されている。
輸入事業の「盾」としてのアンチダンピング活用
経済産業省では、AD措置(アンチダンピング)は、実は、輸入会社や国内会社が自社の利益を守る為の「武器」として積極的に活用することをすすめています。
例えば、A国産のある商品を輸入販売している企業があるとしましょう。同様のY国産の商品が著しく安く流入して、日本市場が荒れている場合は、経済産業省に対して「AD措置」を要請できます。
経済産業省は、AD措置発動要請に基づき、実態調査をします。その結果、アンチダンピングの要件を満たしている場合に発動します。経済産業省の資料によると、実際にAD措置が発動されると、輸入量の急激な減少を確認できるそうです。もし、採算度外視の商品が流通している場合は、このAD措置の要請を検討しましょう!
引用元:経済産業省の資料
まとめ
- アンチダンピングは、不当に安い価格で輸出されている物に割増関税をかすこと。
- アンチダンピングは、輸入国側政府により悪用されることもある。
- 積極的にAD措置を活用することで、健全な市場環境を維持できる。
輸出入と国際輸送の手引き
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