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国際郵便の関税で誤課税?抱っこ紐カバーが税率10%から5%へ取り消された理由【答申第118号】

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国際郵便の関税で誤課税?

国際郵便を利用して小口輸入を行っている方にとって、関税の取り扱いは非常に重要です。今回、国際郵便物に適用された関税率の誤りが不服審査で取り消された事例が公表されました。

事例の資料:関税等不服審査会関税答申118号

争点となったのは、抱っこ紐に取り付ける布製の付属品「cotton bib set」が、衣類とみなされ10%の関税率が課されたことでした。

しかし、審査請求人の主張や過去の取り扱い実績から、この判断が誤りであるとして、最終的に5%の簡易税率が適用されるべきであったと結論付けられました。今回は、この事例について学ぶべき点を解説していきます。

事案の背景と経緯

この事例は、輸入実務者にとって、関税分類の重要性、誤課税への対応策を再確認するきっかけとなるでしょう。以下、事案の経緯とポイントを実務的観点から解説します。

誤課税への対応策=行政側判断の誤りがある場合の対応方法

審査請求人は10年以上にわたり、海外から「cotton bib set」や「cotton pad set」といった製品を国際郵便で輸入していました。これらは主に、抱っこ紐に装着するための繊維製品です。

しかし、令和5年3月以降の輸入分について、税関は「cotton bib set」を乳児用のよだれかけ、すなわち衣類附属品と判断し、関税率を10%に設定しました。

これに対し請求人は、同商品は「抱っこ紐の付属品」であり衣類ではないと主張。過去の輸入実績でも常に5%の簡易税率(繊維製のその他製品扱い)が適用されていたことを指摘し、税率誤適用の取り消しと還付を求めました。

商品を単体と見るのか? 付属品として取り扱のか?により、税率が異なる点がポイント

分類誤りが発生した背景

分類の誤りは、品名が「bib set(よだれかけセット)」という言葉だけで判断された点にあります。担当職員はそれを乳児用衣類と認定し、62.09項に分類しましたが、製品の形状や使用方法(抱っこ紐への装着)を考慮すると、それが衣類ではないことは明らかでした。

実際に5月19日に税関が検査した同様の商品では、ボタンの構造や形状などから、これは抱っこ紐に装着して使うものであることが認定され、63.07項(繊維製のその他製品)として5%の簡易税率が適用されました。

審査会の判断と結論

審査会は、輸入者が提出した過去のインボイスや取引先情報、本件商品と同一の構造を持つ写真等から、本件郵便物も63.07項に該当する製品であると認定しました。税関側が「衣類である」とする確たる証拠もなかったことから、10%を適用した課税通知処分のうち超過分の関税については取り消すと答申しました。

また、審査会は、税関が請求人からの合理的な説明や提案(メーカーによる証明など)を十分に検討しなかった点についても不適切であると指摘しています。

税関の分類調査は、より柔軟かつ実態を反映したものであるべきという姿勢が示されたといえるでしょう。

実務者が学ぶべきポイント

今回の事例から、輸入実務者が得るべき学びは多くあります。

まず、商品分類は見た目や名前だけでなく、実際の使用方法や形状に基づいて判断されるべきであるという点です。次に、たとえ税関が一方的に判断を下しても、それに対して異議申し立てが可能であるという制度的保障があること。そして何より、インボイスや写真、過去の輸入記録といった証拠資料の整備が極めて重要です。

誤課税に気づいたときには、まずは税関に問い合わせ、それでも対応が不十分な場合には「審査請求」や「異議申立て」という正規の手続を検討することが重要です。さらに、正式な還付手続として「更正の請求」という制度があり、これは「輸入許可日から5年以内」に限り行うことができます。関税の更正請求は、「関税更正請求書(税関様式C-1030)」を提出し、税関が内容を審査のうえ、妥当と認めた場合に還付が行われます。

また、誤課税の是正に注力する一方で、輸入者としては「事後調査」や「申告漏れ」にも注意が必要です。税関は過去5年まで遡って調査を行うことができ、不備が見つかった場合には追徴課税や加算税が課されることがあります。とくに継続的な輸入取引を行っている場合には、申告内容の正確性を常に意識し、帳簿や証憑の整備・保存を徹底する必要があります。

5%分の取り過ぎ分の取り扱いはどうなる?

税関による誤課税が判明し、正しい関税率が5%であった場合、輸入者は「更正の請求」という手続きを通じて、過払いとなった関税分だけでなく、それに対応する消費税および還付加算金(利息)も返還を受けることができます。

例えば、誤って10%の関税が課された後、審査や更正請求によって本来は5%が正しいと認められた場合、5%分の過払い関税が返還されます。さらに、その関税に連動して支払った消費税についても、過大に納付した分が還付されます。また、還付までの期間に応じて、還付加算金(利息相当分)も合わせて支払われます。

この返還金は、指定した銀行口座などに直接振り込まれ、輸入者は正しい税額との差額分だけでなく、資金拘束期間に対する利息も受け取ることができます。これにより、誤って多く納めた税金がすべて返還される仕組みとなっています。

還付加算金は、人の資金を法的根拠もなく拘束したことによる発生する利息に相当する物です。

分科会の答申書から学べること

まとめ

本件は国際郵便の少額貨物に関するものでしたが、一般の輸入申告においても、「輸入申告等事項の訂正」が必要な場合があります。NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通じて、申告前であれば再申告、申告後であれば税関への訂正申請を行うことで、輸入内容を修正することが可能です。

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