輸出梱包において、貨物の安全な輸送を確保するためには、適切なマーキングが不可欠です。マーキングには、貨物の取り扱い方法を示すケアマーク、貨物の識別情報を示すケースマーク、輸送先などの情報を示すシッピングマークがあります。これらのマーキングを正しく記載することが重要です。
この記事では、国際輸送における各種マーキングの役割や正しい記載方法、記載ミスによるトラブルを防ぐポイントについて解説します。
輸出梱包のマーキングとは?
輸出梱包マークの種類と意味
輸出貨物には、輸送中の適切な取り扱いを促すため、さまざまなマーキングが施されます。このマークには、以下3つがあります。
- ケアマーク
- ケースマーク
- シッピングマーク
1.ケアマークとは?貨物の取り扱いを指示するマーク
ケアマークは、輸送中に貨物をどのように取り扱うべきか?を示すマークです。
一般的なケアマークには、以下のような種類があります。
- 「上向き(UP)」:箱を上下逆にしてはいけない
- 「取扱注意(FRAGILE)」:壊れやすい商品のため、慎重に扱う必要あり
- 「濡らさないでください(KEEP DRY)」:水濡れ厳禁
- 「温度管理(TEMPERATURE CONTROL)」:特定の温度範囲で輸送・保管
これらのケアマークは、貨物の側面や天面に明確に記載します。これらは、国際的に標準化されているため、世界中の物流担当者に正しく認識されます。
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JIS Z 0150で規定されている指示マークが推奨です。
2.ケースマークとは?貨物を識別するためのマーク
ケースマークは、貨物の識別情報を示すマークです。主に貨物の送り主や内容などの基本情報を記載します。貨物が混載されることが多い国際物流では、正しいケースマークは、貨物の誤配送や紛失のリスクを小さくする上で重要です。
一般的なケースマークの記載内容には、以下があります。
- 輸出者名(Shipper’s Name):送り主の会社名や住所
- 輸入者名(Consignee’s Name):受取人の会社名や住所
- 商品名(Description of Goods):貨物の内容
- ケース番号(Case No.):貨物ごとの識別番号
- 数量(Quantity):貨物の個数
- 重量(Gross Weight / Net Weight):貨物の総重量・正味重量
ケースマークの表示は、貨物の正面に大きく記載し、視認性を確保します。また、印刷やステンシル(型押し)、耐水性のあるラベルを使用することで、輸送中に消えたり破損したりするリスクを小さくできます。
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タイ向け輸出の場合は、ケースマークが義務化されています。
3.シッピングマークとは?輸送情報を示すマーク
シッピングマークは、貨物の輸送先や輸送方法を示すマークです。必ず輸出書類と一致している必要があります。このマークを適切に記載することで、書類と貨物、貨物と荷主を正しく照合できます。
シッピングマークの主な記載内容は、以下の通りです。
- 出荷元・輸入先の情報(Shipper & Consignee)
- 荷印(Shipping Marks)(会社ロゴやマークなど)
- 仕向地(Destination)
- 輸送方法(Air / Sea / Rail)
- 貨物識別番号(Bill of Lading No. / Air Waybill No.)
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これらの情報が正しく記載されていないと、貨物が誤った目的地に配送されることがあります。
マーキングミスによるトラブルと対策
輸出梱包のマーキングにミスがあると、輸送中にさまざまな問題が発生します。ここでは、代表的なトラブルをご紹介します。
1.ケアマークの不備による破損
貨物の向きが間違って積載され、内部の商品が破損することがあります。
例えば、「上向き」マークが適切に表示されていないと、逆さまに積み重ねられ、輸送中にダメージを受けることがあります。対策は、貨物の複数の面にケアマークを表示し、視認性を高めることです。
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特に原産地表示の記載ミスは致命的になる為、気を付けましょう
2.ケースマークの記載ミスによる誤配送
ケースマークの番号や受取人情報が間違っていると、誤った配送先に送られることがあります。特に、似たような貨物が混載される場合、番号や会社名の誤記載が原因で紛失します。誤配送を防ぐためには、出荷前にマーキング内容を再確認し、記載ミスがないことを確実に確認します。
3.シッピングマークの不備による通関遅延
シッピングマークが輸出書類と一致していない場合、通関時にトラブルが発生する可能性があります。
例えば、貨物の仕向地や荷印が異なっていると、税関での審査が長引き、輸送スケジュールが遅れます。このようなトラブルを防ぐためには、貨物のマーキングと輸出書類の内容を事前にチェックし、統一しましょう。
まとめ
- ケアマークは貨物の取り扱い方法を示し、破損防止に役立つ
- ケースマークは貨物の識別情報を記載し、誤配送や紛失を防ぐ
- シッピングマークは輸送情報を示し、通関や配送のトラブルを回避する
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