- はじめての輸出入通関
- よくある疑問・輸入通関Q&A
- Q.書類の作成者は誰? 作成する際の注意点とは?
- Q. 通関は自分でもできますか?
- Q. 関税や消費税の計算は?
- Q. 通関は何日くらいかかりますか?
- Q. 小包や個人輸入でも通関が必要ですか?
- Q. 商品がダメージを受けていたら?
- Q. どんなものが輸入禁止になっていますか?
- Q. 食品や化粧品を輸入するときの注意点は?
- Q.通関書類はいつまでする?
- Q. 原産国の表示は必要ですか?
- Q. 関税を安くできる方法はありますか?
- Q. 輸入時に検査されることはありますか?
- Q. 為替レートはいつのものが使われますか?
- Q. 小口でも輸入できますか?
- Q. 無料サンプルでも申告が必要ですか?
- Q.価格を何かと相殺値引きしている場合は?
- Q.検査指定票とは?
- Q.セット品、無料貨物の取り扱いはどうなる?
- はじめての輸出通関Q&A
- まとめ
はじめての輸出入通関
海外との取引では「通関(つうかん)」という手続きが必要です。関税法に基づく許可(税関による許可)がないと、貨物を日本から出したり、海外から受け取ったりすることはできません。
このページでは、はじめて貿易に関わる個人事業主や中小企業の担当者に向けて、輸出と輸入の通関手続きの流れをわかりやすく紹介します。特定の商品ではなく、どんな貨物にも共通する基本の考え方をまとめています。
通関の仕組みを知ることで、全体の流れがすっきり理解でき、実務もスムーズに進められるようになります。
通関とは?なぜ必要なの?
通関とは、輸出や輸入をする際に、税関に「この貨物を出したい・入れたい」と申告して、許可をもらう手続きです。日本に出入りするすべての貨物には、この申告と許可が必要です。
通関では、書類の内容・金額・品目の分類などが正確であることが大切です。間違いがあると、許可が遅れたり、追加費用が発生したりします。
実際の通関作業は、通関業者という専門会社に任せるのが一般的ですが、輸出入を行う側も流れや必要書類を理解しておくと、トラブルを防ぎやすくなり、費用の管理もしやすくなります。
輸出入通関をお願いする相手と選び方
輸出入の通関を行うときは、「通関業者」か「フォワーダー(国際物流会社)」に頼みます。
通関業者
通関業者は、税関から許可を受けている専門会社です。通関に必要な書類を作ったり、税関に申告したり、検査に立ち会ったりしてくれます。法律や関税の知識があるので、間違いを防ぎたい、手続きを正確に進めたいときに向いています。
フォワーダー
フォワーダーは、輸送全体をまとめて手配してくれる会社です。船や飛行機、トラックなどを組み合わせて、海外から日本まで(またはその逆)の輸送を管理します。多くのフォワーダーは、通関業務も一緒に対応できます。輸送と通関をまとめて任せたいときに便利です。
業者の探し方と依頼の流れ
- ネットで「通関業者+地域名」「フォワーダー 通関」などで検索する
- 商工会議所や業界団体の紹介を活用する
- 実際に輸出入をしている同業者に評判を聞く
- HUNADEの業者紹介ページなどを参考にする
問い合わせ時には、次のような情報を整理して伝えるとスムーズです。
- 取扱品目とHSコード(わかれば)
- 仕向地または仕出地
- 希望するインコタームズ(例:FOB、DDP)
- 通関と輸送の両方を依頼するか、通関のみか
輸出通関の流れ(搬入から船積みまで)
- 売り手がインボイス等の必要書類を作成する。
- インコタームズ(FCA、FOBなど)に応じて搬入場所(CYまたはCFS)を決定
- 貨物を港や空港近くにある専用の倉庫に搬入する。
- 通関業者がNACCSで税関へ申告する
- 税関による審査と検査(必要時)
- 問題がなければ「輸出許可」がおりる
- 本船への積み込み
- 出港で輸出完了
輸出通関は、貨物を海外に送る前の準備から始まります。まずは売り手が「インボイス」や「パッキングリスト」などの書類を作成し、荷物をどこに持ち込むか(CYやCFS)を決めます。
また、取引条件(インコタームズ/例:FCA・FOB・EXW)によって、どの時点で相手に引き渡すかが変わるため、それに合わせて搬入方法も変わります。
荷物を倉庫に搬入した後、通関業者が税関に申告します(NACCSというシステムを使用)。税関は内容をチェックし、必要な場合は検査をします。問題がなければ「輸出許可」が出て、貨物は船に積まれて出発します。
通常、申告から許可までは1営業日以内で終わりますが、書類のミスや検査が入ると時間がかかることもあります。なお、通関上のミスをすると、内容によっては、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税等がかされることがあります。
はじめての海上輸送ガイド|バンニングから通関・納品まで全工程をやさしく解説
輸入通関の流れ(本船到着から国内配送まで)
- 売り手から通関書類を受け取る。
- 通関書類を通関業者に転送する
- 本船到着(アライバルノーティスが発行される)
- 通関業者がNACCSで税関へ申告
- 本船から貨物が降ろされる。
- 貨物の荷下ろしが終わる=搬入完了
- コンテナから貨物をデバン(取り出し)*LCLの場合
- 税関審査と必要に応じて検査(X線や現物確認)
- 税関審査終了
- 関税・消費税の支払い(通関業者が立替の場合も
- 「輸入許可」が下りる。
- 国内配送(自社倉庫や納品先)で完了
関税の納税について
最近は、関税・消費税等の立替払いについて様々な観点で問題だと言われています。新たに取引を始める場合は、リアルタイム口座等を導入することをお勧めします。

少しでも通関を早く終わらせるためには事前の申告(予備申告)の活用が重要です。
輸出入通関で必要な書類と役割
通関手続きには多くの書類が必要ですが、基本的なものは以下のとおりです。
- インボイス:取引価格や取引内容を証明する明細書。
- パッキングリスト:貨物の数量や梱包状態を示す書類。
- B/LまたはAWB:貨物の輸送手段を示す輸送証券。
- 【輸入時のみ】アライバルノーティス:本船の到着通知書
- 原産地証明書:関税優遇措置を受ける際などに必要。
- 【輸入時のみ】カタログやイラスト:申告内容を補足する資料
- 【初回限定】通関委任状:通関業者が手続きするために必要な書類。

これらの書類は、貨物の内容や契約条件によって追加・変更されることがあります。
通関費用の内訳と注意点
通関にかかる費用は、大きく以下のように分かれます。
- 通関手数料:通関業者に支払う基本料金(10,000円~15,000円前後/件)*一般的な相場
- 税金:関税、消費税(輸入時のみ)
- 船社立替金:D/O(配達指示書)料、THC(港湾取扱料)など
- 検査費用:X線や現物検査が行われた場合に発生
- 国内運送費(ドレージや混載便)
また、DDPやDAPといったインコタームズを選択した場合には、通関費用の負担者が相手側になることもあるため、契約時に明確にしておく必要があります。
通関費用に関する詳細は、通関業者とは?の記事で説明しています。
よくあるトラブル
よくある通関書類のトラブルとその対応をご紹介します。
- 記載内容の不一致
- 書類が不足している
- 数量に過不足が発生している。
- 申告内容と実物が違う。
上記のトラブルを防止するため、事前にチェックリストで確認しておきましょう!
事前チェックリスト
- 書類間の整合性に問題はない?
- 必要書類を用意している?
- 書類の有効期限は大丈夫?
- 署名・押印は存在する?
特にインコタームズでDDPを指定したにも関わらず、売主が日本側の手続きを理解しておらず、最終的に買主が通関を肩代わりするケースもあります。このような事態を避けるためにも、契約時に通関責任者と費用の負担範囲を明確にし、書類の準備を余裕を持って進めます。
よくある疑問・輸入通関Q&A
Q.書類の作成者は誰? 作成する際の注意点とは?
通関書類、船積み書類は、売主側が行います。書類を作成する際は、以下の点に注意します。
- 記載内容の一貫性確保
- 英語表記の統一
- 数値の正確な転記
- 必要な署名・押印の確認
例えば、あなたが輸入者の場合は、売り手に対してインボイスやパッキングリストなどを請求し、それを船積書類や通関書類として活用します。
- インボイス → 売り手が作成
- パッキングリスト → 売り手が作成
- B/L → フォワーダーが作成(船会社側)
- アライバルノーティス → フォワーダーが作成
- 絵柄(写真・イラストなど) → 輸入者が用意
Q. 通関は自分でもできますか?
自分の荷物なら可能です。ただし、手続きが複雑なため、通常は通関業者に依頼するのが一般的です。
Q. 関税や消費税の計算は?
商品価格に運賃・保険料を加えた「CIF価格」に、関税率と消費税率をかけて計算します。
Q. 通関は何日くらいかかりますか?
問題がなければ、1〜2営業日で完了します。ただし、検査や混雑があると時間がかかることもあります。
Q. 小包や個人輸入でも通関が必要ですか?
個人使用でも一定金額を超える場合は課税され、通関手続きが必要です。国際郵便やクーリエ便では簡略化されています。
Q. 商品がダメージを受けていたら?
通関業者にすぐ連絡しましょう。場合によっては保険金の請求や損害賠償ができます。
Q. どんなものが輸入禁止になっていますか?
A. 麻薬、銃器、偽ブランド、特定の動植物などが禁止対象です。また、規制のある食品や医薬品も注意が必要です。
日本に輸入できないもの(禁止)・規制されている物と条件を徹底解説
税関サイト:輸出入禁制品
Q. 食品や化粧品を輸入するときの注意点は?
食品は「食品衛生法」、化粧品やサプリは「薬機法」の対象です。成分やラベル表示に注意し、必要に応じて事前の届出が必要です。
【食品輸入の完全ガイド】初心者でもできる手続き&許可のポイントを徹底解説!
厚生労働省:食品等の輸入手続き
税関:輸入関係法令一覧
Q.通関書類はいつまでする?
通関書類は、法令により次の期間、保存する必要があります。
- 保管期間(通常7年間)が無難
- 保管場所の適切な管理
- 検索性の確保
- 定期的なチェック体制
例えば、税関から書類の提出を求められた場合に対応できるようにしておきます。
Q. 原産国の表示は必要ですか?
税関申告には原産国の記載が必要です。輸入後の販売時にも、誤解を与える表示はNGです。
Q. 関税を安くできる方法はありますか?
特恵関税やEPAなどの制度を活用すれば、関税が安くなることがあります。
関税ゼロでも損?EPAを“あえて使わない”という輸出判断3つの基準
Q. 輸入時に検査されることはありますか?
税関の判断で書類確認や実物検査が行われます。検査にかかる費用は税関は無料ですが、通関業者に立会料を請求される場合があります。
Q. 為替レートはいつのものが使われますか?
A. 輸入申告日の属する週の「前々週の平均レート」が使用されます。詳細は、税関サイトへ
Q. 小口でも輸入できますか?
もちろん可能です。LCL(少量混載便)やクーリエ、EMSなどを活用すれば、小ロットでも輸入できます。
Q. 無料サンプルでも申告が必要ですか?
たとえ無償でも、価値がある貨物としてインボイスに記載して申告する必要があります。実勢価格に基づいた参考値で記載します。
Q.価格を何かと相殺値引きしている場合は?
例えば、売り手と買い手の相互で、何らかの理由により価格を相殺している場合は、相殺前の価格が輸入申告価格です。
例えば、本来貨物の代金は、10000円。AさんからBさんが購入します。Aさんは、Bさんに対して2000円の債務(払う金額)があるとしましょう。この場合は、次の通りです。
- 相殺後の価格8000円(10000-2000)→申告価格とはできない。
- 相殺前の価格10000円→輸入申告価格とする。
Q.検査指定票とは?
Q.セット品、無料貨物の取り扱いはどうなる?
セット品は、セットの中身がわかるようにインボイスに記載してもらいます。また、サンプル等、無料の貨物を受け取った場合は、貨物の個数、価格にかかわらず、すべてインボイスに記載します。この記載が漏れると「無申告扱い」になる可能性があります。
また、サンプル品の価格は「本来の貨物の価値」を示します。
はじめての輸出通関Q&A
Q. 輸出通関って何ですか?
A. 日本から海外に商品を出すとき、税関に「この商品を輸出します」と申告し、許可を得る必要があります。この手続きを「輸出通関」と呼びます。
Q. 関税や税金はかかりますか?
基本的に輸出に関しては日本で税金はかかりません。ただし、相手国で関税や消費税が発生する可能性があります。
通関にはどれくらい時間がかかりますか?
通常は1営業日で通関が完了します。ただし、貨物の内容や税関の確認によっては数日かかることもあります。
*輸入者の実績が高い場合(区分1)
通関区分とは?
巨大コンピューター・NACCSによる自動判定される輸出入者に対する評価です。過去の輸入実績、申告内容の適正さなどの総合的な観点から、コンピューターに判定されます。
- 区分1:簡易審査扱
- 区分2:通常審査扱
- 区分3:実地検査(X線・現物確認)
通関をスムーズに行うにはどうすればいい?
書類に不備がないこと、品目ごとの規制(他法令)を事前に確認すること、通関業者とよく連携することがポイントです。特に輸出貿易管理令は要注意です。
Q7. 禁止されている輸出品はありますか?
はい、あります。たとえば武器、特定の医薬品、絶滅危惧種に関わる商品など。外為法や輸出貿易管理令に該当するものは輸出できません。
Q8. 原産地証明書って何のために必要?
輸出先の国で関税を下げるために使われる証明書です。EPA協定などの優遇税制を受ける際に必要です。関税ゼロで貿易コストを削減!EPAを活用しよう!
Q9. 輸出許可とは別に、他の機関の許可が必要な場合は?
食品、化学品、医療機器など一部の品目では、農林水産省、経産省などの他法令に基づく許可・届出が必要です。
Q10. 相手国の規制で通関できないこともありますか?
はい。輸入国側の禁止品目や規格違反があると、現地で通関ができず、返品や廃棄になるケースもあります。関連ワード:積戻し(シップバック)
Q11. 輸出申告の価格はどのように決まる?
通常は「FOB価格(船積み港での価格)」で申告します。相手との契約書やインボイスの価格をそのまま使います。
まとめ
- 通関は税関の許可を得るための手続きであり、貨物の出入りには必須です。
- 輸出通関は搬入〜許可〜船積みまで、輸入通関は本船到着〜申告〜配送までの流れ。
- 通関書類にはインボイス、パッキングリスト、B/Lなどがあり、貨物や条件によって追加書類が必要です。
- 通関費用は手数料、税金、立替金などに分かれ、契約条件に応じて負担者が変わります。
- 通関トラブルを避けるには、事前準備と相手との明確な取り決めが大切です。
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