バターが高くなる本当の理由は、独立行政法人の一括購入が原因

バターが高くなる本当の理由貿易コラム
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働き手の急速な減少により、日本全国の有効求人倍率が上昇しています。私が住む地域のアルバイト募集広告を見ても、1300円以上の求人が多いことがわかります。夜勤が含まれる仕事となると、時給1800円以上にもなります。そんな人手不足に陥っている日本ですが、第一次産業分野にも深刻な影響を与えています。

毎年、12月ごろになると、必ず騒がれることとして「バター不足」や「チーズの不足」があります。マスコミなどの報道によると、人手不足などによる酪農業の働き手が減り、それがバターの原料である牛乳の生産量の減少している。よって、バターが不足すると説明しています。たしかに、その部分もあるかと思いますが、実は、本当の理由は別の所にあります。

バターが高くなる原因=独立行政法人による買い入れ。

ここであなたに想像をしていただきたいです。スーパーに行くと、様々な商品が並んでいますね。その中に、牛乳やチーズ、牛乳などが販売されているエリアがあると思います。では、この中に、輸入の牛乳やバターはございますか? おそらくチーズはあると思いますが、バターは、ほぼないはずです。

輸入のチーズはあるのに、輸入のバターがない。なぜなのでしょうか? この理由は、バターにかけられる関税率と、輸入バターが流通する仕組みにあります。

バターの関税は35%!

バターが高くなる理由の一つに、バターにかけらる関税率があります。下の画像をご覧ください。こちらは「ウェブタリフ」という輸入関税率を調べられるサイトです。画像の中にある赤枠がバターの関税率です。これをみると、35%の高額な関税がかけられていることがわかります。これは、100円の牛乳を買うときに、135円を支払わなければならないことと同じです。

なぜ、バターの関税が高くなっているのか?

なぜ、ここまで高い関税率にしているのでしょうか? もちろん、これは、日本国内の酪農家を保護する目的があります。特にバターに関しては「還元乳(かんげんにゅう)」の製造を防止する目的があります。還元乳とは、バターなどに水を加えて作られる牛乳のことです。

バター+水=牛乳風飲料

仮に海外の安いバターを仕入れて、日本国内で牛乳にして販売すると、日本の酪農家が困ってしまいますね。そのため、海外産のバターの輸入を規制して、日本国内に還元乳が出回りにくくしています。つまり、バター不足は、根幹的な部分で言うと、この還元乳へ使われることを防止するための政策の副産物です。

バターは、どのように規制しているの?

バターの輸入は制限されています。では、バターは、どのように規制しているのでしょうか? もう一度、先ほどの図を確認してみましょう。この中をよく見ると「独立行政法人農畜産物振興機構」がありますね。この機関が何かしらのことをしてそうです。

独立行政法人農畜産物振興機構と国策

独立行政法人農畜産物振興機構とは、日本市場における牛乳やバター、チーズ、肉など、その他の畜産物の市場価格を一定に保つために、買い付けや売却を通じて調整する機関です。

独立行政法人という名前の通り、ほぼ国の機関と考えても良いです。この機関の業務の一つとして、バターの流通量をコントロールしています。とてもざっくりと説明すると、日本に輸入されるバターは、この独立行政法人がすべて独占して買い上げた上で、民間機関へ売却しているのです。

もう少し正確に申し上げると、独立行政法人に登録している「指定乳製品輸入者(民間)」が輸入した乳製品(バター)は、輸入したら、一旦、全量を独立行政法人に売却しなければなりません。その後、独立行政法人が市場価格を考えた上で、調整金などを上乗せして、民間企業へ売却します。この仕組みによって、市場に流通するバターの価格をコントロールしています。

この仕組みが詳しく書かれているのが「畜産経営の安定に関する法律」の25条~28条の以下の部分です。

第 25 条 指定乳製品等につき関税法(昭和 29 年法律第 61 号)第 67 条の規定
による輸入の申告(以下「輸入申告」という。)をする者(その者が当該輸入
申告の際その輸入申告に係る指定乳製品等の所有者でない場合にあつては、
その所有者)は、その輸入申告に係る指定乳製品等を機構に売り渡さなけれ
ばならない。ただし、次に掲げる場合及び次項に規定する場合は、この限り
でない。
一 機構又は機構の委託を受けた輸入業者が指定乳製品等を輸入するとき。
二 指定乳製品の価格の安定に悪影響を及ぼすおそれがないものとして政令
で定めるとき。

(輸入に係る指定乳製品等の買入れの価額)
第 26 条 前条第1項の規定による売渡しに係る指定乳製品等についての機構の
買入れの価額は、当該指定乳製品等について輸入申告をすべき価額とする。

(輸入に係る指定乳製品等の売戻し)
第 27 条 機構は、第 25 条第1項の規定による指定乳製品等の売渡しをした者
に対し、その指定乳製品等を売り戻さなければならない

(輸入に係る指定乳製品等の売戻しの価額)
第 28 条 前条第1項の規定による機構の売戻しの価額は、国際約束に従つて農
林水産大臣が定めて告示する金額に、当該売戻しに係る指定乳製品等の数量を
乗じて得た額を、機構の買入れの価額に加えて得た額とする。

引用元:独立行政法人 農畜産業振興機構

以上の二つがバターが高くなってしまう理由です。いわゆる国策による保護政策が良い意味でも、悪い意味でも機能しているということですね。今後は、このような仕組みも含めて自由貿易によって改革されて欲しいと願っています。

バターの買い戻し額(TPP11発効までの価額)

806円または、949円/キロ

バターが高くなってしまう2つ理由まとめ

バターが高くなる理由は、高く設定されている関税率と、独立行政法人による買い付けの仕組みがあるからです。なぜか、マスコミなどは、この部分をあまり報道せず、国産農家の後継者不足にばかりフォーカスしてしまいます。本当は、もう少しこれらの政府による制限が正しいのかを議論する余地があるにも関わらずです。

結局、政府の機関であっても民間企業であっても何かを独占的に行えるようになると、何らかの汚職が行われる可能性が高くなります。農林水産省などから独立行政法人への天下り、または、独立行政法人から指定輸入者(民間企業)への天下りなども十分に考えられます。

自由貿易の流れの中で、このような昔ながらのやり方の部分をぶち壊してくれることを願っています。もちろん、国内の酪農家保護をするために、必要最小限の規制はするべきですが….ただし、その最小限の規制が今のやり方で適切なのかは別のお話です。

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