HUNADE EPA/自由貿易の始め方 関税削減

自由貿易 EPA スタートガイド 関税とEPA

2020年現在、日本は、17のEPAを結んでいます。EPAは、関税、人の移動、投資分野を自由化し、お互いの国の経済発展を目指す仕組みです。輸出入をする方であれば、輸入時の関税削減が最も大きな恩恵です。ただし、実際にEPAを利用するとなると、非常に広い範囲の知識が求められる上、煩雑な作業の多さに嫌気がさします。

そこで、この記事では、EPAに関連することをできるだけ網羅的に紹介をしています。ぜひ、この記事を参考にしていただき、貴社の貿易ビジネスの中でEPAを活用していただければと思います。

EPA/自由貿易の活用マニュアル

EPA記事の目次

この記事は、約2万文字以上にも及びます。目的毎にトピックスをまとめいますので、ご活用ください。また、PCでの利用で表示されるサイドバーにもEPA関連トピックスを表示しています。

その他、EPA関連知識

対比表作成サポート

EPAの基礎知識/概要

EPAとは、商品が国境をまたぐときにかけられる関税を削減又は減額する仕組みです。2020年現在、日本は17のEPAを結んでおり、これらの国との間では、関税なしで輸出入ができます。

以降、このEPAの活用方法、利用するための条件等を確認していきましょう!

EPAを輸出活用、輸入活用で難易度が違う

EPAは、輸出者と輸入者で「すべきこと」が違います。(活用の難易度)

  • 輸出活用→難易度高い
  • 輸入活用→難易度低い

輸入で活用する場合は、相手国の輸出者が用意する書類(特定原産地証明書)を日本の税関に提出するだけです。

一方、輸出者の場合は、日本商工会議所に申請をして書類を入手して相手に送付します。そして、この特定原産地証明書を取得する際に、様々な知識やルールを覚えなければならず、これが輸入よりも輸出の方が大変だといわれるゆえんです。

輸入で活用しますか? 輸出で活用しますか?

ぜひ、この違いを意識して記事を読み進めて下さい。

参考情報:ここでは軽く触れておきます。実は、最近、発効されたTPPや日欧EPAは、これまでのEPAとやり方が違い「輸入者側」が原産品を証明します。詳しくは、TPPの始め方、日欧EPAの始め方をご覧ください。

これだけは覚えたい。6つのEPAポイント

早速、EPAのポイントと活用によるメリット(削減効果など)を確認していきましょう!

  1. EPAのメリット
  2. EPAを利用できる2つの条件
  3. 商品の原産性の証明
  4. 輸入効果例
  5. 輸出効果例
  6. 個人通販でも活用できる。

1.EPAのメリット

EPAは、商品が国境をまたぐとき税金(関税)を撤廃します。関税は、個別の商品ごとに細かく決められており、輸入する側の国でかけられます。

例えば、日本の商品をタイに輸出するときは、タイ側で関税がかかります。一方、タイの商品を日本に輸入するときは、日本側で関税がかかります。EPAは、双方で関税を撤廃まは低率する効果があります。仮に貴社が輸入する会社なら、日本へ輸入するときにかかる関税が免税になり、その分だけ商品を安く仕入れられます

一方、輸出会社なら、外国へ輸出したときに、現地税関で課税されなくなります。自社の商品に関税がかからないため、外国における「価格競争」を有利にできます。逆に言うと、EPAを利用しないまま輸出や輸入(貿易相手国が日本とEPAを結んでいる場合)をすることは、負け戦に参加することと同じです。

1.商品が外国に入るときは、商品ごとに関税という税金がかかる。
2.EPAは、輸入する側の関税をゼロにする効果があります。

 2.EPAを利用する2つの条件

EPAを輸者として利用すれば、相手国の関税を無税にできます。一方、輸者としての利用は、日本側の関税が免除されます。しかし、この関税削減は、どの国の、どんな産品にでも適用されるわけではないです。実は、EPAを適用するには、以下2つの条件があります。

  1. 貿易相手がEPAの締約国であること
  2. 関税が免除される対象品目であること
条件1.貿易相手がEPAの締約国であること

2020年現在、日本が結ぶEPAは、全部で17です。方面別に見ると、東南アジア各国とのEPAが最も多いです。その他、メガFTA多国間FTAと呼ばれる日欧EPA、TPP、日米貿易協定などがあります。

あなたの輸出又は輸入相手は、EPA締約国に所属していますか?

2020年9月現在のEPA締約国一覧
シンガポール マレーシア タイ インドネシア ブルネイ
アセアン全体 フィリピン ベトナム インド モンゴル
オーストラリア メキシコ チリ ペルー スイス
CPTPP(TPP11) 日欧EPA
今後増えるかもしれない!?
カナダ ニュージーランド RCEP FTAAP 日英FTA
条件2.関税が免除される品目であること

EPA締約国の産品でも、すべて即時に免税にはなりません。関税の減免税は、次の三つのパターンがあります。

    1. 即時関税ゼロ
    2. 数年後関税ゼロ
    3. 例外品目(適用除外)

例えば、即時関税撤廃品目は、協定の発効と同時に関税が撤廃されます。数年後の関税撤廃は、毎年4月1日(日本側)に数パーセントずつ削減されていき、ある一定期間後(5年、10年、15年など)関税が撤廃されます。例外品目とは、撤廃や減税の対象外の品目です。関税撤廃の予定は「譲許表(じょうきょひょう)」という書類で確認します。

譲許表は、日本側と相手国側の二つがあります。仮にあなたが輸入者であるなら「日本側の譲許表」を確認してください。一方、輸出者であるなら「相手側の譲許表」を確認します。この譲許表で免税品目に指定されていない品目(カテゴリXなど)は、EPAによる免税扱いを受けられないです。

現状の関税率(課税状況)を知りたいときは、次の2つのリンク先で調べられます。

3.商品の原産性を証明する

「商品がEPAの原産品であること」を証明します。EPAは、対象の国同士の経済を活発にするのが目的のため、商品の原産性が非常に重要です。要は、対象国以外の商品に、関税のメリットが受けられないようにしています。この意味においても重要な書類が特定原産地証明書です。

例えば、日本とタイとのEPAを利用するとします。このとき、中国から仕入れた商品を「日本を経由」してタイへ輸出したときは、日本の原産品とはならず中国製品が日本を経由して輸出されただけです。したがって「日タイEPA」は適用できません。EPAを締結する国で生産された商品のみが免税や減税の対象です!

 ポイント:日本と相手国の原産品以外は、EPAの対象にはならない。

4.EPAの輸入効果例

実際にEPAを利用した場合、どのようような恩恵が受けられるのでしょうか?

EPAを利用して輸入する事例です。下の図は日タイEPAを利用して「タイの商品を日本へ輸入する際」にかかる関税です。左側が日本で設定されている関税。右側の赤文字がEPAを適用した場合の関税です。すべての商品の関税がゼロにはなりませんが、元々の関税よりも大幅に下がっています。

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5.EPAを利用した輸出効果例

EPA貿易を利用して輸出する場合です。

日タイEPAを適用して、タイ向けに日本のマンゴーを輸出します。タイの税関でかけられるマンゴーの関税は、日本の商品であればゼロです。しかし、日本以外の国で生産されたマンゴーである場合は、最高で30%の関税がかかります。

EPAは、このように高い関税率を一気にゼロする魅力があります。これをうまく活用できれば、最低限、海外での価格競争力は維持されます。つまり、価格競争で同じ土俵にたてるため、あとは商品力で勝負ができます。これが最も重要なポイントです。

現地で販売される商品の価格帯を考えると、日本製品であっても「高額を許容できる範囲」は決まっています。この前提を考えると、やはり少しでも安く現地で販売できる努力が必要ですね!もちろん、それぞれのコストを見直すことは必要ですが、それよりも効果的なのが「関税の削減」です。これを実現できるEPAは、大変魅力的な制度です。

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 ポイント:EPAを活用して輸入や輸出、どちらの場合であっても、貿易を行う上で有利になることは間違いありません。EPAは誰でも活用できる制度です。しかし、実際に活用するためには、それなりの知識と実行力が求められます。これをクリアしたとき、関税の免税という恩恵を受けられます。

6.海外通販とEPA

EPAは、個人輸入(海外通販)でも活用ができます。

例えば、ネット通販アマゾンアメリカで購入した商品でも、原産国がアメリカであれば、日米貿易協定により関税の減額又は免除を受けられます。また、通常、関税の免除で必要な証明書も20万円以下の場合は、提出不要です。つまり、税関又は、各配送会社の通関が「自動的」に適用してくれます。

以上がEPAの基礎編/概要編です。ここから先は、EPAについて本格的に説明をしていきます。前半部分は初級編、後半は「発展編」に分けています。ぜひ、ご自身のレベルに合わせてご活用ください。

ゼロから学ぶEPA(初心者編)

EPAと聞くと、何だか関税削減のお話だけをイメージします。しかし、実は、EPAは関税以外の様々な分野においても自由化を進める仕組みです。主な対象分野は、次の三つです。

  1. 投資分野
  2. 人的交流の自由化
  3. 関税分野の自由化
  4. EPAのメリット、デメリット
  5. 活用方法
  6. 相談機関

ここでは、上記3つの自由化と合わせて、EPAのメリット、デメリット、活用方法、相談先等をご紹介していきます。

1.投資分野の自由化

海外に工場を建てる行為は「投資」にあたります。これを実際に実行するときは、現地政府のさまざまな制約を受けることがあります。

例えば、現地企業の資本が何十パーセント含まれている「合弁会社」としての運営を求められることがあります。また、共産圏の国であると「国有企業」との兼ね合いで、工場の進出が不許可になることもあります。このように外国企業が進出できるのかは、現地政府の意向により決まることが多いです。EPAでは、このような外国政府の規制なども、一定のルールがあります。

各国政府は、企業が経済活動をできるだけスムーズにできるように努力する義務がある。

2.人的交流の自由化

人の移動には、次の三つの意味があります。

  1. 人とは何か?
  2. 誰を対象としている?
  3. 入管法(在留資格)との関係

法律上、人とは、次の2つを指します。

  1. 法人
  2. 生身の人間

法人とは、法律上、その「人格」が認められている物です。いわゆる「○○株式会社」などは、すべてこの法人です。EPAでいう「人の移動」は「生身の人間の移動」を指します。

例えば、グローバル企業に勤めている人、海外企業との商談や契約をする人、国際見本市に参加する人、その国へ投資をする人など、両国間の経済活動の活発化につながる活動をする人たちなどです。また、これと合わせてフィリピン、インドネシアは、看護師や介護士の受け入れなどでも締結していますが、いわゆる労働力の受け入れに関するのは限定的です。

  • 二国間を行き来するビジネスパーソン
  • 投資家
  • それらの人を法務面から支える専門職
  • 高度な技術を持った人
入管法(在留資格)とEPAの関係は?

外国人が日本に入国する。または、日本人が相手国に入国するときは、入国理由に基づく適切な資格を持つのか?で判断されます。日本側で言えば、外国人の入国は、入管法の「27種類の在留資格」と照らし合わせて判断します。どこの外国人であっても、どんな立場であっても、この在留資格に合致しない人は、日本に入国できません。もちろん、これはEPAの人の移動にも当てはまります。

EPAで人の移動について規定されていますが、それは日本の国内法(入管法)と別にあるわけではありません。EPAによる人の移動の対象者であっても、必ず入管法上の「在留資格」によって、入国の可否が判断されます。EPAの人の移動と入管法の在留資格は、一体となって考えられています。

  1. 短期の商用訪問者
  2. 企業内転勤者
  3. 投資家
  4. 自由職業サービスに従事する人
  5. 高度な技術・知識を持つ人
対象者 利用例 概要
1.短期の商用訪問者
  • 現地企業との打合せ
  • 国際会議
  • 交渉や契約
  • 出張や修理
  • 在留資格:短期滞在
  • ポイント:報酬を得ないこと
一般的なビジネスマンは、ここに該当します。外国企業への商談、交渉、出張修理などで、短期間入国する人です。この短期間には、90日間もあれば、3年~などの比較的長期間の場合もあります。ポイントは、訪問するときに「報酬を得ないこと」です。つまり、行商などは禁止。日本の企業から給料をもらいながら、現地で商業活動(宣伝、商談、契約アフター修理など)はOKです。
2.企業内転勤者
  • 外国支店への転勤
  • 海外の本社への赴任など
  • 在留資格:企業内転勤、投資・経営
外国にある本店・支店、または、その企業が持つ工場などへ移動する人が該当します。技術指導により現地の工場へ管理監督に行く!、日本の本社へプロジェクトマネージャーとして赴任するなどが考えられます
3.投資家
  • 資本を投下して事業展開する人(株式投資等ではない)
  • 現地にあるベンチャー企業などへの投資
  • 在留資格:投資・経営
外国に資本を投下して何らかのビジネスを育てる方が対象です。いわゆるベンチャー企業などに資本を投資する人がこの対象です。残念ながら、外国の株式を購入するなどの投資では、こちらの「投資家」には該当しません。資本を投下して、直接、現地のビジネスを育てる人が対象です。
4.自由職業サービス
  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 資格があることでできる職業
  • 在留資格:法律・会計業務
資格があることでできる職業の人が対象です。

例えば、日本の企業が外国にて何かを始めるときに、それは、外国の法律上、問題がないのか?を判断するときに役立つ弁護士。また、その実行につき、資金面で問題がないのかを考えるのが会計士など、企業が何かの経済活動をするときにバックアップする人たちです。

5.高度な技術・知識を持つ人
  • エンジニア
  • プログラマ
  • 適用条件:現地の企業に直接雇用されていること(派遣契約等は不可)
  • 在留資格:技術、人文知識・国際業務
人の移動の中で最も解釈範囲が広い部分です。いわゆる高度な技術を持っていれば、それが何であろうとも限定されません。

例えば、ITエンジニア、エンジニア、プログラマ、何かを作るときにはなくてはならない技術を持っている人などです。実は、この部分は、両国とも非常に広く解釈しているため、うまくアピールできれば、5番に該当する者として外国にて長く活動する資格を得られる可能性はあります。

3.関税分野の自由化

こちらは、すでにご存じの通り、商品が国境をまたぐときに発生する関税を免税や減額して、お互いの経済活動を活発化する目的があります。

以上、3つがEPAが目指す自由化です。次に、EPAをより実務的な部分から、メリット、デメリットを確認していきましょう!

4.EPAの魅力/メリットとデメリット/問題点

  1. 売上を増やせる
  2. 外国の商品を安く仕入れられる。
  3. 価格競争力をあげられる。
  4. 良くも悪くも自由競争
メリット1.売上を増やせる

EPAは国の自治を維持したまま経済分野での国境を撤廃することを意味します。これは日本と外国が「経済的に統合」することを同じです。経済的な国土の拡大によって、貴社の商品が外国における勝負する場所が増えたとお考え下さい。お互いの国関税が撤廃されるというのは、脅威でもありチャンスでもあります。

メリット2.外国の商品を安く仕入れられる。

EPAはお互いの国においてかかる関税を撤廃します。当然、日本へ入ってくるときにかかる「関税」も掛からないため、関税分を安く仕入れることができます。

メリット3.外国の価格競争力を向上できる。=商品勝負ができる。

上記でも述べた通り、お互いの国の関税を撤廃することにより外国の商品を安く購入ができます。しかし、EPAは外国商品を安く購入できるだけではありません。外国においても関税がかからないため、その分、外国における価格競争力をつけることができます。

外国で商品を販売する際は、現地の方へなるべく安い価格で販売ができるようにするのが理想です。もちろん、日本ブランドであれば、現地での販売価格が相場より10%程度高くても許容される場合が多いです。しかし、この価格差が10%以上になると不利な立場に立たされるとお考え下さい。

実をいうと、関税は考えているよりも設定価格の中で大きなウェイトを占めるものです。物によっても異なりますが、中には30%という高関税が設定されている物もあります。それがEPAを適用することにより、一気にゼロになるわけですから、それだけでも価格競争力が大きく向上することがわかります。また、価格競争力が上がることは、商品で勝負できることを意味します。

デメリット

一方、EPAのデメリットは、良くも悪くも流動性が高まり、様々な分野で競争が激しくなる可能性があります。これまで関税という「防波堤」がなくなり、波がそのまま地上に押し寄せるイメージがピッタリだと思います。もちろん、これは、EPA相手国でも同じです。つまり、海の外に目を向けない限り、一方的に攻められる状況が続いていくと考えてもいいです。

5.EPAの利用方法

輸入活用

輸入でEPAを活用する場合(例:海外通販×EMS、DHL、UPSなど)は、輸入の価格が20万円以下であれば、書類や特別な手続き等も不要で、自動的にEPA税率を適用して輸入ができます。20万円をこえる物を輸入する場合は、輸出者に依頼をして、現地で特定原産地証明書を取得。これを日本に発送してもらいます。その後、日本税関に証明書を提出することで関税が免除されます。

EPA輸入活用の全手順

輸出活用

輸出でEPAを活用する場合は、日本商工会議所に依頼をして「特定原産地証明書」を発行してもらいます。この発行までの手順は、非常に面倒です。発行が終わったら、輸入者に対して特定原産地証明書を発送します。輸入者は、日本から届いた原産地証明書を輸入国側の税関に提出することで関税の免除が受けられます。なお、この方法による証明を「第三者証明制度」といいます。

一方、最近、発効されたTPP、日豪EPA及び日欧EPAは「自己証明制度」です。

輸出活用 関税を削減する全手順

6.相談窓口

EPAの相談は、次の5つの機関でできます。

  1. EPA相談デスク
  2. 日本商工会議所
  3. ジェトロ
  4. 税関
  5. HUNADEのEPAサービス
相談機関 利用用途
1.EPA相談デスク EPA相談デスクは、経済産業省から委託を受けている東京共同会計事務所が行っている「無料EPA相談デスク」です。EPAの相談のためだけに設けられている、日本で唯一のEPA専門相談機関です。EPA相談デスクは、電話相談、メール、対面など、あらゆる方法により、EPAの相談を受け付けてくれます。

EPAの全体的なことを聞きたいときは、EPA相談デスクが便利です。

2.日本商工会議所 日本商工会議所は、日本で唯一の特定原産地証明書の指定発給機関です。要は、証明書を発行できる所です。商品を輸出するときに必要になる特定原産地証明書は、この日本商工会議所が発行します。日本商工会議所でもEPAの相談はできますが、基本的には、実際に証明書を取得するときの疑問点への回答がメインだと考えた方がいいです。

「まだ証明書を取得する予定もない、まずは全体的なことを知りたい」等であれば、1番のEPA相談デスクの方が適しています。

  • 特定原産地証明書の発行業務
  • 特定原産地証明書の取得に関する質問への回答
3.ジェトロ 日本の輸出取引の支援をしているジェトロもEPAに関する相談やセミナーなどを開催しています。

4.税関 税関は、意外にEPAに関するサービスは少ない印象です。→原産地規則ポータルなどのツールも提供しています。
5.HUNADE 最後に弊社でもEPAの相談サービスを提供しています。日本商工会議所やEPA相談デスクでは、受けられない細かい相談ができます。また、相談だけではなく、EPAの申請で必要になる「対比表の作成代行」の承っています。

特定原産地証明書の取得代行支援サポート

化粧品・食品 対比表の作成サポート

EPAをゼロから学ぶEPA(発展編)

ここから先は、EPAをさらに深く確認していきます。全体像は、次の通りです。

原産地証明とは、協定上の原産品であることを証明する行為です。輸出者は、特定原産地証明書を取得。これを輸入者に送付します。

一方、輸入者は、輸出者が取得した証明書を輸入国側の税関に提出して関税の免除を受けます。したがって、以下の内容は、あなたが「輸出者」の立場のときに、特に覚えておくべきことです。

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3つの大きなポイント

下の表をご覧ください。これから説明する全体構造を表にしたものです。左から大、中、小と並び、それぞれで関係するルール等を記載しています。

大分類→ 中分類→ 小分類 救済ルール
原産地基準 完全生産品
原産材料のみの品
非原産材料を使った品
積送基準 直送輸送、積み替え輸送をするときのルール
手続き的規定

原産地規則=原産品の基準と、免除を受けるための手続きを定義

EPAの最大のポイントは「商品の原産国」です。協定上、原産国の定義を満たす物に、関税の削減又は減免の恩恵を与えるためです。では、何をもって原産品とみなすのでしょうか? 実は、これには明確な「定義」が決まっています。そして、この定義こそが「原産地規則」です。

原産地規則には、次の三つがあります。この三つを総合的に勘案して、恩恵を与えのかが決まります。狙い通りの関税等が削減されれば、5%、10%の税金が一気にゼロになることも珍しくないです。ぜひ、関税の減免を受けられるようにしましょう!

  1. 原産地基準
  2. 積送基準
  3. 手続き的規定

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原産地規則の中にある3つのルール

それでは、早速、原産地規則の中にある三つを確認してきましょう!

1.原産地基準

生産・製造した商品自体に原産品があるのかを判断するためのルールです。原材料に対して「どのような加工を行えば原産品になるのか」「外国の原材料を使う場合の証明ルールなど」各EPAや品目ごとに細かく規定しています。EPAにおける原産品判定のための要となる規定です。

2.積送基準

積送基準は、原産性がある商品を「どのように輸送すれば原産性を保って輸送できるのか」を規定したルールです。つまり、原産品の輸送に関することを規定しています。

EPAでは、原産国から輸出先国までの「直送」が絶対的な条件です。貨物運送上の関係で第三国の港による場合であっても「スルーB/L」等が必要であるため、十分に注意をしたいです。

3.手続き的規定
  1. 商品自体に原産品の資格はあるようだ!
  2. 輸送も直送するから問題ない。

次は、1番の原産性があることの「立証」です。具体的には、商品の原産性を「特定原産地証明書」と呼ばれる書類によって証明をします。そして、輸出者は、この証明書を取得するために、様々な「原産性立証資料(対比表等)」を用意します。この一連の手続きが「手続き的規定」です。

  • 特定原産地証明書の取得に関すること
  • 特定原産地証明書の紛失・再発行などに関すること
  • 書類保存期間に関する規定
  • 特定原産地証明書に疑義がある場合、相手国税関からの質問への回答など

手続き規定は、EPAを使う上での「避けられないポイント=最も重要なプロセス」です。当サイトの記事は、この手続き的規定の部分を重点的に解説しています。

ここから先は、さらにパートごとに説明をしていきます。もし、説明している場所がわからなくなったら、記事上部ある「全体図」を照らし合わせて確認をお願いします。

原産地基準 3つの原産地ルール(原産地規則>>原産地基準)

原産地基準は、原産品と認める条件です。主な条件は、次の三つです。

  1. 完全生産品=牛乳、卵、鉱石等
  2. 原産材料のみで生産した品=日本と相手国のみの原産材料から作った物
  3. 非原産材料を使用した品=他国の原材料を使い「決められたレベルの加工」をした物

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1.完全生産品(カテゴリA)

完全生産品は、自然的に採取できる品、一カ国で生産などが完結しているものです。代表的な産品は、次の通りです。

  1. 鉱物
  2. 生きている牛
  3. 牛からとれる「牛乳」
  4. 野菜や果実
  5. 海産物
  6. 鉄、プラスチックのスクラップなど

何かの原材料を利用して生産や加工をするより、獲れた物がそのまま商品になる物です。注目すべき点は、プラスチックや鉄のスクラップを集めた再利用品も日本の完全生産品に該当することです。この完全生産品の条件を満たせば「日本の原産品」です。

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2.原産材料から生産した商品(カテゴリB)

原産材料のみから生産した商品とは、完成品に使う材料が「日本または相手国の原産品のみ」で製造した物です。

  1. 日本の木を利用して「杖」を作る。
  2. 日本の卵、砂糖とタイの小麦粉を使って「ケーキ」を作るなど

ポイントは、日本又は協定相手国の原産材料のみを使用して、商品を生産することです。しかし、この原材料部分には、一次材料と二次材料の考え方があるため注意が必要です。

  • 一次材料=生産に直接使用する材料
  • 二次材料=生産に間接的に使用する材料

例えば、日本の工場でカップラーメンを製造するとします。麺・具・スープに至る全てのものは「日本で製造された物」です。しかし、この中の「麺」をさかのぼって考えると「小麦粉」です。この場合、完成品であるカップラーメンから見て、麺が「一次材料」、その麺を作るための小麦が「二次材料」です。EPAでは、この二次材料は、外国産品であっても良いです。

下の図をご覧ください。外国の小麦→麺→カップラーメンと商品が製造さていますね! 小麦は、中国産ですから外国産です。しかし、EPAでは、この小麦で麺を製造したときに日本産に切り替わります。そして、日本産に切り替わった麺を使いカップラーメンを完成させています。この場合、一次材料(麺)は原産品であるため、カップラーメンも日本の原産品に該当します。%e6%9d%90%e6%96%99-hunade

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原産材料のみで製造した商品のワークシート作成方法(ダウンロード可能)

二次材料は外国産品でもOK!一次材料のみに日本原産品の条件があります。

3.非原産材料で製造した商品(カテゴリC)

非原産材料(外国の材料)を使った商品とは、利用する協定とは全く関係がない外国の原材料を使用していても、決められたレベルの加工をしている物です。

例えば、日タイEPAを使う場合は、日本とタイの産品のみが協定上の「原産品」です。となると、日本またはタイの原材料のみしか使用できないのでしょうか? 実は、中国の原材料を使い生産をしても、決められたレベルの加工をしていれば、日タイ協定上の原産品にできます。

この加工レベルのことを「大きな変化を与える」又は「実質的な加工をしている」と言います。

非原産材料の加工例

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非原産材料で製造した商品には、次の物が含まれます。

  1. 外国産(EPA締約国外)のマンゴーを輸入してジュースを製造
  2. 木と芯を輸入して「鉛筆」を製造

これらは、外国産の原材料を利用して製造する中で「大きな変化」が起きて、別の商品に変化していますね!1番はマンゴーが「ジュース」、2番は木と芯が「鉛筆」

このように外国の原材料を利用したとしても、そこに「実質的な加工を行っている=大きく変化させている」のであれば、原産品として扱うことになっています。

では、大きな変化とは、何のことでしょうか? 次の三つがあります。

「大きな変化」と判断する三つのルール

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  1. 関税分類変更委基準(CTCルール)
  2. 付加価値基準(VAルール)
  3. 加工工程基準(SPルール)
1.関税分類変更基準(CTCルール)

CTCルールは、原材料のHSコード(品目を六桁の数字で示したもの)と、完成品のHSコードとの間に、大きな変化がある場合に、実質的な加工をしたと判断します。

例えば、外国産のりんごを輸入してリンゴジュースを作るとします。りんごは「0808.10」です。ここからりんごジュースを製造すると「2009」に変化します。このようなHSコードの変化によって実質的な加工がされたと判断します。

■CTCルールの重要ポイント
完成品のHSコードと、使われている材料のHSコードが変化していること
3-2.付加価値基準(VAルール)

付加価値基準は、最終的な商品の価値の中に「原材料部分がある一定の値」を超えている場合に原産品としての扱いをするルールです。ある一定の値とは、多くの場合「40%」です。この値のことを「閾値」=しきいちと言います。

例えば、ある完成品の自動車の価格を1000ドルだとします。自動車で使用するパーツを外個から輸入して、日本の工場で組み立てたとします。このとき、外国から輸入されたパーツが非原産扱いです。

一方、自国の企業から納められたパーツは「原産材料」です。自動車を組み立てるときに、非原産扱いのパーツと原産扱いのパーツを使ったとします。割合は、非原産パーツが60%(600ドル以下)、原産品パーツが40%(400ドル以上)であれば、原産品としての規定を満たします。

付加価値基準(VAルール)外国の産品を使って製造する場合の原産地に関するルール
製造メーカーのためのVAルール完全活用ガイド

ポイント:最終完成品に価格に原産品部分が占める割合。多くは40%以上が多い。
3.加工工程基準(SPルール)

加工工程基準は、特定の種類の商品に対して「具体的な加工方法」を指定する物です。指定された加工をしていれば、原産品としての扱いを受けられます。このルールの適用する物には「繊維分野」と「化学分野」があります。他の分野の貨物ではほとんど適用されないルールです。

例えば、繊維分野の加工方法として「なせん」があります。この加工を行った上で、EPAの締約国内において「完全に縫製された物」であれば、原産品として満たします。この場合であれば、「なせん」と「EPA締約国で完全に縫製された物」の二つの条件が具体的な加工方法を示している「加工工程基準=SPルール」です。

ポイント:商品に対して具体的な加工方法を指定する物。指定の加工をしている物=原産品

上記三つのルールを「救済」するためのルール

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既述の通り、非原産材料を使い商品を製造する場合は、上記3つのいずれかのルールを適用し、原産性を立証します。このとき、適用するルールとして、関税分類変更基準又は付加価値基準を使う場合は「ほんの些細な基準差」で原産性を判断できないケースがあります。

例えば、関税分類変更基準は、原材料と完成品との間に必要なHSコードの変化があることが条件です。仮に10個の原材料があり、その内の1つがHSコードの変更ルールを満たせないと、その時点で完成品は、日本の原産品にはできませんね! たとえ、その原材料が仮に完成品の重量が1キロの内の5gであったとしてもです。

そこで、このような「ささいな違い」による原産性を取得できない商品には、ある一定の基準以下に収めることを条件として「救済ルール」があります。代表的なのが次の2つです。

  1. デミニマスルール
  2. 累積規定
1.デミニマス(僅少・きんしょう)とは

関税分類変更基準(CTCルール)で証明を試みようとしている。でも、ほんの些細な違いでルールから外れてしまう。このような場合に適用する救済ルールが「デミニマス」です。

2.累積規定とは

外国産の原材料が非原産材料。一方、日本産又は相手国産の原材料が「原産材料」です。

例えば日タイEPAを適用する場合であれば、日本とタイで生産された原材料が「原産材料」に該当します。そのため、日本又はタイの原産材料であれば「合算」ができます。この考え方を「累積」といいます。累積は、付加価値基準(VAルール)を適用するときに重要です。

EPAにおける「累積」 外国産の原材料を国産扱いにできます。
特定原産地証明書を取得するときに必要な書類まとめ

ここまでの説明が「原産地基準」の中に含まれる制度です。もし、位置関係がわからなくなったら、迷わず「全体像」をご確認ください。続いて、2つめの「積送基準」について説明をしています。

積送基準(せきそうきじゅん)

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商品自体に原産品があることは確認した。次に考えることは、この原産性を「維持すること」です。実は、EPAでは、原産性がなくなることとして「他国を経由」することと決められています。つまり、商品がEPA協定国同士を「直送すること」で原産性を維持するのです。この規定が「積送基準」として規定されています。

積送基準の主な条件は、次の2つです。

  1. 製造された商品が該当の国(EPA相手国)に直送された商品であること。
  2. 輸送上の理由により第三国を経由する場合、第三国において「何らの加工」をしないこと
条件1.商品が直送されていること

基本的にEPA税率が適用されるのは、EPA締約国内です。第三国へ輸出する場合にEPA税率が適用されるわけではありません。あくまでEPA締約国内で直接輸出入をするときに、EPA税率が適用されます。つまり、EPA締約国内の輸出国から輸入国へ商品が直送されている必要があります。

条件2.輸送途中に余計なことをしないこと

商品の輸出国から輸入国へ直送されることが要件です。しかし、中には運送上の理由から、どうしても第三国で「積み替え」をするときがあります。このときは、積み替え地において「余計な加工をしないこと」を条件に認められています。何も加工していない商品であれば、直送したことと同じ扱いにすると規定しています。第三国で何らかの加工をすると、原産性が失われてしまい「EPAを適用できない貨物」になるため、十分な注意が必要です。

ここまでが「積送基準」の説明です。最後に「手続き的規定」を説明していきます。

手続き規定

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手続き的規定とは「商品が原産国の産品であること」を書面や手続きにより、自ら証明をすることです。EPAは「商品にEPA税率を適用してください。EPAの原産性の証明は、この書類です!」などと税関に自ら申告をし、自ら適用を希望することが求められます。

例えば、次の行為や手続きが「手続き的規定」に記されています。

  • 特定原産地証明書を取得する行為
  • 税関に証明書を提出する行為
  • 罰則規定など
特定原産地証明書を取得するには?

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手続き的に規定の中にある「特定原産地の証明」は、次の2つの証明方法があります。

タイ協定、ベトナム協定など、古くから締結している協定は、日本商工会議所から発行を受ける「第三者証明」が主流です。他方、最近、発効したTPP、日欧EPA等は「自己証明制度」等が主流になってきています。

いずれの協定を使う場合も輸出者又は輸入者のどちらかが原産性の立証をする必要があります。この辺りは、利用する協定やあなたの「立場」によっても変わるため、詳しくは、以下2つのコースをご覧ください。

EPA輸入活用の全手順

輸出活用 関税を削減する全手順

よくある疑問

Q.EPAとFTA、WTO、TPPとの違い。WTOとの関係は?

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ニュースをなどを見ていると、EPAと同時に「FTA」の言葉を聞くことが多いです。一体、これらの違いは何でしょうか? 主な違いは、次の通りです。

基本的にFTAは、関税削減の分野に絞り自由化を目指す物。EPAは、関税以外の多方面を含めて自由化を目指す物です。ただし、昨今は、EPAもFTAもほとんど同義になってきています。あまり違いを深く考える必要はないです。

また、世界の貿易ルールを作る国際機関としてWTOがあります。WTOの原則的なルールとして「加盟国に等しい取扱いをする」ように決められています。等しい取扱いとは、商品にかける「関税など」をさします。これをある特定の国に対して特別に有利な関税を適用したり、逆に不利な関税を適用してはならないことになっています。この例外扱いが「EPA」や「FTA」です。

  • FTA=Free Trade Agreement=自由貿易協定
  • EPA=Economic Partnership Agreement=経済連携協定
  • 上記の違いは、自由化分野の範囲。FTAは、関税中心。EPAは、関税、投資、人的交流など
  • ただし、昨今は、EPA=FTAと考えてもよい。

WTOとFTA(EPA)は矛盾していない?

EPAとFTAの意味と違い。WTOとの関係は?

Q.追徴課税、罰則は?

EPAは、輸入国側の関税を削減する仕組みであるため、不正利用には大きなペナルティがあります。

例えば、本当は、中国で作られた製品なのに、日本産と偽り輸出をし、本来の関税をごまかすなどの行為です。基本的に、EPAの不正使用は、非常に厳しい罰則があります。タイのケースでは、これまで免除した関税額の5倍の返還命令が出たとの話も聞きます。EPAは、輸入国側の税収に直結することであるため、不正行為は非常に厳しいことを覚えておいた方がいいです。

Q.EPAで原産性が認められない加工とは?

EPAでは、非原産材料を使って製造した物でも「実質的な加工」をすれば、原産品にできます。この実質的な加工には、次の作業を含まないです。(この作業をしても、原産性がある産品にはならない)

  • 改装及び仕分け
  • 産品や包装にマークやラベルをつけること
  • 組み立てた物を分解
  • 瓶、ケースや箱に詰めるだけの作業
  • 単なる切断
  • 混合
  • 完成品にするための単なる部品の組立
  • 物品を単純にセット品にしただけ
  • 上記で示す二以上の作業の組み合わせ
  • 輸送用に良好な状態に保存するための作業(乾燥、冷凍、塩水漬けなど)

Q.EPAを活用しないどうなる?

  1. 輸出→価格競争力が落ちる
  2. 輸入→仕入れ原価が上がる。
1.輸出→価格競争力が落ちる

EPAを活用しない輸出をすると、相手国での価格競争力を失います。ここであなたが外国に住んでいるとイメージしてください。

家電量販店にいくと、日本産、インド産の掃除機が並んでいます。日本産は高機能であるため、インド産の掃除機よりも高価格だとします。これを現地の人の立場から考えると、日本産とインド産との「値段の差」を検討します。そして、この値段の差と「機能や性能の差」「信頼性」との絶妙なバランスがとれているときに、商品が購入されます。

外国の店頭において日本の商品が販売されるとき、外国商品との価格差で許される範囲は「10%前後」だと言われています。10%というシビアな数字を考えれば、輸出先の国で関税がかかるのかどうかは重要なポイントだとわかります。もし、EPAを適用できるのに、適用せず輸出をすれば、現地での価格競争力は一気に失うと言えます。

一方、EPAを結んでいない場合は、どのようになるのでしょうか。以下の図でいうと「C国」が日本にあたります。C国はA国に商品を輸出しています。しかし、A国に商品を入れる際には、10%の関税がかかります。したがって、B国で生産されている商品との競争をするには、まずは関税10%分に相当する「何かを削る」必要があります。削らない限り、B国との価格競争は勝てません。

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2.輸入→仕入れ原価があがる。

輸入価格を引き下げるコツは、運送費用の見直しの他、日本側でかけられる関税を削減することです。EPAを利用しないまま輸入をすると、おのずと関税部分の負担が上がり、あなたの輸入原価は一気に上昇するでしょう。

Q.関税が下がるタイミングを調べるには?

関税が下がるタイミングは、ワールドタリフで調べられます。ワールドタリフにログインをすると、以下の画面が表示されます。品名のHSコード(品名を六桁の数字で表すもの)を知っているときは「HSコード検索」を押します。知らないときは「apple」などのキーワードから検索する「テキスト検索」を押しましょう!詳しい使い方は、上記の解説記事をご覧ください。

外国の関税 下がり方 HUNADE

Q.本当にEPAは必要なの?現状を教えてください。

日本とインドは「日インドEPA」を結んでいます。これは、ある輸出者さんの実際のお話です。実は、この輸出者さんは、EPAの存在を知っていました。しかし、自分には、関係ないと考えて、なかなか真剣に取り組まなかったそうです。いつものように鋼材の船積みを終えると、バイヤーから連絡が….「〇〇さん(輸出者)、EPAってのを聞いたんだよね~それを使いたい。特定原産地証明書を用意してもらえますか?」とのことです。

いきなりすぎる要求で輸出者さんは、びっくりです。それもそのはずです。EPAを利用するための「特定原産地証明書」は、初回の発行になると、早くて4週間ほどかかるからです。そのときは、このことを丁寧に伝えたら、なんとか納得してもらえたそうです。しかし、こんなこともあわせて言われました。「次回の輸出の時は、絶対用意してもらうからね。用意できなければ、関税負担分を値引いてもらうからよろしく!」と、です。

インドのバイヤーの主張としては次の通りです。「特定原産地証明書は、日本側が発行する物。これをインド側税関で提出すれば、納税額を減らすことができる。でも、何らかの理由により、特定原産地証明書を発行できないのであれば、それは日本側が責任を取るべきだ」です。これが「関税負担分を値引いてもらうからよろしく」の一言が意味することです。

この事実を考えると、EPAを適用できる国では、日本側で特定原産地証明書の取得ができないのは、かなり痛いことがわかります。たった一枚の書類を発行できないだけで、何十万、場合によっては数百万円のレベルで関税の負担額が変わるからです。この事実をどのように受け止めるのかは、あなた次第です。今すぐEPAの勉強を始めた方が良いです。では、始めようと決断した方に、最後に特定原産地証明書取得までの所要日数について説明します。

Q.EPAの申請から取得までの期間は?

あなたが輸出者の立場であり、EPA貿易をするときは、特定原産地証明書を取得しなければなりません。この書類があることによって、日本で生産された商品であるかを証明できます。

しかし、この証明書を取るためには、原産品判定に関するルールを覚えたり、書類を整えたりする必要があります。かなり、分厚いマニュアルを読み込んだ後、自社が取り扱う商品をルールに沿って証明しなければなりません。それらすべての工程を考えると、企業登録から発行までには、およそ3週間~4週間かかります。

Q.EPAと社内体制の構築については?

EPAの社内体制の構築は、各部署間の調整を横断的に行いやすい人が行うのが望ましいです。その上で、次の4つの部門を調整します。EPAの機関的な部門として、新たに「EPA管理部門」を置きます。その部署が中心となり、生産部門、購買部門、営業部門をコントロールします。

  1. EPA管理部門
  2. 生産部門
  3. 購買部門
  4. 営業部門
1.EPA管理部門

EPAを管理するときの中心的な役割を果たします。各部門から必要な資料を取り寄せた上で、特定原産地証明書で必要とする資料を作成していきます。資料を作成した後、発給申請システムなどから申請を行い、自社の商品が原産品であることを証明する作業などを行います。また、常にEPA・FTAなどに関する最新の情報をフォローするようにします。

主な役割
  • 特定原産地証明書の取得で必要な生産資料の取り寄せ
  • 生産資料から、証明書を取得するときの資料を作成
  • 日本商工会議所への申請とやり取り
  • 特定原産地証明書を取得したときの基礎資料の管理
  • EPAに関する各種セミナーの受講
  • 世界の通商政策の把握
  • 最適なFTAの選定など
  • 原材料や為替レートの変動により閾値(しきいち)の監視
2.生産部門

生産部門は、商品を生産するときに必要になる人件費、資材費、原材料費などの製造コストを算出していきます。また、あわせて完成品に使われている部材資料などを作成していきます。具体的には、完成品に含まれる原材料や部品リスト、製造工程フロー図などがあります

主な役割

・生産に関する資料の作成

例1:VAルールであれば、生産コストの算出資料、生産に関わる人員数など、生産作業に関する費用を確認するための資料などを作成します。例:その商品を生産するために、人員を何人投入して、それを何時間稼働しているから、○○円の人件費がかかっているなど。

例2:CTCルールであれば、その商品を製造するときの各部材の詳細です。「どんなパーツが使われているのか?」「それは、どこの国から輸入しているのか?」「どこのサプライヤーから入手しているのか?」などをまとめます。一つの完成品を主なパーツに分解した上で、一つ一つのパーツに関する情報を集めていきます。

3.購買部門

社内の完成品に使う部材や原材料の調達に関する資料を取りそろえます。「どこのサプライヤーから買い付けている部材なのか?」を明らかにするために、部材を購入したときの請求書などを整理していきます。

主な役割

・原材料・部品の購入に関する資料を取り寄せる

社外などから購入している「原材料や資材」に関する証明書(請求書など)を集めていきます。また、必要であれば、サプライヤー(部品の供給者)に対して「サプライヤー証明書」や「委託生産者証明」の請求をします。

4.営業部門

営業部門は、輸入者などとの調整などを行います。

例えば、輸入者側から「商品〇〇の特定原産地証明書が欲しい」などの依頼が来たら、それをEPA管理部門などに伝えます。EPA部門に伝えた結果、何日くらいに特定原産地証明書が手に入るなどの回答を輸入者に行います。輸入者→営業→EPA管理部門→各部門などの流れで、特定原産地証明書の発行対応を行っていきます。

最近は、輸入者側からも「特定原産地証明書の発行」が当たり前に求められるようになっています。もし、このとき、発行できなければ「輸出者の責任」として、現地税関で負担する関税分を輸出者側で支払うように要求してくることが多いです。そのため、営業部門は、特定原産地証明書の発行状況を考えながら、輸入者側と価格交渉をすることもあります。関連記事:EPAを利用しないことによる弊害

主な役割

輸入者側とのやり取りを行います。具体的には、輸入者側に対して「輸入国側の商品のHSコード」を確かめてもらったり、EPA管理部門と協調しながら、先方へ特定原産地証明書を発送できる時期を伝えたりします。また、他社から生産者同意通知があれば、それをEPA管理部門などに伝えます。

Q.必要な資料は?

輸出 ■CTCルールで証明するとき

1.対比表(原材料・部品リスト)
2.サプライヤー証明書
3.委託生産者証明書
4.製造工程フロー図

■VAルールで証明するとき

  1. ワークシート(原材料・部品リスト)
  2. サプライヤー証明書
  3. 生産委託証明書
  4. 製造工程フロー図
  5. 各部品の価格を証明する書類
  6. 売買契約書
  7. 利益計算書
輸入 現地が発行した特定原産地証明書

Q.EPAの実務に関係する言葉は?

EPAの実に関係する言葉をいくつかご紹介します。

用語 主な意味
CTCルール 関税分類変更基準のこと=完成品と原材料のHSコードの差を見て、原産性を判断するルールです。関連するキーワード:CC、CTH、CTSH、対比表、変更レベル
VAルール 付加価値基準のこと=完成品の中に、日本の工場で与えた「付加価値の割合」で判断するルールです。付加価値には、原産材料の他、工場の人件費、利益などがあります。

関連するキーワード:内製品、サプライヤー証明書、ワークシート、閾値

SPルール 加工工程基準の略。こちらも原産性を判断するルールの一つ。いくつかの品目は、協定書の中に、具体的な加工方法が指示されている。この加工方法を守ることで原産性があると判断します。
PSR 品目別規則の略です。品目ごとに設定されている原産地規則の総称です。
WO 原産地証明書の中に記載される記号の一つ。WO=完全生産品を示す。
対比表 CTCルールで証明するときに用意する根拠資料の一つ。輸出者は、この資料を日本商工会議所に提出して審査を受ける。多くの場合、この資料が雑に作られていることで審査が長引くことが多い。=プロに任せた方がいいです。→対比表の作成支援
総部品表 上記と同じくCTCルールで証明するときの根拠書類の一つです。完成品に使われているすべての部材(原材料のリスト)と考えればいいです。少なければ、対比表と合わせても良いです。
遡及発給 輸出後に原産地証明書の発行を依頼することです。基本は、船積み前に発行を受ける。しかし、何らかの理由で船積みに間に合わない場合は、一年間は事後発給が認められている。 遡及発給が多い国:ベトナム、インドネシア、タイ、アセアン
譲許表 協定の付属書の一種。ここに「発効から○○年で関税を何パーセントにする」という予定が決められている。ただし、実務上は、ワールドタリフ等を利用して確認することが多いです。
ロールアップ 完成品に使う部材の内「非原産にあたる部分」を含めて原産とする特別ルール
累積 日アセアン、TPPなど、多国間のEPAの場合、加盟国内の部材や作業を「累積」できるる。つまり、この累積によって、原産地の基準を超えるなら、完成品は、協定上の「原産品」と判断するルール。【EPA】累積の意味 外国産の原材料を国産扱いにできる!
HSコード 全ての品目を6桁の数字で表したもの。世界各国で共通の物を採用しているため、これを利用して関税率や原産地規則を設定しています。EPAを利用するときは、関税率の調査等で非常に関係するため、必ず覚えておきたいことです。
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