HUNADE EPA/自由貿易の始め方 関税削減

自由貿易 EPA スタートガイド自由貿易(EPA)

2020年現在、日本は、17のEPAを結んでいます。EPAとは、経済連携協定の略です。主に関税、人の移動、投資分野を自由化し、お互いの国の経済発展を目指す仕組みです。輸出入をする方であれば、輸入時の関税削減を目的として利用を検討される方も多いはずです。ただ、実際にEPAを利用するとなると、非常に広い範囲の知識が求められる上、煩雑な作業の多さに嫌気がさす方も多いです。

そこで、この記事では「EPAマニュアル」と題し、EPAに関連することをできるだけ網羅的に紹介をしています。ぜひ、この記事を参考にしていただき、貴社の貿易ビジネスの中でEPAを活用していただければと思います。

EPA/自由貿易の活用マニュアル

記事構成

この記事は、約2万文字以上にも及びます。文頭には、輸出や輸入別のテーマ。その下に「EPAとは~」の知識ゼロの方を対象にして記事を構成しています。ご自身の求められている内容まで記事内ジャンプをしてください。

EPAの基礎知識

EPAとは、商品が国境をまたぐときにかけられる関税を削減又は減額する仕組みです。2020年現在、日本は17のEPAを結んでおり、これらの国との間では、関税なしで輸出入ができます。

以降、このEPAの活用方法、利用するための条件等を確認していきましょう!

EPAを輸出活用、輸入活用で難易度が違う

EPAは、輸出者と輸入者で「すべきこと」が違います。(活用の難易度)

  • 輸出活用→難易度高い
  • 輸入活用→難易度低い

もし、あなたが輸入で活用する場合は、相手国の輸出者が用意する書類(特定原産地証明書)を日本の税関に提出するだけです。他方、輸出者の場合は、あなたが日本商工会議所に申請をして書類を入手して、相手に送付する必要があります。

そして、この特定原産地証明書を取得する際に、様々な知識やルールを覚えなければならず、これが輸入よりも輸出の方が大変だといわれるゆえんです。

輸入で活用しますか? 輸出で活用しますか?

ぜひ、この違いを意識して記事を読み進めて下さい。

参考情報:ここでは軽く触れておきます。実は、最近、発効されたTPPや日欧EPAは、これまでのEPAとやり方が違い「輸入者側」が原産品を証明します。詳しくは、TPPの始め方、日欧EPAの始め方をご覧ください。

EPAの3つのポイントと2つの活用例

それでは、早速、EPAのポイントと活用によるメリット(削減効果など)を確認していきましょう!

  1. EPAのメリット
  2. EPAを利用する条件
  3. 商品の原産性
  4. 輸入効果例
  5. 輸出効果例
  6. 個人通販でも活用できる。

1.EPAのメリット

EPAは、商品が国境をまたぐとき税金(関税)を撤廃します。関税は、個別の商品ごとに細かく決められており、輸入する側の国でかけられます。

例えば、日本の商品をタイに輸出するときは、タイ側で関税がかかります。一方、タイの商品を日本に輸入するときは、日本側で関税がかかります。EPAは、双方で関税を撤廃まは低率する効果があります。仮に貴社が輸入する会社なら、日本へ輸入するときにかかる関税が免税になり、その分だけ商品を安く仕入れられます

一方、輸出会社なら、外国へ輸出したときに、現地税関で課税されなくなります。自社の商品に関税がかからないため、外国における「価格競争」を有利にできます。逆に言うと、EPAを利用しないまま輸出や輸入(貿易相手国が日本とEPAを結んでいる場合)をすることは、負け戦に参加することと同じです。

 ■ポイント
1.ある商品が外国に入るときは、商品ごとに関税という税金がかかる。
2.EPAは、輸入する側の関税をゼロにする効果がある。

 2.EPAを利用するための条件

EPAを輸者として利用すれば、相手国の関税を無税にできます。一方、輸者としての利用は、日本側の関税が免除されます。しかし、この関税削減は、どの国の、どんな産品にでも適用されるわけではないです。実は、EPAを適用するには、以下3つの条件があります。

  1. 貿易相手がEPAの締約国であること
  2. 関税が免除される対象品目であること
  3. 貨物の原産性を証明できること。

1.貿易相手がEPAの締約国であること

2020年現在、日本は17のEPAを結んでいます。EPAを利用するときは、最初に「相手国(貿易相手)が日本とEPAを結んでいるのか?」の確認から始めます。

あなたの輸出又は輸入相手は、EPA締約国に所属していますか?

2020年9月現在のEPA締約国一覧
シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
オーストラリアメキシコチリペルースイス
CPTPP(TPP11)日欧EPA
今後増えるかもしれない!?
カナダニュージーランドRCEPFTAAP日英FTA

2.関税が免除される品目

EPA締約国の産品でも、すべて免税にはなりません。関税の減免税には、次の三つのパターンがあります。

  1. 即時関税ゼロ
  2. 数年後関税ゼロ
  3. 例外品目(適用除外)

例えば、即時関税撤廃品目は、協定の発効と同時に関税が撤廃されます。数年後の関税撤廃は、毎年4月1日(日本側)に数パーセントずつ削減されていき、ある一定期間後(5年、10年、15年など)関税が撤廃されます。例外品目とは、撤廃や減税の対象外の品目です。関税撤廃の予定は「譲許表(じょうきょひょう)」という書類で確認します。

譲許表は、日本側と相手国側の二つがあります。仮にあなたが輸入者であるなら「日本側の譲許表」を確認してください。一方、輸出者であるなら「相手側の譲許表」を確認します。この譲許表で免税品目に指定されていない品目(カテゴリXなど)は、EPAによる免税扱いを受けられないです。

現状の関税率(課税状況)を知りたいときは、次の2つのリンク先で調べられます。

3.貨物の原産性を証明する書類

*ここは、EPAを輸出で活用する人のための条件です。輸入で活用する人は、読み飛ばして「ステップ4」へお進みください。

輸出者としてEPAを活用するときは、関税削減の直接的なメリットは、貿易相手が受けます。貿易相手が関税削減のメリットを受けるには、輸出者である、あなたが日本側で「関税を削減するための証明書類」を取らなければなりません。この書類が「特定原産地証明書」です。

例えば、日本の商品を相手国に輸出するときは、日本側で特定原産地証明書を取得した後、相手国(輸入者)へ送付します。逆にあなたが輸入者であるときは、相手国で発行された書類を輸出者経由で手に入れた後、日本の税関へ提出します。

3.商品の原産性を証明する

*このステップ3の対象は、EPAを輸出で活用する人です。

EPAのポイントは、商品が「どこで製造(生産)されたものか?」を証明することです。EPAは、対象の国同士の経済を活発にするのが目的のため、商品の原産性が非常に重要です。要は、対象国以外の商品に、関税のメリットが受けられないようにしています。この意味においても重要な書類が特定原産地証明書です。

例えば、日本とタイとのEPAを利用するとします。このとき、中国から仕入れた商品を「日本を経由」してタイへ輸出したときは、日本の原産品とはならず中国製品が日本を経由して輸出されただけです。したがって「日タイEPA」は適用できません。EPAを締結する国で生産された商品のみが免税や減税の対象です!

 ポイント:日本と相手国の原産品以外は、EPAの対象にはならない。

4.EPAの輸入効果例

実際にEPAを利用した場合、どのようような恩恵が受けられるのでしょうか?

EPAを利用して輸入する事例です。下の図は日タイEPAを利用して「タイの商品を日本へ輸入する際」にかかる関税です。左側が日本で設定されている関税。右側の赤文字がEPAを適用した場合の関税です。すべての商品の関税がゼロにはなりませんが、元々の関税よりも大幅に下がっています。

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5.EPAを利用した輸出効果例

EPA貿易を利用して輸出する場合です。

日タイEPAを適用して、タイ向けに日本のマンゴーを輸出します。タイの税関でかけられるマンゴーの関税は、日本の商品であればゼロです。しかし、日本以外の国で生産されたマンゴーである場合は、最高で30%の関税がかかります。

EPAは、このように高い関税率を一気にゼロする魅力があります。これをうまく活用できれば、最低限、海外での価格競争力は維持されます。つまり、価格競争で同じ土俵にたてるため、あとは商品力で勝負ができます。これが最も重要なポイントです。

現地で販売される商品の価格帯を考えると、日本製品であっても「高額を許容できる範囲」は決まっています。この前提を考えると、やはり少しでも安く現地で販売できる努力が必要ですね!もちろん、それぞれのコストを見直すことは必要ですが、それよりも効果的なのが「関税の削減」です。これを実現できるEPAは、大変魅力的な制度です。

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 ポイント:EPAを活用して輸入や輸出、どちらの場合であっても、貿易を行う上で有利になることは間違いありません。EPAは誰でも活用できる制度です。しかし、実際に活用するためには、それなりの知識と実行力が求められます。これをクリアしたとき、関税の免税という恩恵を受けられます。

6.海外通販とEPA

EPAは、個人輸入(海外通販)でも活用ができます。

例えば、ネット通販アマゾンアメリカで購入した商品でも、原産国がアメリカであれば、日米貿易協定により関税の減額又は免除を受けられます。また、通常、関税の免除で必要な証明書も20万円以下の場合は、提出不要です。つまり、税関又は、各配送会社の通関が「自動的」に適用してくれます。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。なお、記事は「日欧EPA」を使い説明をしていますが、他の協定でも考え方は、同じです。

日欧EPA×個人通販

さらにEPAを学んでみよう!

以上でEPA貿易初級編の解説は終わりです。さらに、全体を詳しく確認したいときは「EPA全体説明×発展編」の記事をご覧ください。

輸出・輸入のケース分けで確認したい場合、次の記事をご覧ください。

  1. 輸出活用コース
  2. 輸入活用コース

弊社にEPA活用(主に対比表作成支援)の支援を希望される場合は、以下のサービスをご検討ください。なお、基本はメールでの対応となりますが、別に電話での相談は、先払い×11,000円(税込み)/30分 で承ります。

EPA記事の目次

関税の基礎を学びたい→「関税入門」記事へ

その他、EPA関連知識

対比表作成サポート

ゼロから学ぶEPA

EPAの正式名称は「経済連携協定」です。この経済連携には、次の項目があります。テレビなどでは「○○の関税が削減される~」などの関税削減のイメージだけがあります。しかし、実は関税以外でも様々な分野に影響を与えている物なのです。EPAの自由化分野は、次の三つに及びます。

  • 投資分野
  • 知的財産
  • 人的交流
  • 関税分野

関税削減とは、物品に対する関税を削減することです。では、この他の投資や人の移動の自由化とは、どのようなことなのでしょうか?

例えば、ある企業を例にとってみましょう。A社は産業用の歯車を製造するメーカーです。今度、EPAを結んでいる国へ工場を建てることになりました。これを実行するために主に2つの観点で「非関税障壁(関税分野以外で問題となる規制など)」があると気づきました。

  1. 外資系企業が現地に工場を建てるときの規制
  2. 人の移動の規制

1.投資の自由化

海外に工場を建てる行為は「投資」にあたります。これを実際に実行するときは、現地政府のさまざまな制約を受けることがあります。

例えば、現地企業の資本が何十パーセント含まれている「合弁会社」としての運営を求められることがあります。また、共産圏の国であると「国有企業」との兼ね合いで、工場の進出が不許可になることもあります。このように外国企業が進出できるのかは、現地政府の意向により決まることが多いです。EPAでは、このような外国政府の規制なども、一定のルールがあります。

各国政府は、企業が経済活動をできるだけスムーズにできるように努力する義務がある。

2.人の移動

人の移動には、次の三つの意味があります。

  1. 人とは何か?
  2. 誰を対象としている?
  3. 入管法(在留資格)との関係
1.人とは?

法律上、人とは、次の2つを指します。

  1. 法人
  2. 生身の人間

法人とは、法律上、その「人格」が認められている物です。いわゆる「○○株式会社」などは、すべてこの法人です。よく何らかの事件があったときに…「法人としての○○に5億円の追徴金を課す」と聞かれたことはありませんか? まさに、これが法人と生身の人間を区別している表現です。そして、EPAでいう「人の移動」とは「生身の人間の移動」を指します。

・法人は、○○株式会社、○○合同会社(LLC)
・社長は、○○株式会社という法人に属する代表者の立ち位置

2.誰を対象としている?

EPAで定めている「人の移動」の対象者は、二国間のビジネスパーソンです。

例えば、グローバル企業に勤めている人、海外企業との商談や契約をする人、国際見本市に参加する人、その国へ投資をする人など、両国間の経済活動の活発化につながる活動をする人たちをさします。また、これと合わせてフィリピン、インドネシアは、看護師や介護士の受け入れなどでも締結していますが、いわゆる労働力の受け入れに関するのは限定的です。

  • 二国間を行き来するビジネスパーソン
  • 投資家
  • それらの人を法務面から支える専門職
  • 高度な技術を持った人

を対象にしています。そのため、単なる海外旅行者や留学生などについては、EPAでいう「人の移動」に規定されている対象者ではないため注意が必要です。

3.入管法(在留資格)とEPAの関係

外国人が日本に入国する。または、日本人が相手国に入国するときは、入国理由に基づく適切な資格を持つのか?で判断されます。日本側で言えば、外国人の入国は、入管法の「27種類の在留資格」と照らし合わせて判断します。どこの外国人であっても、どんな立場であっても、この在留資格に合致しない人は、日本に入国できません。もちろん、これはEPAの人の移動にも当てはまります。

EPAで人の移動について規定されていますが、それは日本の国内法(入管法)と別にあるわけではありません。EPAによる人の移動の対象者であっても、必ず入管法上の「在留資格」によって、入国の可否が判断されます。EPAの人の移動と入管法の在留資格は、一体となって考えられています。

  1. 短期の商用訪問者
  2. 企業内転勤者
  3. 投資家
  4. 自由職業サービスに従事する人
  5. 高度な技術・知識を持つ人
1.短期の商用訪問者

一般的なビジネスマンは、ここに該当します。外国企業への商談、交渉、出張修理などで、短期間入国する人です。この短期間には、90日間もあれば、3年~などの比較的長期間の場合もあります。ポイントは、訪問するときに「報酬を得ないこと」です。つまり、行商などは禁止。日本の企業から給料をもらいながら、現地で商業活動(宣伝、商談、契約アフター修理など)はOKです。

  • 現地企業との打合せ
  • 国際会議
  • 交渉や契約
  • 出張や修理
  • 在留資格:短期滞在
  • ポイント:報酬を得ないこと
2.企業内転勤者

外国にある本店・支店、または、その企業が持つ工場などへ移動する人が該当します。技術指導により現地の工場へ管理監督に行く!、日本の本社へプロジェクトマネージャーとして赴任するなどが考えられます。

  • 外国支店への転勤
  • 海外の本社への赴任など
  • 在留資格:企業内転勤、投資・経営
3.投資家

外国に資本を投下して何らかのビジネスを育てる方が対象です。いわゆるベンチャー企業などに資本を投資する人がこの対象です。残念ながら、外国の株式を購入するなどの投資では、こちらの「投資家」には該当しません。資本を投下して、直接、現地のビジネスを育てる人が対象です。

  • 資本を投下して事業展開する人(株式投資等ではない)
  • 現地にあるベンチャー企業などへの投資
  • 在留資格:投資・経営
4.自由職業サービスに従事する人

資格があることでできる職業の人が対象です。

例えば、日本の企業が外国にて何かを始めるときに、それは、外国の法律上、問題がないのか?を判断するときに役立つ弁護士。また、その実行につき、資金面で問題がないのかを考えるのが会計士など、企業が何かの経済活動をするときにバックアップする人たちです。

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 資格があることでできる職業
  • 在留資格:法律・会計業務
5.高度な技術・知識を持つ人

人の移動の中で最も解釈範囲が広い部分です。いわゆる高度な技術を持っていれば、それが何であろうとも限定されません。

例えば、ITエンジニア、エンジニア、プログラマ、何かを作るときにはなくてはならない技術を持っている人などです。実は、この部分は、両国とも非常に広く解釈しているため、うまくアピールできれば、5番に該当する者として外国にて長く活動する資格を得られる可能性はあります。

  • エンジニア
  • プログラマ
  • 適用条件:現地の企業に直接雇用されていること(派遣契約等は不可)
  • 在留資格:技術、人文知識・国際業務

関連記事

EPAの魅力/メリットとデメリット/問題点

  1. 売上を増やせる
  2. 外国の商品を安く仕入れられる。
  3. 価格競争力をあげられる。
  4. 良くも悪くも自由競争

メリット1.売上を増やせる

EPAは国の自治を維持したまま経済分野での国境を撤廃することを意味します。これは日本と外国が「経済的に統合」することを同じです。経済的な国土の拡大によって、貴社の商品が外国における勝負する場所が増えたとお考え下さい。お互いの国関税が撤廃されるというのは、脅威でもありチャンスでもあります。

メリット2.外国の商品を安く仕入れられる。

EPAはお互いの国においてかかる関税を撤廃します。当然、日本へ入ってくるときにかかる「関税」も掛からないため、関税分を安く仕入れることができます。

メリット3.外国の価格競争力を向上できる。=商品勝負ができる。

上記でも述べた通り、お互いの国の関税を撤廃することにより外国の商品を安く購入ができます。しかし、EPAは外国商品を安く購入できるだけではありません。外国においても関税がかからないため、その分、外国における価格競争力をつけることができます。

外国で商品を販売する際は、現地の方へなるべく安い価格で販売ができるようにするのが理想です。もちろん、日本ブランドであれば、現地での販売価格が相場より10%程度高くても許容される場合が多いです。しかし、この価格差が10%以上になると不利な立場に立たされるとお考え下さい。

実をいうと、関税は考えているよりも設定価格の中で大きなウェイトを占めるものです。物によっても異なりますが、中には30%という高関税が設定されている物もあります。それがEPAを適用することにより、一気にゼロになるわけですから、それだけでも価格競争力が大きく向上することがわかります。また、価格競争力が上がることは、商品で勝負できることを意味します。

デメリット

一方、EPAのデメリットは、良くも悪くも流動性が高まり、様々な分野で競争が激しくなる可能性があります。これまで関税という「防波堤」がなくなり、波がそのまま地上に押し寄せるイメージがピッタリだと思います。もちろん、これは、EPA相手国でも同じです。つまり、海の外に目を向けない限り、一方的に攻められる状況が続いていくと考えてもいいです。

代表的なFTAと締約国の一覧

2020年現在、日本が結ぶEPAは、全部で17です。方面別に見ると、東南アジア各国とのEPAが最も多いです。その他、メガFTA多国間FTAと呼ばれる日欧EPA、TPP、日米貿易協定などがあります。協定に必要な書類、原産地規則、原産地証明書及び対象品目は、以下の解説サイトをご覧ください。

2020年3月現在のEPA締約国一覧
シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
オーストラリアメキシコチリペルースイス
CPTPP(TPP11)日欧EPA日米貿易協定
今後増えるかもしれない!?
カナダニュージーランドRCEPFTAAP
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EPAの利用方法

輸入活用

輸入でEPAを活用する場合(例:海外通販×EMS、DHL、UPSなど)は、輸入の価格が20万円以下であれば、書類や特別な手続き等も不要で、自動的にEPA税率を適用して輸入ができます。20万円をこえる物を輸入する場合は、輸出者に依頼をして、現地で特定原産地証明書を取得。これを日本に発送してもらいます。その後、日本税関に証明書を提出することで関税が免除されます。

EPA輸入活用の全手順

輸出活用

輸出でEPAを活用する場合は、日本商工会議所に依頼をして「特定原産地証明書」を発行してもらいます。この発行までの手順は、非常に面倒です。発行が終わったら、輸入者に対して特定原産地証明書を発送します。輸入者は、日本から届いた原産地証明書を輸入国側の税関に提出することで関税の免除が受けられます。なお、この方法による証明を「第三者証明制度」といいます。

一方、最近、発効されたTPP、日豪EPA及び日欧EPAは「自己証明制度」です。

【EPA】輸出活用 関税を削減する全手順

必要な資料例

輸出■CTCルールで証明するとき

1.対比表(原材料・部品リスト)
2.サプライヤー証明書
3.委託生産者証明書
4.製造工程フロー図

■VAルールで証明するとき

  1. ワークシート(原材料・部品リスト)
  2. サプライヤー証明書
  3. 生産委託証明書
  4. 製造工程フロー図
  5. 各部品の価格を証明する書類
  6. 売買契約書
  7. 利益計算書
輸入現地が発行した特定原産地証明書

相談窓口

EPA相談ができる所や、EPAセミナーを主催している所は、大きくわけると、次の5つの機関です。

  1. EPA相談デスク
  2. 日本商工会議所
  3. ジェトロ
  4. 税関
  5. HUNADEのEPAサービス

なお、いずれの機関で相談をするときも「どこの国から」または「どこの国へ」「何を輸入 または 輸出するのか?」の基礎情報が必要です。できれば、商品のHSコードも合わせて答えられるようにするといいです。

相談するときは「どこへ、何の商品を」など、なるべく具体的な情報をそろえてから行います。

1.EPA相談デスク

EPA相談デスクは、経済産業省から委託を受けている東京共同会計事務所が行っている「無料EPA相談デスク」です。EPAの相談のためだけに設けられている、日本で唯一のEPA専門相談機関です。EPA相談デスクは、電話相談、メール、対面など、あらゆる方法により、EPAの相談を受け付けてくれます。

EPAの全体的なことを聞きたいときは、EPA相談デスクが便利です。

2.日本商工会議所

日本商工会議所は、日本で唯一の特定原産地証明書の指定発給機関です。要は、証明書を発行できる所です。商品を輸出するときに必要になる特定原産地証明書は、この日本商工会議所が発行します。日本商工会議所でもEPAの相談はできますが、基本的には、実際に証明書を取得するときの疑問点への回答がメインだと考えた方がいいです。

「まだ証明書を取得する予定もない、まずは全体的なことを知りたい」等であれば、1番のEPA相談デスクの方が適しています。

  • 特定原産地証明書の発行業務
  • 特定原産地証明書の取得に関する質問への回答

3.ジェトロ

日本の輸出取引の支援をしているジェトロもEPAに関する相談やセミナーなどを開催しています。

4.税関

税関は、意外にEPAに関するサービスは少ない印象です。→原産地規則ポータルなどのツールも提供しています。

5.HUNADEのEPA相談サービス

最後に弊社でもEPAの相談サービスを提供しています。日本商工会議所やEPA相談デスクでは、受けられない細かい相談ができます。また、相談だけではなく、EPAの申請で必要になる「対比表の作成代行」の承っています。ぜひ、ご利用ください。

特定原産地証明書の取得代行支援サポート

化粧品・食品 対比表の作成サポート

EPAの実務に関係する言葉

ここでは、EPAの実に関係する言葉をいくつかご紹介します。

用語主な意味
CTCルール関税分類変更基準のこと=完成品と原材料のHSコードの差を見て、原産性を判断するルールです。関連するキーワード:CC、CTH、CTSH、対比表、変更レベル
VAルール付加価値基準のこと=完成品の中に、日本の工場で与えた「付加価値の割合」で判断するルールです。付加価値には、原産材料の他、工場の人件費、利益などがあります。

関連するキーワード:内製品、サプライヤー証明書、ワークシート、閾値

SPルール加工工程基準の略。こちらも原産性を判断するルールの一つ。いくつかの品目は、協定書の中に、具体的な加工方法が指示されている。この加工方法を守ることで原産性があると判断します。
PSR品目別規則の略です。品目ごとに設定されている原産地規則の総称です。
WO原産地証明書の中に記載される記号の一つ。WO=完全生産品を示す。
対比表CTCルールで証明するときに用意する根拠資料の一つ。輸出者は、この資料を日本商工会議所に提出して審査を受ける。多くの場合、この資料が雑に作られていることで審査が長引くことが多い。=プロに任せた方がいいです。→対比表の作成支援
総部品表上記と同じくCTCルールで証明するときの根拠書類の一つです。完成品に使われているすべての部材(原材料のリスト)と考えればいいです。少なければ、対比表と合わせても良いです。
遡及発給輸出後に原産地証明書の発行を依頼することです。基本は、船積み前に発行を受ける。しかし、何らかの理由で船積みに間に合わない場合は、一年間は事後発給が認められている。 遡及発給が多い国:ベトナム、インドネシア、タイ、アセアン
譲許表協定の付属書の一種。ここに「発効から○○年で関税を何パーセントにする」という予定が決められている。ただし、実務上は、ワールドタリフ等を利用して確認することが多いです。
ロールアップ完成品に使う部材の内「非原産にあたる部分」を含めて原産とする特別ルール
累積日アセアン、TPPなど、多国間のEPAの場合、加盟国内の部材や作業を「累積」できるる。つまり、この累積によって、原産地の基準を超えるなら、完成品は、協定上の「原産品」と判断するルール。【EPA】累積の意味 外国産の原材料を国産扱いにできる!
HSコード全ての品目を6桁の数字で表したもの。世界各国で共通の物を採用しているため、これを利用して関税率や原産地規則を設定しています。EPAを利用するときは、関税率の調査等で非常に関係するため、必ず覚えておきたいことです。

よくある疑問

Q.EPAとFTA、WTO、TPPとの違い。WTOとの関係は?

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ニュースをなどを見ていると、EPAと同時に「FTA」の言葉を聞くことが多いです。一体、これらの違いは何でしょうか? 主な違いは、次の通りです。

基本的にFTAは、関税削減の分野に絞り自由化を目指す物。EPAは、関税以外の多方面を含めて自由化を目指す物です。ただし、昨今は、EPAもFTAもほとんど同義になってきています。あまり違いを深く考える必要はないです。

また、世界の貿易ルールを作る国際機関としてWTOがあります。WTOの原則的なルールとして「加盟国に等しい取扱いをする」ように決められています。等しい取扱いとは、商品にかける「関税など」をさします。これをある特定の国に対して特別に有利な関税を適用したり、逆に不利な関税を適用してはならないことになっています。この例外扱いが「EPA」や「FTA」です。

  • FTA=Free Trade Agreement=自由貿易協定
  • EPA=Economic Partnership Agreement=経済連携協定
  • 上記の違いは、自由化分野の範囲。FTAは、関税中心。EPAは、関税、投資、人的交流など
  • ただし、昨今は、EPA=FTAと考えてもよい。

WTOとFTA(EPA)は矛盾していない?

EPAとFTAの意味と違い。WTOとの関係は?

Q.追徴課税、罰則は?

EPAは、輸入国側の関税を削減する仕組みであるため、不正利用には大きなペナルティがあります。

例えば、本当は、中国で作られた製品なのに、日本産と偽り輸出をし、本来の関税をごまかすなどの行為です。基本的に、EPAの不正使用は、非常に厳しい罰則があります。タイのケースでは、これまで免除した関税額の5倍の返還命令が出たとの話も聞きます。EPAは、輸入国側の税収に直結することであるため、不正行為は非常に厳しいことを覚えておいた方がいいです。

Q.EPAで原産性が認められない加工とは?

EPAでは、非原産材料を使って製造した物でも「実質的な加工」をすれば、原産品にできます。この実質的な加工には、次の作業を含まないです。(この作業をしても、原産性がある産品にはならない)

  • 改装及び仕分け
  • 産品や包装にマークやラベルをつけること
  • 組み立てた物を分解
  • 瓶、ケースや箱に詰めるだけの作業
  • 単なる切断
  • 混合
  • 完成品にするための単なる部品の組立
  • 物品を単純にセット品にしただけ
  • 上記で示す二以上の作業の組み合わせ
  • 輸送用に良好な状態に保存するための作業(乾燥、冷凍、塩水漬けなど)

Q.EPAを活用しないどうなる?

  1. 輸出→価格競争力が落ちる
  2. 輸入→仕入れ原価が上がる。
1.輸出→価格競争力が落ちる

EPAを活用しない輸出をすると、相手国での価格競争力を失います。ここであなたが外国に住んでいるとイメージしてください。

家電量販店にいくと、日本産、インド産の掃除機が並んでいます。日本産は高機能であるため、インド産の掃除機よりも高価格だとします。これを現地の人の立場から考えると、日本産とインド産との「値段の差」を検討します。そして、この値段の差と「機能や性能の差」「信頼性」との絶妙なバランスがとれているときに、商品が購入されます。

外国の店頭において日本の商品が販売されるとき、外国商品との価格差で許される範囲は「10%前後」だと言われています。10%というシビアな数字を考えれば、輸出先の国で関税がかかるのかどうかは重要なポイントだとわかります。もし、EPAを適用できるのに、適用せず輸出をすれば、現地での価格競争力は一気に失うと言えます。

一方、EPAを結んでいない場合は、どのようになるのでしょうか。以下の図でいうと「C国」が日本にあたります。C国はA国に商品を輸出しています。しかし、A国に商品を入れる際には、10%の関税がかかります。したがって、B国で生産されている商品との競争をするには、まずは関税10%分に相当する「何かを削る」必要があります。削らない限り、B国との価格競争は勝てません。

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2.輸入→仕入れ原価があがる。

輸入価格を引き下げるコツは、運送費用の見直しの他、日本側でかけられる関税を削減することです。EPAを利用しないまま輸入をすると、おのずと関税部分の負担が上がり、あなたの輸入原価は一気に上昇するでしょう。

Q.関税が下がるタイミングを調べるには?

関税が下がるタイミングは、ワールドタリフで調べられます。ワールドタリフにログインをすると、以下の画面が表示されます。品名のHSコード(品名を六桁の数字で表すもの)を知っているときは「HSコード検索」を押します。知らないときは「apple」などのキーワードから検索する「テキスト検索」を押しましょう!詳しい使い方は、上記の解説記事をご覧ください。

外国の関税 下がり方 HUNADE

Q.本当にEPAは必要なの?現状を教えてください。

日本とインドは「日インドEPA」を結んでいます。これは、ある輸出者さんの実際のお話です。実は、この輸出者さんは、EPAの存在を知っていました。しかし、自分には、関係ないと考えて、なかなか真剣に取り組まなかったそうです。いつものように鋼材の船積みを終えると、バイヤーから連絡が….「〇〇さん(輸出者)、EPAってのを聞いたんだよね~それを使いたい。特定原産地証明書を用意してもらえますか?」とのことです。

いきなりすぎる要求で輸出者さんは、びっくりです。それもそのはずです。EPAを利用するための「特定原産地証明書」は、初回の発行になると、早くて4週間ほどかかるからです。そのときは、このことを丁寧に伝えたら、なんとか納得してもらえたそうです。しかし、こんなこともあわせて言われました。「次回の輸出の時は、絶対用意してもらうからね。用意できなければ、関税負担分を値引いてもらうからよろしく!」と、です。

インドのバイヤーの主張としては次の通りです。「特定原産地証明書は、日本側が発行する物。これをインド側税関で提出すれば、納税額を減らすことができる。でも、何らかの理由により、特定原産地証明書を発行できないのであれば、それは日本側が責任を取るべきだ」です。これが「関税負担分を値引いてもらうからよろしく」の一言が意味することです。

この事実を考えると、EPAを適用できる国では、日本側で特定原産地証明書の取得ができないのは、かなり痛いことがわかります。たった一枚の書類を発行できないだけで、何十万、場合によっては数百万円のレベルで関税の負担額が変わるからです。この事実をどのように受け止めるのかは、あなた次第です。今すぐEPAの勉強を始めた方が良いです。では、始めようと決断した方に、最後に特定原産地証明書取得までの所要日数について説明します。

Q.EPAの申請から取得までの期間は?

あなたが輸出者の立場であり、EPA貿易をするときは、特定原産地証明書を取得しなければなりません。この書類があることによって、日本で生産された商品であるかを証明できます。

しかし、この証明書を取るためには、原産品判定に関するルールを覚えたり、書類を整えたりする必要があります。かなり、分厚いマニュアルを読み込んだ後、自社が取り扱う商品をルールに沿って証明しなければなりません。それらすべての工程を考えると、企業登録から発行までには、およそ3週間~4週間かかります。

Q.EPAと社内体制の構築については?

EPAの社内体制の構築は、各部署間の調整を横断的に行いやすい人が行うのが望ましいです。その上で、次の4つの部門を調整します。EPAの機関的な部門として、新たに「EPA管理部門」を置きます。その部署が中心となり、生産部門、購買部門、営業部門をコントロールします。

  1. EPA管理部門
  2. 生産部門
  3. 購買部門
  4. 営業部門
1.EPA管理部門

EPAを管理するときの中心的な役割を果たします。各部門から必要な資料を取り寄せた上で、特定原産地証明書で必要とする資料を作成していきます。資料を作成した後、発給申請システムなどから申請を行い、自社の商品が原産品であることを証明する作業などを行います。また、常にEPA・FTAなどに関する最新の情報をフォローするようにします。

主な役割
  • 特定原産地証明書の取得で必要な生産資料の取り寄せ
  • 生産資料から、証明書を取得するときの資料を作成
  • 日本商工会議所への申請とやり取り
  • 特定原産地証明書を取得したときの基礎資料の管理
  • EPAに関する各種セミナーの受講
  • 世界の通商政策の把握
  • 最適なFTAの選定など
  • 原材料や為替レートの変動により閾値(しきいち)の監視
2.生産部門

生産部門は、商品を生産するときに必要になる人件費、資材費、原材料費などの製造コストを算出していきます。また、あわせて完成品に使われている部材資料などを作成していきます。具体的には、完成品に含まれる原材料や部品リスト、製造工程フロー図などがあります

主な役割

・生産に関する資料の作成

例1:VAルールであれば、生産コストの算出資料、生産に関わる人員数など、生産作業に関する費用を確認するための資料などを作成します。例:その商品を生産するために、人員を何人投入して、それを何時間稼働しているから、○○円の人件費がかかっているなど。

例2:CTCルールであれば、その商品を製造するときの各部材の詳細です。「どんなパーツが使われているのか?」「それは、どこの国から輸入しているのか?」「どこのサプライヤーから入手しているのか?」などをまとめます。一つの完成品を主なパーツに分解した上で、一つ一つのパーツに関する情報を集めていきます。

3.購買部門

社内の完成品に使う部材や原材料の調達に関する資料を取りそろえます。「どこのサプライヤーから買い付けている部材なのか?」を明らかにするために、部材を購入したときの請求書などを整理していきます。

主な役割

・原材料・部品の購入に関する資料を取り寄せる

社外などから購入している「原材料や資材」に関する証明書(請求書など)を集めていきます。また、必要であれば、サプライヤー(部品の供給者)に対して「サプライヤー証明書」や「委託生産者証明」の請求をします。

4.営業部門

営業部門は、輸入者などとの調整などを行います。

例えば、輸入者側から「商品〇〇の特定原産地証明書が欲しい」などの依頼が来たら、それをEPA管理部門などに伝えます。EPA部門に伝えた結果、何日くらいに特定原産地証明書が手に入るなどの回答を輸入者に行います。輸入者→営業→EPA管理部門→各部門などの流れで、特定原産地証明書の発行対応を行っていきます。

最近は、輸入者側からも「特定原産地証明書の発行」が当たり前に求められるようになっています。もし、このとき、発行できなければ「輸出者の責任」として、現地税関で負担する関税分を輸出者側で支払うように要求してくることが多いです。そのため、営業部門は、特定原産地証明書の発行状況を考えながら、輸入者側と価格交渉をすることもあります。関連記事:EPAを利用しないことによる弊害

主な役割

輸入者側とのやり取りを行います。具体的には、輸入者側に対して「輸入国側の商品のHSコード」を確かめてもらったり、EPA管理部門と協調しながら、先方へ特定原産地証明書を発送できる時期を伝えたりします。また、他社から生産者同意通知があれば、それをEPA管理部門などに伝えます。

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