【HUNADE】EPAマニュアル完全版 関税削減を実現

EPA入門 自由貿易(EPA)
この記事は約35分で読めます。

2020年現在、日本は、17のEPAを結んでいます。EPAとは、経済連携協定の略です。主に関税、人の移動、投資分野を自由化し、お互いの国の経済発展を目指す仕組みです。輸出入をする方であれば、輸入時の関税削減を目的として利用を検討される方も多いかと思います。ただ、実際にEPAを利用するとなると、非常に広い範囲の知識が求められる上、煩雑な作業の多さに嫌気がさす方も多いです。

そこで、この記事では「EPAマニュアル」と題し、EPAに関連することをできるだけ網羅的に紹介をしています。ぜひ、この記事を参考にしていただき、貴社の貿易ビジネスの中でEPAを活用していただければと思います。

  1. 知識ゼロ×EPA入門
    1. この記事の構成
    2. 早速、EPAを学んでみましょう!
    3. EPA記事を目次で探す
        1. 輸入税削減の基本事項
        2. 海外通販の関税を削減
        3. 商売目的の関税を削減
        4. 各国の輸入税率の調べ方
        5. 輸入税を削減するには?
        6. 3つの関税削減ポイント
        7. 関税の制裁措置
        8. アイテム別関税率
        9. EPAの基本事項
        10. EPAを輸出で活用
        11. EPAを輸入で活用
        12. EPAを体系的に学ぶ
        13. 関連知識
        14. 関税率と原産地規則を調べる方法
        15. 輸出活用の具体的な手順
        16. 関連記事
        17. 原産地証明の理解
        18. 原産地規則の関連知識
        19. 必要な証明資料
        20. 商品のHSコードを調べる
        21. 証明書の取得方法
        22. EPAの救済制度
        23. EPAの関連知識
        24. TPP
        25. 日欧EPA
        26. 事前教示
        27. 公共機関&マニュアル
        28. 関税削減の相談先
        29. 貿易統計の見方
    4. ゼロから学ぶEPA
      1. 1.投資の自由化
      2. 2.人の移動
        1. 1.人とは?
        2. 2.誰を対象としているのか?
        3. 3.入管法(在留資格)との関係
      3. EPAと在留資格の関係
    5. EPAの魅力(メリット)とデメリット(問題点)
      1. メリット
        1. 1.売上を増やせる
        2. 2.外国の商品を安く仕入れられる。
        3. 3.外国の価格競争力を向上できる。=商品勝負ができる。
      2. デメリット(問題点)
      3. EPAの効果が出ている代表的な品目は?
    6. EPAとFTA、WTO、TPPとの違い
      1. EPAとFTAの違い
      2. EPAとWTOの関係性
    7. 代表的なFTAと締約国の一覧
      1. 締約国の一覧
    8. どういう場合に関係するのか?
    9. 利用方法
      1. 輸入で利用する場合
      2. 輸出で利用する場合
      3. 必要な資料例
    10. EPAを活用しないとこうなる!
      1. 輸出でEPAを利用しない場合→価格競争力が落ちる
      2. 輸入でEPAを活用しない→仕入れ価格高くなる。
    11. EPA税率の調べ方
    12. 追徴課税、罰則
    13. 相談窓口
      1. 1.EPA相談デスク
      2. 2.日本商工会議所
      3. 3.ジェトロ
      4. 4.税関
      5. 5.HUNADEのEPA相談サービス
    14. EPAの実務に関係する言葉
    15. よくある疑問
      1. EPAで原産性が認められない加工とは?
      2. 関税が下がるタイミングを調べるには?
      3. EPAの準備は大切!バイヤーからの要求も強い。
        1. EPAの準備にかかる時間は、4週間ほど。
      4. EPAと社内体制の構築についての見解は?
      5. 中国や韓国とのFTA状況はどうなっている?
      6. 消費税はどうなる?

知識ゼロ×EPA入門

この記事の構成

この記事は、約2万文字以上にも及びます。文頭には、輸出や輸入別のテーマ。その下に「EPAとは~」の知識ゼロの方を対象にして記事を構成しています。ご自身の求められている内容まで記事内ジャンプをしてください。

レベル別のEPA説明

輸出や輸入の具体的なコース

各種EPA関連記事を目次で探す

EPAをゼロから学びたい方向けの内容

早速、EPAを学んでみましょう!

目的別 概要
初級編

初級編は「EPAとはどういう物?」など、EPAの言葉を初めて耳にする方に基礎的な内容を伝えています。

  • EPAの基本的な理解
  • EPAを利用する上で抑えるべきポイント
  • 原産性の証明方法
  • 輸出と輸入のEPA効果

【初級編】関税ゼロ貿易の始め方

発展偏

発展編では、より本格的な内容をご紹介しています。EPA(関税ゼロ)貿易をするときは、必ず「特定原産地証明書」が必要です。仮にあなたが輸出者なら、日本側で証明書を取得。それを輸入国側の税関に提出します。あなたが輸入者であれば、その逆をします。発展編では、この証明書を取得するときに必要な基本知識をご紹介しています。この記事に記載している内容を理解できれば、EPAを活用する知識は十分です。

  • 原産地基準
  • 積送基準
  • 手続き的規定
  • 原産地ルール3つのパターン
  • 大きな変更・加工とは?
  • CTC、デミニマス、累積
  • VAとSPルール
  • 原産地証明書の発行方法など

【発展編】関税ゼロ貿易の始め方

輸入活用偏

輸入活用コースは、EPAを輸入で活用するための流れをご紹介しています。基本的に、輸入で活用するときは、輸出よりも楽です。輸入活用のキモは、日本側の税関が認めるHSコードの特定です。輸入者は確実に行います。EPAは輸入国側の税関の判断が最も優先されるため、EPAを輸入で活用するときは、必ず日本税関の見解を基準にします。HSコードは、様々なリスクを考えて「事前教示制度」で確定させます。

【関税削減】 輸入者としてEPAを活用するための全手順

輸出活用偏

輸出活用コースは、EPAを輸出で活用するための具体的な流れをご紹介しています。EPAは、輸出者として活用するときが最も難しく、かつ時間がとられます。ただし、肝となるポイントは、輸入と同じです。輸入国側の税関に「完成品のHSコード」を特定してもらうことです。

例えば、あなたは、タイに輸出をするために特定原産地証明書を取得するなら、タイの輸入者に頼み、タイ側の税関に事前教示をかけて完成品のHSコードを特定します。そして、あなたは、この特定されたHSコードを基にして、日本側で特定原産地証明書を取得します。

関税削減・EPA輸出活用する全手順 ゼロから体系的に説明

EPA記事を目次で探す

輸入税削減の基本事項
海外通販の関税を削減
商売目的の関税を削減
関税入門

関税とは?

関税率の確認方法

関税は、いくらからかかるの?

関税率の種類
事前教示制度

簡易税率とは?

各国の輸入税率の調べ方

→簡単方法(ワールドタリフ)その他:各国税関でも可能

アメリカ中国ベトナムタイ台湾、シンガポール

輸入税を削減するには?

関税を削減するメリット
特恵関税特別特恵EPA関税割当暫定8条

3つの関税削減ポイント

どこから? 何を? 協定は?

関税の制裁措置

セーフガードアンチダンピング相殺関税

初めての個人輸入ガイド

個人使用の関税計算ツール

日本側の関税計算ツール

個人輸入が節税につながる理由

課税価格が1万円以下は免税

EUのネットショップの活用

革靴の関税の決め手!

プレゼントに対する関税は?

個人輸入に消費税はかかる?

少額貨物の無条件免税のケース

簡易税率と一般税率の区別

「海外旅行」入国者の簡易税率

革靴の関税を下げる(LDCEPA

国際郵便・関税が高ければ受け取り拒否!

アイテム別関税率

服(衣類)の関税

落花生の関税

イスの関税

タオルの関税

ネクタイの関税

古着の関税

ぬいぐるみの関税

石鹸の関税

テントの関税

オリーブオイルの関税

車いすの関税率

農林水産物

関税の計算方法(商売目的)

日本側の関税計算ツール(一般用小口用

輸入ビジネスの始め方

スモール輸入ビジネスの始め方

中小企業におけるコスト削減

「WEBタリフ」関税率を調べる

関税の根拠は? 通関の仕組み!

関税の仕組み 三つのケース

関税を一般税率にするには?

「公示レート」為替の決まり方

関税が高い物は特別特恵/LDC

EPAの基本事項
EPAを輸出で活用
EPAを輸入で活用
EPAとは?

EPAの魅力と効果

特恵関税とEPAの違い

バイヤーの要求

社内体制必要な情報と資料

適用できる国

世界のEPAの締結状況中国)(アメリカ

特定原産地証明書の取得必要書類)(取得が難しい理由)(取得までの流れ)(発行日数

事後調査(検認)

原産地規則(品目別規則

ペナルティ

EPAを体系的に学ぶ
関連知識
関税率と原産地規則を調べる方法

原産地規則ポータル事前教示ワールドタリフ

輸出活用の具体的な手順
  1. EPAを結んでいる国
  2. 輸出商品のHSコードの特定
  3. 輸出相手国の一般関税を調べる
  4. EPA税率とMFN税率を見比べる
  5. 原産地規則を確認する
  6. CTCルールとVAルール
  7. 原産品判定依頼/証明資料の作成
  8. 特定原産地証明書の発行を依頼
  9. 特定原産地証明書の取得後
  10. 利益を受け取る人と遡及発給
  11. 商品にかかる関税1%の重み
  12. 外国関税率の調べ方
  13. EPA活用モデル 原産圏へ
  1. 適用できる国を確認
  2. 商品のHSコードを確認
  3. 削減額と手間のバランス
  4. 原産地基準を満たすかを考える
  5. 証明書を輸出者に依頼
関連記事
原産地証明の理解
原産地規則の関連知識
必要な証明資料
商品のHSコードを調べる
証明書の取得方法
EPAの救済制度

デミニマス累積トレーシングロールアップ

EPAの関連知識
TPP
日欧EPA
事前教示
公共機関&マニュアル
関税削減の相談先
貿易統計の見方
貿易統計の活用方法

対比表作成サポート

ゼロから学ぶEPA

EPAの正式名称は「経済連携協定」です。この経済連携には、次の項目があります。テレビなどでは。「○○の関税が削減される~」などの関税削減のイメージだけがあります。しかし、実は関税以外でも様々な分野に影響を与えている物なのです。EPAの自由化分野は、次の三つに及びます。

  • 投資分野
  • 知的財産
  • 人的交流
  • 関税分野

関税削減とは、物品に対する関税を削減することです。では、この他の投資や人の移動の自由化とは、どのようなことなのでしょうか?

例えば、ある企業を例にとってみましょう。A社は産業用の歯車を製造するメーカーです。今度、EPAを結んでいる国へ工場を建てることになりました。これを実行するために主に2つの観点で「非関税障壁(関税分野以外で問題となる規制など)」があると気づきました。

  1. 外資系企業が現地に工場を建てるときの規制
  2. 人の移動の規制

1.投資の自由化

海外に工場を建てる行為は「投資」にあたります。これを実際に実行するときは、現地政府のさまざまな制約を受けることがあります。

例えば、現地企業の資本が何十パーセント含まれている「合弁会社」としての運営を求められることがあります。また、共産圏の国であると「国有企業」との兼ね合いで、工場の進出が不許可になることもあります。このように外国企業が進出できるのかは、現地政府の意向により決まることが多いです。EPAでは、このような外国政府の規制なども、一定のルールがあります。

各国政府は、企業が経済活動をできるだけスムーズにできるように努力する義務がある。

2.人の移動

人の移動には、次の三つの意味があります。

  1. 人とは何か?
  2. 誰を対象としているのか?
  3. 入管法(在留資格)との関係
1.人とは?

法律上、人とは、次の2つを指します。

1.法人
2.生身の人間

法人とは、法律上、その「人格」が認められている物です。いわゆる「○○株式会社」などは、すべてこの法人です。よく何らかの事件があったときに…「法人としての○○に5億円の追徴金を課す」と聞かれたことはありませんか? まさに、これが法人と生身の人間を区別している表現です。そして、EPAでいう「人の移動」とは「生身の人間の移動」を指します。

・法人は、○○株式会社、○○合同会社(LLC)
・社長は、○○株式会社という法人に属する代表者の立ち位置

2.誰を対象としているのか?

EPAで定めている「人の移動」の対象者は、二国間のビジネスパーソンです。

例えば、グローバル企業に勤めている人、海外企業との商談や契約をする人、国際見本市に参加する人、その国へ投資をする人など、両国間の経済活動の活発化につながる活動をする人たちをさします。また、これと合わせてフィリピン、インドネシアは、看護師や介護士の受け入れなどでも締結していますが、いわゆる労働力の受け入れに関するのは限定的です。

・二国間を行き来するビジネスパーソン
・投資家
・それらの人を法務面から支える専門職
・高度な技術を持った人

を対象にしています。そのため、単なる海外旅行者や留学生などについては、EPAでいう「人の移動」に規定されている対象者ではないため注意が必要です。

3.入管法(在留資格)との関係

外国人が日本に入国する。または、日本人が相手国に入国するときは、入国理由に基づく適切な資格を持つのか?で判断されます。日本側で言えば、外国人の入国は、入管法の「27種類の在留資格」と照らし合わせて判断します。どこの外国人であっても、どんな立場であっても、この在留資格に合致しない人は、日本に入国できません。もちろん、これはEPAの人の移動にも当てはまります。

EPAで人の移動について規定されていますが、それは日本の国内法(入管法)と別にあるわけではありません。EPAによる人の移動の対象者であっても、必ず入管法上の「どの在留資格に該当するのか?」によって、入国の可否が判断されます。EPAの人の移動と入管法の在留資格は、一体となって考えられています。

EPAと在留資格の関係

1.短期の商用訪問者

一般的なビジネスマンは、ここに該当します。外国企業への商談、交渉、出張修理などで、短期間入国する人です。この短期間には、90日間もあれば、3年~などの比較的長期間の場合もあります。ポイントは、訪問するときに「報酬を得ないこと」です。つまり、行商などは禁止。日本の企業から給料をもらいながら、現地で商業活動(宣伝、商談、契約アフター修理など)はOKです。

・現地企業との打合せ
・国際会議
・交渉や契約
・出張や修理

在留資格:短期滞在
ポイント:報酬を得ないこと

2.企業内転勤者 外国にある本店・支店、または、その企業が持つ工場などへ移動する人が該当します。技術指導により現地の工場へ管理監督に行く!、日本の本社へプロジェクトマネージャーとして赴任するなどが考えられます。

・外国支店への転勤
・海外の本社への赴任など

在留資格:企業内転勤、投資・経営

3.投資家 外国に資本を投下して何らかのビジネスを育てる方が対象です。いわゆるベンチャー企業などに資本を投資する人がこの対象です。残念ながら、外国の株式を購入するなどの投資では、こちらの「投資家」には該当しません。資本を投下して、直接、現地のビジネスを育てる人が対象です。

・資本を投下して事業展開する人
(株式投資等ではない)

現地にあるベンチャー企業などへの投資

在留資格:投資・経営

4.自由職業サービスに従事する人 資格があることでできる職業の人が対象です。

例えば、日本の企業が外国にて何かを始めるときに、それは、外国の法律上、問題がないのか?を判断するときに役立つ弁護士。また、その実行につき、資金面で問題がないのかを考えるのが会計士など、企業が何かの経済活動をするときにバックアップする人たちです。

・弁護士
・公認会計士

資格があることでできる職業

在留資格:法律・会計業務

5.高度な技術・知識を持つ人 人の移動の中で最も解釈範囲が広い部分です。いわゆる高度な技術を持っていれば、それが何であろうとも限定されません。

例えば、ITエンジニア、エンジニア、プログラマ、何かを作るときにはなくてはならない技術を持っている人などです。実は、この部分は、両国とも非常に広く解釈しているため、うまくアピールできれば、5番に該当する者として外国にて長く活動する資格を得られる可能性はあります。

・エンジニア
・プログラマ

適用条件:現地の企業に直接雇用されていること(派遣契約等は不可)

在留資格:技術、人文知識・国際業務

 

以上、EPAに規定する「人の移動」に関する説明でした。EPAは、これまでの「働き方」「外国企業との付き合い方」を根本的に考え直す仕組みです。ぜひ、このような開かれた制度を利用して、海外ビジネス・輸出ビジネスにチャレンジしていただきたいと思います。

EPAの域内(エリア内)と域外(エリア外)とは?

「ABTC」APECカードを取得! 入国審査をファーストパス

FTAAPとは何か? TPPやRCEPとは違うの? 参加国は?

EPAの魅力(メリット)とデメリット(問題点)

メリット

1.売上を増やせる

EPAは国の自治を維持したまま経済分野での国境を撤廃することを意味します。これは日本と外国が「経済的に統合」することを同じです。経済的な国土の拡大によって、貴社の商品が外国における勝負する場所が増えたとお考え下さい。お互いの国関税が撤廃されるというのは、脅威でもありチャンスでもあります。

2.外国の商品を安く仕入れられる。

EPAはお互いの国においてかかる関税を撤廃します。当然、日本へ入ってくるときにかかる「関税」も掛からないため、関税分を安く仕入れることができます。

3.外国の価格競争力を向上できる。=商品勝負ができる。

上記でも述べた通り、お互いの国の関税を撤廃することにより外国の商品を安く購入ができます。しかし、EPAは外国商品を安く購入できるだけではありません。外国においても関税がかからないため、その分、外国における価格競争力をつけることができます。

外国で商品を販売する際は、現地の方へなるべく安い価格で販売ができるようにするのが理想です。もちろん、日本ブランドであれば、現地での販売価格が相場より10%程度高くても許容される場合が多いです。しかし、この価格差が10%以上になると不利な立場に立たされるとお考え下さい。

実をいうと、関税は考えているよりも設定価格の中で大きなウェイトを占めるものです。物によっても異なりますが、中には30%という高関税が設定されている物もあります。それがEPAを適用することにより、一気にゼロになるわけですから、それだけでも価格競争力が大きく向上することがわかります。また、価格競争力が上がることは、商品で勝負できることを意味します。

EPAのメリット・デメリット

国内の工場を海外に移転するメリットがあるのかを検討

関税ゼロで貿易(輸出・輸入)するメリット

デメリット(問題点)

一方、EPAのデメリットは、良くも悪くも流動性が高まり、様々な分野で競争が激しくなる可能性があります。これまで関税という「防波堤」がなくなり、波がそのまま地上に押し寄せるイメージがピッタリだと思います。もちろん、これは、EPA相手国でも同じです。つまり、海の外に目を向けない限り、一方的に攻められる状況が続いていくと考えてもいいです。

EPAの効果が出ている代表的な品目は?

EPAにより様々な商品の関税が削減されています。スーパーなどに行くと、一本数百円で販売されているワインを見られるのもEPAの効果といえます。特に欧州産、オーストラリア、チリ、フランス産のワインが恩恵を受けています。また、日欧EPAの中心的な存在であるチーズ、革製品、牛肉、豚肉、アパレルなどの商品の関税も大きく下がっています。

EPAとFTA、WTO、TPPとの違い

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EPAとFTAの違い

ニュースをなどを見ていると、EPAと同時に「FTA」の言葉を聞くことが多いです。一体、これらの違いは何でしょうか? 主な違いは、次の通りです。基本的にFTAは、関税削減の分野に絞り自由化を目指す物。EPAは、関税以外の多方面を含めて自由化を目指す物です。ただし、昨今は、EPAもFTAもほとんど同義になってきています。あまり違いを深く考える必要はないです。

  • FTA=Free Trade Agreement=自由貿易協定
  • EPA=Economic Partnership Agreement=経済連携協定
  • 上記の違いは、自由化分野の範囲。FTAは、関税中心。EPAは、関税、投資、人的交流など
  • ただし、昨今は、EPA=FTAと考えてもよい。

EPAとFTAの意味と違い。WTOとの関係は?

EPAとWTOの関係性

世界の貿易ルールを作る国際機関としてWTOがあります。日本を含めて多くの外国がこのWTOに加盟しています。WTOの原則的なルールとして「加盟国に等しい取扱いをする」ように決められています。等しい取扱いとは、商品にかける「関税など」をさします。これをある特定の国に対して特別に有利な関税を適用したり、逆に不利な関税を適用してはならないことになっています。

しかし、この原則には大きな例外規定があります。それが「EPA」や「FTA」です。すでに述べた通り、EPAやFTAは加盟国同士の関税を原則「無税」または「低率」にする制度です。したがって、WTOの原則的なルールである「加盟国に等しい関税をかける」ことに矛盾しています。

なぜ、このようなことになっているのでしょうか。それは、世界貿易機関の意志が決定する方法に原因があります。実はWTOによる意志の決定は、原則加盟国の「コンセンサス方式」により決まります。=加盟するすべての国の「賛成」により決まること。

2020年現在、WTOに加盟する国は161か国にも及びます。冷静に考えると、これらの国がすべて賛成することは稀です。当然、意思決定はなかなかできません。WTOは「自由な貿易環境を目指している」のに、意思決定ができないため先に進めることができない現状なのです。

この問題を現実的に解決していく仕組みとして「FTA」や「EPA」制度があります。FTAやEPAは、二国間など、特定の国々だけを有利にする制度です。この仕組みを各国同士が次々と締結していけば、将来的にWTOが目指している「自由な貿易環境の構築」につなげるのが狙いです。

関連記事:WTOとFTA(EPA)は矛盾していない?

代表的なFTAと締約国の一覧

2020年現在、日本が結ぶEPAは、全部で17です。方面別に見ると、東南アジア各国とのEPAが最も多いです。その他、メガFTA多国間FTAと呼ばれる日欧EPA、TPP、日米貿易協定などがあります。それぞれの協定に関係する必要書類、原産地規則、原産地証明書及び対象品目は、以下の解説サイトをご覧ください。

ゼロから覚える日欧EPA 原産地規則、用語の解説など

ゼロからのTPP!基礎知識から原産地の証明方法までを網羅

【日米貿易協定】貿易ビジネスで活用するための基本知識

締約国の一覧

2019年2月現在のEPA締約国一覧
シンガポール マレーシア タイ インドネシア ブルネイ
アセアン全体 フィリピン ベトナム インド モンゴル
オーストラリア メキシコ チリ ペルー スイス
カナダ(TPP) ニュージーランド(TPP) ヨーロッパ(日欧EPA)

*インドネシアは、日アセアン協定の中で締結中です。

関連:日本とEPAを結んでいる国々とその狙いとは?

地図の中心へ

どういう場合に関係するのか?

ここまでの説明でEPAの全体的なこと、メリット、デメリットなどをお分かりいただけたと思います。ここから先は、もう少し実務レベルのお話をしていきます。EPAは、人的交流、投資など、様々な分野を自由化する物です。ここから先は、直接、輸出入に関係する「関税削減分野」に注目していきしょう!

ちなみに、あなたは、EPAを輸出者として利用する予定ですか? それとも輸入者ですか? 実はEPAを活用する場合であっても、どちらの立場で利用するかによって、難易度が大きく変わります。もし、あなたが輸入者として利用する場合は、簡単です。輸出者として利用する場合は、少し大変です。また、ここでいる輸出や輸入とは、次のような方々を指します。

  • 輸出又は輸入で20万円を超える
  • EC輸出またはEC輸入で20万円を超える

ここでのポイントは、規模の大小、輸送方法に関わらず、日本とEPAを結んでいる締約国とのやり取りの内、おおむね10万円~20万円をこえる場合はEPAが関係してきます。

例えば….

  • EPAの締約国(例:フランス)の通販サイトから商品をネットで注文した。
  • 日本からオーストラリアのお客に向けて注文された商品を送ったなど

です。決してコンテナやLCL単位でやり取りする物ばかりが対象ではないです。日本とEPAを締約しているすべての国に対して、輸送手段や規模の大小に関わらず関係してきます。ちなみに、各国によっても変わりますが、おおむね輸入価格が20万円以下の場合は、EPAを適用するときに必要となる「特定原産地証明書」も不要で自動的に有利な税金を適用してくれます。

もし、あなたが日本から海外に向けて輸出をしているなら、現地税関が定めている基準以下の価格(例:1000US$など)であれば、同じく原産地証明書などは不要になるケースがあります。詳しくは、輸出先国の税関ページをご覧ください。

利用方法

では、もう少し具体的な説明をしていきます。以下、当てはまる方をご覧ください。

輸入で利用する場合

あなたが輸入でEPAを活用する場合(例:海外通販×EMS、DHL、UPSなど)は、輸入の価格が20万円以下であれば、書類や特別な手続き等も不要で、自動的にEPA税率を適用して輸入ができます。もし、20万円をこえる物に対して輸入をする場合は、輸出者に依頼をして、現地で特定原産地証明書を発行。それを日本に発送してもらいます。その後、あなたは、輸入申告時に現地発行の証明書を提出することで関税が免除されます。

関連記事:

輸入者としてEPAを活用する全手順

TPP・EUから海外通販(小口輸入)するときのポイント

輸入価格が20万円を超えるのか?がひとつのポイント

輸出で利用する場合

あなたが輸出で活用する場合は、日本商工会議所に依頼をし「特定原産地証明書」を発行してもらいます。この発行までの手順が非常に面倒です。発行が終わったら、輸入者に対して特定原産地証明書を発送します。輸入者は、日本から届いた原産地証明書を輸入国側の税関に提出することで関税の免除が受けられます。なお、この方法による証明を「第三者証明制度」といいます。

最近、発効されたTPP、日豪EPA及び日欧EPAは「自己証明制度」による方法であるため、別の証明方法を学ぶ必要があります。

関連:輸出と輸入でEPA(自由貿易)を活用するときの流れ

必要な資料例

輸出 ■CTCルールで証明するとき

1.対比表(原材料・部品リスト)
2.サプライヤー証明書
3.委託生産者証明書
4.製造工程フロー図

■VAルールで証明するとき

  1. ワークシート(原材料・部品リスト)
  2. サプライヤー証明書
  3. 生産委託証明書
  4. 製造工程フロー図
  5. 各部品の価格を証明する書類(請求書など)
  6. 売買契約書
  7. 利益計算書
輸入 現地が発行した特定原産地証明書

関連記事:

EPAで必要になる書類 

関税削減・EPA輸出活用する全手順 ゼロから体系的に説明

EPAを活用しないとこうなる!

輸出でEPAを利用しない場合→価格競争力が落ちる

EPAを活用しない輸出をすると、相手国での価格競争力を失います。ここであなたが外国に住んでいるとイメージしてください。

家電量販店にいくと、日本産、インド産の掃除機が並んでいます。日本産は高機能であるため、インド産の掃除機よりも高価格だとします。これを現地の人の立場から考えると、日本産とインド産との「値段の差」を検討します。そして、この値段の差と「機能や性能の差」「信頼性」との絶妙なバランスがとれているときに、商品が購入されます。

外国の店頭において日本の商品が販売されるとき、外国商品との価格差で許される範囲は「10%前後」だと言われています。10%というシビアな数字を考えれば、輸出先の国で関税がかかるのかどうかは重要なポイントだとわかります。もし、EPAを適用できるのに、適用せず輸出をすれば、現地での価格競争力は一気に失うと言えます。

一方、EPAを結んでいない場合は、どのようになるのでしょうか。以下の図でいうと「C国」が日本にあたります。C国はA国に商品を輸出しています。しかし、A国に商品を入れる際には、10%の関税がかかります。したがって、B国で生産されている商品との競争をするには、まずは関税10%分に相当する「何かを削る」必要があります。削らない限り、B国との価格競争は勝てません。

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輸入でEPAを活用しない→仕入れ価格高くなる。

輸入価格を引き下げるコツは、運送費用の見直しの他、日本側でかけられる関税を削減することです。EPAを利用しないまま輸入をすると、おのずと関税部分の負担が上がり、あなたの輸入原価は一気に上昇するでしょう。

例えば、日本とメキシコとの間に結ばれている「日メキシコEPA」の内容を確認してみます。以下の画像をご覧ください。これは、日本へ革靴を輸入するさいにかかるか関税率を示している画像です。革製品にかかる関税は「30%前後」です。しかし、日メキシコEPAを適用すれば、30%の関税が一気に「無税(赤枠)」に変わります。もし、革靴の販売をしているなら、この関税削減効果を見逃すことはできないはずです。

ここでは説明として「革靴」を取り上げましたが、このようにEPAを適用することにより、高額な関税が一気に無税になる商品はたくさんあります。

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EPA税率の調べ方

「EPAを活用して輸出入りする場合、その関税は、何パーセントなのか?」これを確認できるの以下の2つのツールです。

追徴課税、罰則

EPAは、輸入国側の関税を削減する仕組みであるため、不正利用には大きなペナルティがあります。

例えば、本当は、中国で作られた製品なのに、日本産と偽り輸出をし、本来の関税をごまかすなどの行為です。基本的に、EPAの不正使用は、非常に厳しい罰則があります。タイのケースでは、これまで免除した関税額の5倍の返還命令が出たとの話も聞きます。EPAは、輸入国側の税収に直結することであるため、不正行為は非常に厳しいことを覚えておいた方がいいです。

相談窓口

EPA相談ができる所や、EPAセミナーを主催しているところは、大きくわけると、次の4つの機関です。

  1. EPA相談デスク
  2. 日本商工会議所
  3. ジェトロ
  4. 税関
  5. HUNADEのEPAサービス

なお、いずれの機関で相談をするときも「どこの国から」または「どこの国へ」「何を輸入 または 輸出するのか?」の基礎情報が必要です。できれば、商品のHSコードも合わせて答えられるようにするといいです。

相談するときは「どこへ、何の商品を」など、なるべく具体的な情報をそろえてから行います。

1.EPA相談デスク

EPA相談デスクは、経済産業省から委託を受けている東京共同会計事務所が行っている「無料EPA相談デスク」です。EPAの相談のためだけに設けられている、日本で唯一のEPA専門相談機関です。EPA相談デスクは、電話相談、メール、対面など、あらゆる方法により、EPAの相談を受け付けてくれます。

初心者向けEPAセミナーに参加した後、EPAの全体的なことを聞きたいときは、EPA相談デスクが便利です。

2.日本商工会議所

日本商工会議所は、日本で唯一の特定原産地証明書の指定発給機関です。要は、証明書を発行できる所です。商品を輸出するときに必要になる特定原産地証明書は、この日本商工会議所が発行します。日本商工会議所でもEPAの相談はできますが、基本的には、実際に証明書を取得するときの疑問点への回答がメインだと考えた方がいいです。

「まだ証明書を取得する予定もない、まずは全体的なことを知りたい」等であれば、1番のEPA相談デスクの方が適しています。

  • 特定原産地証明書の発行業務
  • 特定原産地証明書の取得に関する質問への回答

3.ジェトロ

日本の輸出取引の支援をしているジェトロもEPAに関する相談やセミナーなどを開催しています。

ジェトロEPA相談コーナー

EPAセミナー・お役立ち情報

4.税関

税関は、意外にEPAに関するサービスは少ない印象です。→原産地規則ポータルなどのツールも提供しています。

5.HUNADEのEPA相談サービス

最後に弊社でもEPAの相談サービスを提供しています。日本商工会議所やEPA相談デスクでは、受けられない細かい相談ができます。また、相談だけではなく、EPAの申請で必要になる「対比表の作成代行」の承っています。ぜひ、ご利用ください。

EPA相談/特定原産地証明書の取得代行支援サポート(対比表の作成)

化粧品・食品など、採番の難易度が高い対比表の作成もサポートできます!

EPAの実務に関係する言葉

ここでは、EPAの実に関係する言葉をいくつかご紹介します。

用語 主な意味
CTCルール 関税分類変更基準のこと=完成品と原材料のHSコードの差を見て、原産性を判断するルールです。関連するキーワード:CC、CTH、CTSH、対比表、変更レベル
VAルール 付加価値基準のこと=完成品の中に、日本の工場で与えた「付加価値の割合」で判断するルールです。付加価値には、原産材料の他、工場の人件費、利益などがあります。

関連するキーワード:内製品、サプライヤー証明書、ワークシート、閾値

SPルール 加工工程基準の略。こちらも原産性を判断するルールの一つ。いくつかの品目は、協定書の中に、具体的な加工方法が指示されている。この加工方法を守ることで原産性があると判断します。
PSR 品目別規則の略です。品目ごとに設定されている原産地規則の総称です。
WO 原産地証明書の中に記載される記号の一つ。WO=完全生産品を示す。
対比表 CTCルールで証明するときに用意する根拠資料の一つ。輸出者は、この資料を日本商工会議所に提出して審査を受ける。多くの場合、この資料が雑に作られていることで審査が長引くことが多い。=プロに任せた方がいいです。→対比表の作成支援
総部品表 上記と同じくCTCルールで証明するときの根拠書類の一つです。完成品に使われているすべての部材(原材料のリスト)と考えればいいです。少なければ、対比表と合わせても良いです。
遡及発給 輸出後に原産地証明書の発行を依頼することです。基本は、船積み前に発行を受ける。しかし、何らかの理由で船積みに間に合わない場合は、一年間は事後発給が認められている。 遡及発給が多い国:ベトナム、インドネシア、タイ、アセアン
譲許表 協定の付属書の一種。ここに「発効から○○年で関税を何パーセントにする」という予定が決められている。ただし、実務上は、ワールドタリフ等を利用して確認することが多いです。
ロールアップ 完成品に使う部材の内「非原産にあたる部分」を含めて原産とする特別ルール
累積 日アセアン、TPPなど、多国間のEPAの場合、加盟国内の部材や作業を「累積」できるる。つまり、この累積によって、原産地の基準を超えるなら、完成品は、協定上の「原産品」と判断するルール。【EPA】累積の意味 外国産の原材料を国産扱いにできる!
HSコード 全ての品目を6桁の数字で表したもの。世界各国で共通の物を採用しているため、これを利用して関税率や原産地規則を設定しています。EPAを利用するときは、関税率の調査等で非常に関係するため、必ず覚えておきたいことです。

よくある疑問

EPAで原産性が認められない加工とは?

EPAでは、非原産材料を使って製造した物でも「実質的な加工」をすれば、原産品にできます。この実質的な加工には、次の作業を含まないです。(この作業をしても、原産性がある産品にはならない)

  • 改装及び仕分け
  • 産品や包装にマークやラベルをつけること
  • 組み立てた物を分解
  • 瓶、ケースや箱に詰めるだけの作業
  • 単なる切断
  • 混合
  • 完成品にするための単なる部品の組立
  • 物品を単純にセット品にしただけ
  • 上記で示す二以上の作業の組み合わせ
  • 輸送用に良好な状態に保存するための作業(乾燥、冷凍、塩水漬けなど)

関税が下がるタイミングを調べるには?

関税が下がるタイミングは、ワールドタリフで調べられます。なお、下の画像はすべて米国FedEX社が提供する「WorldTariff」の画面を保存したものです。そのため、関税率などの部分は、すべて見えないように処理をしています。

ワールドタリフにログインをすると、以下の画面が表示されます。品名のHSコード(品名を六桁の数字で表すもの)を知っているときは「HSコード検索」を押します。知らないときは「apple」などのキーワードから検索する「テキスト検索」を押しましょう!

外国の関税 下がり方 HUNADE

次に以下の画面が表示されます。1~3の順に必要な項目を埋めていきます。1番は調べたい国を設定します。今回はベトナムについて調べることになります。次に二番を確認します。ここはテキストか番号(HSコード)のどちらか一つだけを入力します。入力が終ったら「Submit」を押して送信します。

外国の関税 下がり方 HUNADE

検索の入力例:外国の関税 下がり方 HUNADE

このように一覧表示されたら、右側の「Description」を見て、最も適切なHSコードを探します。下の図でいうと「2009.41.00」や「2009.49.00」の部分になります。

外国の関税 下がり方 HUNADE

上の画像でHSコードを押すと、下の画面が表示されます。これがベトナムにおける対象品に設定されている関税率の一覧です。同じ品目を輸入するにしても、それがどこの原産品であるのかによって、とても細かく関税率が設定されています。順番は、A TO Zになっているため、日本は中間ほどに掲載されています。

外国の関税 下がり方 HUNADE

日本の欄には、以下のような虫メガネがついています。左右あるため、今回は右側の方をクリックします。

外国の関税 下がり方 HUNADE

下の図をご覧ください。商品に対する細かな関税率が表示されます。それぞれの意味は、以下の通りです。

  1. 調べている品目のHSコードです。
  2. 現状の関税率です。MFN:WTO協定税率、AJCEP:日アセアンEPA、VJEPA:日ベトナムEPA いずれか一つの税率を適用して輸入します。
  3. AJCEP(日アセアンEPA)では、どのように関税が削減されていくのかを示しています。B15=協定発効から15年で関税率が撤廃されることを意味します。つまり、2017年現在では、関税が下がりきっていない状況ということになります。
  4. こちらが今回の記事のポイントです。上段に年数、下段に関税率が表示されています。年数と関税率は、下の矢印のように対応しています。(ボカシしている部分に関税率が表示されています。)下の画像でいうと、2023の4月1日付けで完全に関税がなくなります。
  5. 最初に関税が下がったのが2008年の12月、以降、毎年4月1日付けで関税率が引き下げられることを意味します。
  6. こちらは、VJEPAを適用した場合の関税率です。ベトナムと日本は、日アセアンEPA(全体協定)と日ベトナムEPA(個別協定)の2つを結んでいます。どちらのEPAを適用するのかは、輸入者側(相手国側)の希望によります。関税的にメリットが大きい方を選ぶようにします。輸出者側(日本側)は、輸入者の希望に応じて協定に沿った「特定原産地証明書(にほんの原産品であることを証明する書類)」を用意します。

Hunade

EPAの準備は大切!バイヤーからの要求も強い。

日本とインドは「日インドEPA」を結んでいます。これは、ある輸出者さんの実際のお話です。実は、この輸出者さんは、EPAの存在を知っていました。しかし、自分には、関係ないと考えて、なかなか真剣に取り組まなかったそうです。いつものように鋼材の船積みを終えると、バイヤーから連絡が….「〇〇さん(輸出者)、EPAってのを聞いたんだよね~それを使いたい。特定原産地証明書を用意してもらえますか?」とのことです。

いきなりすぎる要求で輸出者さんは、びっくりです。それもそのはずです。EPAを利用するための「特定原産地証明書」は、初回の発行になると、早くて4週間ほどかかるからです。そのときは、このことを丁寧に伝えたら、なんとか納得してもらえたそうです。しかし、こんなこともあわせて言われました。「次回の輸出の時は、絶対用意してもらうからね。用意できなければ、関税負担分を値引いてもらうからよろしく!」と、です。

インドのバイヤーの主張としては次の通りです。「特定原産地証明書は、日本側が発行する物。これをインド側税関で提出すれば、納税額を減らすことができる。でも、何らかの理由により、特定原産地証明書を発行できないのであれば、それは日本側が責任を取るべきだ」です。これが「関税負担分を値引いてもらうからよろしく」の一言が意味することです。

この事実を考えると、EPAを適用できる国では、日本側で特定原産地証明書の取得ができないのは、かなり痛いことがわかります。たった一枚の書類を発行できないだけで、何十万、場合によっては数百万円のレベルで関税の負担額が変わるからです。この事実をどのように受け止めるのかは、あなた次第です。今すぐEPAの勉強を始めた方が良いです。では、始めようと決断した方に、最後に特定原産地証明書取得までの所要日数について説明します。

EPAの準備にかかる時間は、4週間ほど。

あなたが輸出者の立場であり、EPA貿易をするときは、特定原産地証明書を取得しなければなりません。この書類があることによって、日本で生産された商品であるかを証明できます。

しかし、この証明書を取るためには、原産品判定に関するルールを覚えたり、書類を整えたりする必要があります。かなり、分厚いマニュアルを読み込んだ後、自社が取り扱う商品をルールに沿って証明しなければなりません。それらすべての工程を考えると、企業登録から発行までには、およそ3週間~4週間かかります。これでは、相手国で貨物を留め置くにも限界がありますね。だからこそ、事前の準備が必要になります。

実は、特定原産地証明書の発行は、3つの工程に分かれます。「1.企業登録」「2.原産性判定」「3.特定原産地証明書の発行」です。この内、企業登録だけでも一週間ほどかかりますので、まずはこの企業登録だけを事前に申請されておくことをお勧めします。企業登録は、実際にEPAを使わなくてもできるため、今すぐ、登録しておきましょう。

EPAと社内体制の構築についての見解は?

EPAの社内体制の構築は、各部署間の調整を横断的に行いやすい人が行うのが望ましいです。その上で、次の4つの部門を調整するようにします。EPAの機関的な部門として、新たに「EPA管理部門」を置きます。その部署が中心となり、生産部門、購買部門、営業部門をコントロールするようにします。

部門 概要 主な役割
1.EPA管理部門 EPAを管理するときの中心的な役割を果たします。各部門から必要な資料を取り寄せた上で、特定原産地証明書で必要とする資料を作成していきます。資料を作成した後、発給申請システムなどから申請を行い、自社の商品が原産品であることを証明する作業などを行います。また、常にEPA・FTAなどに関する最新の情報をフォローするようにします。 ・特定原産地証明書の取得で必要な生産資料の取り寄せ
・生産資料から、証明書を取得するときの資料を作成
・日本商工会議所への申請とやり取り
・特定原産地証明書を取得したときの基礎資料の管理
・EPAに関する各種セミナーの受講
・世界の通商政策の把握
・最適なFTAの選定など
・原材料や為替レートの変動により閾値(しきいち)の監視
2.生産部門 生産部門は、商品を生産するときに必要になる人件費、資材費、原材料費などの製造コストを算出していきます。また、あわせて完成品に使われている部材資料などを作成していきます。具体的には、完成品に含まれる原材料や部品リスト、製造工程フロー図などがあります。 ・生産に関する資料の作成

例1:VAルールであれば、生産コストの算出資料、生産に関わる人員数など、生産作業に関する費用を確認するための資料などを作成します。例:その商品を生産するために、人員を何人投入して、それを何時間稼働しているから、○○円の人件費がかかっているなど。

例2:CTCルールであれば、その商品を製造するときの各部材の詳細です。「どんなパーツが使われているのか?」「それは、どこの国から輸入しているのか?」「どこのサプライヤーから入手しているのか?」などをまとめます。一つの完成品を主なパーツに分解した上で、一つ一つのパーツに関する情報を集めていきます。

3.購買部門 社内の完成品に使う部材や原材料の調達に関する資料を取りそろえます。「どこのサプライヤーから買い付けている部材なのか?」を明らかにするために、部材を購入したときの請求書などを整理していきます。 ・原材料・部品の購入に関する資料を取り寄せる

社外などから購入している「原材料や資材」に関する証明書(請求書など)を集めていきます。また、必要であれば、サプライヤー(部品の供給者)に対して「サプライヤー証明書」や「委託生産者証明」の請求をします。

4.営業部門 営業部門は、輸入者などとの調整などを行います。

例えば、輸入者側から「商品〇〇の特定原産地証明書が欲しい」などの依頼が来たら、それをEPA管理部門などに伝えます。EPA部門に伝えた結果、何日くらいに特定原産地証明書が手に入るなどの回答を輸入者に行います。輸入者→営業→EPA管理部門→各部門などの流れで、特定原産地証明書の発行対応を行っていきます。

最近は、輸入者側からも「特定原産地証明書の発行」が当たり前に求められるようになっています。もし、このとき、発行できなければ「輸出者の責任」として、現地税関で負担する関税分を輸出者側で支払うように要求してくることが多いです。そのため、営業部門は、特定原産地証明書の発行状況を考えながら、輸入者側と価格交渉をすることもあります。関連記事:EPAを利用しないことによる弊害

・輸入者側とのやり取りを行います。具体的には、輸入者側に対して「輸入国側の商品のHSコード」を確かめてもらったり、EPA管理部門と協調しながら、先方へ特定原産地証明書を発送できる時期を伝えたりします。また、他社から生産者同意通知などの要望があれば、それをEPA管理部門などに伝えます。

中国や韓国とのFTA状況はどうなっている?

中国や韓国は、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の枠組みで自由貿易圏を予定しています。また、これよりも広い経済構想が「FTAAP」です。

消費税はどうなる?

EPAを利用して免税で輸入した場合でも消費税は支払う義務があります。

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