知識ゼロからの食品の輸入手続き

食品 輸入ビジネス他法令 食品/薬機/植物
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食品を輸入するときは、税関の許可を受けるために、厚生労働省から「食の安全確認」を受けます。税関は、輸入する食品の安全性の確認がとれた後、輸入を許可します。食品に何らかの問題があれば「全量破棄」などの命令を出します。食品の輸入=特別な許可が必要です! そこで、この記事では、食品の輸入手続きに関する基礎知識をご紹介していきます。

食品 輸入ビジネス

  1. 海外の食品を輸入したい!
    1. 食品の輸入に必要な手続きと資格
    2. 食品届とは?
      1. 1.「食品」の定義に当てはまること
      2. 2.商売目的で輸入すること
    3. 食品届が不要なパターン
    4. 食品衛生法 5つのポイントとは?
      1. 1.食品の規格基準に合っていること
        1. 1.添加物とは?
        2. 2.残留農薬とは?
        3. 含まれていると一発アウトな成分例
        4. 3.放射線やカビの混入
      2. 2.検査強化リストにされていないこと
      3. 3.過去に食品衛生上の問題を起こした製造者ではないか?
    5. 食品輸入に関係する機関(申請先)と法律
      1. 食品届の事前申請~食品届出済証の発行
    6. 配送別・食品輸入の手続きをする人
    7. 食品輸入に必要な書類
      1. 誰が書類を用意するの?
      2. 添付する資料の例示
      3. その他、輸入食品届け出と一緒に提出する書類例
    8. 食品検査の種類
      1. 1.命令検査
      2. 2.自主検査(指導検査)
      3. 3.モニタリング検査
      4. 見本持ち出し許可とは?
    9. 検査機関と費用
      1. もし、不合格になると…
    10. 食品を輸入するときの関税率
    11. 実際の検討手順
      1. 1.他法令の確認が必要であるのかを確認
      2. 2.関係する機関に規制、必要書類、手続きを確認
      3. 3.日本側で必要な資料を輸出者(製造者)へ依頼
      4. 4.日本に食品が到着
      5. 5.食品に関する検査が完了したら….
      6. 6.輸入許可
    12. 食品の輸入許可後(販売)
      1. 1.PL保険とは?
      2. 2.食品表示法とは?
      3. 3.特定商取引法
      4. 4.JAS法
      5. 5.景品表示法
    13. よくある疑問
      1. 結局、輸入食品の安全性はどうなの?
      2. 食品を輸入するときの資格や免許はいる?
      3. 輸入代行はしてくれるの?
      4. 相談ができるところはどこ?
      5. メリットとリスクを検討
      6. HUNADEが提供する食品輸入向けのサービス
    14. まとめ

海外の食品を輸入したい!

海外の食品を輸入して日本国内に販売するときは、どのような手続きが必要でしょうか? まずは、食品を輸入するために必要な資格や手続きを確認していきます。

食品の輸入に必要な手続きと資格

特別な品目(酒)を除き、食品を輸入する上で必要な資格はありません。商売目的なのか? 個人使用目的なのか? の線引きをすることで、誰でも輸入はできます。商売目的とは、輸入した食品により一円でも利益を上げる行為。一方、個人使用目的とは、有償・無償問わず、ご自身だけが楽しむ輸入です。この違いにより、食品衛生法の扱いが変わります。

あなたの輸入は、商売目的? 個人使用目的ですか?

この記事は、商売目的での輸入を前提にします。

食品輸入手続きは…..

  1. 海外の食品製造者から必要な書類(原料表など)を仕入れて、
  2. 日本側の輸入地を管轄する食品検疫所に上記の書類と食品届を提出し、
  3. その後、食品検疫所の確認が済んだから、税関からの輸入許可がおりる。

という流れを辿ります。以降の文章でこれらの詳しい説明をしていきます。

食品検疫所の確認が終わる(許可が出る)→税関の許可がでる→荷物を引き取れる。

食品届とは?

食品届とは、輸入者(貨物を輸入する人=関税法95条の税関事務管理人は対象外)が各地の食品検疫所に対して申請することです。具体的には「私は○○国から○○を○○個輸入。日本で禁止されている食品添加物も含まれておらず安全です。そのため、税関の輸入許可を受けるために「確認」をお願いします!」と、書類上で伝えます。=他法令の確認)食品を輸入するときは、検疫所からこの「他法令の確認」を受けた後、税関から輸入許可を受けます。

ただし、食品を輸入するといっても、必ずこの「他法令の確認(食品届)」が必要になるわけではありません。以下の2つの観点により、食品届が必要であるのかが変わります。

  1. 輸入する食品が食品衛生法上の「食品」の定義に当てはまること
  2. 商売目的で輸入すること(不特定多数の方に無償で配ることも該当)

1.「食品」の定義に当てはまること

食品衛生法でいう食品とは、次の内のいずれかに当てはまる物と定義されています。

食品衛生法の対象意味
すべての食べ物口に入れるすべての食べ物を指します。ただし、医薬品、医療機器、有効性及び安全性の確保等に関する法律に含まれる物は除外される
添加物食品を製造・加工をするときに添加する物
器具飲食物を入れる器。又は製造、加工、運搬、保管、陳列などをするときに食品に触れる可能性があるすべての器具や機械。(除外:農業・水産業における食品の採取の用器具)
容器包装食品・添加物を入れ、又は包んでいる物。
おもちゃ食品衛生法第62条第一項に規定する物
1.乳幼児が口に入れる可能性がある物→ぬいぐるみなど
2.乳幼児用アクセサリー、ブロックがん具、ボール、ままごと用具、知育がん具、つみき、電話がん具、人形、うつし絵、起き上がり、おめん、折り紙、がらがら、動物がん具、人形、粘度、乗り物がん具、風船、粘土など
食品衛生法の規制を受けるかは、商品の表示方法、デザイン、包装、売り場のポップなど総合的に判断される点がポイント

2.商売目的で輸入すること

上記の食品に該当するときでも輸入目的が「個人使用」のときは、規制の対象外です。食品衛生法は、商売目的で輸入するときに適用される点が非常に大きなポイントです。ちなみに、個人使用とは、自分自身で食べるために輸入することです。これ以外のすべての行為は、個人使用には当てはまらないため注意しましょう。

例えば、無償で知人にあげる。友達と共同で輸入する、不特定多数の人に無料・有料で配布などは、個人使用目的の輸入から逸脱する行為です。詳しくは、個人使用とは?をご覧ください。

食品届が不要なパターン

食品届が不要なケースは……既述の商売目的での輸入でないこと。食品の定義を満たさない他、次の貨物は食品届の対象外とされています。

  1. 乳幼児以外を対象とするおもちゃ
  2. 添加物、器具、容器包装、おもちゃの「原材料」
  3. 食品衛生法4条の器具及び容器包装に該当しない機械、器具、容器
  4. 食品として販売しないことが明らかな食品
  5. 例1.個人用、試験研究、社内検討、展示用、サンプル品
  6. 例2.10キロ以下の食品
  7. 例3.輸入された全量が再輸出される物
  8. 例4.医薬品、医薬部外品
  9. 例5.輸入貿易管理令別表1に規定された食品
  10. 原塩(食用でない岩塩)、食用油脂(製造工程を経ることが前提)、コプラ、粗糖、粗留アルコール(製造用)、糖蜜、麦芽、ホップ
食品届が不要なとき→「確認願い」を提出する。

食品衛生法 5つのポイントとは?

輸入する食品が食品衛生法の規制を受けるのかは「食品の定義に当てはまる」「商売目的で輸入する」の2つで決まります。このうち、食品の定義には「食品・添加物・器具、容器包装・乳児用のおもちゃ」などが含まれます。ここから先は、食品衛生法上、重要な観点を詳しく説明していきます。

食品衛生法上、重要になる点は……

  1. 食品の規格基準にあっていること
  2. 厚生省の監視強化リストに入っていないこと
  3. 食品を製造した人が、過去に衛生上の問題を犯していないこと。

それぞれを詳しく説明していきます。

1.食品の規格基準に合っていること

食品を輸入するときは、食品衛生法を守る義務があります。食品衛生法の中でも、重要になるのが「食品・添加物の規格基準」です。食品添加物の規格基準とは、対象の食品が「食品としての規格を満たすのか?」です。

例えば、輸入食品は…

  1. どのような加工をしていれば良いのか?
  2. どのような保存をしていれば良いのか?
  3. 各数値は、何以下であればいいのか?

などを細かい基準と取り決めています。また、規格基準には、大きくわけると次の2つがあります。

  1. 一般の成分規格
  2. 個別成分規格

一般の成分規格は、食品全般にかかる規格基準のことです。一方、個別規格とは、それらの一般から、具体的な品名ごとに定めている規格です。具体的には、氷菓、食肉及び鯨肉、生食用食肉、食鳥卵などがあります。つまり、個別の規格基準が定められている食品は、その個別規格を守ります。それ以外の食品については、一般の成分規格を守ります。

個別規格

では、この一般成分規格と個別成分規格は、次の3つがポイントです。

  1. 添加物
  2. 残留農薬
  3. 放射線やカビ混入
1.添加物とは?

日本には、加工食品などの中に入れても良い添加物と、入れてはいけない添加物の2つがあります。外国では認められている添加物でも日本では禁止されている物があるため注意が必要です。輸入食品には、日本で禁止されている添加物を含まないことが絶対的な条件です。(量に関わらず、禁止添加物を含む=輸入禁止)

また、あわせて「医薬成分が含まれないこと」も重要な点です。日本では、食薬区分と呼ばれるリストを用いて、食べ物と医薬の分けれ目を定めています。一見すると、単なる食べ物でも、食薬区分に含まれている成分を含むだけで、医薬品の扱いになり、薬機法の規制を受けます。=事実上、輸入ができなくなる。

関連ページ:厚生省の食品添加物

重要チェックポイント

  • 日本で禁止になっている添加物は含まれていないか?
  • 食薬区分リストに含まれる成分は含まれていないか?
2.残留農薬とは?

輸入する食品には「日本で禁止されている農薬成分が含まれないのか?」「日本で認めている農薬成分が規定の数値以下であるのか?」が問われます。基本的には、残留農薬には、一発でアウトになる禁止農薬と、規定の数値以下であれば問題ない農薬に大別されます。残留農薬は、すべて「ポジティブリスト」の中に規定されています。

含まれていると一発アウトな成分例
  • 2,4,5-T
  • イプロニダゾール(平成29年2月23日告示)
  • オラキンドックス(平成27年2月20日告示)
  • カプタホール
  • カルバドックス
  • クマホス
  • クロラムフェニコール
  • クロルプロマジン
  • クロルスロン(平成27年9月18日告示)
  • ジエチルスチルベストロール
  • ジメトリダゾール
  • ダミノジッド
  • ニトロフラゾン
  • ニトロフラントイン
  • フラゾリドン
  • フラルタドン
  • プロファム
  • マラカイトグリーン
  • メトロニダゾール
  • ロニダゾール

一律、0.01ppmです。これを超えると、輸入禁止扱いです。

3.放射線やカビの混入

福島第一原発での事故をきっかけに、食品の中に含まれる放射線量の基準が設けられました。具体的には、食品ごとに次のような基準があります。

食品例基準値
ミネラルウォーター類(水のみを原料とする清涼飲料水をいう。)10Bq/kg
原料に茶を含む清涼飲料水
飲用に供する茶
乳児の食品50Bq/kg
上記以外の食品 (乳等を除く。)100Bq/kg

2.検査強化リストにされていないこと

厚生省は、日本に初めて輸入される食品や、過去の食品検査において食品衛生法を違反している可能性が高い物について、輸入の監視強化をしています。食品を輸入するときは「監視強化対象の国または、商品ではないのか?」なども確認します。もし、監視対象になっていると、命令検査が輸入の都度必要になったり、モニタリング検査にあったりする可能性が高いです。

監視強化対象になっている食品は「輸入食品監視指導計画」の中で詳しく紹介されています。

輸入する食品は、検査強化リストに含まれていないか?

3.過去に食品衛生上の問題を起こした製造者ではないか?

食品検疫所は、過去の輸入データをすべて記録しています。そのため「この製造者の食品は、食品衛生法に違反している可能性が高い」ことを把握しています。仮にその監視対象の製造者が作った食品を輸入しようとすると、後述する命令検査やモニタリング検査に当たりやすくなります。外国から食品を輸入するときは「誰が製造しているのか?」も重要です。

違反情報の把握は、厚生省の違反事例発表のページで確認できます。

あなたの輸入する食品の製造者は大丈夫?問題が多い製造者の食品は監視が強化されている。

食品輸入に関係する機関(申請先)と法律

日本へ食品を輸入するときは、税関とは別に、食品検疫所、植物防疫所、動物検疫所などの機関から確認を受けます。(他法令の確認)税関は、輸入者が他法令の確認を受けたことがわかると輸入許可を出します。この手続きは、輸入する物が単なる食べ物なのか? お肉なのか? 植物なのか?によっても申請先がかわります。

例えば、お肉の関連製品を輸入するときは、食品検疫所に加えて、家畜伝染病予防法の観点から動物検疫所に確認を受けます。果物であれば、食品検疫所と植物検疫所から確認を受けます。輸入する食品によって申請先が違う。または複数になると覚えておきましょう!【他法令の確認】輸出/輸入するときに関係する法律

機関名(公的機関)役割根拠法
税関関税に関する徴収関税法
食品検疫所(厚生省)食品の安全性の審査食品衛生法
植物検疫所(農林水産法)病害虫に関する審査植物防疫法・家畜伝染病予防法

食品届の申請は、輸入地を管轄する食品検疫所に行います。食品届などの必要書類を作成後、事前相談を経て輸入に望みます。食品届けのひな形は、食品検疫所のサイト内にあります。ご自身で申請するときは、食品検疫所のサイトからひな形をダウンロードして提出してください。もし、食品届を通関業者などに任せるときは、食品届の記入は不要です。業者が持っている「ファインズ」と呼ばれる端末から電子申請ができるからです。

食品届(その他の他法令も)等は、必ず自分でするの?→通関業者が代理で提供しています。その場合は、通関手数料の他、一件5000円~10000円の食品届代行料などを請求されます。

食品届の事前申請~食品届出済証の発行

食品届は、貨物到着の7日前から事前に提出ができます。わからない点があれば「事前輸入相談」などを活用して、できるだけ事前に簡易チェックを受けた方が良いです。実際に貨物が到着してからの手続きをすると、万が一のトラブルの際に大きな痛手を負います。食品検疫所は、輸入者から提出された食品届や関連資料に目を通して、輸入を認めるのか判断します。このとき、書類上では判断が難しいときに、食品検査を行います。

実地検査になったときは、輸入者が費用を負担して、食品検疫所の指定検査機関に成分分析(後述)をお願いします。この成分分析の結果は、食品検査機関から食品検疫所に通知されます。通知された内容に問題がなければ、食品検疫所から「食品輸入の届け出済証」が発行されます。輸入者は、この発行された食品輸入届出済証を税関へ提出します。

税関は、この食品輸入届出済を受けとると、関税徴収に関する審査が終わった段階で「輸入許可」を出します。これが食品届の提出~税関が輸入許可を出すまでの全体的な流れです。

食品輸入の流れ

食品届の提出から輸入許可までの流れ

1.税関へ輸入申告+食品検疫所へ食品届の提出
2.食品検疫所の審査を受けます。必要があれば現物調査
3.現物調査になったら、輸入者の負担で分析機関で成分を分析
4.成分分析の結果は、食品検疫所へ通知される。
5.分析通知の結果、食品の安全性が確認されたら、届け出済証が発行される。
6.輸入者は、食品検疫所が発行する届け出済証を税関へ提出
7.税関は、届け出済証の確認+関税徴収に関する審査が終わると、輸入許可を出す。

配送別・食品輸入の手続きをする人

海外から食品を輸入するときは、様々な輸送方法があります。大きく分けると、国際郵便(宅配便)のドアツードア配送(玄関先まで配送する輸送)と、海上コンテナを使った大口配送(日本の港までの輸送)です。一般的には、商業目的で輸入するときは、コンテナ配送を使います。一方、個人目的の輸入は、国際郵便や国際宅配便などを利用します。それぞれの特徴は、以下の通りです。(商業ベースでも小包を使う場合はあります。)

輸入方法通関手続きをする人主な特徴
一般的な輸送(FCL、LCLなど)基本は通関業者(個人でも可能)○○港までや〇〇空港までという輸送方法です。貿易条件によりますが、基本的には個人宅に配送するわけではありません。

輸入価格の合計が20万円以上のときに利用する輸送方法です。海上、航空ともに温度管理されたコンテナにより輸送します。

大量の貨物を運ぶときは、船便。少数、かつ販売単価を高くできる物は航空輸送を選びます。

食品の輸入届は、通関業者経由で行うことが基本です。ただし、後述する輸入届出に必要な資料は、輸入者が用意します。

国際宅配便、国際郵便国際宅配会社に所属する職員、日本郵便の職員と税関職員個人宅に配送する貿易条件(DDUまたはDDP)を基本とします。

配送重量に制限はなく、お金さえ支払えば、どれだけでも輸送してくれます。ただし、一般輸送に比べると、商品価格に占める輸送料が高くなりがちです。

国際郵便は、全国各地にある外郵便において、税関職員により審査が行われます。国際郵便による重量は、上限30キロまでです。

食品の輸入届は、追加の料金を支払うことにより、宅配会社の職員が行ってくれます。(業者によっては受けてくれないことも多い)ただし、後述する輸入届出に必要な資料は、輸入者が用意します。

食品輸入に必要な書類

外国の食品を輸入するときは、食品届と、上記で説明した1~3の観点を説明する資料を用意します。もちろん、必要になる書類は「どんな食品を輸入するのか?」によっても異なります。一般的な事例で説明すると、加工食品を輸入するときは、次の資料が必要です。(1~3は必須、4以降の書類については、輸入する食品によって必要かどうかが変わります。)

書類の名前書類に記載する内容
1.食品届輸入する食品を申請するために必ず提出する書類です。
2.原材料表(成分表)原材料・添加物を含めてすべてリスト化します。仮に香料が含まれているときは「何の香料なのか?」まで説明します。また、原材料の一部の中に、加工品があるときは、その加工品の原材料一覧も作成する必要があります。つまり、親>>子>>孫のように、含まれるすべての原材料を記載します。
3.製造工程表原材料をどのような工程を経て製品化(パック化まで)するのかを示す書類です。例えば、コーヒー豆であるなら、コーヒーの採取から、焙煎、最後のパックまでの一連の流れを書面にします。ちなみに、単なるコーヒー豆であれば、食品衛生法の対象外です。
4.商品説明書商品について説明しているパンフレットなど
5.衛生証明書フグ等、一部の商品を輸入するときに必要
6.食品等試験成績書個別規格が定められている食品を輸入するときに必要です。

誰が書類を用意するの?

原材料表、製造工程表、商品説明書、衛生証明書などは、すべて輸出者に用意してもらう書類です。つまり、輸入者であるあなたが食品を仕入れるときは、輸出者に対して「日本側で必要になる書類を用意してくれるのか?」をあらかじめ確認しておきます。また、輸出者に原材料表や製造工程表を作成してもらうときは、次のポイントがあります。

すべての書類のレターヘッドに、製造者・包装者の名前と所在地、会社名または工場名などを英語で記載してもらいます。レターヘッドとは、外国の書類で一般的である「書類上部に記載する部分」のことを言います。この書類の作成を輸出者にお願いします。

しかし、実際の所、何らかの理由によって、製造工程表や原材料表などの書類を入手できないこともあります。そのときは、輸出者などから十分に情報を仕入れた後(裏付け資料を取り寄せるなど)日本側で作成することも認められています。ただし、輸入者側が作成したときは、その旨がわかるように、輸入者の氏名、社印などを合わせて書類中に記載します。

添付する資料の例示

輸入する食品が……

ケース例必要書類
生鮮食品の場合(肉・野菜・魚介類など)・輸出者と包装者のそれぞれの情報(社名、住所、加工地、生産地など)

・添加物を使っている商品の内容を説明する資料

・必要に応じて輸出国側で発行される衛生証明書など

加工食品の場合(レトルト製品、お菓子などを含む)・製造者に関する情報(社名、所在地、製造場所)などを確認できる資料

・原材料表(添加物等を含めてすべての材料を一覧化)

・製造工程表(製品が出来上がるまでの流れを書いた図)

・個別規格が定められている食品は、試験成績書

その他、輸入食品届け出と一緒に提出する書類例

対象品目等添付書類
「獣畜(牛、馬、豚、めん羊、山羊、水牛)」及び「家きん(鶏、あひる、七面鳥)」の肉及び臓器並びにこれを原料とした食肉製品輸出国政府機関の衛生証明書
ふぐ輸出国公的機関の魚種及び採取海域等に関する衛生証明書
シアン化合物含有雑豆誓約書
タール色素製品検査申請書
輸出国公的検査機関の検査を受けたもの「輸出国公的検査機関リスト」収載機関の検査成績書
加工食品等で初めて輸入されるもの製造者名の記載された商品説明、又は輸入者が確認の上作成した書類
同一食品等の継続輸入1年以内に実施した登録検査機関の自主検査成績書又は行政検査に合格した際の輸入届出書の写し
生食用カキ輸出国政府機関の衛生証明書
ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、韓国、カナダ、アイルランド
牛肉加工品等(BSE病関係)牛肉加工品等の牛由来の原材料の原産国に係る報告(ゼラチン含む)

引用:公益財団法人 日本輸入食品安全推進協会

これで食品検疫所に提出する書類の用意が完了しました。それでは、いよいよ食品検疫所に食品届と関連資料を提出します。食品届は、食品を輸入する七日前から提出できます。なるべく早く許可等を欲しいときは、7日前からの事前届け出制度を活用することをお勧めします。

食品検疫所は「輸入する国、食品、初回輸入か?、監視強化商品か?」など、様々な観点から「書類審査だけで良いのか?」「検査をして現物を確認した方が良いのか?」を判断していきます。この判断の結果、現物検査をすることになったら、輸入者は食品検査を受けなければなりません。

食品検査は、法律で決められている強制的な検査であるため、輸入者は、これを拒むことはできません。また、検査費用についても、モニタリング検査以外は、すべて輸入者の費用負担で行うことになっています。つまり、あらかじめ、これらの検査費用も輸入原価に含めておくことが賢明といえます。

食品検査の種類

食品検査には、次の3つの検査があります。

  1. 命令検査
  2. 自主検査(指導検査)
  3. モニタリング検査

命令検査や自主検査は、貨物を港に留め置いたまま受けます。モニタリング検査は、国が統計上のデータを取得する目的で行うため、港に貨物を留め置いて試験結果を待つ必要はありません。ただし、何らかの悪い結果がでると、市中に出した製品をすべて回収する必要があるため、リスク的なことを考えて留め置くことが一般的です。以下は検査の種類です。

1.命令検査

日本に輸入したときに「違反率が高い食品について定めている検査」です。命令検査に指定されている物を輸入するときは、輸入の度に必ず検査を受けなければなりません。これは、輸入者が過去にどれだけの実績があったとしても関係ありません。検査をするかの判断基準は「命令検査対象の貨物であるか」の一点だけです。ここに入っていれば、必ず検査対象です。

この事実を踏まえると、まずは輸入する物が命令検査にあたる貨物であるかを確認する必要があります。もし、命令検査の対象貨物である場合は「検査費用を支払っても」ビジネスとして成立するのかを考えてください。命令検査に指定されている貨物は「全量破棄命令」が下されるリスクも大きいと言えます。

2.自主検査(指導検査)

初回に輸入する場合や、ある一定の頻度につき、食品検疫所から「貨物の検査をするように指導」されます。指導と書いてありますが、強制だと考えてください。自主検査を行う場合は、次の二つの方法があります。「1.本貨物による検査」「2.外国検査機関による検査」です。いずかの方法で検査を行い「検査成績書」を入手します。輸入者は、この検査成績書を提出することによって、次回以降、同じ食品を輸入するさいに、検査成績書を提出すれば、食品審査が緩和されます。

3.モニタリング検査

これは、日本へ輸入されている食品の情報を国が把握するために、スポット的な検査をするものです。他の2つの検査のように貨物を留める力はありませんので、仮にモニタリング検査になったとしても、そのまま貨物を日本の国内市場へ流すこともできます。ただし「モニタリング検査になったら、貨物を留めておいた方が良い理由」で説明することになりかねないため、試験結果前の貨物の搬出は、おやめになった方がいいです。

根拠法:食品衛生法28条

見本持ち出し許可とは?

食品検査に関連する仕組みとしては、見本持ち出し許可申請があります。これは、すでに日本の保税地域に保管されている貨物(輸入許可前)を分析検査等をするために、輸入許可前に持ち出す仕組みです。(許可を受けず持ち出すと不正輸入となり、外為法違反)通関業者に依頼して、税関に対して見本持ち出し許可の申請をしてもらいます。審査の結果、見本持ち出し許可になれば、分析検査の担当者が貨物をピックアップして、分析センターに持ち帰り成分検査をします。

検査機関と費用

仮に上記の1~3の検査に当たったとすると、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか? モニタリング検査は、無料でできます。国が統計データを取得する目的のため、その費用までを輸入者が負担する必要はないからです。輸入者が負担する検査は、命令検査または、自主検査のどちらかの検査です。

どちらの場合も検査自体は、食品検疫所がするのではなく、食品検疫所から認定を受けている分析業者が行います。検査費用は、検査する貨物と、検査項目によって異なります。もし、食品検査になったときは、分析業者へ依頼をして、必要な費用を聞く形です。ちなみに、この食品検査は、通関業者経由で頼むと、マージンをのせられる可能性があるため、ご自身で指定されることをお勧めします。

食品検査機関に電話をして「〇〇の国から、○○という商品を輸入したら、●●検査になった」と伝えれば、必要な費用などを教えてくれます。通関手続きを業者に依頼するなら、見本持ち出し許可などの手続きに関して、自分が手配した食品検査機関と連絡を取り合うように伝えます。そして、食品分析代金の請求書は、通関業者経由ではなく、あなたの会社へ直接請求してもらうようにします。これで無駄なマージンを防げます。

無事に食品に関する検査が終わると、登録検査機関から食品検疫所に試験結果が送信されます。食品検疫所は、この試験結果が食品の規格基準に適合していれば、食品届け出済証を発行して、食品届を終えていることを証明してくれます。あとは、この書類を税関に提出すれば、他法令の確認(食品届)ができ、輸入許可に至ります。

参考情報:
・お肉を輸入するさいの自主検査は、一件当たり2万円~5万円
・日本食品分析センターさんなどは、この検査費用をざっくりとホームページで公開しています。

もし、不合格になると…

食品の検査を受けた結果、食品衛生法の基準を満たさない場合は、どのようになるのでしょうか。大きく分けると、次の三つの内、いずれかを選択します。

  1. 積戻し又は破棄すること
  2. 食用以外の用途に使用すること
  3. 保税中に処理加工をして、食品衛生法上、適法な物にすること

積戻しとは、輸出国にそのまま返送すること。破棄とは、食品を「ゴミ」として処分することです。(専門の業者による処分)その他、食品衛生法上の要件に合致するように加工する等の方法もございますが、かけられるコストと時間などの関係から「全量破棄」をする場合が多いです。つまり、食品を輸入する場合の最悪のパターンは「商品代金+船賃+破棄代金」の負担です。

食品を輸入するときの関税率

食品を輸入するときに忘れてはならないのが高い関税率です。基本的に、日本は、工業製品には低い関税をかける一方、食品系には高い関税率を課していることが多いです。そのため、輸入するときに、この関税率の部分まで考えてコスト計算しないと、利益がすべて吹っ飛ぶ可能性があります。もし、高い関税利率を回避したければ、合法的に削減できる方法がいくつかあります。

例えば、特恵関税や特別特恵などがあります。経済的に恵まれていない国の産品には、有利な関税率を設定して、経済発展を後押ししています。特に特別特恵が適用される国の産品は、ほとんどが無税扱いであるため、要注目です。その他、最近の流れがであるEPA(自由貿易)も関税削減に大きな力があります。

2020年現在、日本は以下の国々とEPAを結んでいます。これらの国で作られた食品については特別な関税率が設定されているため、ぜひ、この制度を活かして輸入することをお勧めします。詳しくは、EPA貿易入門の記事をご覧ください。

2020年3月現在のEPA締約国一覧
シンガポールマレーシアタイインドネシアブルネイ
アセアン全体フィリピンベトナムインドモンゴル
オーストラリアメキシコチリペルースイス
CPTPP(TPP11)日欧EPA日米貿易協定
今後増えるかもしれない!?
カナダニュージーランドRCEPFTAAP

実際の検討手順

食品を輸入するにあたり、最低限必要になる知識をお伝えしてきました。ここから先は、実際に食品を輸入するときの手順をご紹介していきます。以下の観点で検討すると、通関上の手続きがスムーズにいきます。

  1. 他法令の確認が必要なのか?
  2. 関係する食品検疫所や植物検疫所に規制、必要書類、手続きを確認
  3. 日本側で必要な資料を輸出者(製造者)へ依頼します。
  4. 実際に商品を輸入します。貨物が到着したら自主検査へ
  5. 自主検査の結果がでたら、食品輸入届を提出します。
  6. 輸入許可

1.他法令の確認が必要であるのかを確認

食品を輸入すると決めたら、それにはどのような法律が適用されるのかを把握しましょう。【他法令の確認】輸出/輸入するときに関係する法律

2.関係する機関に規制、必要書類、手続きを確認

輸入する貨物が到着する地を管轄する食品検疫所などに必要書類や手続きの流れを確認します。このとき、次のようなことを整理して伝えると良いです。

・どこの国から何を輸入するのか?
・それは、どのような加工がされているのか?

この2つの情報を伝えて、まずは「食品検疫が必要な食品なのか?」を確認して下さい。また、このとき、あわせて命令検査の対象になっているのか?も確認しておきましょう!もし、食品届が必要であると言われたら、何の書類が必要になるのかを聞きます。

3.日本側で必要な資料を輸出者(製造者)へ依頼

2で必要だと分かった資料を輸出者側へ伝えます。もし、どうしても輸出者側で作成できないのであれば、輸入者側で作成します。ただし、作成するときは、しっかりとした情報のリサーチが必要です。 必要な資料例:Food Production Flow Chart、Ingredient list

Food Production Flow Chartの例

Food Production Flow Chart

Ingredient listの例

Ingredient list

4.日本に食品が到着

日本に食品が到着します。一般貨物であれば、到着の七日前から食品届を提出しておくことができます。食品検疫所に食品届を提出した結果、食品検査になったときは、指定分析機関で食品分析をしてもらいます。

5.食品に関する検査が完了したら….

4の検査を終えると、食品成績書が発行されます。この書類を食品検疫所に提出して問題がなければ、食品届はクリアします。税関に提出するための食品届け出済証が発行されます。

6.輸入許可

輸入者は、5で発行された食品届出済証を税関に提出します。すでに税関審査が終わっていれば、食品は、輸入許可です。

食品の輸入許可後(販売)

食品の輸入許可が下りると、いよいよ輸入食品を国内販売できます。ただし、この国内販売をするときは、次の4つの点に注意します。

  1. PL保険
  2. 食品表示法
  3. 特定商取引法
  4. JAS法
  5. 景品表示法

1.PL保険とは?

商品の販売によって、誰かにケガや病気にさせてしまったときは、その商品を製造した人に責任がいきます。これは「製造物責任法」通称、PL法と言います。実は、輸入食品にもこのPL法の考え方が適用されます。つまり、輸入食品を食べたことにより、何らかの被害が発生したときは、その被害補償は、輸入者がすべてを追わなければならないという考えです。

例えば、あらためてよく分析したら、日本には認められていない添加物などが発見されたなどがあります。このようなときは、市場に流した食品を全量回収する命令が出される可能性があります。回収にかかる費用、返金保証など、とても大きなお金がかかることは、誰が考えてもわかります。そのため、この部分については、必ずリスクを小さくすることを考えておく必要があります。その具体的な方法が「PL保険」です。

「PL保険」輸入した商品の責任は誰にある?

PL保険に加入していれば、輸入した貨物から発生する諸問題を補償の対象にしてくれます。万が一のときに、とても役立つため、かならずPL保険を検討するようにしましょう!

2.食品表示法とは?

輸入した食品を販売するときは、商品の内容、原材料、原産国などの情報が「日本人でも簡単に理解できる」ように示しておく必要があります。とても簡単にいうと、商品を説明する資料や商品に貼るラベルをしっかりと日本語で作成することが求められています。ラベルの中で説明する内容は、それが小売り用なのか? それとも卸売り用なのか? によっても異なってきます。詳しい内容は「消費庁」のサイトをご覧ください。

3.特定商取引法

インターネットで商品を販売するときは、販売者に関する情報(販売責任者名、住所、氏名、電話番号など)をすべて公開する必要があります。

4.JAS法

主に農林水産物を販売するときに守るべき法律です。この中には「オーガニック」「有機」などの表示は、一部の認定者しか使うことができない などの細かいルールがあるため、気になる方は、一度、詳しく調べられることをお勧めします。

5.景品表示法

商品やサービスの内容について、実際の物より、著しく誇大に見せかけて消費者を欺くことを防止する法律です。

例えば「飲むだけで〇〇キロ痩せる!」の表現は、典型的な違反例です。この場合は「痩せる~」と表現しているため、効果・効能をうたうことを禁止する「薬機法」にも違反しています。

よくある疑問

結局、輸入食品の安全性はどうなの?

日本に輸入される食品の内、実際に検査されているのは、10%以下だと言われています。また、検査をする食品検疫所のスタッフは、全国で400名程しかいません。この2つの事実を考えると、安全かどうかは、何となく推測ができますね。

食品を輸入するときの資格や免許はいる?

食品を輸入するだけでは、特に免許等は不要です。(お酒は別)輸入した商品を国内で販売するときに免許が必要な食品があります。

例えば、食肉や乳製品、鮮魚などがあります。これらの製品は、各市町村の保健所から販売許可を受ける必要があります。

セロから覚えるお酒の輸入ビジネス

輸入代行はしてくれるの?

食品の輸入代行は少ないです。食品は、色々とリスクが高い商品です。先ほども述べた通り、輸入食品に関する責任は輸入者にあります。したがって、代行という形をとると、その輸入した商品について責任を取らなければならないからです。そもそも輸入代行は、素人が片手間で行っている可能性が高いです。そのような方たちには、食品系を手を出すのは難しいと思います。

相談ができるところはどこ?

各地にある食品検疫所、ミプロなどでも相談できます。

メリットとリスクを検討

ご自身で食品を輸入できれば、商売の幅がぐっと広がります。すでに述べている通り、食品に含まれる物は、食べ物だけではなく、口にくわえる、含める可能性がある器具等も含まれます。

例えば、食器などもその対象です。食品届を必要とする商材を扱うことによって、誰でも輸入ができる商品を扱うよりも、参入障壁を高くできます。そのため、もしかすると、少数の人しか手を付けていない輸入分野を発見することになるかもしれません。これがメリットです。

逆にデメリットやリスクといえば「全量破棄」です。食品衛生法で決められている「食品の規格基準」に合わない商品は、輸入ができません。もし、日本の港まで持ってきてしまったら、輸入商品の破棄はもちろんのこと、送料なども含めてすべてが損失です。これが食品を扱う上での最大のリスクです。

輸入食品の安全性 自由貿易(FTA)時代に知るべきこと
食品を輸入するときに食品検疫所にチェックされるポイント
食品の輸入通関には、どんな費用(検査料)がかかるのか?

HUNADEが提供する食品輸入向けのサービス

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「EPA/対比表の作成支援」化粧品・食品のHSコード特定サービス

まとめ

海外の食品を輸入する場合の手続きをお伝えしてきました。商売目的で輸入する場合、厚生省へ「食品輸入届」を提出して、その確認を受けます。これを税関が確認すると、輸入許可に至る仕組みです。食品に関する税関の許可は、厚生省や農林水産省からの確認を受けた上で出されることを覚えておきます。また、食品の輸入許可を受けるにあたり重要なことは「食品検査」です。

この検査には、命令検査、自主検査、サンプリング検査の3種類があります。どの検査になったとしても、食品の安全性基準に問題があると判断されると「全量破棄」などの厳しい命令が下されます。食品を輸入する人は、最悪なケースとしてこのようなリスクもあると考えておくべきです。

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