落花生を輸入するときの関税 1kgあたりの輸入価格は?

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花が落ちてから実をつける「落花生」は、そのまま実を食べることはもちろんのこと、油まで取ることができる優れた農産品です。他のナッツ類と合わせたピーナッツの詰め合わせセットは、おつまみなどにも最適です。落花生といえば、高関税で有名な「こんにゃく芋」と同じように、高い税金ががかかることでも有名です。このような高い関税によって、外国産の落花生の輸入は極めて厳しいものだと予測できます。

私が調べた限りにおいては、2015年度に東南アジアの国々から落花生が輸入された実績はゼロでした。農産物の輸出を得意とする国々からの輸入量が「ゼロ」であることは、落花生がきわめて「特別」な品目になっていることがわかります。

落花生は、WTO協定税率(世界貿易機関に加盟する国にかかる関税率)、関税割当(一定の数量のみに対して低率の関税を適用する制度)、EPA税率(経済連携による優遇)などが細かく規定されています。数ある品目の中でも特に複雑な関税形体となります。

この記事では、落花生のどのような点で特殊なのか、仮に落花生を日本に輸入する場合、どのような関税がかかるのかを説明します。

落花生の関税

外国の落花生を日本へ輸入するときは、他の農産品よりも特別に高い関税を支払わなければなりません。なんと落花生1キロ当たり617円の関税がかかります。一般的に関税は、商品価格に対して課税されます。しかし、落花生は「重量」に対して課税されることもあるため、より負担が重い税金となっています。

例えば、シンガポールで1キロ100円の落花生1kg購入したとします。この場合、落花生の重さは1キロ、価格は100円となります。仮に落花生の価格に対して5%や10%の関税がかかるのであれば、5円や10円の関税を納めれば良いことになります。これが従税です。落花生の場合、既定の数量以内について導入される方式です。

一方、既定の数量以上輸入される場合は、課税の対象が「重さ」になります。上記の1キロ、100円の商品価格であれば「617円の税金」がかかることになります。これが「従税」となります。このように落花生の課税対象は、変化することがポイントです。

仮にすべて従量税であれば、落花生の輸入ビジネスは、成り立たなくなります。なぜなら、いくら現地で安い商品を見つけたとししても価格とは関係なし課税されてしまうからです。しかし、日本も食料自給率が高いわけではないため、全く外国産の物に頼らなければ価格が高騰することになります。そこで「関税割当(かんぜいわりあて)」という仕組みを導入しています。

関税割り当ては、ある一定の輸入数量までを通常より安い関税にして、一定以上になると高額な関税に戻す仕組みのことを言います。

例えば、100円のボールぺンがあるとします。ボールペンには、20%という高額な関税がかけられています。しかし、年間で10本までなら5%の関税にするという「関税割当」が設定されています。この場合、10本のボールペンまでは、5円の関税がかかります。11本目からは、20円の一般関税に「戻る」ということになります。

今、あえて戻ると表現をしました。これは、通常であれば落花生の関税は高い物であるけれど、それを「暫定的(りんじ)」に引き下げていることを意味しています。あくまで高い関税が基本となり、低い関税は「特別な開放」という位置づけになります。

このような「関税割当」の仕組みが落花生にも導入されています。もし、海外から落花生を輸入する場合は、まずは、この関税割り当ての基準をしっかりと把握することがポイントとなります。

 落花生の輸入は、勧説割当が設定されています。ここで設定する数量以下は低率で輸入ができます。超えると一気に高関税になります。

現状の輸入落花生の輸出国ランキングと輸入価格の相場

落花生の関税について詳しく説明する前に、現状の輸入落花生に関する状況を紹介します。この輸入状況と、後述の関税率などを総合的に考えて、落花生を輸入するかを決められると良いです。

落花生の輸出国一覧

中国とアメリカが多数を占めています。

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輸入落花生の相場

輸入落花生の輸出国と1キログラム当たりの価格は、次の通りとなります。この価格は、日本の港へつけるまでの輸入原価となります。輸入落花生の相場観と仕入れ先の情報の参考にしてください。

中華人民共和国 281円 インド 194円 アメリカ 191円 ブラジル 184円
パラグアイ 167円 アルゼンチン 177円 南アフリカ共和国 195円 オーストラリア 276円

関税割り当ての上限は達しているのか

2015年度の情報によると、30984トンが輸入されました。これは、上限(75000トン)のおよそ41%の量になります。そのため、関税上限額には、未だかなりの余裕があることがわかります。したがって、暫定税率の10%で輸入できると考えても問題はありません。(関税割り当ての申請が必要です。)

落花生の関税ポイント

落花生を輸入するときに支払う関税は、以下の要素で決まります。輸入申告をするさいには、以下のポイントを整理しておく必要があります。

輸入する国 煎っているのか 殻付きか 砂糖を加えているか
他のナッツと混合しているのか 食用 幡種用 採油用

これら5つのポイントと3つの利用目的が関税が決定するポイントです。これらの要素によって、あなたが支払うべき関税がかわります。上記の中でも特に大切になる要素は、以下の二つです。

1.輸入する国は、どこなのか

煎っている、煎っていない、利用目的に関わらず、落花生の輸入は「ラオス」や「カンボジア」産の物が最も恩恵を受けます。東南アジアのこれら二国は、「特別特恵対象(発展途上国の中でも特に遅れている国)」、通称「LDC」に指定されています。そのため、これらの国の産品は、ほぼすべての品目に対して関税が無税になります。もちろん、落花生の輸入に関しても制度の対象になります。

ラオスやカンボジアに共通して言えることは「内陸国」であることです。そのため、港湾等の関係からどのように「輸送ルートを構築するのか」がポイントになります。

2.採油用の落花生であると無税

落花生から油をとることができます。このときにに使う豆を「採油用の落花生」と言います。この作業の「原料」として使用する落花生については、上記のような高額な関税はかかりません。WTO(世界の貿易ルールを考える機関)に加盟している国の産品であれば、原則「無税」になります。しかし「税関の監督の下で行われる」という補足のルールが設定されています。

そのため、輸入量と使用量、残量、生産量などをすべて文書で提出するなどの報告が求められます。決して「流用」することはできません。

落花生は主に二種類の関税に分類されます。

落花生は、主に次の二つに分類されます。

1. 煎っていない落花生(12類02項)

2. 煎ったり、その他の加工をしたりするもの。また、他のナッツと混合した物(20類08項)

まずは、この1と2のどちらに属する商品かを確認してください。

2015年の輸入データによると、東南アジアの各国から「1番の煎っていない落花生」は輸入されていません。代わりに「落花生の調整品」が輸入されています。特に、ベトナムとタイからの輸入が多い状況となっています。詳細は「東南アジア(ベトナムなど)からのナッツ類(カシューナッツなど)ベスト3!」をご覧ください。

このような理由から、この記事では、2番の調整品を中心に解説をしていきます。その前に大前提のことがあります。これより先で説明をしている商品に対する関税率は、2016年9月現在の物です。ご存知の通り、関税率は適宜変更されていくため、表示されている関税率は参考程度にお願いします。

当サイトでお伝えしたいのは、それぞれの関税率ではありません。関税率を導き出すための「プロセス」を重視しています。

煎っていない落花生の輸入関税

煎っていない落花生は「関税割当」が設定されています。そのため、下の図の赤枠の通り、一定の量まで10%の暫定税(変更されることを前提とする税金のことです)がかかります。この基準を超えると、1キロあたり617円の関税を支払うことになります。先ほども申し上げた通り「特別特恵国」の落花生であれば「無税」で輸入できます。

下の図をご覧ください。紫色の枠で囲まれているのは「食用に適用される落花生」です。EPAを適用して、ここに含まれる落花生を輸入する場合は、オーストラリアから輸入することをお勧めします。「日豪EPA(オーストラリア)」を適用すれば、7%輸入ができます。その他の国のEPAは、特に減税等の効果がありませんので不要です。

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落花生の調整品の関税ポイント(20類08項)

次に落花生が含まれる調整品を紹介します。この部分の品目は、かなり複雑な関税の設定です。同じ国であっても適用するEPAを変えるだけで「関税率が変わる」可能性があります。そのため、特に注意深く関税表を確認する必要があります。以下の図中にある1~5を順に説明していきます。

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1.砂糖を使用している落花生(ピーナッツバター or その他)

この分野は、ピーナッツバターとそれ以外の品に分かれます。それぞれよって、さらに関税が変わります。

上段の「ピーナッツバター」をご覧ください。WTO税率が12%、EPA枠が1%~3%に設定されているため、EPAの効果が大きい分野だといえます。

上段の一番右にあるベトナムだけが3.3%の関税が設定されています。ベトナムは、日アセアンEPAも使用できます。そのため、ベトナムからピーナッツバターを輸入する際は「日アセアンEPA」の特定原産地証明書を発行してもらうようにします。この場合、日ベトナムの適用は損します。

下段の「それ以外」は、アセアンEPAを使用しても23.8%です。したがってWTOと変わりがないため、EPAを使用する必要はありません。

基本 WTO 特恵 特別 EPA枠
ピーナッツバター 12% 12% 無税 マレーシア・タイ・フィリピン→無税 シンガポール→1.1% アセアン・インドネシア・ブルネイ →2.2% ベトナム→3.3% 
それ以外 28% 23.8% 無税 フィリピン・ベトナム→19%

 

2.砂糖を使用していない落花生(ピーナッツバター or その他)

ここもピーナッツバターとそれ以外に分かれます。砂糖を含めた物よりも「EPA無税」になる国が多いです。上段の「ピーナッツバター」の右側には同じくアセアンEPAとベトナムEPAが逆転しています。この場合も必ずアセアンEPAを適用するようにします。

基本 WTO 特恵 特別 EPA枠
ピーナッツバター 10% 10% 無税 シンガポール・マレーシア・インドネシア・ブルネイ・フィリピン→無税  タイ→0.9% アセアン→1.8% ベトナム→2.7%
それ以外 25% 21.3% 無税 フィリピン・ベトナム→17% 

 

3.落花生以外のナッツ類の混合品(砂糖を加えているもの)

ここは、パルプ状とその他の二つに分かれた上で、さらに「その他」の中がカシューナッツ等に分かれます。

上段のパルプ状の右側にあるベトナムとアセアンをご覧ください。今度は、アセアンEPAの方が関税率が高くなっています。したがって、ベトナムの商品を仕入れる場合は、ベトナムEPAを使います。もちろん、その他の国も同様です。

例えば、上段の日タイEPAの欄には「1%」が記載されています。タイも日タイEPAとアセアンEPAの両方が使えます。したがって、この場合であれば、必ず日タイEPAを使わなければなりません。

基本 WTO 特恵 特別 EPA枠
パルプ状 35% 21% 10.5% 無税 マレーシア・無税 タイ・1% インドネシア・フィリピン・シンガポール→1.9% ASEAN・ブルネイ→3.8% ベトナム2.9%
カシューナット 22.4% 11% 5.5% 無税  シンガポール・マレーシア・インドネシア・ブルネイ・フィリピン→無税 アセアン2%   タイ・カシューナッツは0.5% ベトナム・カシューナッツのみ1.5% 
くりなど 28% 16.8% 無税 5%~7%前後を適用

 

4.落花生以外のナッツ類の混合品・パルプ状(砂糖を加えていないもの)

この分野については、EPAを適用することによって「無税」で輸入ができます。必ず使用するようにしましょう。

基本 WTO 特恵 特別 EPA枠
パルプ状のカシューナット 16% 10% 5% 無税 全て無税
パルプ状のその他 20% 10% 5% 無税

5.落花生以外のナッツ類の混合品・その他(砂糖を加えていないもの)

いわゆるベトナムの「カシューナット」もこの分野に含まれます。EPAを使用すれば、3.3%最大として国ごとに異なる関税が設定されてます。あまりにも細かいため、表への転記を断念しましたのでご了承ください。詳しくは、ウェブタリフなどで必要な部分をご覧ください。

基本 WTO 特恵 特別 EPA枠
アーモンド 8% 5% 2.5% 無税 無税~最大で3.3%(カシューナッツ)詳細はタリフをご覧ください。
マカダミアナット 5% 5% 2.5% 無税
ここやしの実 12.8% 10%/12% 4% 無税
その他の物 6%/12.8% 5%/12% 無税

まとめ

煎っていない落花生を輸入する場合は「関税割り当て」の存在がポイントになります。関税割り当ての数量以上が輸入されてしまうと、その時点で暫定税率は解除されてしまい「671円/KG」という関税率になります。2016年現在、この分野に関する有効なEPAは「日豪EPA」くらいしか存在しません。他のアセアン諸国のEPAは、効果がないため取り寄せないようにします。

一方、煎っている加工品であれば、アセアン諸国のEPAを適用によって関税率が大幅に削減されます。この分野に属する商品は、逆にEPAが必須となります。東南アジア各国には、日アセアンEPAと二国間EPAの両方が存在します。どちらか好きな方を自由に選ぶことができます。必ず「関税的に有利な方」を選ぶようにしましょう。

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