CFSチャージ
国際輸送の実務において、「CFSチャージ」や「LCL」という言葉をよく耳にします。とくに、輸出入ビジネスを始めたばかりの方にとっては、CFSとLCLの違いやチャージの内容がわかりにくく、混乱しがちです。
この記事では、CFSチャージとは何か?その内訳や相場、計算方法、会計処理、業者ごとの違い、さらには他のチャージとの違いまでを実務目線で詳しく解説します。
そもそも「LCL」とは?
LCL(Less than Container Load)とは、コンテナ1本分に満たない貨物を複数の荷主でまとめて輸送する方法のことです。
例えば、輸出者Aが5㎥(立方メートル)分の荷物を輸送したい場合、20FTコンテナ(約33㎥)を丸ごと使うのは非効率です。そこで、他の荷主B・Cの貨物と合積みしてコンテナを共有します。これがLCL輸送です。
CFSとは?(Container Freight Station)
CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)とは、LCL貨物を一時的に保管・仕分け・詰め込み(バンニング)・取り出し(デバンニング)などを行う専用施設のことです。
設置場所:港湾エリアのコンテナターミナル周辺
CFSの主な業務:
- 荷物の受入(入庫)
- 検量・検品
- バンニング/デバンニング
- 保管・仕分け
- 出庫・搬出
CFSチャージとは?
CFSチャージとは、LCL貨物をCFS施設で取り扱うための作業料金の総称です。具体的には、以下の作業が含まれます。
CFSチャージの内訳(主な作業内容)
項目 | 内容 |
---|---|
入庫 | CFSへの貨物搬入受付 |
荷下ろし・検量 | 貨物の数量・重量の確認 |
保管 | 一時保管スペース使用料 |
仕分け | 他の荷主の貨物との区分け |
バンニング | コンテナへの積込作業(輸出時) |
デバンニング | コンテナからの荷下ろし(輸入時) |
出庫 | フォワーダーや配送業者への引き渡し |
CFSチャージの計算方法【RT単位とは?】
CFSチャージは、**RT(Revenue Ton:レベニュートン)**という単位で課金されます。
- 1RT = 1㎥ または 1,000kg のうち大きい方
- ミニマムチャージ:1RT分の料金が最低課金単位
- 相場(2024年以降):約5,980円/RT前後
▶ 計算例①(輸入)
貨物容積:5㎥
CFSチャージ:5,980円 × 5RT = 29,900円
▶ 計算例②(重量超過)
重量:2,400kg、容積:1.5㎥ → 重量が優先 → 2.4RT
5,980円 × 2.4RT = 14,352円
CFSチャージの請求タイミングと書類の見方
- アライバルノーティス(Arrival Notice)に記載
- 輸入時:船社チャージの一部として到着直前に請求
- 輸出時:フォワーダーとの契約内容による(事前見積り)
一般的なケースであれば、アライバルノーティスの中にあるこの部分の数字です。
CFSチャージと他のチャージとの違い
項目 | 意味 | 発生場所 | 課金対象 |
CFSチャージ | 小口貨物の取り扱い費用 | CFS施設 | 主にLCL貨物 |
THC(ターミナルハンドリングチャージ) | コンテナの搬出入費用 | ターミナル | FCL・LCL両方 |
CYチャージ | コンテナヤード関連費用 | コンテナヤード | FCL貨物中心 |
FOBやFCA条件での負担者は誰?
インコタームズによって、CFSチャージの負担者(輸出者 or 輸入者)が変わります。
- FOB(Free On Board):輸出者がCFSチャージを負担
- FCA(Free Carrier):合意によってCFS負担を明確化すべき
勘定科目や消費税の取り扱い
項目 | 内容 |
勘定科目 | 運賃、仕入、立替金 など取引内容による |
消費税 | 保税地域内での作業は免税。国内搬入後は課税対象になることも |
取扱業者ごとのCFSチャージの違い(例)
会社名 | 備考 |
ECU | 比較的割安。東南アジア路線に強み |
信永海運 | 日本発中小貨物に特化。地方港も対応 |
Shipco | 世界規模。複数のCFS拠点を持つ |
セイノーロジックス | アジア・米国向けに強みあり |
内外トランスライン | 国内カバー率高。小ロット対応充実 |
※上記業者によりCFSチャージの金額やルールが微妙に異なるため、事前確認が重要です。
CFSチャージのトラブル・注意点
- LCLがFCLよりも高くなるケース(境界ラインの見誤り)
- ミニマムチャージの存在を見落とす
- 見積もりに含まれていないチャージを後から請求される
▶ 対策
- 輸送方法選定時は「FCL/LCLの分岐点(経済効率ライン)」を確認
- 輸入者や顧客との事前合意が重要
CFSチャージの値上げ動向(歴史・背景)
長らく据え置かれてきたが、2023~2024年に相次ぐ値上げがされています。
背景
- 作業員の人件費が上昇している。
- コンテナ物流の混雑とコスト増
- 物流2024年問題(ドライバー不足)
CFSチャージとコンテナ輸送の選択ミス
CFSチャージは、国際輸送でトラブルのもとになることもあります。
「なんでLCLで送ったんだ!これだったらFCL(コンテナ輸送)の方が安い」と輸入者からクレームを受けることがあります。すでに説明した通り、CFSチャージは、M3単位で発生するため、必ずLCLとFCLの分岐点が出てきます。要は、これ以上のボリュームであれば、FCL(コンテナ)で運んだ方がトータル費用が安くなるラインのことですね!
もし、物量などの関係からFCLやLCLで判断に迷った場合は、必ず輸入者に確認をした方が良いです。必ずLCLよりもFCLで輸送した方が料金が安くなる基準があります。
CFSチャージとTHCチャージの違いとは?
THCは、ターミナルハンドリングチャージと言い、コンテナターミナルでコンテナを取り扱ったときに課金されるお金です。つまり、ほとんどの人は、課金されます。
まとめ
- CFSチャージとは、混載貨物(LCL)の積卸や保管などにかかる施設作業費
- 相場は約5,980円/RT。1㎥または1tのいずれか大きい方を基準に計算
- 会計処理、税務、インコタームズとの関係も実務で重要
- LCLかFCLかを判断する際の分岐点計算や事前合意がトラブル回避の鍵
- 業者ごとの違いや、アライバルノーティスでの確認方法も押さえておこう
- 輸送する物量からコンテナか、それ未満かを迷ったときは、CFSチャージを考えましょう!