RCEPのメリット・デメリットと問題点

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    TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、太平洋の国々との自由貿易協定です。一方、RCEP(アールセップ)は、東アジア地域の自由貿易協定です。実は、TPPもRCEPも最終的には、APEC加盟国における自由貿易協定(FTAAP)の前身です。

    仮にRCEP→FTAAPとの流れで自由貿易協定が締結されると、世界で最も巨大な自由貿易圏が誕生します。そこで、この記事では、RCEPの加盟国、メリット・デメリットなどをご紹介していきます。

    輸入手続き(輸入通関)の疑問と答えを徹底解説! 

    1. RCEP
      1. RCEPの要点
      2. RCEPの加盟国の一覧・TPPとの比較
        1. RCEPとTPP加盟国の比較と概要
      3. RCEPの3つのデメリット
        1. 1.知的財産権の侵害 粗悪な品が入ってきやすくなる。
        2. 2.韓国の力を助長する!?
        3. 3.移民が増える?
          1. 第九章自然人の一時的な移動とは?
          2. 移民問題に発展しやすいのは「契約に基づくサービス提供者」
      4. RCEPのメリット
        1. 1.中国の巨大な市場にアクセスしやすくなる。
        2. 2.別の協定と比較・検討ができる。
        3. 3.中国経由の輸出または中国材料の加工にメリットあり
          1. 1.日本から部品を輸出→中国の工場で加工→第三国へ輸出
          2. 2.中国の原材料を輸入→日本の工場で加工
        4. 4.アリババ等の通販サイトが活発になる
          1. RCEPを活用したモデル例:
        5. 5.商標権、植物輸出に関する規制ができる
        6. RCEPはいつから? 2020年11月、RCEP、大筋で合意(批准を急ぐ)
      5. RCEPのサマリー
      6. 余談:RCEPに関する各国メディアの反応
        1. 中国メディアの反応
          1. 長所:原産地規則の明確化
          2. 準備状況:輸送ネットワークの充実、中小零細企業のサポート
        2. 韓国メディアの反応:市場の多様化に期待 日本との関係は?
          1. 長所:輸出市場の多様化、日本との関係改善
          2. 短所:ライバル日本の利益が大きい?
          3. 産業別の見通し:電気業界が大歓迎
        3. オーストラリアメディアの反応:期待高くも、中国には慎重な姿勢
          1. 長所:経済再建、原産地規則の明確化
          2. 短所:中国依存の深まり
        4. インドメディアの反応(未加盟): 強い批判が優勢、しかし経済衰退の懸念も
          1. 短所
        5. 加盟国以外のメディアの反応:英BBC 恩恵を受けるのは誰か?
      7. まとめ

    RCEP

    RCEP(アールセップ)は、REGIONAL COMPREHENSIVE ECONOMIC PARTNERSHIPの略です。日本語名では、東アジア地域包括的経済連携です。

    実務者向け・RCEP協定書のサマリーはこちら!

    RCEPの要点

    まずは、RCEPの要点をご紹介します。

    • 日本と中国が同じ貿易協定で結ばれることが最大の特徴
    • 日本は、日米貿易協定、日欧EPAの西側自由経済圏と、中国を含むRCEPのバランスが大切
    • 中国産、韓国産の貨物が相互に増える見込み
    • これまでよりも価格競争に陥りやすい。
    • 中国向けの輸出拡大のチャンスは広がる。
    • 2020年時点、インドは加盟していない。(最大のロス
    • 中国政府による独自規制は協定違反として協議の対象となる。
    • 植物検疫制度、食品検疫基準の標準化手続きが進む。
    • 知的財産権関連は、WTOの保護規定を上回る水準を規定(厳格化)
    • 原産地証明の方法は、日本商工会議所を使う「第三者証明制度」により行う。
    • 中国、韓国側の清酒、焼酎、ウィスキー等の関税撤廃(10年~21年後に完全撤廃)
    • 中国向け輸出=パックご飯、米菓、ほたて、切り花、混合調味料の関税撤廃
    • 中国向け工業製品の輸出=無税品が8%から91%に拡大
    • 韓国向け工業製品の輸出=無税品が19%から92%に拡大
    • 韓国向け輸出=菓子類(例:チョコなど)の関税撤廃を獲得
    • インドネシア向け輸出=牛肉、醤油の関税撤廃を獲得
    • タイ=海運貨物関連サービスの外資比率を70%に引き上げ
    • RCEP全体の関税撤廃率は91%
    • 日本側の重要五品目の関税撤廃は除外
    • 基本的に、国内品だけでは賄えない産品の関税撤廃を進めた。
    • 累積規定を採用し、域内サプライチェーンの活発化を促進
    • 証明方法は、第三者証明方式(日本商工会議所)、自己証明方式のいずれか。
    • 輸出入について透明性を確保する義務を規定
    • 各国は事前教示制度を順守し90日以内に回答すると定める。効果を3年間維持することを約束
    • 締約内容が順守されない場合は「パネル」の設置を要請できる。
    • 協定の見直しは、五年後に行われる。
    • RCEP発効の18か月後、RCEPの効力はすべての国で有効になる。

    ソース:経済産業省のファクトシート

    RCEPの加盟国の一覧・TPPとの比較

    RCEPの加盟国数は、日本、中国、オーストラリアなどの6か国+東南アジアに加盟する10か国の合計16国です。この協定の大きな特徴は、日本と中国が同じ協定に含まれる点です。その他の国は、市場規模が小さかったり、すでに別のEPA(経済連携)を結んでいたりするので目新しさはありません。RCEPの日本の位置づけは、中国との自由貿易協定と言っても過言ではないでしょう。

    もちろん、RCEPには、韓国も含まれますが、中国と比べて市場規模が小さいこと(韓国全土のGDP=東京都だけのGDP)、反日志向が強いことなどを考えると、RCEPで自由貿易関係を結ぶことで、少しマイナス要素が強いとも言えます。

    RCEPとTPP加盟国の比較と概要

    • 人口:23億人(世界の約3割)
    • GDP:26兆米ドル(世界の約3割)
    • 最大の特徴:日本と中国が一つの自由貿易圏に入ること
    RCEPTPP
    インドネシア×
    シンガポールシンガポール
    タイ×
    フィリピン×
    マレーシアマレーシア
    ブルネイブルネイ
    ベトナムベトナム
    ミャンマー×
    ラオス×
    カンボジア×
    日本日本
    中国×
    韓国×
    オーストラリア×
    ニュージーランドオーストラリア
    ニュージーランド
    カナダ
    メキシコ
    ペルー
    チリ

    TPP、RCEPは、FTAAPの道筋であるため、重複している国も多いです。

    RCEPの3つのデメリット

    次にRCEPのメリット・デメリットを確認していきましょう!

    1. 知的財産権の侵害 粗悪な品が流通しやすくなる。
    2. 韓国の力を助長する!?
    3. 移民が増える!?

    1.知的財産権の侵害 粗悪な品が入ってきやすくなる。

    中国・韓国製品と聞くと、すぐに思いつくのが「知的財産権の侵害」です。ブランドバックなどを不正に製造し、RCEP経済圏に輸出するなどが考えられます。これまでよりも物品のやり取りが活発になる分、知的侵害行為が増える点が心配です。

    2.韓国の力を助長する!?

    日本とヨーロッパの間には、日欧EPAがあります。日欧EPAが発効される前は、韓国に部材を送った後、韓国で完成品を製造、これをEUに輸出するのが一般的でした。なぜなら、韓国だけがEUとの間に自由貿易協定を結んでいたからです。しかし、2019年8月現在、日本はEUとの自由貿易協定を発効したため、直接、日本からEUに輸出することが増えています。この形は、韓国経由で完成品を輸出するときにかかる関税(日本から韓国への部材の輸出)を削減する意味でも重要です。

    日欧EPAは、韓国からEUに向けた輸出を間接的に減少させられる効果があります。日本製品と韓国製品とは、世界の様々な場所でライバル関係にあります。このライバル関係にある製品に対して、できるだけ有利な状況を維持することは重要です。ご存じの通り、韓国は、日本の先端材料を輸入して加工。それを世界に輸出するモデルが得意です。よって、韓国側からすると、日本からの輸入製品は、関税なしで輸入したいのが本音です。

    RCEPは、加盟国(日本、中国、韓国など)の関税を撤廃します。日本製品に対する韓国側の関税がなくなる分、韓国市場へのアクセスが容易になります。しかし、韓国市場自体が小さいこと、日本の原材料に対する韓国側の関税がなくなること(韓国製品の完成品の部材代の引き下げ)などを総合的に考えると、どれだけプラスになるのかがわかりません。

    また、対韓輸出規制との兼ね合いも重要です。2020年現在、日本は韓国を旧ホワイト国から外し、事実上、韓国を降格させています。これは、いわゆる「迂回輸出の疑い」からです。しかし、韓国との間で同じEPAに入るとなると、この辺りの整合性をどのように保つのかも重要だと考えます。

    といいますのは、EPAの中には、協定運用内で不都合な点が見つかると、協議する場(RCEP協議会)を持たなければならない規定があります。この仕組みを利用して、対韓輸出規制に対して、何かしらのイチャモンを付けてくるのではないかと懸念しています。

    3.移民が増える?

    「RCEPが締結されると移民が増えて困る」との考え方があります。この点についても正しく確認しておきましょう。移民に該当する部分は、RCEPの協定書にある「9章の自然人の一時的な移動」及び付属書4です。

    第九章自然人の一時的な移動とは?

    RCEPでは、ビジネス的な交流を促進するために、高度な技術を持つ方、投資家の活動を活発にする仕組みがあります。主な物は、次の3つです。

    1. 短期の商用訪問者(90日以内)
    2. 企業内転勤者(5年を限度)
    3. 付属書4に規定する者

    そして、付属書4は次の通りです。以下に該当する方の滞在期間は、90日又は5年を限度であり、更新が可能です。これがRCEPの協定書で決められている自然人の移動に関する内容です。

    種別主な対象者
    投資家(5年以内)RCEP域内で投資活動をする人
    資格がある自由職業家(5年以内)弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、会計士
    独立の自由職業家(5年以内)物理学者、工学、自然科学)
    契約に基づくサービス提供者(5年を限度)定義が曖昧
    上記の配偶者及び子供
    移民問題に発展しやすいのは「契約に基づくサービス提供者」

    上記の内、実質上の移民の受け入れではないか?と言われる部分が「契約に基づくサービス提供者」です。これ以外の方たちは、高所得者や所属がはっきりしているため、そこまで問題にはなならないと感じます。むしろ日本にはプラスになると考えます。

    一方、契約に基づくサービス提供者は、次条件のいずれかを満たせば良いため、不法就労につながるのではないか?も考えます。

    • 条件1.日本に営業拠点がない「」の機関で働く者
    • 条件2.次の内、いずれかの条件を満たす者

    そして、条件2の内容は、次の通りです。

    1.物理学、工学、その他の高度な技術又は知識を有する物
    2.日本以外の国の文化に基盤を有する思考又は、感受性を必要する活動

     

    「思考又は感受性を必要とする活動?」…………少し定義が曖昧です。

    例えば、夜のお店で働くダンサー等も、解釈次第で感受性を必要とする活動になる可能性が高いですね! あとは….うん、文章にするのをためらう物まで様々です。したがって、協定上の文言だけで判断すると、とても微妙な物に感じます。

    RCEPのメリット

    一方、RCEPのメリットを考えてみましょう。主な物は、次の5つです。

    1. 中国の巨大な市場にアクセスしやすくなる。
    2. 別の協定と比較・検討ができる。
    3. 中国経由の輸出または、中国材料の加工にメリットあり。
    4. アリババ等の通販サイトがより活発になる
    5. 商標権、植物輸出に関する規制ができる

    1.中国の巨大な市場にアクセスしやすくなる。

    中国への輸出・輸入など、巨大な人口をかかえる中国市場へのアクセスが簡単になります。実は、2019年4月1日から中国は、特恵関税を卒業しています。これまでは、中国製品には、特恵関税が適用されていたため、通常の関税率よりも低く輸入ができていました。しかし、2019年4月1日からは、他の先進国と同様「WTO税率」が適用されて、中国製品に対する関税率は上がっています。

    もし、中国との自由貿易協定が誕生すれば、中国向けまたは中国からの両方において、関税の削減がされて、特恵関税時代以上に貿易が活発化する見込みます。もちろん、これは、チャンスでもあり、脅威でもあります。これまで以上に中国製品が日本国内に流通すると考えると良いです。

    2.別の協定と比較・検討ができる。

    2019年8月現在、日本はTPP、日欧EPAを含めて17のEPAを結んでいます。各協定の加盟国を見ると、日本との間に複数の貿易協定を結んでいることがわかります。




    例えば、ベトナムの場合は、日アセアン、日ベトナム、TPPの3つがあります。オーストラリアであれば、日オーストラリアEPAとTPPの3つです。これらの国と貿易をしている人は、輸出入をするにあたり、複数の協定から最適な物を選びます。なぜなら、同じ商品であっても、適用する協定により関税差ががあるためです。もし、RCEPが発効すれば、このような選択の中に、新たに「RCEP」が加わることになり、より多くの協定から比較検討ができます。

    3.中国経由の輸出または中国材料の加工にメリットあり

    2019年現在、中国におけるFTAの締結状況は次の通りです。もし、RCEPが締結された場合は、主に次の2つのビジネスモデルに恩恵があります。

    1. 日本から部品を輸出→中国の工場で加工→第三国へ輸出
    2. 中国の原材料を輸入→日本の工場で加工
    アセアン、アフリカ諸国、APTA(バングラデッシュ、インド、モンゴル、韓国、ラオス、スリランカ)、バングラデッシュ、スイス、チリ、台湾、タイ、パキスタン、ペルー、セネガル、ニュージーランド、マカオ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、シンガポール、アイスランド、香港、コスタリカ
    1.日本から部品を輸出→中国の工場で加工→第三国へ輸出

    日本から中国に材料を輸出した後、中国の工場で最終完成品に加工。それをRCEPの域内、または中国とFTAを結んでいる国に輸出すれば、すべての貿易取引で関税無税で輸出ができます。

    RCEPの輸出モデル

    2.中国の原材料を輸入→日本の工場で加工

    他方、中国の半完成品を日本に輸入。それを国内の工場で加工した後、日本国内に流通させるなどのビジネスモデルを取り入れている人にも便利です。

    RCEPの輸入モデル

    4.アリババ等の通販サイトが活発になる

    中国輸入で使うことが多い「アリババ」等から商品を購入するときもRCEPの恩恵を受けられます。基本的に、輸入価格が20万円以下の場合、輸入国側で原産地証明書を提出することなく、免税や減税を適用してもらえます。

    つまり、アリババ、アリエクスプレスなどで販売されている様々な商品は、自動的に関税等が無税となり、消費税だけの支払いで荷物を受け取れるようになります。実際、アリババは、北海道に進出して、日本の食を世界に輸出するビジネス(まずは中国向け)を始めています。

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    また、アリババロジスティックが日本に進出する動きもあり、すでに「RCEPが発効される前提」で、様々な企業が動き出しているようです。RCEPの発効は、さらに中国との壁をなくすことにつながり、これまでの中国輸入→日本販売のビジネスも大きな転換点を迎えます。

    例えば、中国から輸入した商品を日本のアマゾンで販売をする。現在は、日本人セラーが多いかもしれませんが、長期的には、中国側の工場が日本のアマゾンに直接、出店をして貨物を届ける形が一般的になると思います。

    ポイント:工場から消費者の間にいる様々な人が職を失う傾向が強まる

    RCEPを活用したモデル例:
      1. 中国から日本に輸送→保税倉庫で保管
      2. 販売数に応じて、日本税関に輸入申告(RCEP)→免税通関
      3. 通関後、日本の国内倉庫に保管
      4. 売れ行きが悪ければ、日本の保税で破棄又は別のRCEP加盟国に輸送するなど

    5.商標権、植物輸出に関する規制ができる

    EPAの特徴の一つとして「知的財産権の保護」があります。もちろん、RCEPの協定書にも、次の2つの箇所で、知財保護を規定しています。

    • 第十一章27条 悪意による商標登録の抹消と、登録済の物を削除する権利
    • 十一章48条 植物の新品種の保護

    例えば、中国がお得意な商標法侵害貨物の製造や勝手に商標権登録をする問題は、RCEP第十一章27条の中で抹消と登録済みの物を削除できる旨。また、十一章62条では、侵害貨物の破棄命令を何の補償もなしでできることなどが規定されています。

    また、お隣の韓国の「植物の違法な持ち出し」及び「品種登録」の問題は、協定第十一章48条の「新品種の保護」等で規定されています。これまである種、国の枠組みによる規制の限界がありました。しかし、RCEPにより中国や韓国とも「同じ圏内」の扱いを受けるため、この辺りの規制が強まり少し浄化されるのではないかと考えております。

    RCEPはいつから? 2020年11月、RCEP、大筋で合意(批准を急ぐ)

    2020年11月、RCEPは無事に合意に至りました。今後は、各国の「承認>>批准(ひじゅん)」のプロセスに移行します。そして、この加盟国の内、一定数の国が「承認(批准)」すると、無事に「発効」に至ります。

    1. 加盟各国の国会で承認手続きをする。
    2. 一定の国が承認を終える。
    3. RCEPが発効する。

    経済産業省のページでも「RCEPの概要」がリリースされているため、ここでは、要点をご紹介していきます。

    RCEPのサマリー

    最後に経済産業省の「RCEPの協定書」を基にして、協定書のサマリーをご紹介します。

    内容
    第二章13条-2農産品に関する輸出補助金を多数国間において撤廃する旨を確認。つまり、農産物の輸出を拡大するために、各国政府は補助金等を出して支援することを禁止。
    第二章15条-2譲許内容は、RCEP合同委員会の決定により撤回及び修正が認められる。譲許表は「発効後○○年で○○の関税率を○○%にする又は撤廃する」と決めている表のこと。各国政府は、この譲許表を順守する義務があり、仮に譲許の内容を変更する場合は、RCEP合同委員会に通知及び合意を得る必要がある。
    第二章16条-2非関税障壁の透明性を確保する。(例:○○規制等、加盟国にある様々な国内規制、理不尽な制度の改革を促す目的がある)
    第二章17条加盟国間の産品は、輸出・輸入ともに別段の定めを除く他、何らかの規制を強いることを禁止する。ただし、1994年のガット11条の規定は維持。
    第二章19条-8書類の軽微な誤りによって、輸入を却下してはならない。

    例えば「インボイスのこの部分の文字がおかしい」等、ほんのわずかな誤りに「イチャモン」を付けて書類審査をすることは許さないと規定。

    第二章19条-9税関当局が輸入許可しない場合、その理由を説明する義務があると規定
    第三章 原産地証明関連「何を原産品とするのか?」について規定。原産資格条件、原産資格割合を計算するための公式等を確認できる。 例えば、付加価値基準の計算方法は次の通り

    • 控除方式/RVC=域内原産割合=FOB-VNM(非原産材料)/FOB×100
    • 直接方式/積み上げ方式=VOM(採取、生産された産物や部品の価格)+直接労務費+直接経費+利益+ほかの費用/FOB×100
    第三章6条加工とは認めない「加工」の定義。ここは非常に重要な項目。原産地証明書を取得するときに、特に関係することであるため、十分にチェックする必要あり!
    第三章7条僅少(デミニマス)の基準値関連を規定。関連 FOBの10%=非原産材料部分の合計価格 50-63類は、非原産材料の総重量が10%以下 デミニマスとは、CTCルールで原産性を証明する際、関税分類の変更基準を満たさない物に対して、ある一定の条件であれば、救済する仕組みです。
    第三章の8条/9条梱包材や資材、予備品の取り扱いを規定。

    例えば、商品の原産性を判断するときに、その対象をどこまでにするのか?を記載しています。協定では、ダンボール、化粧箱、緩衝材、説明書、予備品等は考慮しなくても良いと規定。ただし、付加価値基準で証明する場合は、あえて原産部分を積み増すために考慮しても良いです。

    第三章10条原産部分として参入できる「間接材料」のリストを記載。
    第三章17条-1原産地証明書は、指定発給機関が行うと規定(第三者証明制度)
    第三章17条-8船積み日の後一年以内であれば、遡及発給可能。「ISSUED RETROACTIVELY」の文言を入れることで対応する旨を記載。
    第三章17条-9紛失・盗難された場合 「CERTIFIED TRUE COPY」の文言を入れることで対応する旨を規定。
    第三章24条原産品に関する確認(検認行為)を規定
    第三章22条原産地証明書が不要な場合を記載 輸入品の課税価格が200アメリカドル又は、輸入国が決める相当額。 日本は、20万円を軸とするはず(他の協定と同様)
    第四章10条事前教示制度(外国税関の事前教示制度)を規定 輸入する商品の適切な関税率を特定してもらう仕組み。輸入国側の税関に依頼をして特定してもらいます。
    第四章18条輸出者又は輸入者が税関等に対して異議申し立てができると規定
    4章 入国と必要な資格入国できるからといって、資格が不要になるわけでないと規定。

    例えば、シンガポールで弁護士の資格がある。この資格を使いEPA制度に基づく入国が認められた。しかし、だからといって、シンガポールの弁護士資格を使い、日本で弁護士業務ができるわけではないということです。

    付属書8B通信サービスに関する規定 菅政権が携帯電話改革に取り組む理由がわかるかも
    第九章自然人に対する短期的な入国者に関するルールを規定
    第九章-2項 目的商用目的の一時的な入国に関する規定を定めのみ 国籍、市民権又は永続的な居住、雇用に関する措置には適用しない。
    十一章知的財産関連の規定
    第十一章-27条悪意による商標登録は拒絶又は登録を取り消す権限を有する。
    十一章-29条~地理的表示制度(GI制度)の保護について規定、異議申し立てなど
    十一章48条植物の新品種の保護
    十一章62条権利の侵害が認定された場合は、いかなる補償もなしに破棄することを命じる権限がある。
    十二章電子商取引に関する規定
    十六章政府調達
    十八章 二条RCEP合同委員会について規定
    十九章 紛争解決

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    余談:RCEPに関する各国メディアの反応

    中国メディアの反応

    長所:原産地規則の明確化

    RCEPの大きな利点は、取引全体の関税の免除や引き下げだけではない。生産品の原産地を特定して関税の免除などが受けられる「原産地規則」において、より原産地の幅を広げられる「累積規定」などのきめ細やかなルールを用いることができる。このルールは、参加国の貿易関係をより促進し、サプライチェーンを安定させ、産業の発展につなげられると伝えている。この「原産地規則」の明確化については、オーストラリアなど他国も評価しているポイントだ。

    準備状況:輸送ネットワークの充実、中小零細企業のサポート

    中国政府は、RCEPに署名後、すぐに輸送ネットワークの充実に着手している。今年1月には、日本車の大連港経由の海上輸送ルートを新設した。それまでは日本から中央アジア諸国に輸送されるまで80日以上かかっていたが、このルートで30日以内の輸送が可能になり、コスト削減も実現している。中国政府は、2035年までに、近隣諸国や主要な国際都市に2~3日で商品を届けることができるグローバルなロジスティクスサービスを構築する計画を発表している。

    政府はまた、RCEPの実施のためには、大企業だけでなく、特に中小零細企業が制度を理解する必要性を強調している。そのため、協定の規定や関税、原産地証明書などの手続きを学ぶためのトレーニングプログラムを計画している。

    韓国メディアの反応:市場の多様化に期待 日本との関係は?

    韓国では、長期的な利益の獲得には懐疑的な声もあるが、概ね前向きに期待する声が優勢だ。

    長所:輸出市場の多様化、日本との関係改善

    パンデミックによる経済衰退からの回復や、アメリカと中国間の貿易の増加によって被った韓国経済の損失からの回復に大きな期待を寄せている。そもそも韓国は、輸出の40%をアメリカと中国に依存しているため、ASEAN諸国を含めることで、輸出市場を多様化したいと考えている。

    また日本同様に、RCEPが今後の日韓関係に影響するという見方がある。両国は2019年に、歴史的問題が発端となった貿易紛争に突入した。しかし今回のRCEPをきっかけに経済関係に前向きな変化をもたらす可能性もある。つまり韓国は米中依存から脱却するためにも、日本との関係を改善することが利益になるだろうという見方だ。

    短所:ライバル日本の利益が大きい?

    しかし両国は、過去にFTAに署名したことがないため、利益を得られるかどうかは不確実という声もあり、さらには、日本製品の韓国による輸出関税の大幅な免除によって、日本の方が大きな利益を得るというリスクにさらされるという懐疑論も強い。韓国の貿易大臣は、日本に対して競争力が低い材料、部品、設備などの品目を拘束的関税から除外することが必須だと述べており、日本対策を練っているようだ。

    産業別の見通し:電気業界が大歓迎
    • 車:韓国車はASEAN市場において、日本の品質や中国の低価格と競わなければならないため、長期的な利益には懐疑的な声が強い。
    • 電化製品:RCEPの実施によって最も期待される産業。例えば韓国大手電機メーカーLGは、日本の関税が免除される事によって、競争力の向上を見込んでいる。
    • 農産物:最大の競争相手は中国、オーストラリア、NZであり、韓国の優位性は依然として低い。そのため、韓国政府は農水産物の関税を、既存のレベルで維持することを決定している。

    オーストラリアメディアの反応:期待高くも、中国には慎重な姿勢

    オーストラリアも、RCEPに対しては前向きな姿勢を取っている。しかし近年、中国と激しい貿易対立を繰り広げてきたこともあり、中国による影響をしっかりと管理する必要があるとする慎重な姿勢も見せている。

    長所:経済再建、原産地規則の明確化

    雇用の1/5が貿易に依存しているオーストラリアは、RCEPによる貿易推進によって、ロックダウンによる経済的な被害からの再建が大きく期待できる。

    また同国がRCEPに関して進歩的だと評価している点は、原産地規則における累積規定だ。RCEP参加国の原材料を使用している商品は、従来の自由貿易協定では関税の対象になることもあったが、RCEPでは自国で製造されたものとしてカウントできるため、作業が簡素化でき、また利益を生み出すことができる。

    その他、中国との貿易対立によって途絶えた対話が再開するだろうという期待も強い。

    短所:中国依存の深まり

    オーストラリア国内では、RCEPに対してさほど期待できないとする見方も強い。RCEPは「欧州連合のアジア版」とも呼ばれるが、「それは誇張だ」とバッサリと切り捨てている。オーストラリアは日本と同様、自国の農業を守るために農産物に対する引き下げはしないと決定している。また、他の分野における改善も段階的なものでしかなく、同国にとっての具体的なメリットが不明瞭だ。また中国に対する姿勢も慎重だ。RCEPは中国が近隣諸国とのサプライチェーンの統合を深める施策であり、参加各国が中国への経済的依存から逃れられないことを指摘している。

    インドメディアの反応(未加盟): 強い批判が優勢、しかし経済衰退の懸念も

    インドは、日本をはじめとする加盟各国によって復帰を促されていたが、交渉のテーブルに復帰することはなかった。離脱理由は、中国や東南アジアなどから安価な輸入品が大量に流れ込み、自国産業に悪影響を及ぼすという点だ。

    特に近年、軍事衝突を発端とする中国製品ボイコットが発生するなど、中国との対立を深めるインドは、中国主導のRCEPを「中国式の貿易協定であり効果はない」と切り捨てる。

    一方で、インド国内では、日本をはじめとする中国以外の加盟国との協力関係の重要性も指摘されており、RCEPに参加しないというインドの決定を「経済的失敗」とも批判されている。

    短所
    • 基本関税がすでに低くなっている状況での関税引き下げは意味がない。また、中国の悪い素行を阻止できない。例えば、中国に輸入する日本の機械製品に対する関税をさらに引き下げようとし、オーストラリアワインにたいする関税の圧力をかけるなどだ。
    • 各国は、懲罰的な関税を課すこともできる。
    • 中国に不利な案件は手付かずのままで、透明性に欠ける。中国国営企業への行きすぎた補助金のほか、国家間紛争、労働基準について言及していない。

    加盟国以外のメディアの反応:英BBC 恩恵を受けるのは誰か?

    イギリス公共放送BBCは、RCEPを次のように評価している。

    • RCEPはその規模の大きさが特徴。重要性が高い。
    • 原産地規則における累積規定は大きなメリット。既存の自由貿易協定には、累積規定がない場合もある。

    BBCは、中国、日本、韓国が、どの加盟国よりも利益を得るだろうと明言している。ASEAN諸国にとっては、経済的利益がごくわずであることや、反中国感情から、各国政府による批准が遅れる場合もあるだろうとも指摘している。

    まとめ

    • RCEPは、東アジア地域の自由貿易協定
    • この協定のポイントは「中国」
    • 中国を活用した貿易ビジネスをする人には、大きなメリットがある。
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