「HSコードがわからない!」「一体、輸入のときに、どれだけの関税がかかるのか?」
商品に対する所属(HSコード)や関税率を知りたいときは、税関が提供する「事前教示制度(Advance Ruling)」が便利です。輸入関税率は「○○ショップから購入するから○○%」や「○○国から輸入するから○○%」と一律に決められていないです。
- 輸入目的
- 輸入する国
- 商品内容
などによって細かく設定されています。この関税率が記載されているのが実行関税率表/ウェブタリフです。しかし、関税率は、およそ10000通りもあります。その中で適切な税率を調べるのは非常に難しいです。そこで、税関にHSコードを問い合わせる仕組み「事前教示制度」を利用します。
事前教示制度を活用することで、輸入時における関税率を確定させられるため、特定ミスによる関税率の納付が多くなるなどのリスクを小さくできます。この記事では、この事前教示制度の基本的な仕組みをご紹介していきます。
関連記事:個人輸入の関税計算ツール、輸入ビジネスの関税計算ツール
事前教示・税関にHSコードを問い合わせる方法
事前教示制度とは?
貿易を始める際、最も心配なのは通関手続きではないでしょうか。
- 「輸入する商品の関税率はいくらになるのか」
- 「原産地規則を満たしているか」
など、事前に確認しておきたい事項は数多くあります。そんな不安を解消してくれるのが、税関の事前教示制度です。
この制度は、輸入を予定している貨物について、税関に事前に照会し、関税分類や課税価格、原産地などについての見解を確認できる制度です。これにより、通関時のトラブルを防ぎ、スムーズな輸入手続きが可能となります。
輸入予定の商品のHSコードが何番なのか?を特定し、税率を把握することが目的です。(輸入原価の計算上、重要
HSコードの重要性
商品のHSコードが何番であるのか?は非常に重要です。理由は、HS番号により適用される関税率が大きく変わるからです。
例えば、商品A100万円の物を輸入するとしましょう。当初、この商品Aの所属は、関税率が5%の所として関税額を計算したとします。納めるべき関税額は、100万円の5%で5万円です。仮にこの商品Aの所属が本当は、関税率が10%の所だとしたらいかがでしょうか?支払うべき関税額は、10万円です。
- 税率5%の所に所属するとき →5万円
- 税率10%の所に所属するとき →10万円
つまり、同じ商品を輸入するとしても、それが「どこの所属の商品なのか?」によって、支払うべき関税額が変わります。このとき、本来、支払うべき関税額よりも低く申告していたときは、過少申告加算税や重加算税と呼ばれるペナルティ金がかかることもあります。
=あなたの輸入する商品が「どこのHSコードに該当するのか?」を調べることは非常に重要です。
税関職員の見解も変わる可能性あり!
商品の分類違いのリスクは、個人のミスに限りません。実は輸入書類を調べる税関職員によっても見解に相違が生まれることがあります。
例えば、事前に相談をした税関職員Aが「この商品の関税率は5%に分類される」と回答していたとしましょう!ところが、この商品を実際に輸入するときに受けた税関職員Bの判断は「これは10%に該当する産品である」と判断することも十分にあります。このように税関職員によっても商品分類が変わる可能性があります。
だからこそ、事前に教示を受けて関税率を確定させることが重要です。
制度の主な対象3つの分野
事前教示には、以下、4つの分野があります。
- 品目分類
- 関税評価(課税価格)
- 原産地規則
- 減免税
1. 関税分類(品目分類)
輸入予定の商品が関税率表上でどの分類に該当するか(何番のHSコードか?)を確認できます。
2. 関税評価(課税価格)
輸入貨物の課税価格の計算方法について、事前に税関の見解を得ることができます。特に、値引きやロイヤリティの扱いなど、複雑な取引条件がある場合に有用です。
3. 原産地規則
EPA(経済連携協定)に基づく特恵関税の適用可否について確認ができます。
4. 減免税関係
輸入する商品に対する減免税の適用の可否について回答を得られます。
事前教示制度のメリット
- 通関手続きの確実性が高まり、予期せぬ追加支払いや遅延を防止できる。
- ビジネスコストの正確な見積もりが可能になる。
- 税関との見解の相違によるトラブルを未然に防げる。
- 回答書は原則として3年間有効で、その間は同一商品について回答内容が保証される。
事前教示の方法 申請方法と手順
事前教示制度は、個人や法人を問わず無料で使えます。もし、あなたが通関業者に依頼している場合は、通関業者に「事前教示制度」を使ってHSコード(関税率)を確定させたい旨を伝えます。事前教示制度の内容の見解は、発行から三年間、輸入審査において尊重されるものになります。ただし、電話やEメールなどで問い合わせをしたものは、その効力はありません。
書面による申請
- 税関様式に必要事項を記入し、最寄りの税関の事前教示部門に提出する。
- 郵送やFAXでの申請も可能。
事前教示制度に拘束力を持たせられるのは、こちらの書面による申請のみです。
必要な提出書類例
- 商品の説明資料(カタログ、仕様書など)
- 製造工程表(原産地に関する照会の場合)
- サンプル(必要な場合)
申請時の注意点
教示を受ける前に回答集を確認する
事前教示の質問と回答集は「事前教示の回答集」で公開されています。教示を受ける前に、問答がないかを確認しましょう!
具体的な取引内容を記載
- 実際の取引を前提とした具体的な内容を記載する。
- 仮定の取引や一般的な質問は対象外
十分な情報提供
- 商品の性質、用途、製造工程など、判断に必要な情報を漏れなく提供する。
- 不明な点がある場合は、税関から追加情報の要求される。
早めの申請
- 回答までの標準処理期間は30日~90日程度
- 複雑な案件の場合はさらに時間がかかる可能性がある。
事前教示制度の回答の効力
- 有効期間は原則として3年間
- 法令等の改正や前提条件の変更がない限り、回答内容が保証される。
- 税関の回答内容に不服がある場合は、意見を申し出ることができる。
相談窓口
各税関の事前教示担当部門で、申請前の事前相談も受け付けています。不明な点がある場合は、気軽に相談をお勧めします。
税関相談官室(各税関)
税関官署 | 電話番号 | メールアドレス |
函館 | 0138-40-4716 | hkd-gyomu-kansa@customs.go.jp |
東京 | 03-3529-0700 | tyo-gyomu-info@customs.go.jp |
横浜 | 045-212-6156 | yok-kansakan@customs.go.jp |
名古屋 | 052-654-4139 | nagoya-gyomu-kansa@customs.go.jp |
大阪 | 06-6576-3371 | osaka-bunrui@customs.go.jp |
神戸 | 078-333-3118 | kobe-bunrui@customs.go.jp |
門司 | 050-3530-8373 | moji-kansakan@customs.go.jp |
長崎 | 095-828-8669 | nagasaki-kansakan@customs.go.jp |
沖縄 | 098-862-8692 | oki-9a-bunrui@customs.go.jp |
まとめ
事前教示制度は、輸入ビジネスにおける不確実性を減らし、スムーズな通関手続きを実現するための有用なツールです。特に、新規に輸入を開始する場合や、新商品の輸入を検討する際には、積極的な活用をお勧めします。不明な点があれば、まずは最寄りの税関に相談してみましょう。
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