EPAの品目別規則とは?初心者向け表の見方

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EPA(経済に関する協定)には、さまざまな付属書類があります。その中の一つに「品目別規則」と呼ばれる個々の商品ごとの原産地ルールを定めた書類があります。EPA制度を活用した商品の輸出には「商品の原産国が日本の基準を満たしているのか」が大切になります。この具体的な基準が品目別規則に記載されています。

品目別規則を満たしていない場合、どれだけ具体的な書類やエビデンスを出したとしても「日本の原産品」であるとは認められません、よってEPAによる有利な輸出を諦めなければならなくなります。このように品目別規則は、EPA制度を使って輸出をする上では、必須の書類になります。具体的な商品製造に入る前に、必ず品目別規則から「商品の原産国ルール」を確認するようにしましょう。

品目別規則とは?

EPAによる輸出を行う上で最も大切なポイントは「商品の原産国」です。これはEPAの目的である「お互いの国の経済分野を開放する」ことからもわかります。

この場合の経済分野には、商品に対する関税、投資や規制の開放、人的交流などが含まれています。関税の開放であれば、お互いの国で設定している関税を原則的に撤廃することを最終目標にしています。つまり当事国同時だけに認めた限定的な優遇です。そのため、当事国から輸出される商品が「本当に原産品であるのか」または「原産として扱って良いのか」を定める必要があります。

品目別規則では、どのようなルールに基づけば「日本の原産品」として相手国が扱ってくれるのかを規定しています。ところで、なぜこのような規定が必要なのでしょうか。日本で製造されているなら、一般的に日本で製造された商品であれば無条件に日本の原産品であるように感じます。しかし、これは「材料部分を無視した考え方」になります。

日本では、何かと何かを混ぜ合わせて一つの製品を作る「加工貿易」が一般的です。

例えば、アメリカからオレンジを輸入して日本で「オレンジジュース」を作ったり、中国から鉄鉱石を輸入して「鉄の塊」を製造、その後、これを基に自動車を製造したりするケースがあります。

このように原産材料までを含めて考えると、日本で製造されたすべての物を「日本産」として扱うには、何かしらのルールが必要であることがわかります。そこで、商品に対する加工基準を「品目別規則」に記載して「どのように加工した物を日本産にするのか」を定めるようにしています。このルールに従えば、たとえ外国産の原料を使っていても日本産の扱いを受けることになります。

品目別規則はEPAごとにより異なる

品目別規則は、1つのEPAについて1つ存在しています。2016年現在、日本は15のEPAを結んでいるため、すでに15通りの品目別規則があることになります。それでは、以降の説明で具体的な品目別規則の見方を確認していきます。

品目別規則の見方

以下の示す書類は「日マレーシアEPA」に関する品目別規則となります。品目別規則は、EPAごとに表示方法が異なりますのでご注意ください。

品目別規則の冒頭部分

品目別規則の冒頭部分では、全体に適用する「基本的(大前提にある)なルール」を説明しています。まずは、このルールを一通り確認します。この部分は、多くの品目別規則で似たような記載になっています。しかし、いくつかの国では異なることが書かれているため、必ず確認するようにしてください。日マレーシアEPAの品目別規則は、この冒頭部分を含めて87ページ存在します。

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冒頭部分の説明内容を理解するためには、以下の関連記事を確認する必要があります。

初心者向けEPA利用ガイド(輸入)手順2 商品のHSコードを確認する
HSコードのバージョンの違いに注意!
CTCルールとは?条件を満たさないと非原産品扱い!?
付加価値基準(VAルール)

本体部分

冒頭部分の読み込みが終えたら、いよいよ本編部分を確認します。本編部分の全体としては、以下の画像のようになります。先ほど申し上げた通り、この本編部分の表示方法は、EPAによって異なります。下の図は「日マレーシアEPA」の品目規則です。それでは、これをさらにパーツごとに分解して確認します。

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類の親子関係に注目

まず類の部分に注目します。十四類、十五類の部分に丸がついています。その左側には「十四・○一ー十四・○四」や「十五一一・一○」などが記載されています。この丸と四角は「親子関係」を表しています。以下の場合であれば、丸が親、四角が子となります。そして、四角の中に書かれている数字は「HSコード」と呼ばれる、商品を分類するものになります。

例えば、赤四角に含まれる「十四・○一~十四・○四」は、14類に属するわらや竹、いぐさなどの植物性材料を示しています。緑枠にある「十五一一・一○」は、15類に属するオリーブから得た粗油を示します。まずはこの大きな枠組みを覚えてください。

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上段の数字と下段の説明はセット

次に「子」に書かれている内容と下段の記載内容の関係を説明します。上段には下段のルールを適用する対象の品目が書かれています。一方、下段には、商品に対する具体的なルールを示しています。ここがいわゆる品目別規則の本体となります。下図の赤枠、黄色枠、緑枠のように上の数字と下の説明が上下でセットになっています。

例えば、赤枠の「十五・○一~一五・一○(15.01~15.10)」の下段であれば、「1501~1510までの各項目の産品への他の類の材料からの変更」と書かれています。これを言葉を変えて説明をすると以下のようになります。

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今回はわかりやすく説明をするために、あえて日本側のHSコードを使って説明をします。1501~1510に含まれる商品とは以下のような物になります。

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画像:日本関税協会・ウエブタリフより抜粋

上記の図に含まれる産品は、15類以外の産品を使って加工した物を日本の原産品とすることになります。

例えば、上の図にある落花生油は「1508」です。この原材料は「1202」の採油用の落花生になります。したがって15類以外の産品を使って製造されているため、品目別規則の加工基準を満たすことになります。つまり日本の原産品としての扱いを受けることになります。

このように上段にある数字と下段にある説明事項をセットで確認するようにします。

品目規則事例1

上記と同じように上段の数字と下段の説明部分の組み合わせ事例を確認してみます。下の画像例であれば、上段で「1401~1404」までに適用するルールと宣言しています。そして、そのルールの中身が下段に記載されています。この場合であれば、「14類以外の原材料」から変更された物を原産品扱いすると示しています。

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さらに別の例を見てみます。赤枠をご覧ください。上段では「22類04項~22類06項」に規定するルールであると宣言しています。そして下段には、同じくそのルールの中身が書いてあります。

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22類以外の原材料を用いて加工をしているのであれば、原産品として認められることになります。しかし、ここには、もう一つ大きな例外ルールがあります。22類以外の物であっても下図の赤丸の「除く」によって「8類や20類の材料を使ってはならない」と規定されています。

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これを図で表すと以下のようになります。つまり22類04項~22類06項目に該当する商品を製造する場合は、22類、8類、20類に含まれる原料以外から、これらの類に含まれる原料を使っている場合は、その時点で日マレーシアEPAを適用できない貨物になります。

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品目規則事例2(VAルール)

それではもう一つのパターンを確認します。上記の説明と同じように上段には「ルールを適用する品目」を記載しています。下段には、ルールの中身が示されています。以下の画像の場合は「2208.70」の貨物に関わる品目規則であるとわかります。このルールは、これまでの物より少し複雑です。

 

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まず下段の中には二つの文章があることがわかります。それを示すのが図中の「又は、」の部分です。ここがルールの切れ目です。この「又は」を境にして、下段の説明は、前半部分と後半分に分かれます。この場合、前半か後半いずれかの基準を満たせば良いです。では、以下で前半部分と後半部分にわけて説明します。

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前半部分のルール

下の図をご覧ください。注目するところは、緑枠と赤枠部分です。

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緑枠には「他のの材料から~」と書かれています。他方、これまで説明をしてきた別のケースでは「他のの原材料を使うべき」と書かれていることがありました。この類や項が違うことによって、どのように異なるのでしょうか。それを理解するためには、類と項の上下関係を知る必要があります。

類は1~97類存在をして各類の下に項が存在します。

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上記の類と項の関係図から「他の類から~」と「他の項から~」の表現が伝えている範囲は、以下の図の通りとなります。緑枠がそれぞれ使うことができる範囲を表しています。

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もう一度、以下の画像を見ながら、前半部分のルールを確認すると、2208.70項以外(2201~2206、2209を含む)の材料から変更したものであれば、原産地基準を満たすことになります。ただし、この材料の中には、2207項からの材料は含まれない(赤枠)ことになります。

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以上が前半部分に示すルールの内容です。次に後半部分のルールを説明します。

後半部分のルール

先ほどは前半部分のルールを説明しました。前半部分のルールと後半部分のルールは別物です。どちらか好きな方のルールを満たせば原産品扱いになります。

下の図をご覧ください。赤枠の部分に「原産資格割合」という新しい言葉が出てきました。これは俗にいう「付加価値基準(VAルール)」と呼ばれるものです。

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原産資格割合とは

製造した商品の最終的な価値の中に、自国の原産品扱いされている材料は、何パーセント含まれているかを示す割合です。これを「50%以上」に保つことが絶対条件になります。要は「製品の価値の半分は、自国品(原産品扱いの品)を使いなさい」ということを伝えています。この原産資格割合を満たしている場合は、前半のルールで求められていた「他の類や項に属する材料を使わなくてもいい」ことになります。

イメージでいうと下記のようになります。(厳密の規定でいうと違います。イメージとしてとらえてください。)

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以上で前半部分のルールと後半部分のルールの説明を終わります。これまでの説明で品目別規則には、品目ごとに細かいルールが存在することがわかりました。このルールを満たすように生産を行うことが何よりも大切になります。今回は、日マレーシアEPAの品目表を確認しましたが、それ以外にもEPAごとに存在します。

輸出する産品を製造するさいには、必ずこの品目別規則を満たすようにしましょう!

品目別規則の確認場所

品目別規則は各EPAごとに存在します。最新の品目別規則は税関のページや外務省、経済産業省などに表示されています。

まとめ

品目別規則には、原産品扱いにするための細かな規定が記載されています。自社製品を製造して輸出するなどの計画を立てる場合は、必ず各EPAごとの品目別規則規則を満たす必要があります。これを満たさなければ、いくら日本で製造した商品であっても「日本の原産品」としては認められません。相手国によっては、日本以外の国の品と同様の取り扱いを行うことになり、免税等の優遇はなされません。

このようなことを考えてもいかにEPAにおける品目別規則が大切であるかがわかります。これからは、社内にEPA知識を持った人を導入して、製造の現場でEPA情報を反映させられる仕組みづくりが重要です。

EPAに関するおススメの記事→初心者向けEPAマニュアル

EPA相談/特定原産地証明書の取得代行支援サポート(対比表の作成)
 

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