リアルタイム口座のメリットとデメリット 関税等の納付が簡単!

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この記事は、リアルタイム口座のメリット、デメリット、口座残高不足の注意点を説明しています。

海外で商品を購入。これを日本に輸入するときは、関税や消費税が発生します。(関税定率法14条の無条件免税等の規定に該当する場合を除き)関税及び消費税の納税者は、その貨物を日本に輸入する人、つまり「輸入者」とされています。

実は、貿易業界では、この「輸入者が納税をするべき」との原則が崩れていて、なぜか通関業者等が関税や消費税等を立て替える習慣があります。おそらくですが、2021年現在でも行われているはずです。もちろん、これは、ビジネス的にはあり得ないです。

やはり、輸入者は、自らの責任と資金の下、輸入に関わる税金を支払うべきだと考えます。そして、これを実現するのが、今回ご紹介する「リアルタイム口座」です。

そこで、この記事では、これから貿易業を起業する方に向けて、リアルタイム口座のメリットやデメリット、申し込み方法から活用方法などをご紹介していきます。

リアルタイム口座とは?

リアルタイム口座とは、輸入者が支払うべき関税や消費税を直接、輸入者の口座から引き落とす仕組みです。最初に利用申し込みをすれば、あとは、輸入申告毎に諸税が自動的に引かれます。

リアルタイム口座=輸入者の諸税を輸入者の口座から引き落とす仕組み

以上がリアルタイム口座のすべての説明です。非常に簡単ですね! これから、貿易を始める方は、必ずリアルタイム口座を設定しましょう。この口座を設定していないと、通関業者やフォワーダー等に依頼を受けてもらいにくいです。(この理由は後述)

リアルタイム口座とは、輸入者が支払うべき諸税を輸入者の口座から引き落とす仕組みです。

リアルタイム口座のデメリット

リアルタイム口座のデメリットは、次の4つです。

  1. 納付書が発行されない。
  2. 納期限の延長申請をする場合は、ダイレクト方式を使えない。
  3. 対応する金融機関が限られている。
  4. 手元資金の余力が小さくなる
  5. 口座残高不足の発生

リアルタイム口座は、輸入諸税を直接、輸入者の口座から引き落されるため、効率的に納税処理ができます。しかし、この半面、手元資金の余力が小さくこと、口座残高不足が発生する可能性があることに留意が必要です。

手も資金の余力が小さくなるとは?

通常、ビジネスをする上では、手元資金をできるだけ潤沢に保つことが重要です。出る物(出金)はできる限り遅く、入る物(入金)は迅速にする。これが手元の資金の余力が上げるコツです。リアルタイム口座による自動引き落としは、まさにこの逆を行きます。

まだ、販売をしていない状況で、輸入諸税等が引かれるため、その分、資金の余力が小さくなります。特に、契約等で資金の流入(販売の目途)が確約されていないときは注意が必要です。

口座残高不足の発生

リアルタイム口座は、輸入者の口座から輸入諸税が引かれます。そのため、少なくても輸入許可をもらう時点で、輸入諸税の合計額を引き落とせるだけの口座残高を維持する必要があります。

例えば、今回の輸入取引における輸入諸税が約30万円ほどであるなら、少なくても口座残高は30万円以上必要です。なければ、口座の残高不足として輸入許可に至りません。

納税(引き落とし)が完了し、輸入許可に至る。

この原則を必ず覚えておく必要があります。どれだけ高速に輸送し、通関手続き等を迅速に手配したとしても最後の最後に貨物が留まる状況になってしまうのです。リアルタイム口座の残高不足は、けっこう聞きます。私の通関時代でもお客に対して催促した経験もあります。

関連記事:リアルタイム口座の利用時は残高不足に注意!

リアルタイム口座のメリット

メリットは、次の4つです。

  1. 関税や消費税の納付が自動的にできる。
  2. リアルタイム口座を開設しても、輸入申告毎に納付方法を選べる。
  3. 一般口座なので、不足したら現金を入れるだけで使える。
  4. フェデックス等でも利用ができる。
  5. 通関業者やフォワーダー等が依頼を受けてくれやすくなる。

例えば、通関業者等に関税や消費税の立替払いをお願いしている場合、一般的には、輸入許可日から5営業日以内に支払うことが多いです。結局、数日違いで支払うため、資金管理上からも、自分の口座から直接引き落とされた方が良いです。口座残高が不足しても、口座に現金を入れれば、すぐに反映される点も大きな魅力です。

また、小規模輸入をされている方に多いのがフェデックスやDHL等のインテグレーターです。これらの業者を利用すると、支払う金額によっては、半月ほど後に、輸入税の請求書が送られてくることがあります。(忘れたころに関税と消費税の立替分の請求書が届きます。)こちらも資金管理が難しいですね!

そこで、リアルタイム口座を利用します。口座を利用すれば、輸入申告日(許可日)と同時に関税や消費税が引き落とされるため、資金的な管理がしやすくなります。

また、5番目の通関業者やフォワーダーが依頼を受けてくれやすくなる点も重要です。実は、貿易業界は、新しく始める人の依頼を中々、受けてくれないことが多いです。

例えば、通関代行を希望する場合でも、10社に依頼して、3社ほどが依頼を受けてくれるかどうかです。お金を支払えば、依頼を受けてくれるわではないです。この点は、かなり冷淡です。

では、なぜ、業者は依頼を受けてくれないのでしょうか? いくつかある要因の一つが「資金リスク」です。既述の通り、通関業界は、関税等を立て替える習慣があります。つまり、新規荷主で素性がわからない人の資金を立て替えたくない。これを資金リスクととらえています。

よって、この部分を考えるなら、新しく貿易を始める人は、業者側のリスクととらえている部分を小さくするためにも、リアルタイム口座を開設しておくことが重要だとわかります。これによって、業者側が懸念する資金リスクの部分が除外されて、あなたの依頼を受けてくれやすくなります。

延納制度との違いは?

リアルタイム口座と延納制度の違いは「キャッシュフロー」です。ご存じの通り、延納制度は、担保を差し出し、その範囲において関税等の納税を延期できる仕組みです。関税や消費税等の支払いを延期できることは、その分だけ資金の流動性が高まることを意味します。

他方、リアルタイム口座は、輸入申告(輸入許可)のときに、指定の口座から税金が差し引かれます。これは、延納時よりも手元資金がなくなり、資金の流動性が下がることを意味します。よって、キャッシュフローを改善する目的なら、延納を選んだ方が良いと言えるでしょう。

申込みから利用までの手順

リアルタイム口座の申し込みから利用までの流れを確認していきましょう。リアルタイム口座を利用する上で関係する機関は、次の三つです。

  1. ナックスセンター
  2. 税関
  3. 金融機関

まずは、税関から「税関コード」を取得します。その後、「関税等のリアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)による納付申出書」に取得した税関コードを記載します。これをナックスセンターに郵送して手続きを完了させます。(約2週間から3週間かかる)

ナックスセンターのサイトに行きます!対応する金融機関に注意します。スタートアップで利用することが多い銀行(楽天等)は、使用できません!代わりの銀行又は信用金庫を選びましょう!

申込みは、ページ下部にある「エクセルファイル」をダウンロードして印刷。捺印後にナックスセンターに郵送します。

リアルタイム口座

このエクセルファイルをダウンロードできるので開きます。

リアルタイム口座

注意事項をしっかりと確認して入力します。(黄色背景の部分のみ)

リアルタイム口座

入力が完了したら印刷します。5枚の内、二枚目と三枚目のみを郵送します。

リアルタイム口座

二枚目と三枚目には、銀行の届出印を捺印します。

リアルタイム口座

郵送先は、一枚目に表示されているナックスセンターです。住所記入が面倒な場合は、以下の部分を切り抜いて最後の「宛て」に斜線をして、御中と付け足し、貼り付けて利用すればいいです。

リアルタイム口座

申し込みから最短で2週間。平均は一カ月前後で申し込みが完了します。

私の場合は、二週間と三日後に登録完了

私の場合は、申し込みから二週間と三日程で登録完了のメールが届きました。このメールが届いたら、次回以降の輸入通関でリアルタイム口座を利用して納付ができます。

リアルタイム口座

登録完了後の利用方法

無事にリアルタイム口座が開設できたら、取引をする通関業者やフォワーダーに下記の情報を伝えします。これによって、輸入申告に関わる諸税を自らの口座から引き落とせます。

金融機関コード(4桁)+支店コード(3桁)+口座番号(7桁)の計14桁

以上がリアルタイム口座に関する説明です。

スモール貿易者にとってのリアルタイム口座とは?

最後に、貿易起業家とリアルタイム口座の意味を確認していきましょう。 記述の通り、長年、貿易業界では、輸入者の関税や消費税を通関業者が立て替える悪しき習慣がありました。立替の言葉から、特に疑問を感じない方も多いでしょう。しかし、実際は、立替金がないと、商売が成り立たない輸入者が多い。つまり、資金的にヤバい輸入業者が多いのです。

立替金を別の視点でとらえれば、「人のお金のタダノリ」とも言えるでしょう。実際、通関業者が立替金に対して利子等を請求することはないです。

例えば、10,000円の立て替えてもらったら、5日以内に10,000円を返せばいいのです。非常に問題ですね!でも、これがなぜか、業界のスタンダードになっているのです。お金には、常に利子が発生し、他人の物を取得した場合は、元本とは別に利子を支払うのが普通です。

実際、官庁等が請求する税金等でも、納めすぎが発生した場合は「過誤納金」の仕組み(還付加算金)により、納付した税金とは別に利子に相当する物が支払われます。公共機関でも、税金の取りすぎは、人の財産の不当占有として、そこに利子が支払われるのです。

一方、貿易業界は、どうでしょう。1万円の立替金が発生したら1万円を返せばいいだけとの考え方が蔓延しています。完全に利子の考え方が欠落しています。フリーATMとも言えますね!しかも、実際は、この立替金すらまともに返済できない輸入者が多いです。

私自身、通関時代には、この立替金の回収を支店長等から、せかされていたことを今でもよく覚えています。立替金を「タダで借りられるお金」と勘違いしているようです。

やはり、輸入者自身の諸税は、自身が直接払うべきです。立替金を当てにしたキャッシュフローは愚の骨頂です。ただ、別に立替金を使わなくても自己資金でできる。でも、使えるなら、使ってしまえ!のごとく、戦略的に立替金を利用するならいいと思います。

  1. 立替金がなければ、商売が成り立たない→ 愚の骨頂
  2. 自己資金で納税はできる。でも立て替えてくれるなら…→ 戦略的利用ならOK

これから貿易を起業する方は、ぜひ、この悪しき習慣に染まらず、自らの力でキャッシュフローをコントールしていただきたいと思います。それを実現するためにも、リアルタイム口座が必要です。

リアルタイム口座は便利。但し、残高不足に注意する

輸入者がリアルタイム口座を利用する上でのトラブルは「口座の残高不足」です。つまり、引き落とされる税額(納税額)より、口座の残高が下回ることです。

例えば、ある商品を輸入し、輸入諸税の合計が50万円だとしましょう。この場合、少なくても口座には、50万円以上の残高が必要です。先ほども述べた通り、輸入許可とは、納税後(延納手続きも含む)に出されるため、引き落としができないと、いつまでも輸入許可がでません。

実際、この口座残高不足の問題は、私の通関業者時代でも経験したことがあります。特に比較的小さな企業で、常に資金的にギリギリな所が、この現象に陥ることが多かったです。もう輸入許可の寸前なのに、口座残高不足により、輸入許可が下りないのです。

中国輸送の専門家の経験談

中国輸送の担当者の方も、リアルタイム口座の残高不足の経験や問題点を次のように説明しています。

「過去、弊社でも経験がございます。お客様は、輸入者コード等もお持ちで、リアルタイム口座を利用されていました。ちょうど、弊社の「海上速達便」を利用されている方ですね。

弊社の海上速達便は、中国から日本各地までのドアツードアを最速で輸送する点を売りにしています。そのお客様の荷物も最速で輸送してきたのですが…最後に「事件」は起きたんですね!

あのときは、税関検査がありました。そして、問題もなく、税関審査も終了したのでいよいよ輸入許可が下りるかなと思ったら。なんと、「リアルタイム口座の残高不足」だったんです…汗

一瞬、「え~!!」と思いましたね。弊社としては、ここまでの手配を可能な限り迅速にしてきたのですが、最後の最後で……という感じでした。

すでに税関の輸入審査が終わっている。しかし、荷物を動かせない。 

このような「もったいない」状況でした。もし、残高が不足していなければ….すでに納品地に向けて出発できていたのにな..などと考えていましたね。実にもったいない状況だなと。

ご存じの通り、税関検査が終わっても、輸入許可がおりるまでは、一切荷物を動かすことはできません。そのため、急いで輸入者様に連絡をし、早急に口座に入金していただきました。その後、無事に輸入許可となり、荷物をお届けできた経験がございます。」

口座トラブルは企業の与信に影響

また、別のフォワーダーは、リアルタイム口座のトラブルについて次のように説明します。

「弊社は、お客様にリアルタイム口座の活用をお勧めしています。新規にお取引を始めるかどうかを判断するときに、上司に資金的なリスクについて説明がしやすいからです。やはり、新規のお取引様には、資金的なリスクがあることを否定できません。特に昨今の流行病の影響下ではなおさらです。

新規の取引は始めたい。でも、少しでもリスクを下げたい。 これが弊社の本音です。そして、実際に取引を始めた後に、その企業とのやり取りを確かめますね!

例えば、やり取りがスムーズに行くのか? 申告外の怪しい貨物をのせていないのか? 輸入諸掛りの支払いは期日通りか? リアルタイム口座の引き落としトラブルはないのか?などです。

これは、あくまで弊社の場合となりますが、リアルタイム口座で引き落としができない=資金管理ができていないとの見方をしています。もちろん、たまたまその時は…ということもありますが、それが複数回続くとなると、やはり資金的なリスクが高いと判断せざる負えないですね。当然、弊社としても取引継続することが難しくなります」

リアルタイム口座から資金が引き落とせない。

一見すると、輸入者個人の問題のように感じられますが、実は、他者から(通関業者やフォワーダー等)が輸入者(あなた)との取引を継続するべきか?を判断される側面でもとも理解するべきです。

リアルタイム口座の引き落としミスは、社外からの評価にも関係する。引き落としができない=資金的にやばいのでは?と感じられる。

輸入者には、輸入者側の準備も必要

上記の事例でもわかる通り、国際輸送、通関手配等、どれだけ迅速に手配をしても、輸入者側の準備ができていない場合は、それまでの手配が台無しになることがよくあります。今回のケースであれば、輸入者側の「残高不足」ですね!これにより、本来のリードタイムよりも長くなり、つまるところ、販売機会の損失につながっています。

例えば、弊社の別記事「貿易会社を設立するときに準備すること」を公開しています。この中でもリアルタイム口座について触れています。他、輸入者コードなどもあります。基本的に、上記の記事内容は、すべて重要です。今一度、よくご覧いただき、「もったいない状況」に陥らないようにしましょう! 必要であれば、輸送のプロに問い合わせが必要です。

もし、ある一定規模で貿易取引をする場合は、一度、相談されることをお勧めします。輸送については、輸送のプロに相談をする。これが非常に重要です。素人が素人の相談をしても、適切な答えを導き出すことは困難だと思いますので…汗

口座残高不足に陥らないようにするには?

口座残高がギリギリの方は、あらかじめフォワーダー(通関業者等)に対して、輸入諸税の引き落とし額を聞いておきましょう。通関業者等であれば、輸入書類から納税額を算出できます。輸入者は、少なくても、引き落とし額を上回る口座残高にしておきます。

まとめ

  • リアルタイム口座を使うと、関税や消費税の納税を口座引き落としにできる。
  • 貿易業界の悪しき習慣「立替制度」を利用しないようにしよう。
  • キャッシュフローを改善したい場合は、延納制度を利用すること
  • リアルタイム口座とは、輸入者の口座から輸入諸税を引き落とす仕組み。
  • リアルタイム口座を利用する場合は、口座の残高に注意する
  • 口座の残高がぎりぎりの場合は、フォワーダー等から引き落とし予定金額を聞いておく。
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