日本に輸出入されている価格を調べる方法があります。財務省統計局が発表する貿易統計/輸入統計/通関統計です。これらは、全国の税関に対して申告した情報である為、精度は極めて高いです。貿易実務では、この統計を輸入価格(港価格)を調べたり、輸出市場を見つけたりするときに使います。
この記事では、貿易統計の調べ方、輸入価格の調査方法、輸出市場の見つけ方、第二数量の意味をご紹介していきます。
疑問:第一単位と第二単位とは?
貿易統計(通関統計)の使い方
日本に輸入する人又は、輸出する人は、税関への輸出入申告が必要です。
「○○を輸入します。関税と消費税は○○円なので、これを納めます。輸入許可をお願いします!」
と申告をすることで貨物を引き取れます。輸出であれば「○○国へ○○を○○個輸出するので輸出許可をください!」と申告します。これら申告の結果、特に問題がなければ、輸出入は許可されます。この税関に申告された情報をまとめた物が財務省統計局が発表する「貿易統計」です。
*貿易統計=広く国民にわかるように公開しています。誰でも無料で閲覧ができ、日本と外国との貿易状態をつぶさに確認する目的がある。
貿易統計の基情報
- 輸出統計品目表(輸出申告したデータ)
- 実行関税率表(輸入申告したデータ)
貿易統計でできること
貿易統計を使うと、次の2つのことを調べられます。
- どこの国に、どんな物がいくらで輸出されているのか?る(輸出市場の選定)
- どこの国から、どんな物がいくらで輸入されているのか?(輸入品の選定)
輸出入とも日本の港における価格(輸入=CIF、輸出=FOB)がわかる為、輸入価格の参考価格を調べたり、輸出市場を調べたりするときに便利です。
貿易統計は、輸入(輸出)原価の確認と対象国(需要国・仕入れ先国)を調べられます。
貿易統計利用前の準備
貿易統計で情報を調べるときは「HSコード」が必要です。HSコードとは、HS条約に基づき、商品と数桁の数字を組み合わせたコード表です。世界各国で共通の物(上位6桁)を使っており、日本の貿易統計もこのHSコードと組み合わせて情報を公開しています。まずは、調べたい商品のHSコードを調べます。
HSコードは、最寄りの税関、通関業者又は以下のページで探せます。但し、専門的な部分が多く、中々、特定のコードを探しにくいです。そこで、特に理由がなければ、税関の関税監査官等に相談することをお勧めします。
税関相談は無料です。また、税関官署に行かずにメールで相談できます。もし、回答内容に法的拘束力を持たせたい場合は「事前教示制度」の仕組みもあります。ご自身の好きな方法を選びましょう!
まずは、商品のHSコードを調べましょう!
貿易統計の見方
にアクセスします。様々なメニューがありますが、主に使うのは、次の三つです。品物を基準に考えるのか?それとも国を基準に情報を探すのか?の違いです。
- 国別総額表=ある国との間でやり取りしている産品の情報
- 統計品別表
- 品別国別表=ある品物をやりとりする国の情報
品別国別表での情報検索方法
今回は、品別国別表を活用して……
- 日本酒は、どこに国に輸出されているのか?
- いくらで輸出されているのか?
を調べてみます。日本酒の輸出HSコード(統計番号)は「2206.00.200」です。貿易統計は、この番号を使い調べていきます。
- 輸出・輸入の選択
- 統計年月日の選択
- 品目の指定
- 国やエリアの指定
- 表示件数
1.輸出入の選択
今回は、輸出データを調べるため「輸出」を選びます。
2.統計年月日
データとして収集する範囲を選びます。
- 単一年月日=ある一か月分のデータ
- 年内の複数月=同じ年の中にある2か月以上のデータ
- 年内の累計=その年(1月~12月)のデータ
- 年度内の累計=ある年の年度(例:2018年4月~2019年3月)
3.品目の指定
何の情報を検索しますか? 今回は、日本酒ですね。そしてHSコードもわかっているため「品目コード指定」を選びます。品目コード指定>>HSコード入力
もし、HSコードがわからないときは「参照指定」を押して、一覧からも選べます。
「参照」ボタンを押すと、ポップアップで表示される。
4.国や地域の指定
データを国や特定の地域に絞りたいときに使います。何も選択していないときは、全地域が検索の対象です。ある国を選ぶときは「国コード」、地域を指定するときは、財務省統計局で定義しているグループから選びます。国コードや地域の定義は、こちらのページで紹介されています。
- 地理圏=アジア、中東、西欧、中東欧・ロシア、北米、中南米、アフリカ、太平洋州、特殊地域
- 経済圏=EU、EFTA、アセアン、アジアニーズ
あえて国を選ばなければ、世界中が検索対象です。=世界のどこに輸出されているのかがわかる!
結果表示(日本酒の輸出価格)
設定完了後、検索すると、以下の画面が表示されます。なお、こちらの画面を見ると、第二数量などよくわからない文言が多いです。その場合は「統計局のQ&A」で調べます。
上記の手順に従えば、輸出先国の他、1Lあたりの輸出価格まで調べられます。なお、今回は、輸出情報を調べていますが、検索設定を「輸入」にすれば、日本への輸入価格等を調べられます。ぜひ、皆さんが知りたい情報を貿易統計を活用して調べてみましょう!
ちなみに、貿易統計データは、CSVでダウンロードできます。そのため、エクセルが得意な方は、CSVを基にして様々なグラフを作成することもできます。
例えば、年度ごとに情報を表示して、推移がわかるグラフを作るなどです。
よくある疑問
概況品とは?
ある品目を特定のグループでまとめたものです。
例:果実等をすべて「野菜・果実のグループ」にまとめるなど。
第一数量、第二数量とは?
ある品目を2つ以上の単位で考えることです。
例えば、瓶ビールがあるとしましょう。この瓶ビールの数を表すときは「一本」「二本」など○○本の他、○○リットルとも表せられますね!このような2以上の単位で表現できる物は、第一単位と第二単位で表すことがあります。(ある物とない物がある)
品目コードとは?
HSコードです。輸出は、輸出統計品目表、輸入は、実効関税率表を基準にします。
国コードとは?
日本と国交がある国を三桁の数字で表しています。また、この国をいくつかのグループでまとめているものもあります。例:欧州など。国コードは、貿易統計局の国コード一覧にのっています。
まとめ
- 貿易データは、日本の輸出と輸入状態を把握できる。
- =税関へ輸出入申告されたデータがまとまったもの。
- 財務省の貿易統計として誰でも閲覧できる。
- 貿易者は、輸出入価格を調べるこで商売が成立するかを確認できる。
- 産品を基準にして輸出価格を調べれば、マーケット情報も手に入る。