日本商品をベトナムに輸出する。又は、ベトナム商品を日本に輸入する場合は、輸入国側で関税(輸入税)がかかる可能性があります。
今回は、ベトナムと日本との間で輸出又は輸入するときに関税がかからないようにする方法をご紹介します。なお、この記事の想定は、日越間で商業貿易をしている方です。個人使用(手荷物として入国数する時の免税など)でやり取りしている方は、想定していないです。
ベトナムと日本との輸出・輸入で関税がかからない方法
ベトナム及び日本は、自国に海外製品が入ろうとするとき(輸入時9に関税等の輸入税をかします。
例えば、ベトナム国内に日本製品を輸入するときに5%を課税するなどです。当然、この逆もあります。しかし、ある制度を利用することで免税にできる可能性があります。それが「EPA(経済連携協定)」です。
- ベトナムから日本
- 日本からベトナム
上記のやり取りをする際、関税を減額又は、削減できる可能性があります。
2024年1月現在の日越間の関税優遇制度(EPA)
2024年1月現在、ベトナムと日本は、以下4つのEPA(経済協定)を結んでいます。これらの内、最適な協定を適用することで関税の減額や削減等が可能です。
- 日ベトナムEPA
- 日アセアンEPA
- CPTPP(TPP11)
- RCEP
ベトナム国内の関税一覧(輸入税)
ここでベトナム国内の関税を考えてみましょう。
2024年1月現在、ベトナム側は、化粧品に約20%の関税率を設定しています。EPAを活用すれば、この関税がゼロになります。(日本製化粧品がベトナムに入るときの関税) 当然、ベトナム商品を日本に輸入する場合も関税の削減又は減額が行われています。
日越商品は、相互に関税を削減又は撤廃しています。
EPAは、日ベトナム間の貿易をする人に関係
実は、EPAは、個人でネットショップを利用するときにも適用されます。ですが、ここでは、あくまで「商売目的」に限定して説明をしていきます。基本的にEPAは、商業目的で日本とベトナム間でやり取りをしている方に関係しています。かつ、その取引額が大きくなるほど、活用のインパクトが大きくなります。
例:価格が1000万円、税率5%が0%になったら? → 50万円がゼロです!
なお、EPAを商売目的で活用する場合は、次の2つに大別されます。
- 輸出
- 輸入
輸出とは、日本からベトナムに商品を輸出することです。他方、輸入とは、ベトナムから日本に商品を輸入することです。EPAを活用する上で負担が大きいのは、主に輸出者側です。なぜなら、EPAを活用する上で、輸出者側で特定原産地証明書を取得し、輸入国側に送付する必要があるからです。(第三者証明方式)
日越間のEPAの活用手順
それでは、具体的な活用手順を確認していきましょう。冒頭で申し上げた通り、2024年現在、日本とベトナムとの間には、以下4つのEPAがあります。活用する上での注意点は、同じ商品を輸入する場合でも適用するEPAにより、関税率が異なることです。
- 日ベトナムEPA
- 日アセアンEPA
- CPTPP(TPP11)
- RCEP
例えば、ベトナムにりんごを輸出するとしましょう。この場合、次のようなことが発生する可能性があります。(税率はデタラメです。単なる説明のみです)
- 日ベトナムEPA=3%
- 日アセアンEPA=2%
- CPTPP(TPP11)=無税
- RCEP=5%
同じ商品でも適用する協定により、ベトナム側の関税率が変わる可能性があります!特に、発効間もない協定(例:RCEP等)は注意が必要です。考えずにEPAを適用すると、むしろ損することすらあります。
商品ごとに最も有利な税を適用できる協定を選びましょう!
1.輸入で利用する(ベトナムから日本への輸入)
輸入で活用する場合は、基本的にはベトナム側の売り手が特定原産地証明書を取得してくれるのを待つだけで良いです。売り手から特定原産地証明書を入手したら、日本側の輸入申告時に提出します。なお、CPTPPは、特定原産地証明書の仕組み(第三者証明制度)はなく、自己証明制度になります。
2.輸出で利用する(日本からベトナムヘの輸出)
輸出で活用する場合は、日本側の輸出者が特定原産地証明書を取得する必要があります。つまり、輸入者として活用するよりも手間がかかります。取得手順は、次の通りです。
- ベトナム側の関税率を確認する(ワールドタリフ)
- ベトナム側の原産地ルールを確認する。(原産地規則ポータル)
- 協定で求められている基準をクリアしていることを証明する書類を作成する
- 日本商工会議所に企業登録&申請
- 日本商工会議所による審査&ダメ出し
- 審査完了
- 発給申請
上記の流れです。なお、2番の書類の出来が悪いと、すぐに数週間又は、一か月、二か月の期間がかかります。できるだけ自前での手続きは避けて頂き、専門家の助言を受けながら進めることをお勧めします。なお、手前味噌ですが、弊社でも特定原産地証明書の取得手続き(書類作成支援)を支援しています。
参考情報:20万円以下は特定原産地は不要
貿易の取引価格が一回、20万円以下の場合は、特定原産地署名書は不要です。(日本側基準)この基準は、協定毎、日本側、ベトナム側でも違います。
例:一回1000USDまでは原産地証明書不要など
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