海上コンテナがひっ迫したときに注目された「SOCコンテナ」をご紹介してきます。なお、最初に申し上げますが、ある物流会社の社長さんが曰く….
「うちは、SOCコンテナでの輸送を考えた。純粋に空のコンテナだけが不足しているだけなら、きっと輸送料金は下がるはずだよね? だって、コンテナ自体の不足による値上げなんでしょ!?」
と、問い合わせをしたそうです。これに対する答えは「ノー」でした。予想通り、コンテナの輸送料金は、下がらなかったようです。
*「SOCコンテナ」は、不正確な名称です。そもそも「C」の部分がコンテナですから..汗 ただ、検索的な問題から「SOCコンテナ」と記載しています。
SOCコンテナ
SOC(Shipper’s Own Container)コンテナとは、NVOCC(フォワーダー)、BCO、一般荷主などがコンテナ所有・管理している物の総称。他方、COC(Carrier’s Own Container)コンテナは、船を運行するキャリアがコンテナを所有・管理している物です。
どのような違いがあるのでしょうか?
コンテナの所有とは?
街中では、40フィートなどのコンテナを目にすることがあります。ドレーと呼ばれる専用車を使い、港と国内各地の配送場所を行き来しています。ある一定規模以上で輸出入をする方は、このコンテナの中に貨物を積めて国際輸送しています。
ところで、このコンテナは、誰の物でしょうか? 輸出者や輸入者が購入するのでしょうか? それとも別の第三者の持ち物なのでしょうか? この「所有者」の部分が今回のテーマです。
コンテナは、大きく分けると、次の2つの所有形態があります。
- 船を運航する船会社(リース会社)
- 実際に荷物の輸送を依頼する依頼者(荷主)
実際は、この他にもいくつかの形態がございますが、話を簡単にするために、ここでは、主に2つの形態しかないとします。そして、この1番と2番のそれぞれの事を…
- COCコンテナ
- SOCコンテナ
と言います。なぜ、2つのコンテナがあるのでしょうか? それぞれのメリットを確認していきましょう! と、進む前に先に結論をお伝えします。
「一般荷主であり、通常の状況であれば、SOCコンテナを使うメリットはない」
これが結論です。それでは、それぞれを詳しく確認していきます。
COCコンテナ
COCコンテナは、キャリアが管理・所有するコンテナです。一般の荷主における貿易取引は、このCOCコンテナを使い行われています。メリットとデメリットは、次の通りです。
COCのメリット
- 空コンテナの扱いに困らない。
- コンテナが余っているときは、輸送費を値下げしてくれるかも!?
COCコンテナは、通常の運送費の中に含まれています。そのため、貨物を輸送し、中身を取り出したら、あとは空コンテナを返却するだけです。デバン後の空のコンテナの保管に悩みません。また、需給バランスにより、港にコンテナが余っている場合は、輸送費の削減を受けられることがあります。
実は、世界中のコンテナは、諸外国を行ったり、来たりしているため、常に需給バランスが変わります。コンテナが不足している場所では、料金が高くなり、逆にコンテナが余っている場所は、少しでのコンテナのダブツキを減らす(稼働率を上げる)ために、送料を値下げして提供します。
COCのデメリット
- コンテナの数に不均衡が発生すると、そのまま輸送コストupにつながる。
- デマレッジやでテンションチャージに悩まされる。
メリットでもご紹介した通り、何らかの理由でコンテナの需給バランスが崩れると、それがそのまま輸送コストとして反映してきます。(○○サーチャージ等で請求される)また、自社のコンテナではないため、常にデマレッジやディテンションチャージ等に悩まされます。
SOCコンテナ
SCOコンテナは、NVOCC(フォワーダー)、BCO、一般荷主がコンテナを管理、所有している物です。キャリアが所有していないため、イレギュラー時の費用負担が最小になるのがメリットです。しかし、結論の通り、平常時はCOCコンテナよりも優れているとは言い難いです。
メリットとデメリットは、次の通りです。
SOCのメリット
- コンテナのまま移動、保管ができる。
- ぼろいコンテナによる貨物事故を防げる。
- 予期しない状況におけるコスト負担が少ない。
SOCコンテナは、自社で所有する場合が多いため、輸入コンテナのまま長期間、保管できます。ディテンションチャージ等が発生しないためです。使用するコンテナを管理できる点も魅力です。
COCコンテナの場合、予約時においては、どのような空コンテナがくるのかはわかりません。中には、コンテナに穴が開いている物が来ることもあります。もし、穴が開いていると、コンテナに海水が侵入し「貨物事故」につながります。=キレイなコンテナを使える点は魅力です。
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SOCのデメリット
- 初期投資が必要
- 管理をするために費用と時間がかかる。
SOCのデメリットは、最初にコンテナを購入する資金がいることです。コンテナに資金が固定されるため、キャッシュフローが悪くなります。また、自社でコンテナを所有するゆえの「管理コスト」も必要です。
例えば、空のコンテナを保管するためのスペース、棚卸費用、管理、保守などの費用や手間です。以上がSOCとCOCコンテナの違いです。
眠るSOCの有効活用策は?
SOCを検討する方で、次の点でお困りの方は「xChange」を利用すると良いです。
- SOCコンテナを使いたい。
- SOCコンテナを借りたい。
xChangeは、SOCコンテナのマッチングサイトです。ピックアップ、ドロップオフの指定をするだけで、世界中のSOCコンテナの貸し借りができます。もし、SOCコンテナの導入を検討されている方は、一度、検討されるのも良いと思います。
SOCと免税(TIR条約/コンテナ)について
例えば、日本国内でコンテナを取得し、それを「SOCコンテナ」にする場合は、税関にコンテナの型式認証を受けて、国際コンテナとして使用できる手続きが必要です。
実は、国際輸送で使用するコンテナは「コンテナー条約/TIR条約」により、一定の期間内に搬出をする条件の下、コンテナ自体の関税と消費税を無税にする国際的な取り決めがあります。このTIR条約の条件を満たすために、税関から「型式認証」を受けます。
まとめ
- SOCコンテナとは、荷主、フォワーダー等が所有管理する物。
- COCコンテナとは、キャリアが所有管理する物
- 一般的な荷主×平常時であれば、SOCを検討するメリットはなし。
- SOCコンテナを導入する場合は、管理や保守コストを計算に入れるべき。
- 最近は、SOCコンテナのマッチんサイト「xChange」がある。