並行輸出とは?違法性があるかを検討してみる。

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    ebayやshopify等のプラットフォームを使えば、誰でも簡単に「お手軽輸出(海外販売)」が可能です。うまく市場ニーズを掴めれば、それだけでもご飯を食べられるでしょう。ところで、お手軽輸出をする上で一つ気になることがあります。

    「日本国内の商品を勝手に輸出しても大丈夫なの?」

    例えば、日本の正規販売店で販売されている限定モデルを購入。これを海外に転売等ですね。いわゆる「並行輸出」です。(この対義語の並行輸入についての見解)

    この並行輸出については、違法性はあるのでしょうか?この記事では、並行輸出の概要と違法性について多角的に解説していきます。結論は、以下の通りです。

    • 真正品を買い付けて輸出する限り、並行輸出にすぐに違法性があるとはいえない。
    • メーカーは商標権を根拠にして、輸出差し止めなどは難しい。
    • 独占禁止法、EPA、輸入規制の観点から考える。
    • ただし、実務上は弁護士等に相談をした方が良い。

    並行輸出

    並行輸出とは、日本のメーカー(ブランド所有者やそれに相応する立場)が実現している正規ルート以外で輸出する総称です。

    例えば、日本の正規販売店で購入した商品をebay経由で輸出することも、この並行輸出の定義に当てはまります。(スモール輸出ビジネスをする場合に該当することが多い)

    並行輸出

    輸出者側の目線・並行輸出の論点、違法性の境は?

    関税法69条の規定によると、商標権を侵害している貨物の輸出はできないとされています。並行輸出の違法性のポイントは「真正品」にあります。つまり、並行輸出でも、商品自体が真正品である場合は、輸出を禁止できません。

    最大のポイント:扱う商品が「真正品」であること

    例えば、日本国内のブランドメーカAが製造し、販売している商品を小売りで購入。もちろん、これは、真正品ですね。よって、これを購入し、勝手に輸出をしても、違法性はないです。商品自体が「真正品」だからです。

    ブランド/メーカー側の目線・並行輸出の問題点

    ただし、これは、あくまで輸出者側の目線でのとらえ方です。一方のメーカーやブランド側の目線では、次の点で問題意識を持っています。

    • 輸出先の国での法令違反(法的要件を満たさない。)
    • ブランドイメージの低下
    • 価格の低下
    • 正規ルート上で、正規輸入者がいる場合は、独占販売権の侵害にあたる可能性がある。

    例えば、日本で購入したカップラーメンやお菓子などを勝手に海外に輸出した場合は、輸入国側の食品に関する法的要件を満たさない可能性があります。また、並行輸出によって出回る商品が回収されて、違法な成分(輸入国側の規制上)が検出されたら、当事者ではないのに、勝手に飛び火。ブランドイメージの低下につながります。

    例:●●ラーメンからヤバい成分が出たらしい=●●ブランドのラーメンは危険など。

    また、並行輸出品は、正規輸出品よりも様々な費用を削って流通するため、価格上も安い場合が多いです。よって、これに引きずられて正規輸入品も価格が低下する可能性が高いです。最後は、輸出先国にいる正規輸入者の独占販売権の侵害です。

    例えば、A国に住むBと独占販売権を締結しているとしましょう!Bは、A国の正規輸入者として存在。そこに、並行輸出された同じ商品がA国に流入してきます。Bはこう思います。

    「俺が正規輸入者だ!なんで勝手に商品が流入しているんだ。これは独占販売権の侵害だ!」

    などです。上記の通り、並行輸出自体は、問題がないにしろ、輸出者側とメーカ側(権利所持者)の立場の違いで、大きくとらえ方が違います。ただし、食品など、一部の商品を除けば、基本的には、並行輸出は法的には、特に問題がない可能性が高いです。

    並行輸出に対するメーカーや商社の対策例

    では、メーカーや商社は、この並行輸出については、どのような対策をしているのでしょうか? こちらの資料によると、次のような対策をしているようです。

    一次卸や二次卸に商品を卸す際に、契約書の中に「勝手に海外に輸出するな」との文言を入れる。

    他には、国内仕様のパッケージ、海外仕様のパッケージを作ったり、ロット番号から卸先を特定したりできるようにしているそうです。一見すると有効な対策だとも感じますが、これだけ販売チャネルが多様化している中では、なしのつぶてとも感じます。

    1. 商標権の侵害の観点→ 真正品につき問題なし
    2. 輸出禁止品(関税法69条周辺)→ 問題なし
    3. 輸入国側の法的規制→ 食品等、一部に問題が発生する可能性あり。ただし、相手国側目線で「個人輸入」の形になるように輸出をすれば、法的な問題はクリアできることが多い。

    上記3つの観点からも、やはり、並行輸出に違法性があると断定することはできないと考えます。

    過度な強い縛りつけは、独占禁止法の観点で問題になることも。

    日本国内には、サービスや商品を一部の者が独占するのを防止する「独占禁止法」があります。並行輸出を徹底的に防止するため、メーカー等が契約書の中に、必要以上の独占性や排他性を実現するための項目を盛り込むと、独禁法に抵触する可能性もあります。(独占禁止法は日本の国内法)

    例えば、A国には、正規ルートの商品と並行輸出の商品の2つが流通しているとしましょう。並行輸出の製品が流通していることで、A国における価格競争が実現されています。そして、これにより、適正な価格が維持されている。このような状況だと仮定します。

    この場合、並行輸出品がゼロになると、必ず正規ルートの商品価格が上がり、そこに独占性や排他性が生まれます。よって、この場合は、A国において、日本の独占禁止法に相当する法律に抵触する可能性が高いです。

    また、昨今、活発化しているEPAとの兼ね合いでも、検討する必要があります。例えば、RCEP11章11-2項には、次の記載があります。

    締約国は、権利者による知的財産権の濫用の防止又は貿易を不当に制限し、若しくは技術の国際的移転に悪影響を及ぼす慣行の利用の防止のために必要とされる適当な措置を、当該措置がこの章の規定に適合する限りにおいて、とることができる

    引用元

    例えば、A国と日本が一つの協定(EPA)に入っているとしましょう。そして、A国に並行輸出品が入ってこなくなり、正規品だけが流通しています。これにより、A国における商品価格が上がっています。調査の結果、日本のメーカーが契約書の中に「海外輸出禁止」の項目を盛り込んでいることが判明しました。

    A国は、これを知的財産権の乱用により、市場価格が上昇している(A国内)として、日本政府に対して協議を要請し、事態の打開を要求する。このようなこともできます。よって、今後は、国内法規制だけではなく、EPAとの兼ね合いからでも、契約書に盛り込む項目等を検討した方が良さそうです。

    いずれにしろ、法律上の規制によって、並行輸出を違法として差し止めることは難しいです。(契約書の縛りとは別問題)よって、法律上、並行輸出は合法であると考えても問題ないと思います。ただ、やはり、本格的に輸出する場合は、弁護士等に相談をした方が良いと思います。

    まとめ

    • 真正品を扱う限り、並行輸出に違法性はない。
    • 関税法69条の観点からも違法性はない。
    • 考えるべき点は輸入国側の法規制と独占禁止法
    • 今後は、国内法規制とEPAの兼ね合いが重要
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    輸出ビジネス
    この記事の執筆者
    HUNADE

    貿易サイト「HUNADE」の代表。通関業者で勤務した経験をもとにして「もっと貿易を身近に。」をミッションに活動中!難しい貿易をできるだけわかりやすく解説し、貿易の一助になることが目標。基本的には、東海地方に住みながら国内各地、海外などでも活動し、できるだけ柔軟な発想を維持できるように努力しています!

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