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関税逃れが招いた代償とは?実例に学ぶインボイス管理と税関調査のリスク【答申第116号】 | 【HUNADE】輸出入と国際輸送ガイド
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関税逃れが招いた代償とは?実例に学ぶインボイス管理と税関調査のリスク【答申第116号】

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関税逃れが招いた代償とは?

はじめに

輸入ビジネスを営むうえで、インボイスの作成や通関手続きは「いつもの業務」として見過ごされがちです。しかし、ちょっとした記載ミスや事実と異なる申告が、事業にとって致命的なダメージにつながることがあります。

今回ご紹介するのは、実際に税関が摘発し、重加算税と差押処分が行われた事例です。この実例から、どのような違反が問題視され、どのように対応すべきかを学びましょう。

答申書の要約

本答申書は、ある輸入事業者がヨーロッパからバッグや衣類を仕入れる際、実際の取引価格よりも低い金額を記載したインボイスを用いて税関に申告し、関税等を過少に納付していた事案について、税関による調査・更正処分・重加算税の賦課、さらに銀行口座の差押えに至った一連の経緯をまとめたものです。

税関の事後調査により、事業者が正規のインボイスを意図的に改ざんし、虚偽の申告をしていた事実が明らかとなり、法令に基づき追徴課税と重加算税が課されました。事業者は調査手続きの違法性や説明不足を主張して審査請求を行いましたが、審査会はこれを認めず、税関の処分はいずれも適法と判断されました。

この事例は、輸入取引におけるインボイス管理と法令遵守の重要性、違反時の重大なリスクを示すものです。

事件の経緯と概要

ある輸入業者は、ヨーロッパからバッグや衣類を仕入れて国内で販売していました。ところが、正規インボイスの価格を不当に低く書き換えた「低価インボイス」を作成し、それを基に通関手続きを行っていました。輸出者との実際の取引価格とは異なる金額を申告することで、支払う関税を少なくしようとした行為が「虚偽申告」として摘発されました。

詳細解説:「脱税行為」アンダーバリュー レンジアウトの恐怖

この事実は税関の事後調査によって発覚し、納税のやり直し(更正処分)だけでなく、過少申告に対するペナルティとして重加算税が課され、最終的には銀行口座の差押まで行われました。なお、審査請求人は通関業者に対して正規インボイスではなく、自己作成した低価インボイスで申告を依頼していたことが判明しています。

低価インボイスとは、本来のインボイスよりも意図的に低い価格を表示する物です。例えば、実際は、一つ100円で購入しているのに、50円として申告するなどです。

関税法と通関実務の基本ルール

関税の計算では、輸入者が売手に対して実際に支払った金額が課税の基準になります。これは「課税価格」と呼ばれ、商品の価格に運賃などを加えた総額です。また、輸入者はこの課税価格をもとに税関に対して「納税申告」を行う義務があります。もし金額に誤りがある場合には、税関の調査を受ける前に、自主的に修正申告をすることが認められています。

これを原則的な課税価格の決定原則とも言います。

なお、重加算税の適用要件については「納税義務者が、課税の基礎となる事実を隠蔽または仮装し、それを認識していた場合」とされています。つまり、単なる記載ミスではなく、故意に価格を偽った上で申告したと税関に認定されれば、重加算税が課されます。

違反行為の詳細とその結果

この事案では、輸出者が発行した正規のインボイスに記載された価格ではなく、根拠のない安価な価格に書き換えた低価インボイスを使用していました。輸入許可自体は得られていたものの、後に税関の調査で虚偽が発覚しました。結果として、関税と消費税を再計算され、さらには35%相当の重加算税も追加されました。

通関業者の責任は?

ここで特筆すべきは、通関業者の責任についてです。答申書によれば、通関業者は審査請求人から送付された低価インボイスの事情を知らず、そのまま申告業務を行っていたとされ、悪意の存在は否定されています。つまり、責任の所在はあくまで偽装を依頼した輸入者側にあると判断されたのです。

また、修正申告についても注意が必要です。税関調査が開始される前であれば、自主的な修正申告により重加算税が免除される可能性がありますが、本件では、調査前に申告がなされなかったうえに、仮装・隠蔽行為が認定されたため、重加算税の対象となりました。

税関調査対応の注意点

税関から事後調査の通知が来た際、通知書の内容を正確に把握し、指示された書類をしっかり準備することが重要です。事実に基づいた説明と誠実な対応が、調査を円滑に進め、ペナルティの回避につながることもあります。実際、本件では調査の初期段階において、調査官から説明を受け、聴取書への署名も行っていましたが、その後、審査請求人は説明を忌避するような態度をとるようになりました。

取引に関する書類――特にインボイスや送金記録、契約書などは、日頃から整理して保管しておくことが求められます。調査時にこれらを迅速に提示できれば、税関の信頼も得らます。

法令違反のリスクとペナルティ

関税法に違反した場合、単なる追徴課税にとどまりません。今回のように、重加算税が課されれば、元の税額に35%上乗せされるほか、納税の遅延により延滞税もかかります。さらに、支払いがなされない場合は財産の差押も実施されます。実際に本件では、預金債権が差し押さえられ、約300万円のうち220万円以上が滞納税に充当されました。

また、審査請求人は差押処分の取消を求めましたが、答申書では「差押処分はすでに履行済みであり、取消しても回復すべき法的利益が存在しない」として不適法と判断されています。このように、法的な手続の正確性や、審査請求における利益の要否なども、貿易実務者として理解しておくべき重要なポイントです。

低価インボイスは完全なる脱税行為です。その上で、取り消しを求めるとは言語道断です。

事業者が学ぶべき教訓

この事例は「ちょっとぐらい」「バレなければ」という甘い認識が、結果的に数百万円規模の損失や信用の失墜を招くことを示しています。小規模事業者でも甘い認識はお捨てになり、関係法令に準拠した申告及び納税に努めるべきです。

  • 正しい価格を記載したインボイスの管理
  • 通関業者との密な連携と情報共有
  • 税関からの連絡には誠実かつ迅速に対応
  • 調査が入る前に修正申告を行う判断力と準備体制
  • 法令違反が発覚した場合の対応方法(主張・反論)の整理と準備

分科会の答申書から学べること

まとめ

  • インボイスの記載は「事実に基づく」ことが大前提です
  • 通関業者任せにせず、自社でも記録管理の体制を整えましょう
  • 修正申告のチャンスを逃すと、重加算税や差押に発展するリスクがあります
  • 調査対応は信頼確保の場でもあり、丁寧な姿勢が将来のリスク回避につながります
  • 法令遵守は、事業の信用と継続を支える基盤です

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