税関が行う事後調査とは!? 事前準備と確認ポイント

事後調査 輸入ビジネス
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税関は、輸入申告の正確性を確認するために「事後調査」をします。「事後」の言葉からもわかる通り、税関は、輸入から5年後など一定の年数が経過してから調査します。いわゆる税務調査の税関版です。輸入者は、事後調査の通知を受けたら、過去の輸入書類や許可書などをまとめて調査に応じます。調査の結果、申告内容に問題があれば、過少申告加算税などが課せられます。

そこで、この記事では、税関の事後調査についてご紹介していきます。

事後調査

税関の事後調査

日本に輸入する貨物の税金を「関税」といいます。関税は、品目ごとに決められており、輸入国、品目などに応じて細かく決められています。

例えば、リンゴだったら●〇%、ナスなら○○%などです。輸入者は、輸入する商品の価格に、決められている関税率をかけることで納めるべき関税額を計算します。よろしいでしょか? 関税は、輸入者自身が計算&納税します。これを「申告納税方式(しんこくのうぜいほうしき」と言います。ん!? この仕組みを聞いたあなたは、次のような疑問を感じるはずです。

「じゃ、申告価格を低くしたり、デタラメな関税率で計算したりすればいいんじゃない?」

これを防止するために、税関は、輸入申告された内容が関税法上、正しいのか? 納税しているのか?などを事後的に調査します。これが税関の「事後調査」通称、ジゴチョーです。事後調査委は、一般の税務調査のように税関職員が輸入者の所在地に出向き調査します。もちろん、強制力があるため、日時の変更はできても検査自体の拒否はできません。

事後調査とは?
  • 申告納税方式は、輸入者自身の計算により納税額を確定する仕組み
  • 仕組み上、不正申告をするケースがある。
  • これを防止するため、税関は定期的に事後調査をしている。

事後調査の目的とチェックされるポイント

税関の事後調査には、次の2つの目的があります。

  1. 輸入申告書類に不自然な点はないか?
  2. 税金の計算はされているのか?

1.輸入申告書類に、不自然な点はないか?

輸入申告時に提出した書類(インボイスなど)と実際に海外へ出金した記録に違う部分がないかを調べます。仮にインボイスが100万円なのに、150万円の出金記録があれば、差額の50万円が「不自然な点」です。これはアンダーバリューの疑いをかけられます。

アンダーバリューとは?

納める関税等を少なくするために、実際の商品価格よりも低い金額で申告をすること。

2.税金の計算を正しくしているのか?

関税額は、課税価格×決められた関税率で求めます。この2つの数値と輸入書類との整合性が取れていることが重要です。よくあるのは、次のことが次の3つです。

  1. 輸入申告価格が課税価格の決定原則に従っていない。
  2. 関税の所属が違う(HSコードの採番ミス)
  3. 通関用インボイスの有無
1.輸入申告価格が課税価格の決定原則に従っていない。

輸入時の関税の計算は、課税価格×関税率です。課税価格とは、商品代金の他、課税価格の決定原則に基づき「CIF」とされています。ざっくりと言えば、CIFは「日本の港(空港)に着くまでの全ての諸費用を加算した額」です。そして、関税は、このCIF価格に関税率をかけることで求めます。これが一つ目のチェックポイントです。

税関は…….

  • 「正しくCIF価格に換算しているのか?」
  • 「加算するべき費用が加算しているのか?」

をチェックします。いわゆる「評価漏れ」の部分です。

例えば、中国の工場から服を輸入する契約をしたとします。しかし、この工場で製造する商品の金型を日本側が提供しています。この場合の輸入申告価格は…………..

  • 商品価格
  • 海上運賃
  • 海上保険
  • 金型(分割OK)

の合計額が正しいです。もし、このときの輸入申告価格を商品価格”だけ”にしていると、本来の課税価格が正しく計算されておらず、税金が不足していると判断されます。

なぜ、課税価格が重要なの?

関税額は課税する母体に対しての金額(従価税:じゅうかぜい)で決まります。つまり、この母体が小さくなれば、納めるべき税金が変わります。100万円に対する5%と200万円に対する5%で、どちらが大きい額になるのか?を考えると良いです。

■ポイント1

課税価格は正しく計算されているか?

2.関税の所属が違う(HSコードの採番ミス)

関税は、課税価格×関税率で決まります。先ほどは前者の課税価格。次は、後者の「関税率」が重要です。関税率は商品の原産国、品目などで細かく決められており、実に様々な率があります。そして、この率を決定するときに重要な作業が「採番」です。採番とは「実行関税率表」と商品の特徴などを照らし合わせて最も適切な関税率を探す作業です。

下の図が表の一部です。同じコーヒーであっても原産国やコーヒーの特徴により、関税率に差があります。二点目のチェックポイントは、この「関税率の所属区分」です。税関は、この所属区分が正しく行われているかを確認します。

例えば、課税価格が100万円の商品があるとします。本来は、関税率10%の区分であるにも関わらず、関税率5%の区分で計算をしている場合、5万円の納税が不足します。

■ポイント2

関税率の所属部分は適切か?

3.通関用インボイスの有無

関税額は申告する価格で決まるため、本来の価格のインボイスと別に通関用のインボイスを用意している可能性があります。税関は、この行為を見破るため、申告時に提出されたインボイスの金額と、実際の入出金記録などを照らし合わせて、そこに「差異」が無いかを確認します。

■ポイント3

申告価格と入出金記録には差異がない?

事後調査によるペナルティ例

事後調査の結果、何らかのミスが発見されると、次の内、いずれかの「加算金」を課される可能性があります。

  1. 過少申告加算税
  2. 無申告加算税
  3. 重加算税

1.過少申告加算税

輸入申告したときの価格が実際の価格より安いことがわかり、それを後ほど修正するときに加算される税金です。貿易実務上では、過少申告加算税は、輸入する商品のHSコードの取り間違いにより発生することが多いです。また、事後調査時に別の商品請求書を発見されてしまい、輸入申告時に提出したインボイスと価格が異なることから、加算に至ることもあります。

例えば、本来7%の関税がかかる商品を誤って2%のところへ分類して、申告をしていたなど。

加算額:増額することになった税額の10%を加算

2.無申告加算税

輸入申告時に貨物を申告していなく、それを後ほど申告するときに加算される税金です。税関検査による大型X線により、申告していない貨物が見つかった場合に適用される法律です。さきほどの過少申告加算税よりも悪質であると判断されます。もちろん、何度も申し上げている通り「知らなかった」の言い訳は通じません

加算額:増額することになった税額の15%を加算

3.重加算税

関税に関する罰則の中で最も罪が重いです。上記の1や2に至る法令違反が「意図的な偽装」などによって行われていた場合に適用される罰則です。税関からの心象は最悪であり、仮に輸入者符号を取得している場合は、将来にわたり大きな傷を負います。不正をして得をすることはありませんので、事実を申告することが貿易ビジネスのポイントになります。

加算額:35%

加算税の種類と率
  • 過少申告加算税→ 10%
  • 無申告加算税→ 15%
  • 重加算税→ 35%

事後調査はいつ?どのように通知が来るの?

税関は、事後調査をする約一か月ほど前から電話やファックスなどを使い「事後調査の連絡」をします。税関から連絡が入ったら、日程等の調整を含めて真摯に対応します。調査当日までには、事前の準備をしておくと良いです。

事後調査の準備

税関から事後調査の通知を受けた場合、輸入者は、少なくても次の2つを準備します。

1.過去三年間分の輸入書類をまとめる。

輸入案件ごとに次の書類をまとめておきます。インボイスパッキングb/l輸入許可書、輸入申告書(マニュアルの場合)、原産地証明書(特定も含む)など。原産地証明書は特恵関税制度やEPA制度によって本来支払うべき関税の負担を軽減されたり、免除されたりする重要書類です。

2.帳簿書類、特に海外の出金記録の整理

インボイスの価格と実際の出金記録を確認して何らかの「差」がないかをチェックされます。「同じ商品であるのにも関わらず、今回の取引だけインボイスの価格が異なっている」「インボイス上の価格より出金記録が高い」などの場合も「アンダーバリュー」という不正行為を疑われます。

事後調査の対応に適している人は?

税関の事後調査には、会社の中でどのような人が対応するべきなのでしょうか?

1.日常的に輸出入業務に携わっている方

会社の中で最も輸出入業務に精通している人が中心になり対応するべきです。実際の業務の中に人がいれば、社内で通関業者とのやり取りをしている人が適しています。インボイス、パッキングリストb/l特定原産地証明書などの基本的な書類の理解、HSコードの仕組みについても精通している人が良いです。

2.経理の方

輸出入に関する出金処理をしている経理の方も重要です。特に海外のシッパー等への出金記録について説明できる人が望しいです。ちなみに、事後調査は丸一日かかります。そのため、事後調査の日は、専属で対応する必要があります。会社の業務が忙しいからといって、日常業務を行うことはできないためご注意ください。

事後調査には「お土産」も必要

税関が事後調査をするときは、必ず「お土産」が必要です。ここでいうお土産とは、税関職員がしっかりと「仕事をした成果を感じる物」です。これは、組織の仕組みを考えればわかります。

事後調査にくる税関の評価は「徴収した関税」です。それに丸一日、税関職員が調査をしたのに「何のお土産」もなければ…..何が言いたいのかいうと、事後調査を受ける時点で必ず「何らかの理由により追加で関税を徴収」されます。ですから、軽微な追加であれば、特に抗議をすることなく、そのまま受け入れたほうが賢明です。税関職員も評価がいるわけですから…..残念ですが、これが現実です。

関連記事:【税関の事後調査】輸入の関税にはどのような追徴(罰則)があるのか。

輸入ビジネスの基礎から販売戦略までを解説

まとめ

適正であることを前提とした申告納税方式は、輸入許可後に行われる「事後調査」によってある一定の秩序が保たれています。もし、事後調査の連絡が入った場合は、この記事で紹介している内容と合わせて直接税関職員に問い合わせるなどして、スムーズな調査を受けられるように準備をしておきます。しかし、大人の事情により、どれだけ完璧に用意をしていたとしても「お土産」の観点から追加で関税の納付を行わなければないこともあります。

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