海外に小包などを送るときは、国際郵便が便利です。配送先の国、住所などを指定するだけで、誰でも簡単に外国へ荷物を届けられるからです。この記事では、国際郵便に関する基本的な知識、FEDEXとEMSの違いをご紹介していきます。
知識ゼロからの国際郵便入門
国際郵便を使えば、相手先の住所を指定するだけで、誰でも簡単に国際配送ができます。配送先の国ごとに細かい決まりはありますが、それらを含めて考えても手軽にできる国際輸送として魅力的です。少なくても個人ができる最も一般的な配送方法が国際郵便です。
国際郵便とは?
国際郵便とは、どのような位置づけなのでしょうか? 郵便サービスは「万国郵便連合(国際機関)」の考え方を基になっています。
万国郵便連合は、世界の郵便事業の統一的な基準やルールを決めています。
「世界中の誰も手軽な値段で手紙や小包を送れるようにする」
これが万国郵便連合のミッションです。そして、この連合に加盟している国は、公益性の観点から郵便事業を展開しています。日本では、これを日本郵便株式会社が担当しています。
国際郵便の代表的なサービス名
国際郵便の配送サービスは、小包(物品)と書類の2つがあります。下のリストでいうと、1~4番が小包を送るサービス。5と6番は、手紙や雑誌などの書物を送るものです。さらに、これらの中には、船便、SAL便、航空便があります。この内、この記事では、1~4の部分を詳しく解説していきます。
- EMS(国際スピード郵便)
- 国際小包 航空便 SAL便 船便
- 国際eパケット(ネット限定・航空便扱い)
- 国際eパケットライト(ネット限定・SAL便扱い)
- 小型包装物(書留) SAL便
- 印刷物(書留) 航空便とSAL便
1.EMS(国際スピード郵便)
EMSは、国際スピード郵便の中でも最速で運べるサービスです。重要な物、とにかく納期を急ぐ物は、ほとんどEMSで配送します。最近は、越境EC(海外販売)なども盛んですが、このビジネスの配送もほとんどEMSを使っています。やはり、最速で荷物を届けられる点で大きなメリットがあります。
最小重量の指定なし~最大重量は30kgまでです。
2.国際小包(航空便/SAL便/船便)
国際小包は、2キロ以上の貨物を輸送するときに使います。これらの中には、航空便、SAL便、船便の3タイプがあり、所要日数や料金などによって使い分けます。所要日数や料金などの詳しい部分は後述します。ちなみに、SAL便は、特定の国しか送れないことも合わせて覚えておきましょう!
2キロ以上の物~最大重量は30kgまでです。
3.国際eパケット(ネット限定・航空便扱い)
国際eパケットは、キロ以下の貨物を運ぶときに利用します。また、利用するには、国際郵便マイページサービスを使い、自分で伝票を作成しなければなりません。自身で伝票を作成する分、郵便会社に手間が発生しないため、安い料金で提供されています。
eパケットライト=2キロ以下の配送に最適 配送は、航空便を使う。必須条件:ネット上でラベルを作成
4.国際eパケットライト(ネット限定・SAL便扱い)
国際eパケットライトも、2キロ以下の貨物を運ぶときに利用します。利用条件も同じです。eパケットライトの場合は、SAL便を利用して配送するため、eパケットよりもさらに安く配送できます。
eパケット=2キロ以下の配送に最適 配送は、SAL便を使う。必須条件:ネット上でラベルを作成
航空便、SAL便、船便の違いとは?
- 航空便は、最も早く貨物を輸送できるサービスです。EMSも航空便の一部にあたりますが、最速輸送をするため、航空便とは別格です。
- SAL便は、航空便と船便を組み合わせて輸送するサービスです。航空便よりかは早く輸送できませんが、船便よりかは断然早いです。
- 船便は、最も安く輸送できるサービスです。当然、安い分、配送日数は長くなります。
国際郵便サービスには、この航空便、SAL便、船便の違いによって、所要日数と料金面が大きく変わるため注意が必要です。
国際郵便サービスの比較表
代表的な国際郵送サービスの比較表は、次の通りです。利用するサービスによって、重量ルールや所要日数などが変わってくることがわかりますね。
サービス名 | 重量ルール | 所要日数 | 料金表 | 速さレベル |
EMS | 最大30kg(地域により異なる) | 2-4 | EMS料金 | ☆☆☆☆☆ |
国際小包(航空) | 3-6 | 国際小包郵便料金 | ☆☆☆☆ | |
国際小包(SAL) | 2kg以上~最大30kg | 6-13 | ☆☆☆ | |
国際小包(船便) | 1~3カ月 | ☆ | ||
国際eパケット | 2㎏未満 | 6-13 | 国際通常郵便料金表 | ☆☆☆ |
国際eパケットライト | 14 | ☆☆ | ||
小型包装物 | 3-6、6-13、1~3カ月 | ☆~☆☆☆☆ |
国際郵便(ems)とfedexの違いとは?
国際郵便とfedexの違いは、イレギュラー時の対応力です。最近は、2019年頃から世界的な感染症が発生しました。この際、郵便は、輸送スペースを確保できないために、一部の国際配送を停止又は制限しました。
他方、フェデックスは、自社機(自社専用の航空機)を所有している為、厳しい状況下でも継続して輸送することができました。但し、その分、fedexは料金が高いケースが多いです。
イレギュラー時の対応 | 料金 | 日数 | |
国際郵便(ems) | 弱い | 普通 | 郵便の中では最速 |
fedex | 強い | 高め | emsよりも早い。 |
郵便サービスを選ぶ3つのポイント
国際郵便の配送を選ぶときのポイントは何でしょうか? 大きく分けると、次の4つです。
- 物を送るの?
- 書類を送るの?
- 所要日数は早いほうがいいの?
- できるだけ安く送りたい?
まずは、物を送るのか?書類を送るのか?です。書類の場合は、輸送面積等が小さいため、小包よりも安く送れます。次に所要日数を考えます。あなたの商品を欲しがる人は、できるだけ早く欲しがっていますか? 少しでも早く届けたいのであれば、EMSを利用します。最後の観点は、料金面です。
もし、相手が「早い輸送を希望していない。送料を安くしたい」のであれば、航空便ではなく、SAL便や船便を使います。ただし、船便を使うときは、他の配送よりも極端に遅くなるため、できればSAL便を使った方が良いです。また、SAL便を使える国は決まっているため、その部分は、チェックが必要です。
- 物を送るの? それとも書類を送るの?
- 相手は、早く商品を欲しがっている?
- できるだけ安く送りたい?
配送サービスとサイズの関係
国際郵便サービスと送れる荷物の大きさの関係は、次の通りです。以下に示すのが最大のサイズです。
サービス名 | 1辺の最大の長さ | 合計の長さ |
EMS | 1.05~1.5m | 長さ+(高さ+幅)×2=2~3m |
UGX | 1.5m | 長さ+胴回り=3m |
国際小包 | 1.5m | 長さ+(高さ+幅)×2=3m |
小型包装物(eパケット) | 60cm | 長さ+幅+厚さ=90cm |
小型包装物(eパケット)/巻物状態 | 90cm | 長さ+直径×2=104cm |
配送サービスと所要日数
国際郵便サービスと所要日数の関係は、次の通りです。同じ国に荷物を送ったとしても、届くまでの期間に大きな違いがあることがわかります。
サービス名 | 所要日数 |
EMS | 2-4 |
国際小包(航空) | 3-6 |
国際小包(SAL) | 6-13 |
国際小包(船便) | 1~3カ月 |
国際eパケット | 6-13 |
国際eパケットライト | 14 |
小型包装物 | 3-6、6-13、1~3カ月 |
所要日数と配送料金の関係
また配送日数だけではなく、料金面でも大きな違いがあります。例えば、北米のカナダに重量1kgの物を送るときは、利用する配送サービスによって、料金差が生まれます。
サービス名 | 航空便 | SAL便 | 船便 |
EMS | 2900 | ||
国際小包郵便料金 | 3350 | 2700 | 1800 |
国際通常郵便料金 | 1860 | 1080 | |
国際eパケット | ライト1320/通常1985 |
どのような物を送れるの?禁制品リストとは?
国際郵便サービスは、送る相手国や商品によっては、送られない物があります。発送が禁止されている物を「禁制品リスト」といいます。そして、この禁制品リストは、次の5つが基になって決められています。
- 万国郵便条約及びその他の規則に基づく禁制品
- 郵便法に基づく郵便禁制品
- 国際航空運送協会(IATA)
- 各国税関による規制(独自の規制)
- 各条約による規制
これら5つのルールが基になり、禁止になっている物には、次の物があります。危険な物、爆発するもの、動物などの希少性があるもの、わいせつな物(成人男性向け雑誌)などです。また、これらに加えて、各国独自に規制している物があります。
- 花火、クラッカーなど
- ライターやペイント
- カセットコンロ用のガスなど
- マッチ、ライター
- 漂白剤
- バッテリー関係
- 生きた動物
- わいせつ物
- ワシントン条約対象品など
- 各国で規制している物
各国で規制している物の一例
例えば、各国で規制している物の一例を上げてみると、次の物が禁止または、一定の条件を満たさない限り輸入不可とされています。特に、ベトナム、オーストラリア、インドネシアなどは厳しいです。
国際郵便を利用するときに必要になる2つの書類
国際郵便サービスを使うときは、次の2つの書類を用意します。
- インボイス
- 税関告知書
1.インボイス
とは、誰から誰に向けて販売されているのか?を明らかにして、商品の価値を示す書類です。
例えば、一つのダンボールの中に、靴、化粧ポーチ、帽子などが入っているとします。それぞれの商品は、どれほどの価値があるかわかりません、そのため、これら一つ一つの物品に対して、品目名と価格をインボイスに記載します。そして、税関は、後述する税関告知書のエビデンスとして、インボイスを活用します。
2.税関告知書
とは、荷物を発送する人が、税関に対して申告する書類です。つまり、私は、○○国に対して輸出しますと宣言するための書類がこの税関告知書です。そして、この告知に対する根拠をインボイスの内容で確認しています。
実際の所、インボイスと税関告知書は、ラベルを作成するときの複写でできます。そのため、何か特別な書類を用意する必要はありません。また、国際郵便マイページサービスを使えば、この伝票の作成もオンライン上で行います。オンライン上では、内容品の英訳機能などもあるため便利です。
国際郵便に関係する書類の書き方
EMSラベルに記載する内容の英語訳や価格情報は、どのように書き込めばいいのでしょうか?価格については、有償、無償にかかわらず、貨物本来の価値(価格)を書きます。「No Commercial Value」と書くのは間違いです。その理由なども含めて解説しています。
- EMS 内容品の英訳と価格の書き方がわからない!
- EMS(国際スピード郵便)の伝票(ラベル)の書き方
- EMS(国際スピード郵便)のインボイスの書き方
- 税関告知書 CN23の書き方 商業目的で発送する人は必見!
- 税関告知書 CN22の書き方
- 国際郵便(EMSなど)の金額欄には「N.C.V」と書いてはいけない理由
梱包から発送までの手順
国際郵便を発送するまでの手順は、次の通りです。
- 国際郵便で送るための箱を用意します。
- 国際郵便マイページを使いラベルを作成します。
- クッション材などを使い、梱包していきます。
- 2で作成した伝票やインボイスを添付します。
- 集荷サービスを使うか、郵便局へ持ち込みます。
1.国際郵便で送るための箱を用意します。
まずは、国際郵便を送るための箱を用意します。百円均一やアマゾン、楽天などで「梱包箱」などと検索すると、たくさん表示されます。無料で手に入れたいときは、スーパーを利用したときにもらってきます。
2.国際郵便マイページを使い、ラベルを作成します。
各郵便局の窓口においてあるラベルを使うか、国際郵便マイページを使い、伝票(ラベル)の作成をします。窓口のラベルに書き込もうとすると、色々と大変なため、できれば国際郵便マイページを使います。
国際郵便マイページにあるEMSラベル印字サービスかオンラインシッピングツールを使いましょう。ちなみに、国際eパケットを利用するときは、必ずオンラインシッピングツールによる伝票の発行が必要です。
3.クッション材などを使い、梱包していきます。
海外への発送は、何かと損傷のリスクがあります。新聞やプチプチなどを使い、輸送するときのダメージを防ぎます。プチプチは、百円均一でも販売されていますし、アマゾンなどでも大量に販売されています。
4.2で作成した伝票やインボイスを添付します。
専用のパウチなどに、2で作成した書類を入れます。原産地証明書などを添付するときは、同じくこの中に書類を入れます。
5.集荷サービスを使うか、郵便局へ持ち込みます。
梱包が完了した荷物は、集荷サービスか郵便局へ持ち込みます。集荷サービスを使うと、郵便局の人が自宅まで取りに来てくれます。車などを持っていない方、重い荷物を運ぶのが大変な方には便利です。もちろん、なるべく安く済ませたいのであれば、郵便局へ持ち込みます。
発送後の追跡方法&関連サービス
EMSを発送した後の追跡方法についてご紹介しています。
EMSを含めて、郵便系のサービスを使うときは「国際郵便マイサービス」が便利です。EMSなどで使うラベルの作成、その他、資材などをインターネット上から取り寄せられます。
EMSをビジネスで活用する!
いわゆる越境EC(海外向けネット通販)は、EMSを使い配送するのが一般的です。早くて便利、確実に荷物を届けられる点が評判です。
冷凍品や冷蔵品も送れます!
よくある疑問
国際郵便に関するよくある疑問をご紹介していきます。
1.関税がかかる場合
2.追跡方法
3.着払いはある?
4.保管期間
5.返品規定
6.国際郵便の問い合わせ先
7.EMSをギフト扱いで送るコツ
8.遅延情報の確認方法
1.関税がかかる場合は?
関税がかかるかどうかは、次の項目が関係してきます。
- 送る目的(商売目的)
- 何を送るのか?
- どこの国へ送るのか?
- 相手国と日本がEPAを締結しているのか?です。
これらの項目が総合的に判断されて、相手国の税関で関税がかかるのかが決まります。
2.追跡方法
EMSや国際小包などは、すべて追跡するためのナンバーが書かれています。これらのナンバーを頼りにすれば、日本郵政のホームページ上で検索できます。また、複数の荷物を発送していたり、日本郵便以外の配送業者を使っていたりするときは「アフターシップ」というサービスが便利です。
3.着払いはある?
残念ですが着払いはありません。
4.保管期間
課税されているものかどうかにもよりますが、最大で15日間保管されます。
5.返品するには?
主にEMSなどを使い返品します。国際郵便マイページサービスなどででも返品用のラベルや資料を作成できます。
6.国際郵便の問い合わせ先
国際郵便の問い合わせ先は、次の通りです。
平日 8:00~21:00 土・日・休日 9:00~21:00
・フリーダイヤル :0120-5931-55
・携帯電話:0570-046-666
・For English:0570-046-111
7.EMSをギフト扱いで送るコツ
EMSをギフト扱いで送ると、相手先の国で関税などがかからなくなります。以下の記事は、日本に対して国際発送されてきた物品のお話ですが、ご自身が国際発送するときは、この逆と考えればいいです。
8.遅延情報の確認方法
EMSの遅延が発生している地域は「遅延情報ページ」で確認できます。
まとめ
- 国際郵便は、書類用と物品用の2つに大別されます。
- また、その大別の他、配送期間の速さなどを基準にしてEMS、国際小包、国際eパケットなどのサービスがあります。
- 国際郵便のサービスは、船便、SAL便、航空便の3タイプがあります。タイプにより料金や所要日数が異なります。
- 船便は料金が安い。配送が遅い。航空便は料金が高い。配送が早い。SAL便は、その中間です。
- 国際郵便のサービスは、すべて国際郵便マイページサービスで伝票を作成できます。
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