海外への配送を考える際、DHL、FedEx、EMSのどれを選ぶか迷うことが多いでしょう。それぞれの配送業者には異なる特徴があり、コスト、配送スピード、サポート体制、通関のスムーズさなどを比較します。
この記事では、各業者の詳細な特徴を比較し、どのようなケースでどの配送業者を選ぶのが最適なのかを解説していきます。
DHL・FedEx・EMSを徹底比較
各配送業者の特徴と概要
DHL
DHLはドイツに本社を置く世界最大の物流企業で、220以上の国と地域をカバーしています。スピードと信頼性に優れ、特にヨーロッパ市場への配送では圧倒的な強みがあります。
企業向けの割引プログラムも充実しており、定期的に利用する事業者にとってコストパフォーマンスが良いです。DHLは航空貨物の取り扱いが多く、特に緊急性の高い貨物や医療品、精密機器などの輸送に適しています。
DHLの遅延例
- 2022年初頭、アメリカで集荷された国際配送品が、シンシナティの中継拠点において10日以上も滞留した。
- 上記の配送では、DHL側が荷物の所在を特定するのに3日を要した。
- 2024年1月下旬時点、紅海情勢の緊張により、アジア発ヨーロッパ向け輸送に大規模な遅延が発生。
- 紅海周辺の影響で、アジアへの空コンテナの戻りが滞り、設備不足による配送の停滞が各地で報告された。
FedEx
FedExはアメリカの大手運送会社で、特に北米市場に強みがあります。リアルタイムの追跡システムが非常に精度が高く、荷物の動向を正確に把握できます。1日あたり1500万個以上の荷物を取り扱い、高速な配送ネットワークを誇ります。
特に緊急性の高い貨物や高額商品などの配送に適しており、安全性の面でも高い評価を得ています。FedExはグローバルなネットワークを活用し、配送の遅延を最小限に抑える取り組みをしています。また、業界最高レベルの時間指定配送サービスも提供しており、特定の時間帯に確実に届けたい場合に最適です。
FedExの遅延例
- 2025年3月20日、米国メンフィスの主要拠点での悪天候により、広範囲にわたる配送の遅れが発表された。
- 同年3月19日には、米国全土を襲った冬の嵐によって、荷物の到着が大幅にずれ込む事態が発生。
- 2024年7月には、FedExのシステム障害が全ネットワークに波及し、全国レベルでの配達遅延が起きた。
- 2025年2月21日時点で、中国発の一部サービス(FedEx International Economy®)が中東・アフリカ地域向けに一時停止された。
- 個別の報告では、「配達予定日に受け取り不在だった」と記録されたが、実際には配達されていなかったというケースが確認されている。
- 別の事例では、指定された夕方時間帯の前に配達が行われ、記録上では「時間内配達」と誤って処理されていた。
EMS
EMS(国際スピード郵便)は、各国の郵便事業体(日本では日本郵便が担当)が提供する国際配送サービスです。DHLやFedExに比べるとコストが抑えられるため、低価格で国際配送を行いたい事業者に向いています。
対応エリアは120カ国以上と、民間の配送業者と比較するとやや少ないですが、日本郵便が提供しているため、国内発送の流れをそのまま利用できるメリットがあります。ただし、EMSは配送の速度や追跡精度が民間の配送業者と比較してやや劣る点があるため、急ぎの配送には適さない場合もあります。
また、いわゆるストライキ等の影響により、サービスを停止することもあります。
EMSの遅延例
- 2025年1月、日本から香港宛てに送られたEMS便が、通常の倍以上の配送日数(2週間以上)を要したケースが報告されている。
- 2023年11月18日に日本からヨーロッパ向けに発送されたEMS荷物が、12月中旬の時点でも海外発送局での処理にとどまっていた事例が発生
- オーストリア宛てのEMSにおいて、2023年以降、便数の制限による配達の大幅な遅れが生じていると報告されている。
- ニュージーランド向けEMSでは、荷物が航空機に積まれるまでに2〜3週間を要する事例が発生している。
- ネパール宛てのEMS便で、発送後長期間追跡状況に動きがなく、遅延が常態化しているとする報告がある。
DHL、FedEx、EMS、様々な比較
- 料金体系
- 配送スピードと信頼性
- サービス内容と付加価値
- 通関手続きと規制対応
1. 料金体系の比較
DHL、FedEx、EMSの料金は、荷物の重量やサイズ、配送先によって異なります。DHLとFedExは料金が高めですが、その分、配送スピードやサポートが充実しています。
一方、EMSは比較的安価で、費用を抑えたい場合に適した選択肢です。ただし、全ての業者が寸法重量(DIM)価格設定を採用しているため、サイズの大きい荷物には追加料金が発生することがあります。
DHLとFedExは、特定の契約を結ぶことで大口顧客向けの割引が適用されることが多く、年間の配送量が一定以上であればコストを削減することができます。
一方、EMSは一般的に固定料金制であり、特別な割引が適用されることは少ないため、長期的なコスト削減を目指す場合には民間の配送業者をお勧めします。
2. 配送スピードと信頼性の比較
配送スピードは、業者によって異なります。DHLとFedExは1~5営業日での配送が可能なのに対し、EMSは3~7営業日かかるため、スピードを重視する場合にはDHLやFedExが適しています。
- DHL: Express Worldwide(1~3日)、Economy Select(3~5日)
- FedEx: International Priority(1~3日)、International Economy(2~5日)
- EMS: 速達サービスのみ(3~7日)
DHLとFedExはそれぞれの専用航空ネットワークを活用し、配送のスピードを最大化しています。特にDHLはヨーロッパ市場でのネットワークが強く、FedExはアメリカ市場において優れた配送能力を持っています。
一方、EMSは各国の郵便事業と提携しているため、通関手続きや配送遅延のリスクがやや高くなる傾向にあります。
例:郵便事業者によるストライキなど
3. サービス内容と付加価値の比較
DHLとFedExは追加サービスが充実しています。
例えば、DHLは通関サポートや返品管理を提供し、FedExは高価値品や温度管理輸送などの特殊配送に対応しています。一方、EMSは基本的な配送サービスが中心で、追加オプションは限られています。
- DHL: 医療品輸送、危険物取扱い、通関サポート
- FedEx: 温度管理輸送、高価値品輸送、詳細な追跡
- EMS: 基本的な配送サービス、一部の国で保険オプションあり
4. 通関手続きと規制対応の比較
国際配送において通関手続きのスムーズさは非常に重要です。DHLとFedExは独自の通関部門を持ち、迅速な手続きをサポートします。一方、EMSは各国の税関と連携する形での通関となるため、手続きに時間がかかる場合があります。
利用シーン別のおすすめ業者
- 小規模事業者向け(コスト重視): EMS(低コストで幅広い地域をカバー)
- 大規模事業者向け(スピード重視): DHL・FedEx(迅速な配送)
- 特殊なニーズ(高価値商品、冷蔵品など): DHL・FedEx(特殊取扱いや温度管理輸送に対応)
まとめ
国際配送業者を選ぶ際には、以下のポイントを検討しましょう!
- 配送スピード: 急ぎの荷物にはDHL・FedEx
- コスト: 低コストで配送したい場合はEMS
- 信頼性: 高い信頼性を求めるならDHL・FedEx
- 通関サポート: 通関のスムーズさを重視するならDHL・FedEx
- 特殊ニーズへの対応: 高価値品や温度管理が必要な場合はDHL・FedEx
最終的に、自社のビジネスニーズ、予算、配送先国の状況を総合的に考慮して最適な配送業者を選択することが成功の鍵です。



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