海外に荷物(国際郵便)を発送するときは、その中身を正しく申告する義務があります。荷物の中身を各国の税関が確認するためです。そして、税関が貨物の中身を確認するために必要となるのが「税関告知書(貨物の中身を記す書類)」です。
この記事では、税関告知書の基礎、CN22とCN23の違い、それぞれの書き方、入手方法、インボイスとの違いなどを解説していきます。

2024年3月1日以降、税関告知書に関する取扱い方が大きく変更されています。ぜひ、最新の内容を確認しましょう!
税関告知書とは?
税関告知書とは?
税関告知書は、国際郵便物の内容を税関に申告する書類です。世界中の税関が貨物の中身が理解できるように、その中身を説明する書類です。
告知書の目的
- 利用者:郵便物の中身を正しく申告する。
- 税関:郵便物の中身に正しく把握し、適切な徴税をする。
例えば、海外にいる友人に日本の「文房具」や「日用雑貨」などを送るとします。当然、文房具や日用雑貨には、さまざまな種類があります。
- 文房具:ペンやボールペン、消しゴム。
- 日用雑貨:パーティーグッズ、鏡、時計など
税関告知書は、税関への申告となるため、内容を正確に記載します。税関は、発送する品物の中身をチェックして「不適切な商品が含まれていないのか?」を確認します。当然、正確性により、通関がスムーズにいくのかに影響があります。
- 目的:円滑な通関手続きの実現と課税
- 重要性:正確な申告により、配送の遅延や追加の税金を防げる。
- 記載ミスによるリスク:通関手続きの遅延、追加の税金や関税の賦課、荷物の差し押さえや返送、受取人への不便や追加費用の発生
税関告知書の種類 CN22とCN23の違いは?
税関告知書には、2つの種類があります。
- CN22:小型の郵便物用の簡易版(300SDR未満)
- CN23:大型の郵便物や高額品用版(300SDR以上)
SDRとは?
SDRとは、国際通貨基金(世界の金融に関するルールや政策を決めている機関)が定める貨幣単位です。Special Drawing Rights(特別引出権)の略です。
=1SDRは2025年1月時点:199.7635円
このレートを300SDRに当てはめると….
- CN22を使用するのは、60,000円未満の時
- CN23を使用するのは、60,000円以上の時
EMSと税関告知書の関係は?
以前、EMSラベルは手書きでも認められていました。しかし、2024年3月以降は、物品を送る場合の手書きは禁止になりました。現在は、「書類」を送るときのみ、手書きでの発送が認められています。

EMSのラベルも国際郵便マイページで作成します!
税関告知書が必要な状況とは?
税関告知書は、基本的に全ての国際郵便で必要です。特に商品(海外通販品)や高額な商品を贈る場合は必須です。但し、国によって、その要件(例:枚数や何の書類を添付するのか?)は異なります。詳細は、郵便局の「国・地域別情報(国際郵便条件表)」で確認ができます。

実際、この要件は細かいため、それらを自動的に処理できる国際郵便マイページを活用すると便利です。国際郵便マイページを使えば、発送ラベルを作成する際に税関告知書の作成、必要な書類の印刷などを全て処理できます。
税関告知書はどこでもらえる?2024年以降の配布方針
2024年3月1日から手書きのラベル廃止に伴い、税関告知書CN22、CN23の手書きでの作成はできないです。現在、一部の郵便局でCN22等の紙はありますが、原則、以下のルールにより配布する、しないを決めているようです。
- 送る物が書類の場合=希望すればCN22を配布。但し、おススメはしない。
- 送る物が物品の場合=CN22、CN23どちらも配布しない。
2024年3月1日以降は、国際郵便マイページから作成
2024年3月1日以降、原則、手書きで税関告知書の作成は認められていないです。基本的に全世界、送る物(書類、荷物)を問わず、国際郵便マイページから配送ラベルを作成する形です。

※以前、存在したエクセルデータのCN23も削除されています。
国際郵便マイページの特徴
- 何度、失敗しても大丈夫。オンラインで修正が簡単!
- 印刷ラベルを作成すると自動的に税関告知書が完成
- 国際郵便の送り状や必要な書類をオンラインで作成できる。
- 荷主、送り先の住所を登録できる。
- 過去の発送履歴を確認できる。
- 自宅にプリンターが無くても大丈夫!スマホで作成し、郵便局でラベルを発行できる。
- 最大60項目まで送る商品を登録できる(HSコードを含めて)
例えば、自宅にパソコンを持っている方なら….
- パソコンで国際郵便マイページにログイン
- ログイン後、あて先、品目、価格などを入力
- プリンターでラベルを印刷
- 郵便局に商品とラベルを持って行き会計を済まさる
- 発送完了です。

手書きのラベルをオンラインで作成し、プリンター等、印刷する形です。
税関告知書の記入方法(書き方)
2025年現在、原則、税関告知書を単独で作成する機会は少ないです。国際郵便マイページで画面の指示に従って作成するだけで、簡単に税関告知書を作れます。

以下に、参考情報としてCN22とCN23の記入例をご紹介します。2025年現在は、国際郵便マイページから作成するのがルールです。
CN22の記載例(一般貨物)
CN22の条件は以下の二つです。
- 商品の合計価格が「300SDR」未満
- EMSラベルや小包ラベルを使わずに国際発送する場合
上記、1と2のどちらの条件も満たす場合に、税関告知書のCN22を使用します。
1.何の目的で発送する?
一般的な方であれば「Gift」を選びます。もし、商用見本であれば、「Commercial sample」の欄にチェックを入れます。
2.商品明細の記載欄
内容品の名称 / 数量 / 重量 / 価格などを右の方向に向かって、一列になるように記載。なお、商品名などは全て「英語」にします。もし、商品名の英語がわからない場合は、内容品英語訳のページを参考にしてください。
3.HSコード
3番の欄には、商品に対応する「HSコード(品名を6桁~9桁で示した数字)」を記入します。HSコードは「ウエブタリフ」で調べられます。
関連記事:初めての貿易取引で必要なHSコードと関税(関税率表)の仕組み
4.署名欄に名前を記載
上記の荷物に対して責任を持つ旨の意味として「署名」を行います。このとき、署名した日付も忘れないように記載します。
CN22記載例(商業目的)
商業用サンプルを送付する場合のCN22の記載例です。
- 「SAMPLE, NO COMMERCIAL VALUE FOR CUSTOMS PURPOSE ONLY」
- 商業用貨物はHSコード(6506.10)を記載する。
- 原産国が分かる場合は、併記します。
税関告知書CN22(ギフト扱い)
ギフト(贈り物)として発送するときの記載例です。
- 価格の欄には、貨物本来の価格を記載する
- N.C.Vと表記しないこと
- N.C.Vと書くと、現地の税関が怪しむ
- 輸入通関に時間がかかる可能性が高くなる
- 保険金の請求のときにも不都合です。
CN23の記載例(一般貨物)
税関告知書CN23の記載例です。
CN23の記載例(商業貨物)
商業貨物を送付する場合の記載例です。特に下の欄にある「各種証明書の番号」は重要です。
署名と日付
- 署名:送り主本人が自筆で行います → ローマ字、漢字、どちらもOK!
- 日付:発送日を記入(西暦で記入推奨)
特殊な記入項目
- 免許番号/証明番号:特定の商品を送る際に必要
- 有償/無償:商取引か個人的な贈答品かを区別

免許番号とは、その商品を輸出する際(商売目的)、免許が必要になる物を想定しています。例:お酒の酒販免許など(輸出用)
記入例と注意点
- 英語又はフランス語で明確に記入しましょう!日本語はNGです。
- 略語や曖昧な表現を避ける。 例:FOODS →× もっと具体的!
- 価格は実際の価値を正確に記入 →価格のごまかしは脱税行為
税関告知書とインボイスの違い
税関告知書とインボイスの違いは、次の通りです。
インボイス
インボイスは、輸出者と輸入者の間で取り交わされた「仕入れ書」です。この書類は単なる「個人間で取り交わした書類」という扱いです。
税関告知書
一方、税関告知書は、輸出者が税関に対して申告する書類です。つまり輸出申告と同じです。そのため、あえて省略して説明をすると、海外発送のときに必要な書類は「税関告知書のみ」となります。このように通関の仕組み上は、税関告知書のみでも可能です。しかし、ここで問題となるのが「税関告知書」の「根拠」です。
主張には必ず「論拠」があるように、申告にも「申告の根拠」が必要です。この根拠にあたるものが「インボイス」です。
- 税関告知書=荷物を発送する人が税関に申告するための書類
- インボイス=商取引の証明書(税関告知書に申告した内容が正しいことを証明する書類)
特定の状況における税関告知書の注意点
eコマース(eBayなど)での使用
EBAY等、商売目的で貨物を発送する際は、特に正確な商品と商品価格に気を付けましょう!不正確な価格は、アンダーバリューの疑いを持たれます。
特定の国への発送時の注意点
- カナダ向けは、フランス語での記入が望ましい場合もあり。
- EU諸国:VAT(付加価値税)に関する情報が必要な場合あり。
よくある質問と回答
手書きvs印刷された書類
2024年3月1日以降、原則、手書きラベルの発送はできないです。全てオンライン(国際郵便マイページ)で作成&印刷します。
記入ミスの訂正方法
国際郵便マイページサービスの場合は、オンライン上で何度も編集し、ラベルを作成できます。郵便局の窓口で荷物を出すまでは、料金は確定しないので安心を!
税関審査での一般的な問題と対処法
不明確な記述や価格の過小申告に注意します。
CN22はどこでももらう?
2025年現在、一部の郵便局で配布しています。(CN22のみ)原則、配布は終了しています。すべて国際郵便マイページから作成します。
税関告知書は、日本語で書いても良いの?
日本語は不可です。英語またはフランス語で記載します。
内容品が多くて書ききれない場合は?
以前は、税関告知書補助用紙に加えていました。国際郵便マイページでは、好きなだけ記入欄を追加できます。
価格欄の記載方法は?
商品の価格に関する考え方は、次の通りです。
1.贈り物で送るときの金額欄は?
「無償」で相手に送る場合の価格を「0円」や「N.C.V」と記載するのは間違いです。正しくは、本来の商品価格を記載します。これは、万が一のトラブルの際の保険求償にも関係してきます。
2.商用貨物の見本を送るときの価格は?
商業用のサンプルを無償で送る場合であっても「本来の商品価格」と「Non Commercial Value」を記載します。有償である、無償である場合に関わらず、必ず「商品本来の価格」を記載します。
HSコードとは?
様々な品目を6桁以上の数字で合した物です。詳細は、以下の解説記事をご覧ください。
HSコードの完全ガイド:検索方法から品目別一覧、貿易への活用まで
重量?内容量のみ?外装を含めた重さ?
発送する商品の重量は、商品の内容量の重さなのか、それとも外装を含めた重さを記載するべきなのか迷うときがあります。一般的な貿易では「ネットウェイト(正味重量)」「グロスウェイト(総重量)」などと区別します。しかし、このように段ボールで発送する程度であれば、正直、どちらでも良く、そこまで神経質になる必要はありません。
ただし、一点だけ注意があります。税関告知書の中に記載する個々の重さはそこまでの正確さは求められません。しかし、発送料金については、「1g」オーバーしたとしても「次の料金帯」が適用される可能性があります。
まとめ
税関告知書は、税関が商品の中身を簡単にチェックできるようする書類です。この書類は、EMSラベルや小包ラベルを使って発送するとき以外の場合に必要になります。インボイスとは異なる物であるため、しっかりと別々に用意をします。
税関告知書の様式としては「CN22」と「CN23」の二つがありました。これらの使い分けは、段ボールの中の商品価格が日本円で「60,000円」を超えるかどうかです。この基準に従って、必要な税関告知書を用意します。
- 税関告知書は国際郵便の重要な一部
- 正確で詳細な記入が円滑な通関の鍵
- 不明点は郵便局員や税関に確認することを推奨


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