輸出貿易管理令におけるリスト規制とキャッチオール規制のまとめ

この記事は約7分で読めます。

武器開発に転用可能な商品を輸出するときは、税関の許可とは別に、経済産業大臣から「輸出貿易管理令に関する許可」を受けなければなりません。このルールが適用される貨物は、次の2つにルールによって決められています。一つ目は「リスト規制」、2つ目は「キャッチオール規制」です。これらは、どちらも外為法48条と25条の輸出貿易管理令の中にある別表1~16項に規定されています。

このうち、1~15項の部分が一つ目のリスト規制。16項がキャッチオール規制にあたります。輸出者(メーカー)は、自社が輸出する貨物について「該非判定(輸出貿易管理令に該当する貨物かを確認すること)」を行い、輸出しても問題がないことを経済産業大臣に伝えなければならないことになっています。

「輸出しようとしている商品が武器開発の助けになるのか?」が大きなポイントです。この部分を輸出貿易管理令のリストと照合して「どの要件にも該当しない」と、晴れて輸出ができます。もし、この手続きをふまずに輸出すると、外為法違反で大きな処罰を受けることになります。輸出者は、この点をふまえて十分な理解が必要です。

そこで今回は、輸出貿易管理令のリスト規制とキャッチオール規制の概要と、その要件、代表貨物などをご紹介していきます。

輸出貿易管理令のリスト規制とキャッチオール規制

輸出管理は、次の2つに対して行われています。一つ目は「貨物」、2つ目は「役務やサービス」です。よく輸出貿易管理ときくと、貨物だけが規制の対象になると考えがちです。しかし、実は貨物だけではなく、役務やサービスなども含まれることに注意しなければいけません。

役務やサービスとは、外国居住者などに対して、規制されている貨物の技術提供、指導、設計書や仕様書を渡すことなど、貨物の製造に関するソフト的な支援のことを指します。さらに、注意したいことは、この役務の提供には、日本へ連れてくる「技術研修」なども含まれることです。

例えば、外国人研修生という合法的に人を安くこき使う仕組みがあります。このような技術研修生に対して、規制されている貨物の製造情報を伝えることも、輸出貿易管理令の規制対象になります。この他、海外のパートナー企業の社員を一時、引き受けて、日本で技術研修会を行うことなどもすべて「役務の提供」になるためご注意ください。

今回の記事では、この役務・サービス部分ではなく、貨物そのものの輸出管理について説明していきます。

輸出貿易管理令・貨物編

輸出貿易管理の貨物については、輸出貿易管理令の別表1に記載されているリスト規制(別表1の1~15項)と、別表1の第16項に記載されているキャッチオール規制の2つからなります。

hunadeのサービス

なぜ、2つ存在するのかというと、1~15の部分は、該当する品名を一つ一つ記載する方式をとっています。つまり「このリストに記載されている品目は、輸出貿易管理令の対象になる」ということです。しかし、これを少しゆがんだ見方をすると、リストに記載されていない物は「すべて輸出貿易管理令の対象外である」と解釈することができます。輸出貿易管理令の対象外というこは、誰でも自由に輸出ができることになってしまいます。それでは困りますね。そこでキャッチオール規制があります。

キャッチオール規制とは、字のごとく「すべてをキャッチする」という意味です。つまり、別表1の1~15にリスト表示されいない物をキャッチオール規制で規制する目的があるのです。このキャッチオール規制は、木材や食料品などを除く、ほぼすべての商品について、その規制の対象にしています。だからこそ、すべてキャッチするを意味する「キャッチオール規制」なのです。

輸出貿易管理令別表1・1項~15項の内容

輸出貿易管理令のリスト規制部分(1項~15項)の内容を詳しく見てみましょう!基本的に武器や大量破壊兵器、生物・化学兵器など、人類にとって最悪の結果をもたらす物をすべてリスト表示しています。一つ大きなポイントは、完成品自体が武器であったり、兵器である物を規制することはもちろんですが、それらに転用可能な機器、または、それらの開発に使われる機械なども規制の対象になります。

例えば、○○盤や工作機械、熱伝導率を高めた●●など、一見すると、まったく軍事には結びつかない物であっても、規制対象になる可能性があります。民生用(一般使用)と軍需用など、2つの使い方ができる貨物を「デュアル・ユース」と言います。このデュアルユース品も規制の対象になります。そのため、勝手な思い込みで判断するのではく、必ず経済産業省のマトリックスなどと見比べて「規制対象貨物であるのか」を確認する必要があります。

以下は、輸出貿易管理令の別表1・1項~15項までの一覧です。代表例を見ると、ストレートに軍事用とは言えない物が多数ありますね。

輸出貿易管理令別表 規制品名 代表例
1項 武器やその部分品 銃、爆発物、火薬、防弾製品など
2項 原子力関係 核燃料物質、原子炉関連品、分離装置、周波数変換器、フライス盤、回転軸、ロボット
3項 化学兵器関係 化学兵器の材料になるすべての関連物質
3-2項 生物兵器関係 医療用ワクチン、各種ウィルス、培養容器、遠心分離機
4項 ミサイル関係 無人航空機、ロケット、民間航空機、複合エンジン、バイオ燃料、ファイバープレイスメント装置、レーダー、飛行制御装置
5項 先端材料 ラミネート、ニッケル合金、チアン合金、耐火セラミック
6項 材料加工 軸受、工作機械、フライス削り、コーティング装置、歯車製造機、測定装置
7項 エレクトロニクス 集積回路、マイクロ波測定器、音響光学効果を利用する信号処理装置、超電導材料、半導体基板など
8項 コンピューター 電子計算機、
9項 通信関連 電子式交換装置、通信用の光ファイバー、フェーズドアレーアンテナ、無線通信傍受、盗聴の検知機能がある通信ケーブル
10項 センサー、レーザーなど 音波を利用した水中探知装置、光検出器、フォーカルブレーンアレー、センサー用の光ファイバ、高速撮影ができる装置、反射鏡、磁力計、レーザー光関係
11項 航法関連 加速度計、ジャイロスコープ、ジャイロ天測航法装置、水中ソナー
12項 海洋関連 潜水艦、船舶の部分品、水中から物体を回収する装置、水中用の照明装置、浮力材
13項 推進装置 ガスタービンエンジン、人工衛星、無人機など
14項 その他 アルミニウムの粉、火薬の主成分、電気制動シャッター、催涙剤、
15項 機微品目 電波の吸収材又は導電性高分子、水中探知機、ラムジェットエンジン
16項 キャッチオール規制

これら1~15のどれにも該当していないことがわかったら、次に「キャッチオール規制の対象か?」を確認するようにします。

輸出貿易管理令別表1 16項の内容

輸出貿易管理令別表1の第16項は「キャッチオール規制」です。基本的に木材や食料品以外のすべての商品が規制の対象になります。この部分は、上記のようなリストによる規制ではなく、次の3つの観点から、どれか一つでも要件に当てはまると規制の対象にです。つまり、具体的な貨物リストアップして規制するのではなく、要件に該当する貨物を規制の対象にしているのです。

  1. 輸出先の人は、何の目的で購入したのか?
  2. どこの国の誰に輸出するのか?
  3. 経済産業省から、許可を取るように言われているか?
キャッチオール規制の対象になるかのポイント 何を確認するのか? 関係すること
用途による要件 輸出先の購入目的はなにか? 大量破壊兵器や武器の開発につながる恐れはない?
販売先(最終ユーザー)による要件 どこの国の誰に輸出するのか? ホワイト国と外国ユーザーリスト
インフォーム要件 経済産業省より許可をとるように通知を受けているのか?

 まとめ

輸出貿易管理令の別表1には、リスト規制とキャッチオール規制があります。リスト規制は、禁止物品をリストにしたものです。一方、キャッチオール規制は、リストから外れている貨物をすべてまとめて規制の対象にする仕組みです。この取りこぼしがない仕組みを作ることによって、大量破壊兵器や武器開発につながる製品の輸出を規制することができます。

FavoriteLoadingこの記事をお気に入りに登録

[スポンサードリンク]


通関代行・対比表作成支援、輸送見積もり等
お問い合わせはこちら!
タイトルとURLをコピーしました