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完成品にも波及?部品商標が招く商標権侵害と税関対応の実務【答申第103号】

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部品商標が招く商標権侵害

本記事では、関税等不服審査会が平成26年6月26日付で公表した答申第103号をもとに、貿易実務者が直面しうる輸入差止制度に関する手続きと実務上の注意点について解説します。

]対象となった事案は、意匠権を巡る輸入差止申立てに対し、輸入者がその受理の取消しを求めて審査請求を行ったものです。最終的に審査請求は棄却され、税関長の差止申立て受理は適法と判断されました。

この事例は、証拠の示し方や手続きの透明性、公正性がいかに重要であるかを示す好例です。

知的財産侵害が疑われる貨物の輸入時には、税関による差止申立ての受理や不受理の判断が大きな影響を及ぼします。特に、完成品ではなく、構成部品の意匠や商標が争点となる場合には、輸入業者が意図せずに違反とされるリスクもあります。

この記事では、具体的な審査の流れと、実務上の教訓について掘り下げていきます。

輸入差止申立ての法的根拠と流れ

関税法第69条の13では、意匠権や商標権などの知的財産権を有する者が、侵害のおそれがある貨物に対して税関長へ差止申立てを行うことができると規定されています。この申立てを行うには、登録証や侵害疎明資料など、根拠となる十分な書類を提出する必要があります。

本件では、申立人が輸入品が自社意匠権を侵害していると主張し、証拠として鑑定書や識別資料を税関に提出しました。税関はこれを受け、輸入者に対して意見聴取の機会を設け、さらに専門委員を招集して意見照会を実施しました。最終的に、証拠が侵害の事実を疎明するに足りると判断され、差止申立ては受理されました。

手続きの透明性と専門委員制度の運用

本件では、3名の専門委員(弁護士2名、弁理士1名)が任命され、それぞれが申立人・輸入者の意見書、鑑定書、陳述要領書等を精査した上で意見書を提出しました。税関はこれらの意見を踏まえて最終判断を下しています。

申立てや反論の場では、通達により定められた運営ルールが厳格に適用されます。新たな証拠は原則持ち込めず、意見陳述も既提出の資料の範囲内で行うことが義務付けられています。今回の事案では、申立人による不適切な発言があったと指摘されましたが、専門委員や税関がそれを審理対象外とし、冷静な判断を保った点も注目すべきポイントです。

実務上の重要なポイント

輸入差止の審査では、提出資料の内容と論理構成が極めて重要です。単に登録された知的財産権を示すだけでは不十分であり、侵害とされる貨物との識別点を明確に示すことが求められます。

今回の事例では、写真と現物との違いに基づく争点がありました。専門委員の判断では、写真資料に加えて現物を比較・確認していることから、証拠の提出方法や内容においても慎重な準備が必要であるとわかります。また、輸入者側は現物提示を求められた際に迅速に対応し、反論の機会も活用しましたが、最終的に申立人の提出資料がより説得力を持つとされました。

さらに、申立人と輸入者間での過去の関係や、利害関係の有無についても事前に確認され、公正性が担保されています。専門委員の意見が一致していたことに対しても、「コピーではないか」との主張がありましたが、これは合議の結果として認められ、問題とされませんでした。

答申書から得られる実務的教訓

この答申から得られる最大の教訓は、証拠資料の整備と提出タイミングの重要性です。通達に則った手続きが取られていないと、仮に実体面で主張に合理性があっても、形式不備で却下されるおそれがあります。

また、意見聴取の場では相手方を不当に貶めるような発言主張の枠を逸脱する証拠提出はかえって信用を失う結果となりかねません。今回の輸入者は、申立人の発言に異議を唱えたものの、専門委員の見解ではそれが審査に影響を与えていないと結論づけられました。冷静な反論と補足意見書によるフォローができていた点は評価されます。

加えて、専門家(弁理士・弁護士など)の活用は、書類の精度向上だけでなく、税関や専門委員との意思疎通にも役立ちます。知的財産権に関する争いは、抽象的な主張では不十分であり、論理と証拠に基づいた構成が問われます。

分科会の答申書から学べること

まとめ

  • 差止申立ての手続きには、事前準備と証拠資料の正確性が鍵となる
  • 意見聴取では通達遵守の姿勢と冷静な対応が評価される
  • 専門家の助言を活用し、主張の論理性と証明力を高めることが重要

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