医療機器や薬品の輸出は、国際的な規制を順守しながら、品質を維持するための輸送が何よりも重要です。特に薬品や温度管理が必要な機器の場合、温度変化が品質重大な影響を与えるため、十分な注意が必要です。
この記事では、医療機器・薬品の輸出に関する主要な規制や、品質を保つための温度管理方法、適切な梱包・輸送手段について詳しく解説します。
医療機器・薬品の国際輸送
医療機器・薬品輸出の主要規制
医療機器の輸出には、日本国内の「薬機法(旧・薬事法)」のほか、輸出先国の規制に対応する必要があります。
例えば、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)の認証、EUではCEマークの取得が求められます。これらの認証がなければ、輸出先での通関ができない可能性があります。
また、薬品の輸出では、「GMP(Good Manufacturing Practice)」に準拠した品質管理が必要とされます。さらに、輸出先の薬事規制(アメリカFDA、EU EMAなど)に適合するかを確認しなければなりません。麻薬や向精神薬に該当する成分を含む製品は、特別な許可を取得する必要があります。

経済産業大臣の輸出許可が必要となる場合もあります。
温度管理の必要性
医療機器や薬品の輸送では、温度変化による品質の劣化を防ぐために、適切な温度管理が不可欠です。電子部品を含む医療機器は、過度な高温や低温によって性能が低下します。また、薬品の多くは一定の温度範囲内で保管される必要があり、温度変化による成分の変質や効果の低下を防ぐ対策が必要です。
温度管理の基準として、薬品の多くは「常温(15℃~25℃)」「冷蔵(2℃~8℃)」「冷凍(-20℃以下)」のいずれかの範囲内で輸送されます。温度管理専用の輸送コンテナや保冷ボックスを使用することが重要です。また、温度データを記録するデータロガーを活用し、輸送中の温度変動を監視することも重要です。
日本で販売されている薬品を「そのまま」輸出する場合は許可は必要か?
日本で販売されている薬品を「そのままの状態」で輸出する場合は、医薬品・医療機器等法の許認可は不要です!リパック等を含めて何らかの変更をする場合は、医薬品製造業許可が必要です。
例えば、個人事業主の方が日本の市販薬を海外に向けて販売するなどのケースが該当します。
適切な梱包方法
医療機器や薬品の輸送は、適切な梱包を施すことで、輸送中の破損や品質劣化を防げます。滅菌製品は密閉包装を行い、輸送中の汚染リスクを低減させます。衝撃に弱い機器は発泡スチロールやエアキャップを使用します。
薬品の梱包では、耐漏洩容器を使用し、液体の流出を防ぎます。温度管理が必要な薬品は、保冷剤やドライアイスを使用し、適切な温度を維持します。また、湿度管理のために乾燥剤を同梱し、薬品の品質を保つことも重要です。
- 適切な梱包の重要性: 衝撃や振動から保護する必要あり。
- 保護材料: 保護フィルム、段ボール、クッション材などを使用
適切な輸送手段の選択
輸送方法は、輸出品の特性や納期、コストを考慮して決定します。
FCL
大量の医療機器や薬品を一括輸送する際に適しています。コンテナ内の温度管理を徹底することで、安定した環境を維持できます。長距離輸送には、保冷機能付きのリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)の使用がお勧めです。
LCL
小ロットの輸送に適していますが、他の貨物と混載されるため、温度管理が難しいです。適切な保冷対策を施し、輸送環境を安定させる必要があります。
航空輸送
短納期が求められる場合に適しており、特に温度管理が必要な医薬品や高価な医療機器の輸送に向いています。専用の医薬品航空輸送サービスを利用することで、厳格な温度管理のもとで輸送することが可能です。
医療機器・薬品輸出時の注意点
輸出前に、輸出先国の規制を確認し、必要な許可や書類を整備することが不可欠です。輸送中の品質管理を強化するために、温度監視システムやデータロガーを活用し、温度変動をリアルタイムで記録します。
また、輸送業者と密に連携し、輸送計画を慎重に立てることが重要です。特に温度管理が厳格に求められる製品は、輸送手段の選択肢を慎重に検討し、最適な方法を採用することが求められます。
フォワーダーを選ぶ際は、特に医薬品等の輸送実績が高い業者を選ぶことが何よりも重要です。
まとめ
医療機器や薬品の輸出では、国際規制を遵守し、適切な輸送手続きを取ることが重要です。特に温度管理が必要な製品は、適切な梱包と輸送方法を採用し、品質を維持しながら目的地まで安全に届ける必要があります。輸送手段としては、大量輸送にはFCL、小ロットにはLCL、短納期には航空輸送が適しています。これらの要素を考慮し、輸送計画を綿密に立てることで、スムーズな国際輸送を実現できます。


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