近年、ネット通販で海外の「美容機器」を輸入する方が増えています。「○○脱毛器」や「美顔器」などです。海外の販売サイト(アマゾン)を使えば、誰でも簡単に購入できます。しかし、海外サイトで購入しても、日本に輸入できないケースがあるため注意が必要です。
実は、美容機器、マッサージ機器、体温計などは、薬機法(旧:薬事法)により「医療機器」に指定されている物があります。仮に、輸入予定の商品が医療機器に該当すると、個人使用目的で輸入する場合でも一気にハードルが上がります。
この記事では、美容機器やマッサージ機器などを輸入する上での注意点をご紹介していきます。
美容機器・健康系グッズを輸入するときのポイント
海外で販売されている美容機器を購入した。いよいよ日本に到着したと思ったら、いきなり税関から「こちらは医療機器に該当しますので、このまま輸入許可はできません。厚生局で確認してください」などと言われた。
一体、どういうことなの? なぜ、税関は、貨物を留めたの? そもそも厚生局って?
原因は薬事法の「医療機器の定義」に有り!
税関は、輸入する商品(美容器)が「医療機器に該当するかも!?」として留めました。ここでいう医療機器とは「薬事法施行令 別表第一」の一覧です。
こちらが美容機器のリストの一部です。16項目以降もずらっと並んでいます。
厚生局とは、医療機器に該当するのかを判断する機関です。税関は、輸入者に対して「厚生局の見解を聞いてください。厚生局が医療機器ではないと言わない限り、輸入は認めません」と伝えたのです。これを税関以外の確認を必要とする「他法令の確認」と言います。
医療機器に該当する可能性がある商品は….
- 厚生局が医療機器かどうかを判断する。
- 医療機器ではないと判断される。
- 税関が輸入許可を出す。
この1~3の流れによって、輸入許可が下ります。まずは、医療機器と税関、そして厚生局の関係を頭に入れておきましょう。
医療機器に該当するかの判断基準
基本的に、上記の法令別表1に掲げられてる貨物(医療機器に該当する物)は、輸入が難しいです。ただし、次の2つの条件を満たす場合は、輸入できる可能性があります。
- 個人使用目的であること
- 家庭用医療機器に該当すること
1.個人使用目的であること
個人使用目的とは、個人が個人で使用するための輸入です。この「個人」には、有償・無償、友人、家族を問わず、自分以外が使うことの全てが含まれています。当然、輸入数量が必要最小数であることもポイントです。この他、税関は、反復手輸入しているのかもチェックしています。
- 個人使用目的であること
- 輸入数量が必要最小であること
- 反復輸入していないこと
2.家庭用医療機器に該当するもの
個人使用目的と併せて、家庭用で使う簡易的な医療機器であるのかも重要です。家庭用で使う医療機器とは、次のものです。
- 電子血圧計
- 電解水の生成器
- 吸入器
- 磁気治療器
- 赤外線や紫外線治療器(わきがや水虫対策)
- マッサージ機器(電気、超音波)
- バイブレーターなどです。
個人が使う美容機器、介護機器、筋トレマシーンも家庭用医療機器の一部です。特別な許可を必要とせず輸入できます。ただし、個人使用目的に該当する場合のみです。また、一見すると、家庭用機器に含まれそうな物でも、医療機器に該当するときがあります。
例えば、脱毛器具などがそれにあたります。これらの医療機器に該当する物は、厚生局に申請をして「薬監証明(やっかんしょうめい)」を取得した後、これを税関に提出することにより、輸入許可を受けられます。薬監証明の取得方法
美容製品を輸入するときは、輸入前のチェックをオススメ
では、輸入時に留められるリスクを小さくするためには、どうすればいいのでしょうか? やはり輸入前の事前チェックが大切です。輸入する前に、商品が医療機器に該当するのかを確認します。
もし、該当するときは、輸入をあきらめるなども必要です。「何とかなる」のノリで輸入すると思わぬ出費につながるため注意しましょう!
事前チェックは、税関の事前教示制度の他、各地にある厚生局への問い合わせにより行います。ただし、近畿厚生局の職員は、あまり親切ではありません….汗
もし、ご自身で何ともならないときは?
もし、現時点で、すでに「税関に留められている方」は、どうすればいいのでしょうか? この場合は、次の2つの選択があります。
- とにかく自分で頑張る
- あきらめて滅却する
輸出国への差し戻しも可能ですが、再輸出をするための費用や手間がかかります。であれば、日本側で「滅却処分」をした方が楽です。滅却申請は、あなたの貨物を通関を担当する業者(日本郵便やDHLなど)に、滅却処分をお願いします。もちろん、滅却処分にも手数料は発生します。
まとめ
美容機器などを輸入するときは、次のプロセスで考えるようにしましょう。
- ネットサーフィンをして気になる商品を見つける
- 薬機法上の医療機器に該当するかを調べる
- 家庭用医療機器に該当するかを調べる
- 2と3を確認してもやっぱり不安→事前教示または、厚生局へ確認電話
- 購入する
このような流れで検討します。
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