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リーファーコンテナの温度・湿度管理に関する疑問を解決



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温度管理をしながら、国際輸送する方法は、海上輸送×リーファーコンテナの他、航空輸送×保冷コンテナ等があります。しかし、コスト等のことを考えると、やはり、海上輸送×リーファーコンテナが現実的な選択肢です。

しかし、海上輸送×リーファーコンテナとなると、輸送期間が長いため、温度・湿度管理がしっかりできるのか心配です。

  • 設定する温度は、本当に維持される?
  • 温度記録はできる?
  • 赤道上の内部温度の上昇が心配
  • コンテナ内部にカビや結露が発生しないか心配など。

そこで、この記事では、リーファーコンテナの温度管理・湿度管理でできること、管理する上での注意点等について解説していきます。この記事を読めば、輸出入したい荷物がリーファーコンテナによる海上輸送を行えるかどうかの判断ができます!

*この記事は、リーファーの実務経験者のみがわかる情報を紹介しています。当サイトの情報を加筆、修正等をし、独自の記事として公開する行為をお断りいたします。*例:記載内容の前後を入れ替えて加筆等をする→ 編集著作物侵害行為に該当する可能性有り。

リーファーコンテナの温度管理・湿度管理

■この記事で分かること

  • リーファーコンテナで出来ること
  • リーファーコンテナの温度保持能力と温度維持できなくなる要因
  • 輸送中の温度管理状態を知る方法
  • 設定温度と実際の庫内温度の関係

リーファーコンテナで出来ること

リーファーコンテナとは、海上輸送で利用する「温度管理ができるコンテナ」です。リーファーと聞くと、冷蔵・冷凍輸送に利用されるイメージが強いです。しかし、実際は、暖めることも可能で、冷やして輸送するより「定温輸送が出来る」との認識が正しいです。

一般的なリーファーコンテナは、-30℃から+30℃程度の間で温度設定および温度の維持ができます。また、特殊なリーファーコンテナでは、-50℃以下の極低温に対応したものや、内部の酸素濃度・二酸化炭素濃度を管理できるCA(Controlled Atmosphere)機能を持つものもあります。

  • 一般のリーファー= マイナス30~+30
  • 特殊リーファー=マイナス50以下
  • CAコンテナ=内部の酸素や二酸化炭素濃度を管理

特に内部湿度には注意が必要です。湿度の維持や除湿に関しては、リーファーコンテナの得意分野です。当然、これは、湿度等が原因となる、カビ対策としても有効です。

しかし、一般的に周囲の温度が低いほど絶対湿度は低下します。そのため、低温下で湿度を上げるには特殊な設備が必要な他、絶対湿度の上限も庫内の設定温度で決まってしまいます。

リーファーコンテナの温度保持能力

リーファーコンテナは、目的地に着くまでに様々な気象条件に耐えられるように設計されています。リーファー利用者の方は、この温度保持能力を期待される方が多いでしょう。そこで、次にリーファーコンテナの温度保持能力について説明していきます。

温度保持能力とは?

リーファーコンテナの運転環境の過酷さは航路や季節、船上の積込み位置によって変わります。

例えば、ドライコンテナであれば赤道直下であったり、真夏に直射日光が当たる位置に積み込まれたりした場合は、内部温度が大幅に上昇します。一方、リーファーコンテナは、外部環境が過酷であっても設定温度を保てます。

温度が変化する2つの要因

基本的にリーファーコンテナは、外部の環境によらず内部温度を一定に保てます。しかし、次の2つの要因により内部の温度が変動することがあります。

  1. 機械的要因
  2. 人的要因
1.機械的要因による温度変化

リーファーコンテナは空調機により内部の温度を変化させます。内部の温度は電子温度計で計測し、設定温度より高ければ空調機に冷やす指示を出し、設定温度になると、空調機を停止させます。

そのため、この温度変化を計測する機器に不具合が発生すると、内部温度の管理が出来なくなります。故障しても直ぐに気が付けるよう、船にはリーファーコンテナ専門のエンジニアが乗船しており、1日に最低2回すべてのリーファーコンテナの状態を確認しています。

万が一、故障が発覚しても、船内には修理のための様々な予備品が積み込んであり、エンジニアが修理します。予備品がない場合又は、部品交換では直らない大きな故障の場合は、船内にあるドライコンテナ(リーファーアズドライ)として利用しているリーファーコンテナを活用し、対応します。

エンジニアの乗船や二重、三重のバックアップがあるため、基本的には、機械等の故障による温度変化を過度に心配しなくても良いです。

2.人的要因による温度変化

人的要因による温度変化には次のようなものがあります。

 
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  • バンニング方法の不適
  • コンテナ内の予冷
  • ベンチレーションの設定ミス
  • 温度設定ミス

リーファーコンテナのバンニング方法が不適切だと内部の温度が適切に下がりません。バンニング方法を知っていれば避けられるミスなので注意しましょう!

また、コンテナ内を誤った方法で予冷したり、コンテナについている換気口の開度を間違えたりすると、内部が結露します。内部の結露は、機器の能力低下につながり、リーファーの内部温度を保てなくなる可能性があります。

また、温度設定(華氏(℉)等)にも注意が必要です。リーファーコンテナでは華氏(℉)と摂氏(℃)両方で温度設定が出来ます。普段の生活では、華氏(℉)に馴染みがないため、この読み違えによるミスが起きることがあります。

以上のような人為的なミスは知っていれば避けられることばかりなので注意しましょう。

温度管理の状態を知るには?

海上輸送中のリーファーコンテナは専門のエンジニアが常に気を配ってくれています。しかし、海上でも本当に内部温度が保たれているか不安に思うことがあるかもしれません。

リーファーコンテナには温度記録計が付いており海上での温度変化を記録します。これをデータロガーと言います。

年式の古いリーファーコンテナにはパートローチャート(温度チャート)というアナログ(紙)のデータロガーが付いており、最近のリーファーコンテナでは電子データとして内部に記録されておりUSBでデータを取り出せます。

万が一、輸送事故が発生した場合は、データロガーが大切な証拠です。

温度・湿度設定のノウハウ

最後にリーファーコンテナの設定温度・設定湿度について説明します。温度・湿度などの輸送条件は荷主・荷送人のノウハウや考え方によって決められており、外部に情報が出ることは少ないです。また、荷物の量や状態、積込み方によっても変化するため一概に正しい値は明確になっていません。

一方、温度設定をする人が絶対に知っておくべき注意点があります。それはリーファーコンテナの仕組み上、設定値と実際の貨物の温度に差が出ることです。詳しく説明します。

設定温度と庫内温度の関係とは?

リーファーコンテナは空調機により内部の温度を変化させます。温度を管理するために空調機の出入口に温度計が設けてあり、設定温度により、どちらの温度計で管理するか自動で選択されます。次のイメージ図を参考にしてください。

リーファーコンテナ

-3℃以下の貨物は空調機の入口側の温度計で管理されます。-3℃より高い設定温度の貨物は空調機の出口側の温度計で管理されます。

-3℃以下の設定温度の貨物

入口側の温度は

コンテナ内で最も温度が高いです。なぜなら、庫内を循環し、貨物や壁面の熱を奪い暖かくなった空気が空調機に戻ってくるためです。

-3℃以下の貨物はファン入口側の温度で内部を管理することで、内部の実際の温度が設定温度より高くならないようにしています。これは-3℃以下の貨物は凍結状態で運送されることが多く、最も温度が高い所を-3℃にすることで融解を防ぐ目的のためです。

-3℃より高い設定温度の貨物

空調機の出口側の温度はコンテナ内で最も温度が低いです。なぜなら、空調機出口の空気はまだ貨物や内壁と熱交換する前の空気だからです。

―3℃より高い温度の場合はファンの出口側の温度を管理することで、庫内は設定温度より低くならないようにしています。これは庫内が設定温度より低くならないので、凍結させたくない荷物を凍結ぎりぎりの温度で運ぶ目的のためです。

設定湿度と庫内湿度の関係

湿度は設定値によらず空調機の入口側の湿度で管理されます。なぜなら、空調機を通ると湿度が変わってしまうためです。空調機の入口側の湿度は庫内で最も湿度が高くると覚えておきましょう!

実際の庫内温度

設定温度・設定湿度と庫内の温度・湿度に差が出ることを説明しました。では、ここで実際にはどの程度差の一例をご紹介します。

リーファーコンテナには貨物側の温度を測る機能が付いていないため一概に回答することは出来ません。しかし、過去の研究より空調機の通常運転中は、誤差±0.5℃の範囲内に収まっているそうです。

デリケートな貨物を運ぶためにどうしても貨物の温度の変化まで把握したい場合は、貨物の温度を記録してくれるデータロガーなどを自分で取り付ける方法もあります。

詳細は、この本をご覧ください →参考文献:大成建設技術センター報 第35号 (2002) 氷温輸送時の冷凍コンテナ内の温度分布と霜取り工程時における積み荷内部の温度変化

 

>>CAコンテナとリーファーコンテナ入門

 

まとめ

  • リーファーコンテナは冷やすだけでなく-30℃~+30℃の範囲内で温度維持が可能
  • リーファーコンテナは外部の環境によらず庫内の温度を一定に保つことが可能
  • 機械の故障や人為的なミスにより庫内の温度が保てなくなる可能性がある。
  • 温度計の位置により設定温度と実際の庫内の温度には差が生じる。
  • -3℃以下の荷物は庫内が設定温度以上にならないように、-3℃より高い設定温度の荷物は設定温度より低くならないように管理されている。
  • リーファーコンテナの通常運転中は荷物と設定温度の誤差は±0.5℃の範囲に収まる
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