日本人は狙われやすい?!タイの税関は、きびしくもゆるい。入国審査を終え、バッグを受け取り、ホッとした先にあるのが税関です。あまり熱心ではないと評判のタイの税関が、近頃、ときどき仕事をしています。どうしてか?今回は税関についてです。
タイの税関が厳しくなる
現在の政権になってから、タイの税関の取り締まりがきびしくなったと聞きます。特に、日本からの旅行者に対してのチェックに力を入れているようです。タイ人から見ると、日本人は高級ブランドをたくさん所有しているイメージがあり、またタバコを良く吸う外国人とも思われています。
そんなことから、バッグに高級ブランドや電子タバコを隠し持っているのではないか?と疑われ、日本人へのX線検査が多くなった次第です。“中は開けられませんでしたが、結構日本人はバッグをX線に載せていましたね”とはお客さんの談。タイへ入国予定の方は「税関が、ときどき厳重に取り締まっている」ことを頭の片隅に入れておいてください。
税関申告なしorありで進むレーンは違う
入国審査が済み、バッグを受け取ったら税関検査です。申告するものがない場合は、「Nothing to Declare」と記された緑のブースへ行きます。税関から何も言われなければ、そのまま通過。先に日本人が止められるケースが多いと伝えましたが、日本人に限らず荷物が多い外国人もチェックされています。
キャリーバッグと、手提げかリュックの2つの場合はほぼ大丈夫です。それ以上のバッグや段ボール箱を持っていると必ず止められ、荷物をX線に載せるように指示されます。何か反応があれば、バッグを開けられ検査します。出来るだけ荷物を2つにするのが止められないポイントです。
申告するものがある場合は「Goods to Declare」の赤いブースへ行きます。申告する旨を伝えると、別室へ行くように言われます。ここで申告事項を記載し、関税を支払います。
個人所有物の免税範囲 お酒は?
ハンドキャリーによる個人用の免税対象品は以下になります。
- 個人使用の目的で、2万バーツ未満の品物
- 日本の空港の免税店で購入したもの。2万B未満
- 紙巻タバコ200本まで。
- アルコール(お酒)飲料1ℓまで。
上記の免税範囲を超得る場合は、必ず「レッドブース」に進み申告します。空港内の銀行で両替をした後「タイバーツ」で支払います。レッドブースで申告する場合は、事前にタイバーツに両替しておきましょう。
電子タバコ(アイコス)を絶対に持ち込まないこと
2014年12月27日より、タイでは電子タバコ禁止条例が発令されています。電子タバコとアイコスのタイへの持ち込みは禁止です。タイで所持、利用していた場合でも罰せられます。違反した場合は最高で10年の懲役、または罰金50万バーツ。この条例を知らない旅行者がかなり多く、日本人の所持率が多いようです。バンコクの繁華街でも警察が見張っていて、電子タバコを所持、使用している外国人は摘発されています。絶対に持ち込まないでください。
100万円以上の現金の持ち込みに注意!
海外への現金の持ち込みには制限があります。日本から100万円以上を持ち出す場合と、タイに2万USD以上を持ち込む場合は、それぞれの国で申告が必要です。
タイでの申告は、赤いブースへ行きます。税関の別室にて、現金の持ち込みを伝えると「外貨持ち込み証明書」を渡されますので記載します。その後係員にパスポートを渡し、台帳にサインして終了です。多額の現金をタイで両替する場合、外貨持ち込み証明書の提示を求められます。特に銀行内では、この証明書がないと両替してくれませんのでご注意ください。
税関に止められやすいのは?
申告不要のレーンへ進んでも、荷物が多い人は目立つので止められやすいです。外側に商品の絵が描いてある段ボール箱を持っている人は、要注意です。新品の場合は、関税を支払わなくてはなりません。日本から新品のディスプレイを持ち込んだ友人は、案の定税関に止められ箱を開封。新品であることがわかり、領収書の提示を求められました。
計算すると3万円相当の金額を支払うことに。裏交渉をしたのでしょうか、結果“何とか1,000Bで勘弁してもらった”そうです。段ボールに絵のある家電商品は税関の目に留まりやすいので、中のビニールや発泡スチロールを取り出し、新品でないように梱包し直すのが良いでしょう。止められても“Not New”と突っぱねるのも手かと思います。
万一、見つかった場合のことを考えると…
申告するものがあっても、申告不要のレーンへ進んでそのまま通過できることはあります。税関がチェックしていないケースです。税関同士で会話していて、客の荷物に目を向けてないのはタイでは良くあることです。
バイヤーの知人は、買い付けのために日本から多額の現金を持ち込んでいました。申告はいつもしません。ところがあるとき、一人一人のバッグをX線に通しチェックしていました。彼は封筒に入れた現金を2冊の単行本の間にそれぞれ隠し、やや大きめのウエストポーチに入れていました。
税関は、彼にバッグとウエストポーチをX線に載せるように指示。本の間に差し込まれたものを不審に思われ“これは何だ?”となり、見せるように言われました。現金だとわかると、別室へ連れて行かれました。2万USD以上を持ち込み、申告しなかったので処罰を受けたことは言うまでもありません。タイに何度か来て“タイの税関なら大丈夫”と思っていても、見つかった場合の処罰は相当重いです。事によってはブラックリスト入りも...これに懲りて、彼は毎回申告しています。
こんな行動が、税関を疑わせる
申告するものがないのなら、止められても平気です。しかし異国の地で税関に止められ、何をされるかわからないのは不安です。通過する際、止められた際はどうすればいいか?
普通にしている
税関と目を合わせないように下を向いたりしないこと。普通に前を見て歩きましょう。
まぎれ込む
ちょっと荷物が多く不安な場合は、他の便で来た旅行者の間にまぎれ込むのも手です。この場合は、背の高い欧米人の間がおすすめ。または中国人の団体です。ポイントは「日本から来たのではなく、他国から来たように見せかけること」です。
急がない
さっさと通り過ぎたいがために、早歩きしないように。荷物が少なくても、不審な行動は税関の目に留まります。“申告するものがないのに、なんで急いでるんだ?”バッグを開けられたお客さんは、いらぬ検査を1時間近く受けました。
怒らないこと
バッグを開けられ、税関にあれこれ言われても怒ってはいけません。怒ると逆効果で、検査が一層きびしくなります。丁寧に対応しましょう。申告不要のものでも、日本のもの=高価と思われているので、あわよくば関税を徴収しようとする税関も中にはいます。
商用目的のハンドキャリーの場合
ハンドキャリーで商用品を持ち込む場合は、どうなのでしょうか?日本から段ボールでパーツや器具を持ち込んだら、必ず赤いブースへ行きます。別室にて、法人名義で申告します。係官に商品を記載したインボイスを渡すと、計算して金額を教えてくれるのでその金額(関税)とVAT7%を支払います。その後支払い証明書を受理。
タイではインボイス+支払い証明書がないと、顧客へ伝票発行できません。またタイでは、業者によるハンドキャリーサービスが充実しています。急を要する場合は、専門業者に任せてみるのもいいでしょう。
*VATはタイのTAX、消費税のこと。タイではVATで記す。
たかがマスクで関税を払う?
自動車の排気ガスや物質の燃焼により発生するPM2.5。現在、バンコクはそれなりに平常値に戻っていますが、今年の1月2月は大変でした。マスクがないと、外出するのが危険な程PM2.5の数値が高かったのです。PM2.5を防止するマスクは、バンコクにはほとんどなく、海外からハンドキャリーで持ち込む業者が多かったそうです。そのためタイでは「粉塵除去以外に、バクテリアなどを防ぐマスクは医療機器と見なす」ことにしました。
マスクの価値が2万B以下でも、商用性のある場合は税関で5%課税され、持ち込み許可書も必要になったのです。それなりの量のPM2.5防止マスクを所持していたら、“自分で使います”と税関に止められたときに言えるようにしておきましょう。マスク以外にも申告しなくてはならないものが今後増えていくかもしれません。
まとめ
- タイの税関は、きびしくなっている。日本人はよく検査されている。
- 免税範囲内のもの、それを超えるものを事前にチェックしておこう。
- 電子タバコは絶対に持ち込まないこと。見つかると処罰は相当重い。
- 申告しないのは違反行為で、リスクも高い。必ず申告レーンへ行こう。
- 商用目的のハンドキャリーは申告が必要。証明書がないと、伝票を発行できない。
- 要注意!PM2.5防止マスクのハンドキャリーは課税対象。