買う前と後もめんどうだけど、一度は買ってみたい。今回は、知る人ぞ知るタイの植物を持ち出す方法(植物検疫証明書の取得方法を含む)をご紹介していきます。
タイから植物を持ち出す方法
植物の宝庫であるタイで、日本にはない植物を買ってみたい。
サボテンやラン、ブロメリアなど亜熱帯のタイでは植物の種類が豊富です。植物を好むタイ人は多く、私の友人知人のタイ人は定期的に市場で買い、その様子をFacebookにアップしています。
バンコクには花専門の市場はありますが、毎週定期的にチャトチャック市場内でも植物市が開催されており、愛好家のタイ人や観光客で賑わっています。日本人のマニアの間でも“日本で買うよりも安くて、たくさんの種類がある”ということで、タイの植物は知れ渡っています。日本にはないタイの植物を買って見たいと思う方はいるでしょう。
ただし植物の買い付けは、Tシャツを買うような気楽なことではないのでご注意ください。
事前に買う植物をリストアップし、CITESで調べよう。
タイへ行く前に、必ずしておきたいことあります。買う植物のリストをまとめ、それがワシントン条約(CITES)で禁止されているかどうか調べましょう。ワシントン条約には、絶滅の危機にある動植物を守る理由から輸出入禁止のリストが記載されています。
タイの市場で植物を見て“これ、買おう”と思い、その場でCITESを確認してもいいのでしょうが、買う植物はタイ語で記載されており、英語名で知っているお店の人はほとんどいないでしょう。
タイ語の植物名を英語に訳すだけでも大変なのに、その場でCITESに照らし合わせるのはかなりハードルが高い作業だと思います。また、買うリストにはなくても現地で見て欲しくなる植物はあるでしょう。植物の英語名がわからず、最悪の場合日本へ持ち込めなくても良いのであれば、トライするのもありかと思います。大丈夫かどうかは、タイの検疫所で結果がわかります。
植物を買ったら検疫証明書を取得。これがないと、日本へは持ち込めない。
2018年10月1日より外国から植物を輸入した場合、検疫証明書が必要になりました。ざっくり言いますと、輸出国政府機関より発行された検査証明書が必要で、日本到着後には検疫検査を受けることになります。検疫証明書を添付せずに輸入すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
検疫証明書は、チャトチャック市場などでは取得出来ません。専門の機関へ行って、買った植物の検査を受けた後に取得出来ます。これは結構、いや、かなりめんどうなことですが、植物を輸入するためには誰もが通る道です。
買ったら領収書をもらう。ない場合は、ノートなどに記載してもらう。
植物を買ったら必ず領収書をもらいます。出来れば、植物の名前は英語名で記載してもらいましょう。店員さんがわからない場合は、タイ語でもいいです。お店によっては領収書のない所もあるので、ノートなどを持参して記載してもらってください。記載する項目は「個数」「植物の名前」「1個の価格」「買った個数の合計額」「全ての合計額」です。検疫証明書を発行してもらうには、買った植物と領収書が必要になります。
もう一つ、とても重要なことがあります。植物を日本へ持ち込むには「土が付いていないこと」「虫が付いていないこと」が条件です。買ったお店の人が「ベアルート?」と尋ねたら、イエスと答えましょう。そうすると、植物を鉢からぬいて土を落とし新聞紙にくるんでくれます。
お店によってはベアルートせずに渡す所がありますので、“ベアルート”と言ってください。お店で土を落としてもらっても、完全には落ちないと思います。宿泊先のホテルなどで、根を水洗いして虫が付いていないか確認してください。場合によっては、虫よけスプレーが必要になるでしょう。重労働ですが、これも誰もが通る道です。
お店で購入するときは「ベアルート」と伝える+領収書をもらいましょう。完全に土を落とした状態で日本に持ち込みます!
植物検疫証明書の取得方法
植物を買い、領収書をもらった。土も落とした。次は、一番めんどうな検疫証明書の取得です。発行してもらう場所は、バンコクの郊外にあるカセサート大学内の検疫事務所です。
バンコクの中心部からタクシーで100B前後です。ほとんどの運転手はカセサート大学を知っていますが、検疫事務所が学内のどこにあるかは知らないと思います。学校前に待機しているバイクタクシーに言えば事務所へ行ってくれるのでご安心を。事務所では用紙に記入し、買った植物と領収書を担当官にチェックしてもらいます。何も問題がなければ、証明書が発行され終了です。
しかし、スムーズにいかないことが多いかもしれません。事務所に入ったら「Phytosanitary Certificate(植物検疫証明書)Please」と言ってください。“ああ、日本人が植物を持ち帰りたいんだな”と係官は思うでしょうか。用紙の記入の仕方がわからなくても大丈夫。慣れた係官は“ここは宿泊先”“ここは植物の名前”といろいろ教えてくれます。
領収書がなく、ノートに記載した植物名がタイ語だったとしても英語に直してくれるでしょう。ある植物を見て“これはCITESが必要だ”と言われたら、CITESを取得しなければなりません。(取得できる場所は、カセサート大学から近いです)。
また、ある植物を見て“これはNoだ”と言われたら、日本へ持ち帰ることは出来ません。その場で没収となります。特にああだこうだ聞かれることはないでしょうが、このチェックには時間がかかります。検査が終了したら、書類を提出して待ちます。
買った植物の数などにもよりますが、1時間‐2時間で全てが終了するようです。朝早く行くことをおすすめします。聞く所によると最近はタイ人の業者が多く訪れていて、遅く行くと証明書の発行は次の日になってしまうそうです。めんどうな手続きだからこそ、早めに行って済ませましょう。
検疫証明書の取得場所は、カセサート大学です!
日本での検査は、タイに比べれば面倒ではない。
日本帰国後は、空港で検疫検査を受けます。買った植物と検疫証明書を提出します。係官は植物と証明書を照らし合わせ、葉と葉の間を見たり、揺すったりといろんな角度から確認するでしょう。“現地で水洗いし、虫よけスプレーをしました”と言っておけば、検査がスムーズになるかもしれません。
検査が済むと、証明書にハンコを押されます。これにて無事に終了です。タイでときどき植物を買うお客さんに聞くと、検疫証明書の発行のときがいちばんめんどうだそうです。これが済めば、日本での検査はどうってことないともおっしゃっていました。
日本側の検疫ブースは、税関ゲートの手前にあります。植物、肉製品のお持ちの方はこちら~というカウンターがあるため、そこに植物と輸出国で取得した検疫証明書を提出します。その場で係官が目視検査をして問題がなければ、すぐに終わります。所要時間はおよそ5分ほどです。
バンコクで植物を買える場所
チャトチャック市場
火曜日の夕刻からオープン。メインは、水・木曜日。市場内の大通りにお店がずらりと並びます。地方から来るお店の人が多いです。植物の種類も多様です。部屋に飾る小さなサボテンは、タイ人に人気があるようです。
オーコート市場
チャトチャック市場の近くにあります。観葉植物のお店が道沿いに10店程並んでいます。
テーヴェー船着き場
水上フェリーが行き来するチャオプラヤー川、その船着き場の界隅です。15店程の観葉植物のお店があります。ローカルな場所のため、チャトチャック市場よりも安価な価格設定だそうです。最後に、改めて植物を買い付ける流れです。
- タイへ行く前に、買い付ける植物のリスト&CITESを確認。
- 現地で植物を買ったら領収書をもらう。
- お店で土を落としてもらう(ベアルート状態)。
- ホテルで水洗いし、虫を駆除。
- 検疫事務所へ行く。植物と領収書持参。→用紙に記入。係官のチェック。
- CITESが必要な場合は取得しに行く。
- 検疫証明書の取得。
- 帰国後、空港で検査。
- 証明書にハンコを押してもらい終了。
タイの植物の画像集
まとめ
- タイの植物は多種多様。バンコクでは、定期的に植物市が開催されている。
- タイで買い付ける植物が輸入禁止かどうかCITESで調べよう。
- 植物を買ったら終わりではない。その後は、検査などでなにかと大変。
- 日本へ植物を持ち込むには、検疫証明書の取得が絶対条件。ないと罰金or懲役も。