国際輸送をするときや、日本国内でトラック輸送をするときは、貨物の重さが重要です。同じ距離を輸送するときでも、送る荷物が重いほど、料金が高くなるからです。
ただし、実は、重さに合わせて「送る荷物の大きさ=容積」も重要です。鉄の一キロと、綿一キロを比べると、同じ重さであっても必要とするスペースが違いますね。いわゆる「容積重量」です。
そこで、この記事では、貿易(国際輸送)をするときに深く関係する実重量と容積重量の違いと計算方法についてご紹介していきます。
国際輸送における実重量と容積重量(m3)
「○○港から○○港まで輸送したい。このときの輸送料金を知りたい。」
このようなときは「オンライン見積もりサイト」が便利です。輸送する港(空港)や貨物の重量や大きさを指定するだけで、オーシャンフレイト(海上運賃)の見積もりができます。ただ、このサイトを使うにしろ、国際輸送で重要になる容積重量と実重量の計算方法を理解しておく必要があります。
国際輸送の重さには2種類ある!
「重さ」と聞くと体重計などを連想する方が多いのではないでしょうか? 実は、国際輸送の重さは、体重計とは別の考え方があります。それが「容積重量」と「実重量」です。
- 実重量
- 容積重量
実重量とは、実際の貨物の重さです。あなたが体重計にのったとき、メーターに表示されるのが、実重量です。一方、容積重量は「貨物の容積」から算出する重量です。国際輸送では、実重量と容積重量を比べて、重たい方を「貨物の重量」として考えます。
- 実重量=実際の重さ
- 容積重量=容積から換算する重さ
一体、なぜ、実重量と容積重量が比べる必要があるのでしょうか?
貿易で容積重量と実重量が大切な理由
例えば、一トンの鉄と一トンの綿は、どちらがよりスペースを取ると思いますか? 綿菓子を思い浮かべていただければわかりますが、スペースを取るのは「綿一トン」です。しかし、すでに述べた通り、実重量は、どちらも一トンで同じです。これが実重量だけを基準にして輸送料金を決められない理由です。
実重量が同じ=占有容積は同じ
とはならず、実重量と占有する容積(スペース)は全く違う可能性があります。そのため、貿易では、貨物の実際の重さと、貨物の容積から導く容積重量を比較検討して、重い方を貨物の重量とします。国際物流では、これをB/L上に「w/m(weight or measure)」と記載したり、容積勝ちや重量勝ちと言ったりしています。
容積重量の計算方法(m3)
それでは、実重量と容積重量を比較するために、容積重量の算出方法をご紹介します。容積重量の計算には、次の2つが必要です。
- 縦、横、高さ
- 係数
1.縦、横、高さ
まず、ダンボール等の合計の縦、横、高さを測ります。海上輸送の場合は、長さをメートル換算にします。航空輸送は、センチ換算で計算します。
海上輸送の計算例:
0.2×0.15×0.1=0.003m3(容積)← メートル換算で計算 0.2=20cm
円柱の場合:0.1×0.1×3.14×0.5=0.0157m3(容積)
海上輸送の計算例:
20×10×15=3000cm3 ← センチで計算
2.係数
次に上記の容積に決められた値(係数)で割ります。この係数は、主に3つあります。
- 航空輸送
- 海上輸送
- 混載便トラック
1.航空輸送の容積重量の求め方
- 航空輸送の係数=6000(日本)又は5000(外資系)
- 容積重量の計算方法=縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)×貨物の個数/6000
計算例:単位はセンチである点に注意!
縦50cm×横30cm×高さ10cmの貨物が10個の場合
→50×30×10×10個/6000=25kg(容積重量)
2.海上輸送の容積重量の求め方
- 海上輸送の係数=1m3=1000
- 容積重量=縦(m)×横(m)×高さ(m)×貨物の個数/1000
計算例
- 縦30cm×横30cm×高さ30cmの貨物が50個
- 実重量=1つ20kg(1000kg)
- 0.3×0.3×0.3*50=1.35m3
- 1.35×1000=1350kg(容積重量)
実重量(1000kg)と容積重量(1350kg)を比較して「容積重量勝ち」のため、この貨物は1350kgを基準に輸送料金が決まります。
1m3=1000kgに換算すること
3.混載便トラックの容積重量の求め方
- 国内混載便の係数=280
- 容積重量=貨物一つあたりの縦(m)×横(m)×高さ(m)×貨物の個数×280
上記の容積重量とB/L記載の実重量を比較して重い方が基準重量となる。(送料計算の基準)
混載便トラックの運賃計算も実重量と容積重量で考えます。B/L(船荷証券)には、貨物の重さと容積が載っています。この容積に対して「280」の数字を掛けたものが「容積重量」です。あとは、国際輸送と同じように、実重量と容積重量の内、重いほうを基準に配送料金が決まります。
計算例
- 貨物の大きさ:縦30cm×横30cm×高さ30cmの貨物が10個
- B/Lに重量280KGと記載されている。
容積重量:0.3×0.3×0.3×10=75.6KG
実重量280KGと容積重量75.6KGを比較すると、実重量の280KGの方が重い。よって、この貨物は「実重量勝ち」となり、280KGの貨物として配送料金が決まる。
国内トラック便の容積重量は、貨物の容積に280をかける。
1パレットは何m3? 貨物の容積の求め方
円柱になっている商品は「直方体」として計算をします。では、ある商品を輸入するとして、この容積はどのように求めていくのかを確認していきます。
貨物の容積の公式は、縦×横×高さ=容積です。仮に1m四方のパレットの場合は、次のように計算します。下の計算結果の「m3」=エムスリーといいます。これは、容積を表す立法メートルのことです。また、2つ目の30cmなどは、値を「m」に換算してから計算します。上記のようにまずは、貨物の容積を求めましょう。
- 計算例1:1m四方のパレット → 1×1×1=1m3
- 計算例2:30cm四方の段ボール→ 0.3×0.3×0.3=0.027m3
- 計算例3:40cm四方の段ボールが40個→ 0.3×0.3×0.3×40=1.08m3
【参考情報】コンテナに積載できる量を調べてみよう!
コンテナにどれだけ詰められるのか?
と先ほどの商品の容積を割ってみます。=積載可能量です。20フィートの空容積は30㎥です。しかし、実際はパレット(下に敷く台)なども一緒に積み込むため、この30の0.7掛け、つまり20㎥~が空の容積だと考えます。この空容積を商品一つの容積で割ると…
20÷0.01024㎥=1953個です。したがって、この商品を20フィートで運ぶ場合は、めいっぱい詰めて約2000個輸送できると予想できます。あとは、輸送費用全体を2000で割れば、一つあたりの商品にかかる送料が計算できますね。すると、日本での輸入原価を求められます。
容積重量の計算ツール
容積重量と実重量を簡単に比較できる計算ツールを提供しています。
まとめ
- 容積重量は、貨物の容積から換算した重量
- 国際輸送代金は、容積重量と実重量の内、重いほうを運賃計算の基準とする。
- 航空便の容積重量=貨物の容積(cm)/ 6000又は5000
- 海上輸送の容積重量=1m3=1000kg
- 国内トラック便の容積重量=1m3=280