今回は、世界の荷動きを見るときに重要な2つの海運の運賃指数をご紹介します。
- バルチック海運指数(BDI)
- CCFI(中国コンテナ指数)
- SCFI(上海輸出コンテナ指数)
BDI・CCFI・SCFI
バルチック海運指数(BDI)Baltic Dry Index
BDIは、ロンドンのバルチック海運取引所が発表する外航船の運賃指数です。海運取引所は、世界中の海運会社などから、鉄鉱石等を輸送するための料金を聞き取り、これを指数にしています。
指数は、1985年が1000。これを基準にして、現在の船賃がどの程度で推移しているか?を示します。
例えば、2008年前後には、指数発表以降、最高の11000前後を記録。これは、1985年と比べて、運賃が11倍になったことを意味します。その後、同じく2008年に発生したリーマンブラザーズの破産により、指数は一気に下落します。
ちなみに、2009年の春ごろから2010年頃は、新型インフルエンザが世界中に蔓延。2011年からは、日本では、東日本大震災、タイでは大洪水が発生するなど、世界各地で自然災害が発生しました。
グラフからもわかる通り、BDIは世界の経済状況と連動していることがわかります。よって、BDIの動きを確認すると、世界の荷動きの活発さをある程度、把握できます。
*以下に掲載する画像は「TRADING ECONOMICS」様で掲載されている物を加工しています。
直近一年間の指数は、以下の通りです。最近、各国政府の大規模な財政出動、グリーン税制への投資、金や銀などの現物資産の価格が上昇からも世界的な信用不安が起きていることがわかります。
ただ、BDIの指数をみると、2020年の3月くらいから上昇が続き、7月で山を迎え下降、その後、7月下旬で再び反転しています。(反転をした場所は、昨年の11月21日のラインです。)決して断言はできませんが、少しずつ荷動きが戻ってきているのかな?とも感じます。
CCFI(中国コンテナ貨物指数)チャート
BDIと同じく世界の荷動きを読む上で「CCFI」も重要です。これは、中国から出発するコンテナ輸送料を数値化した物です。ご存じの通り、中国は世界の工場と言われるほど、製造した商品を世界各国へ輸出しているため、中国発の運賃指数を読むことで、結果的に世界の荷動きも見られます。
CCFIは1998年1月1日を1000として指数化しています。
例えば、2020年7月24日の「JAPAN」は、740.95です。1998年の1000と比べると、約26%運賃が下がっていることがわかります。このように、日本を含めて12の地域を指数表示しています。
- JAPAN
- EUROPE
- W/C AMERICA
- E/C AMERICA
- KOREA
- SOUTHEAST
- MEDITERRANEAN
- AUSTRALIA/NEW ZEALAND
- SOUTH AFRICA
- SOUTH AMERICA
- WEST EAST AFRICA
- PERSIAN GULF/RED SEA
中国側の出発港
大連、天津、青島、上海、南京、寧波、厦門、福州、深セン、広州
指数化対象の運賃を提示している船会社
CMA-CGM、COSCO、HamburgSüd、Hapag-Lloyd、Hyundai Merchant Marine、Heung-A、Kline、Maersk、MOL、MSC、NYK 、OOCL、PIL、RCL、Shanghai Hai Hua Shipping、Shanghai Jin Jiang Shipping、Sinotrans Container Lines、SITC Container Lines、Yang Ming Marine Transport Corp、EVERGREEN 、Korea Marine Transport、Wan Hai 、TS LINES、ZIM Integrated Shipping Service
SCFI(上海輸出コンテナ指数)
SCFIとは、上海地区の輸出コンテナのスポット運賃を指数化したものです。(例:東京・横浜路線、大阪・神戸路線など)
基準日:2009年10月16日を1000ポイントしている。
CCFIとSCFIの違いは?
CCFIは、中国全体の港の動きを示します。一方、SCFIは、上海港のみカバーします。つまり、時間軸が違います。SCFIの方がよりタイムリーな価格を反映させます。
まとめ
- 世界の経済を読むは難しい。たぶん、誰も正確なことはわからない。
- ただし、世界の荷動きは、指数を参考にすることでほんの少しだけわかる。
- 主な指数はBDIとCCFI、SCFI
- 指数も実取引で使われている運賃を基準にする。
- 国際輸送分野は、やはりコロナなどに変わらず、非常に厳しい競争が続いている。
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