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中国に金型を輸出(無償提供)生産後、輸入する場合の注意点

日本の金型を中国の工場に無償で輸出。中国の工場にて金型(日本から提供された物)を使い完成品を仕上げる。これを日本に輸入する場合の注意点を解説します。

中国に金型を輸出!

金型とは、ある商品を形成するための型枠です。たこ焼きでいうと丸い穴があいている鉄板です。当然、生産で使用する金型は、それよりも高精度。一般的に日本の金型は、非常に高精度と評価されています。金型に最も求めれるのは、やはり正確性です。その意味では、2024年現在も日本の金型技術は、非常に高いです。

そして、中国からアパレル品等を輸入する人の中には、日本の金型を中国の工場に無償提供。その後、中国の工場で完成品を製造し、これを日本に輸入する形の貿易をしている方がいます。これは、何十年前から行わており、特にアパレル業界などで一般的です。

中国の工場に発注するタイミングを最適化。考慮するべき点とは?

中国に無償提供した金型で製造した物を輸入する場合

金型の無償提供貿易では、税関から指摘を受けることがあります。それは、無償提供した金型部分の取り扱いです。ここでもう一度、全体を確認します。

  1. 日本の金型を海外に輸出する(無償など)
  2. 1の金型を使い海外で生産する。
  3. 2の完成品を日本に輸入する

日本から金型を無償で提供し、これを使い中国で商品を製造していますね?この場合、本来、中国側の工場が金型を揃えるべきところを日本側が提供しています。その為、中国の工場から日本向けに発行されるインボイスには、金型のコストが反映されません。つまり、本来の価格よりも著しく低い価格になる可能性が高いです。 そこで、関税法では、このような場合に、金型部分を盛り込んだ価格を輸入価格とするようにします。

今回は、金型を無償で提供している為、中国工場から発行するインボイスには、無償で提供した金型の価格、日本から中国への金型の輸送費を計上して、これを輸入申告価格とするルールになっています。そして、金型の費用のように加算するべき費用のことを「現実支払い価格に加算するべき費用」と言います。





金型の費用を盛り込む

例えば…

  1. 日本の金型の価格=100万円
  2. 日本から海外工場に金型を発送するための費用=20万円
  3. 海外工場で生産した商品=300万円
  4. 海外工場から日本の港(空港)までの輸送費=10万円

この場合、輸入申告価格は、1~4の合計です。決して3+4ではないです。但し、この課税価格を考える上では、さらに3つのポイントがあります。

  1. 日本の金型が新品? 中古?
  2. 海外工場で生産する段階での価値の目減りを考慮
  3. 評価部分(1+2)の按分計算

1.日本の金型が新品であるのか? 中古であるのか?

日本から中国の工場に金型を輸出するときに、それが新品なのか? 中古なのか?も重要です。中古の場合は、金型を使用していた分の価値の目減りを考慮します。

2.中国工場で生産する段階での価値の目減り

日本から提供した金型を使い、中国の工場で生産する場合は、当然、中国工場での生産中にも金型の価値の目減りが発生します。当然、この部分も考慮して良いです。

3.評価部分(1+2)の按分計算

評価とは、現実支払い価格に加算するべき費用の総称です。今回の場合は、金型の購入費用と日本から海外工場までの送料等が評価の対象です。

輸入申告価格(課税価格)=商品代金+評価

では、実際に評価を加える場合は、どのように加算すればいいのでしょうか? これについては、2通りの方法があります。

  1. 一括計上
  2. 按分計上

ただし、基本的に、金型は長期で使うことが前提です。複数回の輸入が前提となるため、評価も輸入額に応じて「按分計上」が基本です。

税関資料:この記事の根拠

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