輸入ビジネス事例集
このレッスンで学べること
実際にあった成功例・失敗例から学べる
輸入ビジネスでうまくいった例、失敗してしまった例を紹介します。「こうすればうまくいく」「これはやめた方がいい」がわかります。
トラブルはなぜ起きる?どう対処する?
商品が届かない、品質が悪い、関税トラブルなど、よくある問題の原因と、それを防ぐ方法を具体的に解説します。
リスクを減らすには準備が大切!
輸入前の下調べ、しっかりした契約書、検品体制を整えることで、トラブルを未然に防ぐ方法を学べます。
小さな会社や個人が直面しやすい問題と対策
資金の少なさや人手不足など、規模が小さいからこそ起こりやすい問題と、その対処法を紹介します。
良い取引先と長く付き合うには?販売にもつなげよう
信頼できる海外の仕入れ先や物流会社と、どうやって関係を築くか。その関係を販売戦略にも活かす考え方を紹介します。
輸入ビジネスは「行動力」と「リスク管理」がカギ
これまで、輸入の流れや必要な手続き・費用・表示ルールなどを学んできました。でも、実際の現場では、仕入先との信頼関係や検品、トラブル対応、販売方法との相性なども大切です。
輸入ビジネスで成功するには、知識だけでなく「実際に動かす力」と「トラブルへの備え」が重要です。
このページでは、実際の成功例・失敗例をもとに、初心者が気をつけるべきポイントをわかりやすく紹介します。
成功事例1:中国製アパレルを少量からテスト輸入
ある個人事業主が、中国の仕入れサイト「1688」で洋服を20点だけ仕入れて、テスト販売をしました。
- 現地の業者に検品を依頼し、不良品を排除
- 日本で写真を撮って丁寧な販売ページを作成
- Instagramで集客し、すぐに完売
- 初回は少量だったので在庫リスクが少なく、資金に余裕あり
成功のポイント
- 最初は少量で始めてリスクを小さくした
- 検品で品質トラブルを防いだ
- SNSで宣伝し、広告費をかけずに売れた
- 売れ行きを見ながら、次回の仕入れを判断できた
成功事例2:アメリカ雑貨を輸入、クラウドファンディング活用
- 独自性のあるキッチン雑貨を海外ECで発見
- 日本未発売であったため、Makuakeでプロモーション
- B/Lやインボイスは事前に通関業者と確認し、スムーズに輸入完了
- 国内発送の遅延リスクにも備えて、バッファ日数を確保
- プロジェクト終了後も自社ECで継続販売を実現
成功のポイント
- 市場リサーチと差別化戦略が明確
- 輸入実務面でもプロとの連携を重視
- メディア戦略と配送計画で信頼性を確保
- 初期集客はMakuakeに任せ、広告費を抑えながら確実な販売に成功
失敗事例1:価格だけで選んだ仕入先から未着トラブル
- 初回から5万円相当の商品を前払いで発注
- 支払い後、連絡が取れず、サイトも閉鎖
- Alibaba未認証の業者で、事前の信用調査を怠っていた
- 決済は銀行振込で、補償制度の対象外だった
教訓
- 最初は小額・分割決済でリスクヘッジすべき
- 認証マークや第三者評価を必ず確認
- 支払いは必ず仲介サービス経由にする
- 信用できるエージェントや通関業者と連携し、事前調査を徹底する
失敗事例2:検品せずに販売、初回からクレーム多発
- 電子ガジェットを輸入し、Amazonで販売開始
- 外装破損・動作不良などのクレームが続出し、アカウント停止
- 実物確認や検品工程がまったくなかった
- レビューも低評価が多く、再起不能に近い状況に
教訓
- 電子機器や食品などは、必ず事前検品が必要
- 自社で確認できない場合は、現地検品会社の利用を検討
- 日本の消費者向けに必要な仕様・表示が整っているか事前確認を徹底
- ECモールでは、返品・返金対応が発生すると短期でアカウント停止リスクがある
よくあるトラブルとその対策
輸入ビジネスでは、さまざまなトラブルが起こることがあります。ここでは代表的なトラブルとその原因、初心者でもできる対策を紹介します。
「商品が届かない」「大幅に遅れる」
「商品が届かない」「大幅に遅れる」といったトラブルは、信頼性の低い業者を使ったり、書類が不完全だったりすることが原因です。対策としては、信頼できる業者(認証済みの取引先)を選び、チャットの記録を残すこと。さらに、配送状況は常に追跡して確認しましょう。
「クレームが多い」
「クレームが多い」という問題は、検品が甘かったり、商品の仕様を正しく理解していないことが原因です。これを防ぐには、事前にサンプルを確認した上で、検品サービスを導入するのが有効です。仕様については、PDFなどで書面にまとめて合意を取るのが確実です。
「関税が思ったより高い」
「関税が思ったより高い」といったケースは、HSコード(商品分類番号)の間違いが原因です。事前に通関業者に相談したり、「タリフ検索システム」で正しいコードを調べると、こうしたトラブルを防げます。
「EPA(経済連携協定)が適用されなかった」
「EPA(経済連携協定)が適用されなかった」という問題もよくあります。これは、原産地証明書の記載ミスや書式の不備が原因です。正式なテンプレートを使い、正しい発行機関を確認することが大切です。
「ラベルの不備」
「ラベルの不備」で通関や販売がストップすることもあります。日本語表記がなかったり、法令に沿った表示がされていないことが原因です。必須の表示内容をガイドラインで確認し、ラベルを印刷する前に専門家のチェックを受けておきましょう。
補足情報
輸入ビジネスの今とこれから
最近は、越境ECや物流の進化により、小さな会社でも海外から商品を仕入れやすくなっています。経済産業省の調べでは、2023年の日本の輸入額は増えており、特にアジア(中国・ASEAN)やアメリカからのアパレル・日用品・電子機器が人気です。今は「少量からオンラインで仕入れる」スタイルが主流になっています。
仕入れ先を選ぶときの確認ポイント
- 実在する会社か?(登記や連絡先を確認)
- 実績や口コミがあるか?
- サンプルは送ってもらえるか?現地見学は可能か?
- 契約条件(支払い・納期・保証など)が明確か?
- 安全な決済手段を使っているか?
公的支援も活用しよう
JETROや商工会議所では、初心者向けに講座・個別相談・展示会情報・現地パートナーの紹介などの支援をしています。こうした機関を活用すれば、安全に輸入ビジネスを始められます。
スタートアップが感じる輸入ビジネス成功・失敗に関するよくあるQ&A
Q1. テスト輸入は何個くらいから始めるのが現実的ですか?
A. 極力少量(目安:10〜50個)からスタートするのが安全です。初回はテスト的な意味合いで、商品到着後に検品・販売・レビュー収集までを実施し、その結果をもとに2回目以降の数量拡大を検討するのが基本です。
Q2. クラウドファンディングを活用した場合でも検品は必要ですか?
A. はい、必須です。販売経路がクラウドファンディングであっても、初回検品は必ず行いましょう。支援者への初回納品で不具合が多発すると、信頼を大きく損ね、以降のビジネス展開が困難になるリスクがあります。
Q3. Alibabaなどでの仕入れ時、認証済み業者の見分け方は?
A. Alibabaの場合は、「Verified Supplier」「Gold Supplier」などのマークの有無を必ず確認しましょう。さらに、過去のレビュー内容、取引実績、企業の登記情報、工場監査レポートなどもチェックすることでリスクを下げられます。
Q4. EPAやFTAを使えば自動的に関税がゼロになるのですか?
A. いいえ。原産地証明(Form Aなど)を正しく取得し、通関時に提出することで初めてEPA適用が可能になります。証明書類の不備や取得漏れがあると、通常税率が適用され、関税コストが増えるため注意が必要です。
Q5. 最初にフォワーダーや通関業者に依頼する際、最低限確認すべきことは?
A. 自社扱い予定の商材実績の有無、通関サポート範囲、EPA適用支援の有無、トラブル時の対応体制、見積内訳の明確さを確認しましょう。最初に総合対応可能なパートナーを選ぶことで、輸入初心者の手間やリスクを大きく減らせます。
まとめ
- 「書類と手続き」だけでなく、現場での信頼管理・品質管理・情報管理も重要
- 成功者の多くは、小ロットから試し、検品・契約・販売チャネルを丁寧に整備している
- トラブルは事前準備・小さな検証・プロとの連携によって大きく減らせる
- 初期段階では、価格だけに目を奪われず、“信頼性”と“実績”を重視した取引先選びが鍵
次の記事>>「第10回:まとめと輸入ビジネスの始め方」
基幹記事
輸出入と国際輸送の手引き
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