EC事業者にとって物流コスト削減
中国から日本への輸入ビジネスを展開するEC事業者にとって、物流コストは利益率を大きく左右する一つです。特に、商品単価が低い場合や競争が激しいジャンルでは、配送コストの削減が直接的な価格競争力につながります。しかし、多くの事業者が以下の課題に直面することが多いです。
- 輸送費の高騰:燃油サーチャージや港湾使用料の増加により、全体のコストが上昇
- 最適な輸送ルートの不明瞭さ:どの港や輸送方法を利用すればよいのか判断が難しい。
- 追加コストの発生:通関手続きや国内配送に伴う隠れたコストが増加
これらの問題を解決するためには、最適な輸送ルートの選択が重要です。適切なルートを選べれば、物流コストを削減し、利益率の向上を期待できます。
関連知識:最新の物流コスト削減の動向
中国政府は、2027年までにGDPに占める物流コストの割合を13.5%前後まで低くする目標を掲げています。これにより、物流の効率化が進み、EC事業者にとっては将来的なコスト削減の可能性が高まるのでは?と考えられています。
関連知識:中国発EC貨物の増加による影響
近年、中国発EC貨物の急増により、日本発フライトのスペース不足や運賃高騰が発生しています。特に、大手ECプラットフォームの利用拡大により、航空貨物スペースが圧迫されるケースが増えており、これが物流コスト全体の上昇につながっています。EC事業者は、これら航空輸送の現状とリスクを把握し、平常時からその代替手段を検討するのが良いでしょう。
海上輸送と航空輸送の基本的な違い
項目 | 海上輸送 | 航空輸送 |
---|---|---|
コスト | 安い(大量輸送向け) | 高い(重量・容積で変動) |
スピード | 遅い(2週間~1か月) | 早い(1~7日) |
適した貨物 | 大型・重量物 | 軽量・高単価品 |
手続きの容易さ | 通関が複雑な場合あり | 比較的簡単 |
輸送リスク | 天候や港の混雑に影響 | 影響を受けにくい |
また、日本のどの港・空港に到着させるかもコストに影響してきます。
- 関東向けなら東京港・横浜港を活用
- 関西向けなら大阪港・神戸港が適切
フェリー輸送の選択
航空輸送と海上輸送の中間的な選択肢として、フェリー輸送(DIGISHIPなど)があります。この方法は、航空輸送よりも料金が割安でありながら、通常の海上輸送よりも短期間で配送ができます。しかも、通常のフェリー輸送に加えて、日本側の任意地の地点(倉庫など)までの国内送料も含まれているサービスです。
- 中国全土(内陸、沿岸問わず)日本の指定場所(倉庫やオフィス)に輸送
- リードタイムが最短3日到着
- 二酸化炭素の排出も大幅に削減できる。
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EC事業者にとっては、コスト削減とスピードのバランスを取る手段として有効です。なお、一般貨物であれば、かさばる物、重量物など、航空輸送よりも緩やかな基準で輸送ができます!
EC事業者にとっての最適な輸送ルートとは?
結局、どの輸送方法を選べばいいのでしょうか? これは、ビジネスモデルや取扱商品の特性によって異なります。
1.小型・軽量・高単価の商品 → 航空輸送が有利
アパレルやスマートフォンアクセサリー、小型のガジェット類などは、航空輸送を選ぶことで素早く市場に投入できます。特に、Amazon FBAを利用する場合は、FBA倉庫への直送が可能な航空便が便利です。
中国からAmazon FBAへの輸送ルート。最も有利な方法は?
2.大型・重量物の商品 → 海上輸送がコストメリット大
家具や家電、大量の雑貨を輸入する場合、海上輸送が圧倒的にコストを抑えられます。LCL(混載)は、コンテナを共有しながら低コストでの輸送ができます。
3.プロモーション・セール時の短納期対応 → 航空輸送が有効
ブラックフライデーや年末商戦など、短期間での在庫確保が求められる場面では、航空輸送を活用することで機会損失を防げます。
4.継続的な輸送を行う場合 → 海上輸送+航空輸送の組み合わせ
定期的に仕入れを行う場合は…..
- ベースの在庫補充は海上輸送
- 急な需要に対応するための補充は航空輸送
と使い分けることで、物流コストとスピードのバランスを取ることができます。または、フェリー輸送を利用すれば、短距離、定時輸送、緊急輸送等を実現できます。
中国特有の物流事情と注意点
コストの最適化を考える際は、中国特有の物流事情の理解も必要です。ここでは、代表的な事情をご紹介します。
港ごとにコスト差がある。
中国には輸出拠点となる港が多数あり、利用する港によって輸送コストが違います
- コスト重視 → 寧波港・青島港(港湾費用が安い)
- スピード重視 → 上海港・深セン港(船便の便数が多く、出荷がスムーズ)
航空便の出発地とコスト差
航空輸送も、どの空港を利用するかでコストが変わります。
- 広州白雲国際空港(CAN) → eコマース向け貨物の取り扱いが多く、価格が比較的安い。
- 上海浦東国際空港(PVG) → 便数が多く、大型貨物も対応可。
- 深セン宝安国際空港(SZX) → スピード重視で、高額商品向けに最適
海外倉庫・共同配送の活用
- 広州・深セン・上海にある共同配送センターを利用することで、コストを抑えられる。
- 一括通関サービスを利用することで、通関手続きを簡略化できる。
海上輸送の不安定要素
近年、中国では港湾の混雑やコンテナ不足が頻発しています。特に上海港、寧波港、深セン港などの主要港では..
- 旧正月や国慶節などの大型連休前の混雑
- 台風シーズンによる遅延
- 国際的な輸送トラブル(ストライキや規制強化) が発生しやすい。
その他の一般的な関連リスク
航空輸送の規制と通関リスク
- バッテリー製品やリチウム電池搭載商品は航空便で制限を受ける。
- 商品によっては、中国税関で厳しい検査が行われるため、事前にHSコードを確認しておくことが重要
国際輸送のコスト変動に注意
燃料費の上昇や為替レートの変動により、海上・航空輸送のコストは定期的に見直されます。長期契約やフォワーダーとの交渉が重要です。
最適な輸送戦略とは?
- 大量輸送・低コスト重視なら → FCL(海上輸送)
- 小ロット・スピード重視なら → 航空便 又はフェリー輸送
- 中規模輸送なら → LCL(混載便)+速達
- 特殊貨物(電池・化粧品など)は → 船便または専用の航空輸送チャネル
中国特有の輸送事情を考慮し、適切な手段を選ぶことが重要です。
まとめ
中国輸入の輸送手段は、取り扱う商品の特性や販売戦略によって最適な方法が異なります。海上輸送はコストメリットが大きい一方で、時間がかかるため、急ぎの注文や短納期の販売には向きません。航空輸送はスピードが最大のメリットですが、コストが高くなるため、軽量・高単価の商品向けです。
EC事業者が長期的に利益を確保するためには…..
- 商品ごとに最適な輸送手段を選ぶ
- 海上輸送と航空輸送を使い分ける
- 中国特有の物流事情を考慮して計画を立てる ことが重要です。
この知識を活用し、物流コストを最適化しながら、ECビジネスの成長を加速させましょう。
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