中国からの国際輸送が遅延すると、その先の企業(サプライチェーン)に大きな影響を与えます。この記事では、中国からの国際輸送で遅延につながる要因を解説します。
中国からの国際輸送の4つの遅延要因
- 港湾の混雑
- 通関手続きの遅れ
- 天候の影響
- 政治的な遅延
1.港湾の混雑
中国の主要な港湾(上海、深圳、青島など)は、多数の船舶が出入りし、積み込み、下ろしなどにより混雑しやすいです。特に旧正月前後、クリスマスシーズン向けの商品が増加する頃は、その混雑は長期間に及びます。
2.通関手続きの遅れ
中国では、通関手続きが厳格に行われることが多く、特に新しい規制や輸出入品の検査が強化されると、通関に時間がかかります。これは、下記の政治的な意図により遅らせていることもあります。
3. 天候・船の影響
中国の港は、濃霧や台風の影響を受けやすいです。また、意外と多いのが船舶自体の機械故障です。これらの影響により出航が大幅に遅れることがあります。
4. 政治リスク
日本を含む世界各国との関係から、中国政府による政治的な部分による遅延リスクも非常に大きいです。これは、中国国内向けの政策等による遅延も含みます。
これまでの政治リスクによる遅延例をご紹介します。
1.尖閣諸島問題
日本が尖閣諸島を国有化したことに関し、中国の国内で反日デモが発生。日本向けの貨物が一時的に遅延したり、厳格化されたりしました。
2.レアアースの輸出制限
中国が日本向けのレアアースの輸出を制限しました。当時、レアアースは、中国に依存していた為、これを原材料として使う日本の製造会社に大きな影響を与えました。
3.原発処理水放出問題
福島第一原発の処理水の放出をめぐり日本産食品の輸入を制限。中国向けの日本産食品の検査が大幅に強化せて多大な影響を与えました。
4. 米中貿易戦争
アメリカと中国との間に貿易摩擦が発生し、双方が関税を引き上げる措置を実施。この影響で双方の通関手続き、国際輸送に遅延が発生し、大きな影響がでました。
5. オーストラリアと中国の貿易紛争
オーストラリアと中国との政治的な緊張が高まり、中国がオーストラリア産の商品に輸入制限を実施。これにより、ワインや石炭などが中国の港で長期間にわたって滞留し、大きな影響を与えました。
6. 中国の電力制限
中国国内のエネルギー問題により、電力制限が行われ、生産活動が停止。この影響により中国工場での生産に大幅な遅延が発生し、当然、国際輸送も遅延しました。
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まとめ
中国からの国際輸送における遅延要因をご紹介しました。いくつかの要因がありますが一番大きなリスクは政治です。中国政府と各国との駆け引き等により、輸送リスクがゼロから一気に100になることもあります。当然、民間企業側では、なにもできない為、他のリスクとの差は段違いです。やはり、ある程度、中国政府に関する動きなども把握し、大局的な観察していないと、本当の意味でのリスクの把握にならないと考えます。
但し、どのような要因だとしても、共通して言えることは、納期をあまり厳しく設定しすぎないことです。ギリギリに設定すると、痛い想いをする可能性が高いと考えましょう。
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