中国から商品を輸入し、AmazonのFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)倉庫へ直送するビジネスモデルは、多くのEC事業者にとって効率的な選択肢です。
しかし、適切な輸送ルートを選ばないと、コストがかさむだけでなく、納期の遅延や関税の問題が発生する可能性があります。
本記事では、FBA向けの中国輸送ルートの選択について解説していきます。
Amazon FBA向けの中国輸入とは?
FBAとは?その魅力は何?
FBAとは、全国、全世界にあるアマゾンの倉庫です。アマゾン販売の他、他社で販売する商品の倉庫として活用ができます。(マルチチャネル)
- 商品の販売、梱包、代金決済、在庫管理などを全て自動化
- アマゾン以外で販売する時にも使える。
FBAのデメリット
- 基本的に自分で荷受けをする必要がある。
- 貨物検品、専用バーコードの貼り付けが面倒
- FBA倉庫までのリードタイムが長くなる。
- FBAに送る為の配送料金がかかる。
- アマゾンは「輸入者」にならない。
- 当然、関税や消費税等の支払いもしない。
特にこの3点に注意!
特に注目するべき点は、以下3つです。
- FBA納品用の作業がある。(スペースが必要)
- リードタイムが長くなり、輸入後、FBAへの配送料金が必要
- アマゾンは輸入者にならない。
例えば、中国から商品を輸入し、FBAに納品するとしましょう。
この場合、理想は…..中国→FBAです。しかし、この形は、後述するFBA納品サービスを使わない限り実現は難しいです。理由は、FBAの利用には、以下3つの条件があるからです。
- マゾンは、輸入者にならない。
- 当然、アマゾンは、商品の関税や消費税を負担しない。
- FBAに納品するときに専用ラベルの貼り付け作業が必要
中国→FBA直送を実現するためには、上記3つの前提条件を全てクリアできる輸送サービスが必要です。これが「FBA納品直送サービス」です。
FBA直送とは?
FBA直送サービスとは、中国から商品を国際輸送+日本のアマゾンまでの輸送を一括で請け負うものです。従来は、中国から商品を輸入する場合は、いったん自社で商品を受け取り、検品後にFBA倉庫へ発送する必要がありました。
しかし、FBA直送が開始されると、中国のサプライヤーから直接FBA倉庫へ配送できるようになりました。FBA直送のメリットには、次の物があります。
FBA直送サービスのメリット
- 中国国内の引き取りから日本FBAまでの一貫配送
- 国際輸送と国内輸送のプロが設計しているから納期が短い。
- FBA納品に関する全ての作業から解放される。
- 検品後のアマゾン倉庫への送料も不要
- 検品等、様々な作業は、中国側で行うからコストを圧縮
- 日本側で倉庫が不要。当然、作業人員も不要
- 中国側で商品の検品やバーコードの貼り付け作業ができる。
- 貨物の量に応じた保管料であり合理的
中国から日本のアマゾン輸送4つのルート
中国からFBA倉庫への輸送には、海上輸送、航空輸送、越境EC専用ルート、フェリー輸送の4つの方法があります
- 海上輸送
- 航空輸送
- 越境ECルート
- 海上フェリー
1.海上輸送(FCL/LCL)
海上輸送は、比較的、大量の商品を一度に輸送する場合に適しています。コストが安い反面、リードタイムが長い点がデメリットです。
- FCL:コンテナ1本を占有する輸送方式。大量輸送
- LCL:コンテナを他の荷主と共有する方式。小ロット向け
- 所要日数:約3~5週間(中国主要港→日本の港→国内配送)
- 適している商品:在庫補充向けの供給品
2.航空輸送
航空輸送は、スピードが求められる商品の輸送に最適です。送料は高めですが、納期の安定性が魅力です。
- 直行便(Express Air):DHLやFedExなどを利用し、最短3日で配送可能。
- 通常の航空貨物便(Standard Air Freight):コストは直行便より安いが、通関手続きが必要。
- 所要日数:3~10日
- 適している商品:新商品や需要が高まるシーズン品
3.越境EC専用ルート
AmazonのFBA向けには、越境EC専用の物流ルートが利用可能です。これは、複数の業者を経由し、コストを抑えながらも比較的速い配送を実現するルートです。
- 中国→香港→日本ルート:関税対策やコスト削減のために利用される。
- 中国→韓国経由→日本ルート:航空輸送と組み合わせてリードタイム短縮。
- 所要日数:10~20日
- 適している商品:比較的軽量で需要が安定している商品
4.フェリー輸送ルート
フェリー輸送は、航空輸送と海上輸送の良い所を兼ね備えている方法です。海上輸送よりも圧倒的に速く、かつ、航空輸送よりも料金が低いのが特徴です。実は、このフェリーサービスから、アマゾンFBAの納品までしてくれる会社もあります。

以上が代表的な輸送方法です。ご自身が求める納期、料金等を比較して検討しましょう!
FBA直送を利用する手順
では、実際にFBA直送は、どのような手順で進むのでしょうか? ここでは、中国輸送のプロ向けである、フォワーダーを使う前提での流れをご紹介します。
- サプライヤーと交渉する。
- 貨物状態の確認
- 国際輸送&通関が行われる。
- 許可後、アマゾン倉庫に納品
- パソコン上で確認ができる

フォワーダーを使う程、規模感がない場合は、中国の輸入代行会社に問い合わせをしてみましょう!多くの場合、アマゾンFBAの直送サービスを提供しています。
1.サプライヤーと交渉する。
サプライヤーに「日本のアマゾンのFBAに直送したい」旨を伝えます。
- 直接、アマゾン倉庫に送れる?
- ラベルなどの貼り付けは対応している?
- 梱包要件等を満たせる?
などを確認しつつ見積もりをしてもらいましょう。
もし、サプライヤーが対応していない場合は、日本側のフォワーダーに依頼して、中国からの引き取りから、日本のアマゾンに直送する迄の見積を依頼します。
2.貨物状態のチェック&FBAラベルの貼り付け
中国のサプライヤーと交渉をした結果、今回は、自社側で国際輸送(アマゾンFBA直送サービス)をすることになりました。この場合、まずフォワーダーにFBA直送サービスを申し込みます。
すると、フォワーダーからは、次の質問がきます。
- 貨物の受け渡し場所は?
- インコタームズは?
- 物は?
などです。貨物の受け渡しは…..
- フォワーダーが中国の現地工場や倉庫に引き取りもできます
- サプライヤーにフォワーダーが指定する倉庫に貨物を送ってもらうこと
もできます。サプライヤーと相談をして、いつ、どこで、どのように貨物を引き渡すのか?を確認しましょう!
当然、引き渡し場所によって、サプライヤーからの見積額やフォワーダーからの見積額が変化してきます。
代表的な引き渡しポイントの例
- 中国のサプライヤーの工場や倉庫(インコタームズEXW)
- 中国側の港(インコタームズFOB)
例えば、中国のサプライヤーの工場や倉庫で引き渡しをする場合は、フォワーダーに対して、受け渡し予定の倉庫から、アマゾン直送する迄の見積を依頼します。
サプライヤーと中国側の港で受け渡しをするなら、フォワーダーには、その港名を伝えて、そこから先の輸送部分(アマゾン直送)の見積りを依頼します。
フォワーダーの指定倉庫での受け渡しをするなら、フォワーダーに中国側の倉庫の場所を確認します。これをサプライヤーに伝えます。
この場合、サプライヤーは、フォワーダーの指定倉庫までの輸送費を含めた価格を見積もりしてきます。他方、フォワーダーは、指定倉庫からFBAに納品するまでの見積をしてきます。
- サプライヤーには、何をどこまでしてもらうのか?
- フォワーダーには、何からしてもらうのか?
この2つを分けて考えましょう!(別々に見積もりをもらう)
例:サプライヤーとの間で、荷物の受け渡し場所を「フォワーダーの倉庫」にした場合
フォワーダーは、サプライヤーから貨物が届き次第、破損状態等を確認します。必要な場合は、フォワーダーの倉庫でもFBAラベルの貼り付けや、詳細な検品等もできます。

セラーセントラルにログインをし、専用バーコードの情報をPDFとしてお送りください。あとの出力やラベル貼り付け作業等は、中国側の倉庫で全て完了できます。
3.利用料金、国際輸送&日本アマゾン倉庫へ納品
準備ができ次第、中国から日本へ国際輸送をします。料金の目安は、次の通りです。
重量 | 深圳から日本FBA(kg単価) | 上海から日本FBA(kg単価) |
100kg以上 | 270円 | 235円 |
200kg以上 | 250円 | 210円 |
500kg以上 | 230円 | 195円 |
上記の金額に含む料金
- 中国指定の倉庫から日本FBA倉庫まですべての費用を含む
- 日本の関税、消費税、税関検査費用、海外倉庫入庫料は含まない。
- 実重量と容積重量の大きい方が基準
- 容積重量は立法メートル×200
国際輸送のスケジュール(例:上海→日本FBAの場合)
- 貨物の荷受け締め切り日:火曜日又は、土曜日
- 中国出港日:土曜日又は火曜日
- 日本入港日:月曜又は木曜日
- FBA納品日:火曜日又は金曜日
4.本船到着&輸入許可
本船が日本に到着すると輸入申告&許可を受けます。許可時には、関税及び消費税の納税が必要です。これをリアルタイム口座で行います。無事に許可になり次第、アマゾン倉庫に納品できる指定業者に貨物を引き渡します。
5.アマゾン納品完了
指定業者がアマゾンに貨物を納品すると、セラーセントラル上に在庫情報が反映されます。このようにアマゾン直送サービスを使うことで、中国の工場からアマゾンの倉庫まで、一切、貨物を触ることなく納品ができます。
関連情報:FBA直送サービスのコスト計算
商品価格にプラスして、以下のコストがかかります。
- 海外輸送費(船便・航空便)
- 関税・消費税
- FBA手数料(保管料・配送料)
- 為替変動のリスク費用
- 粗利(約30%前後)
なお、既述のDIGISHIPの場合は、事前料金制です。関税消費税、税関検査代金以外の全ての費用をあらかじめ確認した上で依頼ができるので安心です。
関連情報:FBA直送を成功させるためのポイント
成功の鍵となるのは、アマゾン直送サービスに対応するフォワーダー、サプライヤーの選定です。必ず実績がある所を選びましょう!特に次の点には、留意します。
- FBA直送の実績の有無
- コミュニケーション能力(レスポンスは早い?)
- 品質管理体制(品質は良い?→悪いと大変)
- 納期の正確性
その他、中国特有の物流で覚えておくこと
1. 中国の輸出規制と通関リスク
中国政府の輸出規制が年々厳しくなっており、一部の商品は特別な許可が必要です。特に電子機器やバッテリーを含む商品は注意します。
2. 関税・税金の計算方法
Amazon FBAに送る商品は関税の対象となるため、正確なHSコードを確認し、適切な申告を行うことが重要です。特に「関税前払(DDP)」と「関税後払い(DDU)」の違いを理解しましょう!
3. FBA倉庫への直送と国内倉庫経由の比較
中国から直接FBA倉庫へ送る方法と、一度日本国内の倉庫を経由する方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で選択しましょう。
- 直送:コスト削減が可。ラベルミスなどのトラブル発生時の対応が難しい。
- 国内倉庫経由:柔軟な対応が可能だが、倉庫費用が発生
よくあるトラブルと疑問集
アマゾンの納品ラベルの貼り付けは、いつがいい?
中国から商品を輸入し、アマゾンに納品する場合の納品ラベルの貼付は、以下のポイントを検討します。
貼付のタイミング
- 中国の工場や倉庫で貼付
- 日本の中間倉庫で貼付
- FBA倉庫で貼付(Amazonの商品ラベル貼付サービスを利用)
コスト面での比較
- 中国での貼付:人件費が安いため、最もコストが低い。
- 日本の中間倉庫:人件費が高くなるが、品質管理がしやすい
- FBA倉庫:Amazonのサービス料金がかかるため、最もコストが高い
正確性と品質管理
- 中国での貼付:品質管理が難しく、ミスのリスクが高い
- 日本の中間倉庫:直接確認できるため、品質管理がしやすい
- FBA倉庫:Amazonがするので正確性は高いが、自社でのチェックは困難
考慮すべき要素を踏まえると、最適な方法は、次のとおりです。
コスト効率と正確性のバランスを取るなら、日本の中間倉庫で貼付することがベストです。この方法には以下の利点があります。
- 直接確認できるため、ラベルの貼付ミスや商品の不良を発見
- 必要に応じて商品の再梱包や追加の品質チェックが可能
- 中国での貼付よりは高コストだが、FBA倉庫での貼付よりは安価
- 自社でラベル貼付をすることで商品とラベルの一致を確認できる
- トラブル対応:問題が発生した場合、迅速に対応できる
関税と消費税の支払い方法は?
利用するフォワーダーにもよりますが、リアルタイム口座が多いです。
利用できない貨物は?
- FBAに納品できない貨物
- 汚れ、しみ、破損品など
- 法令違反の貨物
- 単品の重量が30KG以上の物
輸入通関はどうなる?許可書は?
FBA直送サービスは、中国から日本の国際代金の他、日本の輸入通関、日本の港からFBAへの配送代金等を含む「オールイン」の単価が特徴です。
また、輸入通関は、輸入されるご本人(貴社)名義で適切に行うため、輸入許可書は、通常と同じく一件につき一枚が発行されます。
【海外居住】税関事務管理人(ACP)×Amazon販売を実現!


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