中国税関に輸出入通関をするとトラブルになることが多いです。原因は、ケースマークの違い、CCC等、ご当地ルールなど、様々です。この記事では、中国通関のトラブル事例をご紹介していきます。
中国に商品を輸出するときの関税率・HSコード(中国側)の調べ方
中国の通関トラブル例と注意点
中国貿易の特徴と実態
中国貿易には、中国独自の事情(輸出入に関する法規制や不透明なルール)があります。他国基準だと首を傾げたくなることも中国では「普通」です。特に官庁(公安)と民間に関わらず、全てにおいて、国益又は個人的利益につながっているの特徴です。
「モノが動けばカネが動く」
特に日本相手の商売は、金銭的な負担を求めてくることが多いです。そのトラブルが発生する最たる所が中国税関(海関)、輸送業者・通関業者です。まずは、日本税関と中国税関の違いをご紹介します。
日本税関 vs. 中国税関の違い(どちらで引っかかりやすい?)
日本の税関は、必要な書類が揃っていれば比較的スムーズに通関できます。しかし、HSコードの分類や課税価格の決定については厳格で、誤りがあると修正を求められます。また、知的財産権の保護が強化されており、商標権や特許権の問題があると輸入禁止措置が取られることもあります。
一方、中国の税関は政策変更が頻繁に行われるため、最新情報の確認が不可欠です。輸出許可が必要な品目が多く、特に機械や電子機器、食品などは注意が必要です。さらに、税関職員の裁量によって判断が変わる場合があり、地域によって通関の厳しさが異なることもあります。特定の港では検査が厳しくなる傾向があり、貨物がストップするリスクが高まります。
中国貿易の輸出入トラブル
中国から日本への輸入トラブルは、日本の税関側の問題ではなく、中国側に起因することが多いです。貨物自体の問題、貨物出荷や出国時の通関、或いは輸送中によるものが大半です。
一方、日本から中国に輸入する貨物のトラブルの方が圧倒的に多く厄介です。中国税関には、日本からの輸入貨物は格好の収益源になるからです。
ただし、どのような理由でも、税関で貨物が留められると、通関業者(港)から保管料等が請求されます。最悪、通関できないときは、本国側に返送されるため往復の運賃と関税がかかります。
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汚職も多い。理由を問わず、荷物が留められると、費用負担が増える。
代表的な通関トラブル例
輸出入では、どのようなトラブルが発生するのでしょうか? ここでは中国通関でよくあるトラブルをご紹介します。
- 申告書類の不備
- 政治的な思惑による検査の強化
- 輸入禁止、認証の不備
- ケースマーク(shipping mark)の間違い。
- 貨物破損・紛失によるもの
- HSコード(分類)UN 番号(国連番号)の間違い。
1.申告書類の不備
中国税関に輸入申告する際の申告書類の不備が多いです。具体的には、次の項目の不備が目立ちます。
- HSコード(関税番号)の誤記載
- 原産地証明書の不備
- 中国語訳の誤り
- 必要書類がない。
2.政治的な思惑による検査強化トラブル
日本を含む諸外国と何かしらの問題が発生した際、相手に自国(中国側)の要求をのませるために関税等の引き上げや検査強化などを実施することがあります。これにより、当初の予定よりも大幅に貨物が遅延することがあります。
最近だと、福島第一原発の処理水放出に抗議するための日本産水産物への検査強化
3.中国側が輸入禁止する品品の該当、認証の不備
禁止物品や認証品に関するトラブルです。中国でも日本と同じく「輸入禁制品」に指定する物があります。また、一部の物品は、決められた許可または認証が必要です。
例えば、禁制品には、武器・弾薬に該当するもの、麻薬、動物の剥製や象牙などワシントン条約、生の食品・動植物などがあります。(当然これらは申告せずに輸入すれば密輸であり刑罰の対象となる)
その他、制限品には、お肉、アルコールなどの他、認証が必要な物があります。中国には、日本のJIS規格に相当する「GB standards(GB規格)」もあります。
中国の認証制度
- CCC(China Compulsory Certification)
- NMPA/旧CFDA(化粧品や健康食品等に適用)
CCC、NMPA(CFDA)は、工業製品に適用される「強制規格認証制度」であり、中国に商品を入れる際は、これらの基準が求められます。
GB基準は日本の「JIS規格」と同じような物です。包装方法、ラベリング基準等が具体的な基準が決められており、CCCやCFDAは、このGB規格をクリアすることで与えられます。
*サンプル品の場合は、上記の認証は不要です。
中国は通関時から認証が必要
実は、中国と日本では、上記の認証が必要となるタイミングが違います。
例えば、日本に、アパレル品を輸入する場合は、輸入通関時は、税関以外の許認可等は不要です。しかし、これを「販売」するときには、家庭用品品質表示法の規制を受けます。
一方、中国は、通関のタイミングで認証が必要です。日本のように販売時に規制をクリアすればいいとの考えはないため注意が必要です。特に中国公安の公的認証が必要な「医療や消防機器」などは要注意です。
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中国は、通関時に認証が必要
4.ケースマーク(shipping mark)の間違い。
ケースマークは、貨物に貼付する貨物のIDであり、貨物と書類、他の貨物との区別するために表示します。(外装の段ボールなどに独自のマーク等)
- 会社又はID(任意)
- INVOICE NO又は注文番号など
- 向け地
- 個口数 (CARTON NO)
- 原産地(MADE IN 〇〇)
ケースマークは、通関書類(INVOICE/PACKING LIST)と同じにします。仮に書類とケースマークが違う場合は、輸出通関ができません。この場合、書類の訂正が必要で無駄な費用がかかります。
もし、ケースマークの訂正に時間がかかると大変です。ケースマークの訂正は、港や空港倉庫の締め切り日(CUT日)までに行う必要があります。カットタイムとは、本船(飛行機)に荷物を載せられる最もギリギリの時間です。つまり、この時点で納期の遅延が確定します。
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ケースマークの記載内容に注意する
5.貨物の破損・紛失によるもの
貨物の破損、盗難トラブルもあります。貨物が破損する理由は、梱包状態の不備にあります。
- ケースが雨等で潰れる
- 破れる又は配送途中の落下やキズによるもの
などが多いです。上記は船積み前の時点であれば、補修や補強に行くことは可能です。しかし、現地到着以降は陸送業者による作業となり費用が発生します。また、梱包不備の他「紛失トラブル」もあります。
- 船積み前に国内倉庫で発生
- 航空機の経由地での積み替えミス、仕分けミスで他国に行く。
- 個口割れでの積み残し
- 作業員による盗難等
6.HSコード(分類番号)UN番号(国連番号)の間違い
HSコードとは、国際条約における商品の名称及び分類番号のことで、通関申告の際に送る貨物が何に分類されるかを、通関業者へ事前に調査又は確認し、この番号により関税分類が適用されます。
大分類は、前の6ケタは世界共通。後の3桁は(中国は4桁)各国ごとに違います。中国への輸入の際には、このコードと商品があっていないと通関できません。中には、合致しない場合でも通関されることはあります。しかし、その場合は、追加課税の対象となることが多いです。
中国HSコードとの意味・解釈の違いから、違う品目で課税されるケース。国連番号(UN番号)4桁の化学品を輸送する場合の危険品を分類するコードの解釈の違いなどが発生することがあります。
例:本来、普通の貨物→危険品貨物が扱いとなる。(UNコードの見解の相違)
通関トラブルを防ぐには?
上記のトラブル事例を踏まえて、中国通関で貨物がスムーズに通過するように準備をしましょう!
- ケースマークがあっていることを確認する。特に記号-や.など
- ダンボール・木枠クレート梱包・木箱を使い輸送中のトラブルを回避
- 紛失・盗難も含めて貨物に保険を掛ける
- HSコードは、事前調査と通関業者による事前確認が重要
- 中国向け現地通関は、HSコ-ドが変化する事がある。
- 送料の負担が現地港まで(CNF)でなければ、関税負担は輸出者となるため、事前に現地通関業者に関税含めた確認が必要(概算見積を取る)
- 輸入禁止及び規制品は、事前に確認(輸出入共通)すること。
- 中国に輸出する工業製品は、CCC認証を取得する。
- 認証がないときは、まずはサンプルとして発送する。
- サンプル品は、保税扱いとなるため、出荷元へ戻すのが原則。
- サンプル品を販売すると、経理上厄介
参考情報:中国の輸出規制が厳しくなった影響
2024年、中国の輸出規制はさらに強化され、特定の製品に関しては輸出許可の取得が必須になりました。特に技術関連製品やレアアース(希土類)、半導体関連部品などの規制が強化され、手続きがより煩雑になっています。
レアアースや半導体関連製品は、国際的な競争が激しく、中国政府の戦略的な管理下に置かれています。そのため、輸出時には厳格な審査が行われることが多く、必要な書類を揃えていなければ通関できないことがあります。他、ドローン関連製品やAI、量子コンピュータ関連の機械も同様に、特別な輸出管理が適用されるケースが増えています。
こうした輸出規制の影響を回避するためには、事前に輸出許可の必要性を確認することが重要です。商社やフォワーダーを通じて、中国側の最新規制をチェックし、必要に応じて輸出許可を取得することで、スムーズな輸送を実現できます。また、出荷前に必要な書類を準備し、迅速な手続きを可能にすることも求められます。もし代替品がある場合は、輸出規制の対象外となる製品を選ぶことで、リスクを低減することができます。
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