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【中国輸入】輸入申告のプライスレンジから逸脱すると!?

中国サイト(アリババ)等から商品を輸入するときに、税関から「ちょっと、この商品安すぎなんじゃない?」「高すぎなんじゃない?」と指摘されることがあります。いわゆるプライスレンジからの逸脱です。=レンジアウト

なぜ、税関は、輸入申告価格にこだわるのでしょうか? そこで、この記事では、輸入申告価格が低すぎる又は高すぎる場合のトラブルと対処方法をご紹介していきます。

輸入申告価格とは?

輸入申告とは、輸入する商品の価格を自ら申告し、納税する額を確定させる行為です。この行為に基づき税関へ申告する価格を「輸入申告価格」と言います。税関及び税関が所有するコンピューター/NACCSは、輸入者からの申告価格を確認し、その「適正さ」を判断します。

もし、申告価格に何かしらの疑義を感じる場合は、税関職員は、輸入者(通関業者等)に問い合わせます。輸入者(通関業者)は、この問い合わせに対し、申告価格の根拠を示します。その結果、輸入の価格の適正さが判断されます。

これが輸入申告の審査と税関とのやり取りの一例です。

実際は、この輸入申告は、通関業者が代行することが多く、輸入者である、あなた自身が手続きをすることは少ないです。ただし、輸入申告の仕組みを理解することは、適切な申告をする上で重要です。以降の説明記事を参考にして、適切な輸入申告をしましょう!

自分で輸入申告したい方向けの記事2選

輸入申告価格が重視される理由

なぜ、税関は輸入申告価格にこだわるのでしょうか? 端的に言うと、輸入申告価格は税収に直結するからです。輸入にかかる税金は、次の2つがあります。

  1. 関税
  2. 消費税

例えば、この商品を○○国から輸入する場合は、関税が3%、消費税が10%の具合です。そして、この3%や10%をかける対象の価格を「課税価格=輸入申告」と言います。対象の価格に対して税率をかけるため、税の収入に直結するのです。

  • 課税価格が大きくなる=税収が増える
  • 課税価格が小さくなる=税収が増える

例えば、今、あなたは100円の物と1000円の物を手にしているとしましょう。それをレジに持っていくと……

  • 100円の物は、10円の消費税が発生
  • 1000円の物は、100円の消費税が発生

同じ消費税率10%でも、それをかける課税価格が違えば、支払う税額がかわります。輸入申告価格を厳しく監視する理由は、ここにあります。





「本来は10,000円相当の商品を5,000円と申告していないのか?」

税関は、輸入者が不正な価格を申告し、本来、納めるべき税額よりも少なくしていないのか?を考えているのです。ちなみに、輸入申告価格は、商品の価格+日本に輸入するまでの諸費用を加算した「CIF」に基づき判断されます。これが輸入申告価格が重要な理由です。

インコタームズの勘違い6選!貿易するなら覚えておきたい!

中国輸入に多い!レンジアウトとは?

先ほど、税関は輸入申告価格が適正であるのか?を判断すると述べました。では、どのようにして価格が適切さを判断しているのでしょうか? その秘密がナックスです。税関は、日本全国の輸出入を記録する巨大なシステム(ナックス)を所有しています。

このシステムが過去の膨大なデーターと照らし合わせて、平均価格から逸脱していないのかを自動判定しているのです。ナックスによる自動判定の結果、申告価格がおかしいと判断された場合は、次の2つの内、いずれかの表示が出ます。

  • L(価格が低い)
  • H(価格が高い)

Lは、輸入申告価格が平均価格より低すぎる場合に表示。他方、Hは、高すぎる場合に表示されます。特にLは、アリババ等からの購入や割り安な機械製品を輸入するときに表示されることが多いです。

H又はLがでる2つの原因

システム上でL又はHが出る原因は、次の2つです。

  1. HSコードの採番違い。
  2. 不正価格(アンダーバリューなど)

まずは、対象商品のHSコードの採番ミスが考えられます。要は、品目に対する適切なHSコードが割り当てられていないことが原因です。次の原因は、不正価格、いわゆるアンダーバリューです。

例えば、中国輸入の場合は、売り手側の好意として、インボイス等への記載金額を不正に安く記載することがあります。

例えば、本来は100ドルの物を50ドルと記載するなどです。先ほども述べた通り、輸入申告の価格が低いほど、あなたが納めるべき税金が低くなるため、親切な人だな~と感じます。しかし、これは、もちろん、脱税行為です。いわゆるアンダーバリュー行為に該当するため、必ず断りましょう!

インボイス価格を不正に操作するのは脱税行為です。売り手からの「好意」は断りましょう

税関への対応方法

最後に、輸入申告価格がL又はHと判定された場合の現場の対処方法をご紹介します。LやHが表示されると、通関の現場では、税関から輸入申告価格の根拠を求められます。

例えば、申告価格が「L(安い)」と表示されたなら….

  • なぜ、安い?
  • 特売?
  • 他取引と相殺していない?
  • B級品?
  • 売り手との間で、課税価格を決定できない関係にない?(親子関係など)

などです。そして、必要な場合は「売り手に支払った送金明細書」を提出し、輸入申告価格の根拠を徹底的に調べられます。

  • 税関には、膨大なデータがあること
  • その膨大なデーターと照らし合わせて自動判定していること
  • 税関職員による審査があること

この3つの理由から、不正な申告価格は、見破られる可能性が高いです。価格によっては、過少申告加算税等もかかるため、姑息な真似はせず、最初から適切な輸入申告に努めましょう!

まとめ

  • 輸入申告価格は、税額を確定させるために重要
  • 基本的に、税関は税を徴収したい。
  • 輸入申告価格は、膨大なデーターと照らし合わせて適正度を判定される。
  • 判定の結果、低い場合は「L」高い場合は「H」が表示される。
  • L又はHが表示された場合は、税関職員に理由や根拠を示す必要がある。
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