航空、海上問わず、国内外の輸送に関係するのが「フォワーダー」です。フォワーダーは、航空機や船などを持つ会社(キャリア)から、輸送スペースを確保し”独自にアレンジ”をして、荷主に再販売します。
- ロシア、モンゴルなどCIS地域の輸送に特化
- 北米航路のコンテナ輸送に特化
- 食品の輸送に特化
荷主は、これらフォワーダーが得意とする分野を理解し、輸送目的、品目、輸送先によって、最適なフォワーダーを選ぶことが重要です。
この記事では、国内・外資系大手フォワーダー5社、フォワーダーとキャリアの違い、通関業者、混載事業者ランキング等、フォワーダーランキングを紹介していきます。
- 国際輸送・フォワーダーランキング
- フィリピン、パプアニューギニアへの輸送が得意
- 危険品/化学品の輸送が得意
- オーバーゲージ貨物・重量物の輸送が得意
- 食品輸送が得意!冷蔵や冷凍リーファーコンテナの混載
- 海外通販(越境EC)の展開に便利
- ハワイ方面の輸送に便利
- 韓国とのフェリー船
- 国際複合一貫輸送が得意
- 独自色が際立つフォワーダー
- 美術品の輸送が得意
- 日本の地方港と海外を結ぶ
国際輸送・フォワーダーランキング
フォワーダーは、国内外の輸送に関わらず、キャリア(船舶や航空機の持ち主)から輸送スペースを調達し、荷主(輸出入する人)に再販売する事業をしています。
日本の大手フォワーダー5社
以下は「Transport Topics」の海運と航空部門のランキングを参考にしています。但し、スタートアップ、小規模法人は、依頼しても断られることが多いです。
海上輸送トップ5
- 日本通運(世界ランク18位)
- 郵船ロジ(世界ランク19位)
- 近鉄エクスプレス(世界ランク22位)
- 日立物流(世界ランク29位)
- 日新(世界ランク40位)
航空フォワーダートップ5
- 日本通運(世界ランク6位)
- 近鉄エクスプレス(世界ランク9位)
- 郵船ロジ (世界ランク19位)
- NNR Global Logistics(世界ランク21位)
- 日立物流 (世界ランク31位)
- 日新 (世界ランク45位)
外資系フォワーダーのランキング
- Kuehne + Nagel
- DHL Supply Chain & Global Forwarding
- DSV
- DB Schenker
- Sinotrans
- Expeditors
- C.H. Robinson
- CEVA Logistics
- Kerry Logistics
- UPS Supply Chain Solutions
情報元:A&A’s Top 25 Global Freight Forwarders List
フォワーダー×海上輸送
1 Kuehne + Nagel
2 Sinotrans Ltd.
3 DHL Supply Chain & Global Forwarding
4 DSV A/S
5 DB Schenker
6 LX Pantos South
7 C.H. Robinson Worldwide
8 Ceva Logistics
9 Kerry Logistics
10 Geodis
情報元:https://www.ttnews.com/logistics/oceanfreight/2023
中国のフォワーダーランキング(海上輸送)
- Sinotrans Ltd.(世界ランク2位)
- CTS International Logistics(世界ランク11位)
- Worldwide Logistics Group(世界ランク15位)
- Long Sail International Logistics(世界ランク31位)
- AWOT Global Logistics Group(世界ランク37位)
通関業者/混載業者ランキング
フォワーダーとキャリアの違い。
フォワーダーを理解するには、フォワーダー、キャリアなどの言葉が持つ定義や関係性が重要です。
- キャリア=自社で航空機や船等を所有し、実際に貨物を輸送する業者
- フォワーダー=キャリアからスペースを買いとり、荷主へ再販売する業者
- 荷主=貨物の所有者で、国際輸送を希望する人
キャリアとは、全日空、日本航空、日本郵船など、実際に輸送機を所有し、貨物を輸送する業者です。フォワーダーは、これらのキャリアから輸送スペースを買いとり、荷主へ再販売する業者です。
例えば、東京からロングビーチ港までの20フィートコンテナを50本などです。この買いとったスペースを東京→ロングビーチまで輸送を希望する荷主に再販売します。
フォワーダー選定3つの要素
- 中立性
- 輸送スペースの確保力
- 柔軟性 関連:フォワーダーの選定方法9つのポイント
スタートアップ・小規模法人でも対応するフォワーダー!
ジャパントラスト株式会社
- 業界屈指の独立系フォワーダー(NVOCC)
- 日米間のコンテナ輸送には圧倒的な価格力有り!
エフシースタンダードロジックス株式会社
中国・台湾路線に独自の輸送網を持つ。同社の上海、青島、石島、天津、大連、広州、厦門発のドアドアの海上輸送は初心者の方に好評!
タイ貿易/全世界の古着の輸送ならNIPPON47へ
日本とタイとの間の貿易関連サービスをワンストップで提供。主なサービスは、航空輸送サービスとダイレクト海上輸送サービス、タイ商品の仕入れになどに付随するサービスです。航空輸送サービスは、日タイ間では、大きなシェアを持ち、価格競争力あり!古着の輸送では、ロンクルア、バンコク等に倉庫や発送センターを構築。ベール化の専用機械を導入し、圧縮した上で海上輸送を提供する。
最適なフォワーダーを探そう!特徴で選ぶ。
フォワーダーには、分野ごと、輸送ルートごとに得意とする点、サービスが違います。貴社の輸送ルートと目的に最適な業者を選びましょう!
「フォワーダー」という言葉の意味
フォワーダーの言葉には、いくつかの意味があるため、画一的に分類するのは難しいです。基本的に、自社で輸送機等を所有せず、国際輸送サービスを提供する会社と覚えておけばいいです。フォワーダーの関連する言葉には、次の物があります。
*最後のブローカー以外は、フォワーダーの言葉に含まれると考えておきましょう!
- NVOCC
- Air Freight Forwarder(航空輸送フォワーダー)
- 海上輸送フォワーダー
- コンソリデーター
- ブローカー(取次業務)=フォワーダーとは違う。
デジタルフォワーダーとは?
最近は、フォワーダー業界にデジタルを取り入れた「デジタルフォワーダー」が流行っています。元々、アメリカのflexportのビジネスを取り入れて、日本では shippioさんなどがパイオニア的(大手)な立ち位置でサービスを提供されています。
デジタルフォワーダーは、旧来の電話やメール等でやりとりをしていた、国際物流の手続き、ブッキング、担当者等のやりとりをすべてオンラインでやりとりできるのが特徴です。見積もり等も全てオンライン上で完了するため、今、急速に普及し始めています。
参考:荷主がフォワーダーを利用するべき10の理由(メリット、デメリット)
荷主は、フォワーダーを通して国際輸送を手配します。一見すると、フォワーダーに依頼する分、高くなる気がします。なぜ、荷主は、フォワーダーを利用するのでしょうか? 主な理由は、次の10個です。
参考:フォワーダーの提供する付随作業例
- 国際複合一貫輸送、海上保険の手配
- 梱包・検量、輸送の予約
- 物流相談、輸出入通関
- コンソリ、検品や仕分け
- 集荷、その他の付随業
参考:フォワーダーの選び方 11の基準
次に実際にフォワーダーを選ぶときの基準をご紹介していきます。以下の基準できるだけ満たすようにすると、あなたに最適なフォワーダーに当たりやすいです。
- 大手商社やメーカーの冠があるフォワーダーは力がない。
- フォワーダーの得意・不得意な分野を把握する。
- できれば、独立系フォワーダーがベスト
- 処理は迅速か?連絡は円滑?
- 様々な物流情報を提供し、船会社の経営状況を把握している
- 万が一(船会社の破綻など)の時に対応ができる。
- 取り扱い件数が多い=スペース供給力(価格交渉力)がある。
- 荷主の「物流担当者」として、常に物流の最適化の提案ができる。
- 船会社と深い関係があること
- 海外営業所があること。できれば、そこを日本人がコントロールすること
- あなたが好きであること。
ところで、フォワーダーには、大きく分けて日系フォワーダーと外資系フォワーダーの2種類があります。それぞれの違いと使い分け方法もご紹介します。
参考情報:日系フォワーダーの特徴
十分なスタッフと自社施設
当然日本に本社があるため、大きなビジネス案件やトラベルあった場合日本国内で処理されるので、迅速に解決されると期待できる。またスタッフがたくさんいるので、国内主要都市や空港で十分対応が可能です。
日系フォワーダーは自社上屋を各国内空港近くに保有しています。オペレーションも自前なので、柔軟に対応できる。自社上屋でスタッフが待機していることで、緊急案件に対しても処理が早めに実施されます。航空貨物は時間との戦いであるから、この点は大きなメリットだといえます。
日系航空会社との連携
日系フォワーダーは、日系航空会社の路線に豊富な契約スペースがあります。一般的に同じ国籍の企業同士だと連携が強い傾向があるので、日経フォワーダーにはANAやJAL、NCAのような日系航空会社と強固な関係性を持っていることが多いです。それに応じて貨物スペースを一定量保有しているので、たとえ貨物スペースが逼迫している時期でも安定した輸送が可能です。
精神的な信頼
日本人特有の輸送を任せるなら自国の企業にという点も大きいです。日本に本社のあるフォワーダーに預けるのは、精神的に安心する人も多いでしょう。これは旅行する時にまずANAやJALを選ぶのと同じイメージであるといえます。ある外資系フォワーダーで働くスタッフが、なかなかお客さんの獲得につながらないという話を聞いたことがある。それもこの理由からかもしれないです。
世界規模では交渉力が小さい(デメリット)
日系フォワーダーは大手グローバルフォワーダーに比べると企業規模は決し大きくないです。日本最大手の日通航空でさえ、世界ランキングでは7位です。そうなると日本線以外での航空会社との価格交渉は、残念ながら世界の大手フォワーダーにはかなわないです。
日本発着では強い立場でいられるが、日本を介さない国際間のやり取りの場合、準大手の扱いとなり、競争力が劣るケースが起きます。
外資系フォワーダーの特徴
外資系フォワーダーの特徴は次の通りです。
- 世界規模で価格交渉が有利
- 貨物の優先順位が高い
- 人員と施設が不足気味(日本国内のデメリット)
世界規模で価格交渉が有利
世界で見るとDHLやキューネのようなグローバルフォワーダーは、とても存在感があり、価格交渉は各航空会社の本社レベルで行っているため、競争力のある運賃とスペース確保を有利に獲得しやすいです。日系フォワーダーが日本国内で交渉するのとは規模が違う。世界規模でみた場合、外資系大手フォワーダーのほうが競争が有利に働きます。
貨物の優先順位が高い
航空輸送では予約が取りづらい路線や、オフロードしやすい仕向け地がある。これは需給バランスの影響であったり、貨物重量搭載制限が発生するためで、その場合航空会社はどの貨物から搭載するか優先順位を事前に決めています。
通常世界の大手航空会社は、グローバルフォワーダーとパートナー契約を交わしており、その契約にはフォワーダーは契約航空会社に優先的に貨物を渡すこと、航空会社は安定したスペースの供給や仮に予定便からオフロードされた場合には優先的に搭載するといった内容が盛り込まれていることが多いです。つまりグローバルフォワーダーの貨物はどんな状況でも優先的に搭載されます。
人員と施設問題がある(デメリット)
日系フォワーダーと比べると日本での外資系フォワーダーは、人員が決して多いわけではないので、きめ細やかなサービスは期待できないです。また自社上屋を保有しているケースが少ないため、柔軟な対応にも限界があります。
外資系と日系の使い分け
主要都市は日経フォワーダーがお勧め!
私の意見では、主要な都市への輸送であれば、日系フォワーダーに任せるのが安全で安心です。日本企業特有のきめ細やかな対応は、日系フォワーダーが優れています。主要都市への輸送であれば、ANAやJALでカバーできるので、日系企業同士で最終目的地まで輸送が可能です。
ニッチな仕向け地は外資系フォワーダーがお勧め
外資系フォワーダーは、ニッチな仕向け地へ輸送したい時に適しています。
例えば南米や東欧諸国、アフリカなどは、日系フォワーダー並びに航空会社が支店を持っていないため、こういった仕向け地は外資フォワーダーが強みを活かせる場です。大手外資系フォワーダーはグローバル契約があるので、安定した輸送が可能です。
アジアではそれなりに日系フォワーダーも知名度は高くなっているが、それでも世界レベルで見ると、まだまだ外資系フォワーダーの存在感は絶大だ。仕向け地に合わせて、ぜひ使い分けてみることもお勧めします。
フォワーダーとの上手な付き合い方
最後にフォワーダーとの上手な付き合い方をご紹介していきます。フォワーダーには、得手、不得手なルート、品目がああるので、まずはお付き合いするフォワーダーの得意分野を把握しましょう!
メインの一社と、あともう一、二社のサブでお付き合いをすると良いです。複数のフォワーダーと取引を重ねるのが良いです。なお、全く新しい輸送ルートが必要になった場合は、上記の枠組みからは外れて、新たなフォワーダーを探します。
例えば、見積もり依頼の結果、フォワーダーから、ありえない価格を提示されたときは、間接的に断っていることを意味しています。詳しくは「見積もり依頼をするときにフォワーダーに伝える9つのこと」とフォワーダーが嫌う「荷主」の特徴5選 取引停止を防ぐコツ!をご覧ください。
よくある疑問
フォワーダーの数はどれくらいある?
2020年現在、496社です。
フリーハウスチャージとは?
輸出者が輸入国側(貨物の到着地)の通関手数料、配送料や税金等を一切負担する輸送のことです。関連性:【貿易】フリーハウスチャージ(Free House Delivery)の意味
フォワーダーと3PLの違いは?
フォワーダーとは、国際輸送をコーディネートする会社。対して、3PLとは、第三者の物流部門を請け負い、物流が滞りなく行われるようにするサービスです。業務的には、全く別のサービスとなりますが、国際輸送と物流業務の受託となり、業務範囲が重なります。
したがって、フォワーダーが業務の「一環」として3PLを行っていることが多いです。当然、この逆もしかりです。
サービスコントラクトとは?
通称「SC」と呼ばれる物であり、例えば、フォワーダーが船会社と「月間○○本の発注をする!」と契約することなどを指します。船会社は、フォワーダーとのSCに基づき、有利な価格を提示します。
バイヤーズコンソリデーションとは?
バイヤーズコンソリとは、買い手が複数のサプライヤー(ベンダー)から商品を購入する際、これらの貨物を1本のコンテナ等にまとめて配送するサービスです。買い手は、個々の商品ごとに国際配送をするよりも送料を圧縮できる点が魅力です。
例えば、タイからいくつかの商品を購入するとしましょう。仕入れ先は、A、B、Cと三つあります。それぞれの会社から自分向けに商品を発送してもらうこともできます。しかし、当然、送料が高くなります。そこで、タイでバイヤーズコンソリを提供するフォワーダー(D)に依頼をします。
タイの仕入れ先、A、B、Cは、Dが指定する倉庫(タイにある)に荷物を発送します。Dは、ABCから商品が到着をしたら、1本のコンテナ又は、CFS等に仕上げて、日本の依頼者に発送します。この荷物をまとめるサービス全体をバイヤーズコンソリと言います。
エアカーゴとクーリエの違いとは?
エアカーゴは、空港間輸送を前提とする方法。他方、クーリエは、そこからさらに先の部分への輸送を前提とするサービスです。(フェデックスなど)
例えば、
- 成田空港からロサンゼルス空港へ輸送したい=エアカーゴ
- 千葉県成田市○○町×××から、ロサンゼルス市○○○○1-11へ輸送したい=クーリエ
国別のフォワーダー例は?
シンガポール |
|
スリランカ |
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ハワイ/グアム |
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ベトナム |
|
カナダ |
|
オーストラリア |
|
マレーシア |
|
ドイツ |
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イタリア |
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ロシア |
|
アメリカ |
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イギリス |
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インド |
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韓国 |
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ミャンマー |
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