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フェデックスの料金はなぜ高いのか|実務担当者が本当に知るべき仕組みと削減ポイント
フェデックスは速くて便利ですが、実際に見積りを取ると「想像以上に高い」と感じる人は多いです。その理由は単に「航空便で早いから」ではありません。料金は複数の要素で構成されており、その構造を理解できていないと正しい比較も交渉もできません。
この記事では、実務担当者が必ず知っておくべき、容積重量の計算方法・サーチャージ・通関関連費用・割引率の仕組み・フォワーダーとの住み分けを整理し、料金を抑えたいときに取るべき具体的な行動を示します。
フェデックスの料金が高く見える理由
フェデックスは「インテグレーター」という種類の運送会社で、次の特徴があります。
- 自社の航空機ネットワークで世界中を結ぶ
- 集荷から配達まで一貫して自社で管理
- 輸出入申告・関税立替・国内配送なども自社サービスで完結
便利ですが、そのぶん料金に「航空運賃以外の費用」が多く含まれています。
この構造を理解するところが第一歩です。
フェデックス特有の“容積重量”に注意(÷5000)
一般的な国際航空輸送では、容積重量は 「縦×横×高さ÷6000」 で計算します。
しかしフェデックス(UPS・DHLも同様)は 「÷5000」 を採用しています。
同じ荷物で比較すると、フェデックスは容積重量が 20%増える 計算になります。
【例】
- 段ボール:80×60×60cm
- 容積重量(÷6000)= 48kg
- 容積重量(÷5000)= 57.6kg
課金重量は57.6kgになり、レートが高いインテグレーターでは金額が大きく変わります。

大型で軽い品物(衣類・スポンジ・緩衝材)は特に高くなるため注意が必要です。
フェデックスの料金を押し上げる主要サーチャージ
インテグレーターはサーチャージの種類が多く、金額も変動します。
特に確認すべきは次の5つです。
1.燃油サーチャージ(FSC)
月ごとに変わり、総額の10〜30%を占めることがあります。
2.遠隔地集配手数料(ODA/OSA)
離島や特定エリアは追加料金が発生。日本国内でも発生するケースがあります。
3.緊急輸送サービスの追加料金
プライオリティ系サービスは通常より高くなります。
4.通関関連費用
- 関税立替手数料
- インボイス修正料
HSコード照合対応
など、細かい有料サービスが積み重なります。
5.住所不備・再配達・返送時の追加チャージ
事務処理系のミスでも費用が発生しやすい点が他サービスと比べても特徴です。
付加サービス(通関代行)が料金に含まれる理由
記事では触れられていませんでしたが、フェデックスが高い理由の一つに「通関士による手続き代行」があります。
実務で発生する主な付加サービス:
- 輸入通関の作業
- 関税・消費税の立替
- 通関に必要な書類の補完
- 名義貸し(自社名義での申告)
これらは便利ですが、フォワーダー経由より高くなることが一般的です。
割引は輸送量だけで決まらない(交渉ポイント)
フェデックスの割引率は輸送量が最も大きな要因ですが、他の条件でも変わります。実務担当者が押さえるべき要素は次の5つです。
- 輸送地域:北米向けは割引が入りにくく、アジア域内は入りやすい
- 使用サービス(プライオリティ/エコノミー)
- 出荷頻度(スポットでは割引されにくい)
- 月間請求額の見込み
- 返品が多いビジネスモデルかどうか
特に「輸送地域」を条件にした割引交渉は効果が高く、全エリアで割引を求めるより、重点エリアを絞る方が現実的です。
フェデックスとフォワーダー混載便の住み分け(実務基準)
実務者が最も誤解しやすい点はここです。
フェデックスを使うべき貨物
- 納期が厳しい
- 小型で値段が高い
- 書類・サンプル・修理品など、遅れが大問題になるもの
フォワーダー混載便の方が安い貨物
- 1〜2日遅れても問題ない
- 体積が大きい
- 継続出荷でコストを下げたい
- 1箱あたり20kg以上の実重量が多い
フォワーダーがまとめて混載するため、40〜70%安くなるケースは珍しくありません。
保険(Declared Value)と責任限度額の違い
インテグレーターを利用する場合、次を必ず理解しておくべきです。
- 運送人の責任限度額は SDR(特別引出権) による制限
- Declare Value は「保険」ではなく、運送人が負う責任の上限額を引き上げるためのオプション
- Declare Value を高く設定すると料金も跳ね上がる
高額品の場合、フォワーダー経由で貨物保険(ICC Aなど)を付ける方が安いケースが多いです。
輸送量が少ない企業が取るべき最適解
輸送量が少なく、フェデックスから直接割引を得られない企業は次の2択です。
1. 割引契約を持つフォワーダーの枠を利用する
フォワーダーは大量出荷しているため、企業よりも強いレートを持っています。
2. フェデックスネットワークを使うフォワーダーを選ぶ
実はフェデックスの設備を使いながら、料金はフォワーダー基準という会社も存在します。
直接契約より安いことは普通にあり、
「直接契約=安い」は完全に間違い
という点を強調しておきます。
航空輸送の基礎|海上輸送との違いを初心者向けにわかりやすく解説
まとめ(実務担当者向けの結論)
- フェデックスの容積重量は「÷5000」で一般航空より重く計算される
- FSC・ODAなどのサーチャージが総額を大きく押し上げる
- 通関手続き・立替費用などの付加サービスが料金に含まれている
- 割引は輸送量以外にも「地域・頻度・サービス種別」で決まる
- 納期が急ぐ小口はフェデックス、費用を下げたい中大口は混載便が適切
- 保険はDeclared Valueより貨物保険の方がコスト効率が良い
- 輸送量が少ない企業は「割引持ちのフォワーダー利用」が最適解

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