【特定原産地証明書】発給手順、手数料、代行等を解説!

特定原産地証明書 特定原産地証明書
この記事は約31分で読めます。

日本からタイに輸出するときは、タイ側の税関が課税します。あなたの相手(輸入者)は、課税された関税を支払うことでタイに商品を入れられます。これが関税の仕組みです。この関税を削減するための仕組みが「EPA」です。そしてこのEPAを活用するための証明書が「特定原産地証明書」です。

そこで、この記事では、特定原産地証明の基礎的な知識、メリット、取得方法、必要な費用等をご紹介していきます。

この記事の要点
  • 特定原産地証明書は、輸入国側の関税を削減するための書類。
  • 輸出者が発行し輸入者に送付。輸入者が税関に提出することで恩恵を受けられる。
  • ただし、貿易取引がEPA加盟国同士でなければならない。2020年現在、17のEPA
  • EPAを輸入で活用する場合、20万円以下は証明書は不要。
  • EPAを輸出で活用する場合、日本商工会議所に企業登録をし、原産性の立証をする。
  • 取得費用自体は安い。日数はおおむね3週間前後
  • ただし、実際の手続きには、専門的な部分も多く、資料の出来が悪い故、何度も不合格になることが多い。
  • 自社でできない場合は、弊社を含めた外部専門家に依頼をした方がよい。
  • 特にHSコードの採番業務は、非常に手間と時間がかかる。

特定原産地証明書

  1. EPAと特定原産地証明の関係
    1. 特定原産地証明書とは?
      1. 目的とメリット
      2. どういうときに必要?
      3. 特定原産地証明書の効果がある国一覧
      4. ■交渉中の国(これから締結しそうな国)
    2. 特定原産地証明書と原産地証明書との違いとは?
    3. 原産性の証明方法と取得の種類及び流れ(申請)
      1. 最も一般的!第三者証明による特定原産地証明書の取得方法
    4. 必要な書類
      1. 1.企業登録時に必要な書類
      2. 2.判定依頼のときに必要な書類
        1. 製造委託証明書
        2. インボイス
    5. 申請から取得までの流れ
      1. 1.日本商工会議所に登録
        1. 発給システムとは?
      2. 2.原産性資料の準備
      3. 3.原産品判定依頼
      4. 4.発給申請をする。
        1. 関連:必要な費用(手数料)は?
        2. 関連:いつまでに申請するべき?
    6. 相談先
    7. 特定原産地証明書の不正取得
      1. 輸入者のペナルティ
      2. 輸出者のペナルティ
      3. 法律上は、輸入者の責任が強い。ただし、民事訴訟の可能性もある。
    8. 原産資料の作成方法
      1. 1.完成品のHSコードの特定
      2. 2.HSコードを基にして原産性ルールを確認する
      3. 3.関税分類変更基準または付加価値基準を決める。
        1. 関税分類変更基準
        2. 1.完成品を原材料に分解
        3. 2.各原材料ごとにHSコードを取得
        4. 3.変更基準を満たせないときは、デミニマス又は累積を活用
      4. 付加価値基準
      5. 1.使っている原材料を分解
      6. 2.製造に関する費用(光熱費、燃料費、人件費など)、自社利益の資料にまとめる。
      7. 3.製造に関する費用と、自社利益の数値をワークシートにいれる。
      8. 4.3の時点で閾値を超えているのか確認
      9. 5.閾値を超えていないときは、1番の原産材料を積み上げる
      10. 付加価値基準と閾値積み増しの要点
      11. 内製品を積み上げるためには?
      12. 他社から仕入れた物を原産材料として積み上げるには?
      13. 付加価値基準と一次材料・二次材料の要点
    9. 原産資料の保管
      1. 保管する期間
      2. 保管する書類
    10. よくある疑問
      1. 申請ミスをしてしまいました。どうなりますか?
        1. 最終的な三つの選択とは?
      2. 有効期間は何日ですか?
      3. 修正や変更
      4. 遡及発給
      5. 三国間貿易
      6. COOとは?
      7. CTC
      8. FORM AJ、D、Eとは?
      9. 検認
      10. サプライヤー証明書
      11. 梱包材や予備品、説明書にも必要?
      12. 発給システムのマニュアルはある?
      13. 輸出者は必ず原産品判定を受ける必要がある?
      14. 他者の製品の特定原産地証明書を取得するには?
        1. 証明書を取得する2つの方法
    11. まとめ

EPAと特定原産地証明の関係

特定原産地証明書とは?

目的とメリット

特定原産地証明書は、日本とEPA(自由貿易)を結んでいる国々と物品をやり取りするときに、輸入国側の関税を減額又は、削減するための書類です。2020年現在、日本は17の国又は地域とEPAを結んでおり、今後も拡大していく見込みです。特定原産地証明書の一次的なメリットは、輸入者側にあります。

例えば、日本からタイへ輸出するときは、日本で特定原産地証明書を発行した後、それをタイ側の輸入者に送付します。輸入者は、この証明書をタイの税関に提出することで、関税を削減できます。他方、タイから日本に輸入する場合であれば、タイで発行された証明書を日本の税関に提出をします。これで日本側の関税を削減できます。

  • 特定原産地証明書は、輸出国側で発行する。
  • 輸入国側で税関に提出をすることで関税を削減できる。=メリット

どういうときに必要?

では、実際、どういうときに活用するのでしょうか? 次の2つの条件をどちらも当てはまるときに使います。

  1. EPA締約国との間で、産品を輸出又は輸入するとき
  2. 価格がおおむね20万円をこえるとき

あなたが輸出・輸入のどちらの立場で活用するにしても、おおむね上記2つの条件に当てはまる場合が対象です。対象の方は、輸出者は、特定原産地証明書の用意及び送付をします。他方、輸入者は、輸出者に依頼して、輸出国側の特定原産地証明書を用意してもらい、それを日本側での輸入申告時に日本税関に提出します。

ちなみに、国際郵便やクーリエ、又は、海外通販であり、かつ20万円以下の場合は、原産地証明書は不要でEPAを適用してもらえます。

輸入の場合 現地の輸出国側に、特定原産地証明書の発行を依頼し、日本に原本を送付してもらいます。日本で輸入申告するときに、日本税関に提出する。

締約国のショップから海外通販などをした場合は、輸入価格が20万円以下は、EPAを適用してもらえます。日欧EPA×個人通販 ヨーロッパから輸入するときの関税を削減する方法

輸出の場合 後述する日本商工会議所に原産品判定の依頼をし、証明書を取得します。証明書の取得後、輸入者側に送付して終了です。

Hunade

特定原産地証明書の効果がある国一覧

特定原産地証明書を活用したEPA貿易は、すべての外国との間で行えるわけではありません。ごく限られた数十か国との間でできます。2019年現在では、以下の国々とEPAを締結しています。また、すでに締結済の国以外にも交渉中の国もたくさんあります。締結済の国は、東南アジア各国が多いです。また、資源に恵まれている国や、特定の産品が豊富にある国とも結んでいることがわかります。ちなみにチリ産ワインが大量に入ってきた理由も、この「日チリEPA」が関係しています。

2020年3月現在のEPA締約国一覧
シンガポール マレーシア タイ インドネシア ブルネイ
アセアン全体 フィリピン ベトナム インド モンゴル
オーストラリア メキシコ チリ ペルー スイス
CPTPP(TPP11) 日欧EPA 日米貿易協定
今後増えるかもしれない!?
カナダ ニュージーランド RCEP FTAAP

■交渉中の国(これから締結しそうな国)

GCC トルコ カナダ
コロンビア RCEPなど

特定原産地証明書と原産地証明書との違いとは?

特定原産地証明書は、貨物の原産国がEPAの産物であることを証明する書類です。ここでいう「EPAの産物」とは、適用するEPAルールで規定されている「原産情報を満たす貨物」と決められています。原産情報とは「○○と○○の基準を満たすので、○○を日本の産物とする。」など、商品ごとに設定されている条件です。

例えば、

  • この商品は、完成品の内、原材料が類の変更をしていること
  • この商品は、原産資格割合が40%以上であること

などがあります。少し、難しく感じるかもしれませんが、EPAの原産品とは、EPAが定める条件を満たす産物だけだと覚えておきましょう。これは、本当に日本の工場で製造されていても、原産条件を満たさない限り、日本産の産物ではないと判断され場合があることを意味します。この原産品であることを証明する資料が「特定原産地証明書」です。

発給機関
原産地証明書 EPA外の国に輸出(輸入)するときに関税を撤廃または原産地を証明するために使う。 各地にある「商工会議所」=各市町村
特定原産地証明書 EPAを締結している圏内の関税を撤廃するときに使う 日本商工会議所のみ

 

なお、ここから先の説明は、EPAを「輸出者」として活用する方向けの内容です。

 

原産性の証明方法と取得の種類及び流れ(申請)

EPAの原産性を証明するための書類が特定原産地証明書です。実は、この原産性の証明方法には、「自己証明方式」と「第三者発給方式」の2つがあります。基本的に多くのEPAは第三者証明方式(日本商工会議所への申請)で行われます。しかし、最近発行した日米貿易協定、日欧EPA、日豪EPA等は、前者の自己証明方式で証明するため、以降の原産性の証明方法とは大きく違います。

最も一般的!第三者証明による特定原産地証明書の取得方法

第三者証明方法により特定原産地証明書を取得する場合は、次の手順で行います。

  1. 日本商工会議所に企業登録をして、発給システムを利用できるようにする。
  2. 原産性資料の作成をする。
  3. 原産品判定依頼をする。
  4. 日本商工会議所とやり取りをする。
  5. 審査合格後、発給申請をする。
  6. 原本を入手する。

この内、最も時間と手間がかかるのが「原産性資料の作成」です。この中には、HSコードの採番等の作業があるため、きわめて専門的で時間がかかります。この点は、弊社が「対比表サポート作成サービス」等を提供していますので、よろしければご利用ください。なお、この一連の発給申請を代行する行政書士等もいらっしゃるため、ネット上で検索等をするといいと思います。

必要な書類

特定原産地証明書を取るときに必要な書類を各ステップごとに説明していきます。

1.企業登録時に必要な書類

まずは日本商工会議所に企業登録をします。必要な書類は、次の通りです。

  • 個人→登録申請書、戸籍抄本(しょうほん)又は住民票及び印鑑証明
  • 法人→登録申請書及び履歴事項全部証明書

登録申請書:日本商工会議所のフォーマットを使います。申請書をオンライン作成→プリントアウト→捺印→郵送の流れです。

2.判定依頼のときに必要な書類

原産品判定依頼のときに必要な書類は、その判定を希望する商品(輸出予定の商品)が「何であるのか?」また「どのルールで証明するのか?」によって必要な資料は違います。最も一般的な物は、3番の外国産材料を使用して生産した産品。これの証明方法は、CTCルールが多いです。

  1. 完全生産品
  2. 原産材料のみで生産した産品
  3. 外国産材料を使用して生産した物など
証明する産品 必要な書類
完全生産品の証明書を取るとき

完全生産品とは、日本で採れた(獲れた)一次産品のことを言います。

例えば、漁師が釣った魚、農家が生産した果物、山でとった鉱物などが該当します。少しおもしろいのが「鉄のスクラップクズ」などもこの完全生産品に該当します。このときは、その商品を生産した人から「生産証明書(サプライヤー証明書)」を入手します。

原産材料のみで生産した産品

原産材料のみで生産した産品とは、日本産の原料のみを使って製造した商品のことを言います。しかし、「日本産の原料」の部分は、少し難しい考え方があります。それが「一次材料」と「二次材料」です。原産材料のみで生産した品目の材料部分は、一次材料の部分が日本産であれば(変化していれば)良いことになっています。

例えば、カップラーメンを作るとします。この中に入っている麺、野菜、スープなどの材料のことを「一次材料」と言います。次にこの一次材料の部分をさらにさかのぼって考えます。麺であれば、小麦粉からできていますね。これが「二次材料」です。つまり、小麦粉(二次材料)→麺(一次材料)→完成品の流れをたどることになります。

1.元々、日本産の原料であった物のみで生産した商品

2.二次材料の部分で外国産であり、一次材料の部分で日本産に変化している原料を使って生産した商品

この1と2のいずれの材料を使っても「原産材料のみで生産した完成品」扱いになります。この原産材料のみで作られた商品を証明するときに必要な資料は、以下の2つです。

1.ワークシート

2.ワークシートの内容を立証するための資料

1.個別の原料ごとに日本(協定相手国)の原産品であることを証明する書類

2.二次材料が海外の物であれば、それを輸入したときのインボイスの写しなど。

海外の原材料を使い生産した産品

海外の材料を使用して製造した商品の原産性を証明するときは、以下の三つの証明ルールのうち、いずれか一つをあてはめて行います。この証明ルールは、基本的に好きな物を選べます。しかし、協定や品目ごとに指定されている物もあるため「品目別規則」や各協定の本文第三章付近に書かれている「一般規則」を確認する必要があります。当然、使用する証明ルールによって必要になる書類が異なります。

付加価値基準(VAルール)

関税分類変更基準(CTCルール)

加工工程基準(SPルール)

付加価値基準(VAルール)で必要になる書類

1.ワークシート(非原産材料、原産材料、製造・管理・人件費など分けて一枚のシートを作成します。)

2.ワークシートの内容を立証するための以下の資料

・原産材料を使っているときは「サプライヤー証明書
・原料となる材料の購入費用を証明する資料(例:請求書、インボイスなど)
・製品を製造するために使った人件費(投入した人数と製造にかかる時間などで計算)
・商品を製造して上乗せをする利益部分
・輸出をするための港までの費用など

関税分類変更基準(CTCルール)で必要になる書類

1.対比表

2.対比表の内容を立証するための以下の資料

原料となる材料の中に原産品が含まれているときは、それを証明する資料(サプライヤー証明書)基本的にすべて非原産材料として申請することをお勧めします。

関連記事:CTCルールの適用をスムーズにするための2つのポイント

その他
製造委託証明書

製造を第三者に委託しているときは、関係性を立証するための「製造委託証明書」が必要になります。いわゆるOEMなどの場合、商品の製造を依頼している企業と、それを受けている企業の2社がいます。この生産方式をとっている場合、製造委託証明書を提出しないと「生産者」として原産品判定はできないためご注意ください。詳しくは「EPA原産品判定依頼!生産を別会社に委託している場合の生産者」をご覧下さい。

インボイス

輸出産品の価格を証明(FOB価格)するために用意します。

申請から取得までの流れ

実際にどのように取得すればいいのかを説明してきます。まず大前提になることは、特定原産地証明書は、輸出する国で取得することです。もし、あなたが輸入者として特定原産地証明書を活用するときは、現地の輸出者にお願いをして、取得してもらってください。ここで説明する取得方法は、輸出者としての手順です。

特定原産地証明書を取得先は「日本商工会議所」です。市区町村にあるローカル商工会議所ではないため、ご注意ください。申請に必要な日数は、初期の企業登録開始から発給までにニ、三週間ほどです。しかしながら、この期間は、原産性資料の出来具合によって大きく変わります。資料の出来が悪いと、何度も審査落ちします。

取得までの流れは、次の通りです。

  1. 日本商工会議所に企業登録
  2. 原産資料の準備する
  3. 原産品判定依頼
  4. 特定原産地証明書の発行手続き

この1~3のステップです。

1.日本商工会議所に登録

まずは日本商工会議所への会員登録をします。個人は住民票。法人は、登記簿などの証明書類を提出することで登録ができます。企業登録が終ると、専門のIDとパスワードが送付されてきます。ログインURLも一緒に送付されているため、そこから専門の「発給システム」にログインします。

*登録作業だけでおよそ1週間ほどの日数がかかる。

詳細記事:【企業・サイナー登録編】日本商工会議所における特定原産地証明書

企業登録日数:約2~3営業日(営業日とは?土日祝日などを除く曜日でカウントする日数です。)

発給システムとは?

発給システムとは、日本商工会議所が運営するオンラインサービスです。特定原産地証明書の判定依頼及び証明書の取得は、すべてこのオンラインシステムから行います。ちなみに、発給システムのログインURLは、非公開です。企業登録が完了した人に対してのみ公開されています。

2.原産性資料の準備

EPAの申請自体は、誰でもできます。日本商工会議所への企業登録が終ると利用できる「原産品発給システム」から申請するだけです。しかし、大変なのは、この申請をするための準備、つまり原産性立証資料の作成です。

原産性立証資料とは、輸出する商品が「日本の原産品」であることを立証する資料です。具体的には、対比表、ワークシートの基礎資料と合わせて、基礎資料の根拠を示す書類(請求書や各種計算書など)などがあります。輸出者は、これらの資料を取りそろえると、はじめて日本商工会議所への判定依頼をかけられます。

所要日数:慣れていないと一週間から二週間ほど。特にHSコードの特定業務が大変→対比表作成支援サービス

3.原産品判定依頼

原産品判定依頼は、原産品の証明書を作成後、日本商工会議所に申請(発給システムによるオンライン申請)することです。日本商工会議所は、あなたから提出された書類等を審査して、問題がなければ、審査を終了。原産品とし登録します。(提出する書類の作成方法は、輸出EPAガイドをご覧ください。)原産品登録が完了したら、次のステップである原本の発給プロセスに進みます。

原産品の証明書類とは?→貨物に設定されている原産情報を調べた後、CTCルールVAルールなどを使って、原産品であることを書類上で示した物です。日本商工会議所は、申請者から提出された書類を非常に細かくチェックします。最初の書類の出来が悪いと、簡単に二週間、三週間と時間がかかるため注意しましょう。また、偽った情報を基に申請をしたときは、法的に罰せられるため、ご注意ください。書類例:対比表ワークシート

4.発給申請をする。

無事に原産品判定依頼を通過すると「原産品登録番号」が発行されます。次にこの番号を使い「原産地証明書の原本」を取得します。これで2・3日で証明書の原本ができます。特定原産地証明書の発給プロセスには、企業登録→原産品判定依頼→発給申請の3つがあることを覚えておきましょう。

関連:必要な費用(手数料)は?

一件、2000円+既定の件数以上は+500円です。

関連:いつまでに申請するべき?

申請による判定番号の取得と輸出は、必ず同時に行う必要はありません。具体的な船積みが決まる前に、原産品登録などを済ませて、いつでも「発給できる状態」にすることがベターです。 例:原産品登録をする→ 半年後に原産品登録完了品の特定原産地証明書を発行もできます。

相談先

EPAの相談は、次の2つの機関が提供しています。

EPA全般の質問 EPA相談デスク
特定原産地証明書の申請、取得に関する質問 日本商工会議所 国際部 TEL:03-3283-7850

特定原産地証明書の不正取得

本来は、原産性がない貨物を「原産性がある」として不正に証明書を取得した場合、輸出者と輸入者の双方にペナルティがあります。

  • 「原産性資料の作成などができず、内容が不正確な情報で申請をした!」
  • 「原材料リストと完成品のHSコードとの間に必要な変更がない。だから申請情報の一部をごまかしている」

などのケースが考えられます。

輸入者のペナルティ

EPA上、輸入関税の削減による最も大きなメリットを受けるのは「輸入者」です。したがって、何らかの理由で不正取得が見つかった場合、最も大きな責任は輸入者にあります。また、この責任には、次のようなものがあります。基本的に1と2の両方の罰則を受けます。

1.これまで受けていた関税の免除をすべて取り消す(過去にさかのぼって)
2.関税負担に加えてペナルティを課す。(例:関税免除額の合計×5倍など)

輸入者は、関税免除のメリットを受けられる立場にあるため、非常に大きなペナルティが設定されています。

輸出者のペナルティ

では、一方の輸出者には、どのような影響があるのでしょうか? これについては、協定本体の中に次の通り規定されています。

例えば、日欧EPAの場合は「三章26条」です。「自国の法令に従って行政所上の措置をとる」と記載されています。日本の場合であれば「経済連携協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律」に基づき、次のように決められています。

1.虚偽記載をした者、また提供した者には、50万円以下の罰金
2.行政機関が事後的な調査をするときに正当な理由がなく応じない場合
3.応じた場合でも虚偽の陳述をしたり、検査を拒んだりするときは、30万円以下の罰金
4.調査対象の特定原産地証明書のすべての関係者から事情徴収ができる。

不正な情報により証明書を取得すると、輸入者だけではなく、輸出者にも罰則があることがわかります。要は……「虚偽の情報による取得は認めない。もし、申請内容が虚偽でないと主張するなら、その根拠を示せ。示せないときは「不正取得」とみなし、罰金を科す。もちろん、調査に応じない場合も同様の扱いだ!」ということを示しています。

また、注目すべき点、「特定原産品証明書を作成した者その他の関係者に対し」のその他の関係者の部分です。つまり、サプライヤー証明書などに代表する各種証明書を提出した人も調査の対象になることを意味します。したがって、サプライヤー証明書などを発行するメーカーさんも、証明書を発行にあたり「判定書」などを作成し、対象の部材自体に原産性があることを確認した上でサプライヤー証明書を発行する必要があります。

法律上は、輸入者の責任が強い。ただし、民事訴訟の可能性もある。

これまでの説明の通り、特定原産地証明書の不正取得による責任は、輸入者が最も大きいです。対して輸出者は、最大50万円ほどの罰金で済みます。ただし、これは、行政上のお話のことであり、民事上では別の責任が問われる可能性があります。

例えば、輸入者側の意見として「特定原産地証明書の不正取得は輸出者が行ったことだ。輸入者は、証明書が正しいと信じて税関に申告して免税の恩恵を受けていただけです。この不正取得による責任問題は、輸出者側にもある。したがって、支払うことになる関税やその他のペナルティもある一定の範囲で輸出者に負担してもらう必要がある」

と、主張する可能性があります。若干、強引な意見だとは思いますが、残念ながらすべてを否定することも難しい主張です。だからこそ、このようなトラブルを防ぐために、特定原産地証明書は、正しい情報に基づき取得することが重要です。一時、不正取得による恩恵を受けられたとしても、見つかれば「過去の分を含めて遡及的に」課税されるため注意しましょう

原産資料の作成方法

原産性立証資料を揃えるための流れは、次の通りです。

  1. 完成品のHSコードを特定
  2. 完成品のHSコードから、原産性ルールを確認
  3. 関税分類変更基準または付加価値基準かを決める。
  4. 証明ルールに応じた資料を用意します。

1.完成品のHSコードの特定

原産性立証資料を用意するときは、最初に輸出する商品の「HSコード」を調べます。このとき、注意するこは、この完成品(輸出商品)のHSコードは、輸入国側の税関が回答した物を基準にすることです。決して、日本側で輸出するときのHSコード(輸出許可書など)を基準にしてはいけません。輸入国側で該当するHSコードを基準にします。

では、どのようにして輸入国側のHSコードを調べればいいのでしょうか? ご自身で現地税関に尋ねてもいいですが、多くの場合は、輸入者を通じて調べてもらうようにしています。

まずは、輸出する商品のHSコードを調べます!輸入者を通じて輸入国側の税関に聞くようにします。

2.HSコードを基にして原産性ルールを確認する

1番で調べた完成品のHSコードを基にして、完成品の原産性ルールを確認します。原産性ルールとは、締約国の原産品とみなす基準です。下の図をご覧下さい。こちらは、完成品の原産性ルールを確認できる「原産地規則ポータル」というサイトをキャプチャした画像です。

この場合、1702111(乳糖及び乳糖水)は、「第十七〇二・十一号又は第十七〇二・十九号の産品への他の類の材料からの変更(第四類の材料からの変更を除く)」と書かれていますね。この「第十七~」先の部分は、完成品である170211の原産性ルールであることになります。

おそらく、書かれている内容はよくわからないと思いますので、ここではあまり深く考えないようにしましょう!

3.関税分類変更基準または付加価値基準を決める。

原産性ルールを大きくわけると、関税分類変更基準(CTC)付加価値基準(VAT)の2つに分けられます。関税分類変更基準は、原材料と完成品との間に、HSコードの変化があることを基準として原産性を判断するルールです。

一方、付加価値基準とは、材料に、どれだけ日本の原産部分が加えられているのかを基準として原産性を判断するルールです。つまり、材料の価格や人件費、日本での製造コストなど、価格を基準にして判断します。

多くの商品は、これらの証明ルールの内、都合が良い方を選んで証明すれば良いことになっています。しかし、商品によっては、これら2つのルールが合わさっている物、または、どちらか一方だけの物、さらには、別のルール(SPルール)が定められていることもあります。ただ、多くの場合は、どちらか好きな方を選べばいい商品が多いです。

では、関税分類変更基準と付加価値基準は、どちらを使えばいいのでしょうか? あえて難しいことを省いて説明すれば、まずは関税分類変更基準で証明するようにします。この証明が認められていない、もしくは、できないときに、付加価値基準を使うようにします。

以下では、関税分類変更基準と、付加価値基準のそれぞれにおける証明手順を説明していきます。

関税分類変更基準

関税分類変更基準で証明できるのか?を検討します。原産地規則ポータルで原産性ルールを確認して、関税分類変更基準(CTC)が使えるときは、次の手順で進めていきます。

  1. 完成品を原材料に分解
  2. 各原材料ごとにHSコードを取得する。
  3. 基準を満たせないときは、デミニマスは累積を活用する
1.完成品を原材料に分解

輸出する商品(完成品)を分解します。機械類であれば、ある程度のまとまり単位。食料品などであれば、使っている原材料ごとに分解します。ちなみに、分解した原材料は、すべて「非原産品」として申請します。

例えば、さばの水煮の缶詰を輸出するときは…..

・砂糖、塩、しょうゆ、サバ、みりんなどと原材料ごとにします。

また、自動車は….

フロントガラス、エンジン、タイヤ、ハンドルなど、合理的なまとまり単位で分解していきます。これをエクセルファイルに入力します。参考資料:特定原産地証明書で使う書類のひな形

2.各原材料ごとにHSコードを取得

原材料の分解が終ったら、各材料ごとにHSコードを取得していきます。この作業は、通関士や税関など、その道のプロにお願いすること一般的です。弊社の方でも「HSコードの取得代行」ができるため、よろしければご検討ください。

3.変更基準を満たせないときは、デミニマス又は累積を活用

エクセルファイルにHSコードなどを記載した後、完成品と各材料のHSコードを見比べます。原産性ルールに決められている関税変更が行わていたら、原産性の証明は完了です。日本商工会議所へ原産品判定依頼をかけても問題はないです。

CTCルール HUNADE

もし、完成品のHSコードと原材料のHSコードの変化が確認できないときは、デミニマスまたは累積などの救済ルールを使って証明できないかを考えます。もし、これらの救済ルールを使っても関税分類変更基準での証明が難しいときは、付加価値基準で証明できないかを考えます。

付加価値基準

付加価値基準での証明は、次の手順ですすめていきます。

  1. 最終製品に使っている原材料を分解する。他社から仕入れた原材料、内製品(自社で製造した物)、外国から仕入れた物等。
  2. 製造に関する費用(光熱費、燃料費、人件費など)、自社利益の資料を作成する。
  3. 製造に関する費用と、自社利益の数値をワークシートに反映する。
  4. この時点で閾値を超えているのか確認
  5. 超えていないときは、1番の材料を積み上げます=原産材料である証明が必要です。

1.使っている原材料を分解

輸出する商品を原材料ごとに分解します。これはCTCルールと同じです。原材料単位へ分解できたら、それらを他社から仕入れた商品、内製品、外国から仕入れた物などに分類します。

2.製造に関する費用(光熱費、燃料費、人件費など)、自社利益の資料にまとめる。

次に、完成品を製造したときに費用を積み上げていきます。積み上げの対象は、光熱費、燃料費、原材料費、人件費、社内利益などです。日本の工場で製造したときのコストを丁寧に積み上げていきます。特に人件費は、大きなウェイトをしめるため、この部分を細かく行います。

材料費は、最初は検討せず、後述する4番の閾値が超えているのか?を確認してから積み上げるかを検討します。ちなみに、ここで積み上げる費用は、すべて根拠となる資料(請求書など)を取りそろえる必要があります。

3.製造に関する費用と、自社利益の数値をワークシートにいれる。

2番で計算した製造に関する費用や自社利益などをワークシートに入れていきます。

4.3の時点で閾値を超えているのか確認

3の部分でワークシートに数字を落とし込んだ時点で、閾値を超えていないのか?を確認します。閾値とは、原産品の基準となる価格のことです。多くの場合は、完成品価格の40%を超えているのかどうかが、原産品であるのかの判断基準です。

いかがでしょうか? 3の時点で、この閾値は、超えていますか? 超えているときは、使っている原材料(部品)をすべて非原産(外国産の物)として申請しましょう。本当に日本で製造されていたとしても非原産として申請します。これが大きなポイントです。

5.閾値を超えていないときは、1番の原産材料を積み上げる

もし、4番の閾値の確認で基準価格を超えていないときは、原材料の原産部分を積み上げていきます。なるべく、積み上げるべき原産部分が少なくなるようにします。なぜなら、原材料を原産材料として申請するときは、原産材料であることを証明する作業や、資料が必要になるからです。4番で本当は、原産品なのに、非原産として申請するのは、これが理由です。

付加価値基準と閾値積み増しの要点

原産材料を積み上げるときは、内製品、他社から仕入れた物の順番で検討していきます。

内製品を積み上げるためには?

内製品とは、材料などを仕入れた後、自社の工場において必要な加工をした物です。

  • 協定上の加工とはみなされない作業をしていないこと
  • 関税分類の変更が確認されていること

の2つの基準を満たすことを証明できれば、それは、原産性がある内製部品です。

他社から仕入れた物を原産材料として積み上げるには?

他社から仕入れた商品を原産材料として積み上げるとき「サプライヤー証明書」を提出します。サプライヤー証明書を提出することで、他社から仕入れた商品を原産材料として積み上げられます。もちろん、貴社に原材料を納品している業者は、原産品と認めれられる関税分類の変更をしていることを確認した上で、サプライヤー証明書を発行する必要があります。

材料を原産品として申請するときは、その材料が原産であることを確認する作業が必須です。その原産性の確認作業を最終完成品の生産工場で行うのか? それとも、原材料を納品する業者の段階で行うのかの違いだです。材料を原産品にするためには、必ず相応の苦労がいるため、原産品として足りない部分のみを積み上げるようにすることがポイントです。

最初に、内製品が原産品にならないかを検討する理由は、この原産材料として申請するときの他社の労力を最小にする目的があります。まずは、自社で内製品の原産性を証明した後、それでも足りないときは、他社の協力を仰ぐというスタンスです。

付加価値基準と一次材料・二次材料の要点

付加価値基準での証明の起点は、最終完成品を生産する工場にあります。最終完成品を作るための材料が「一次材料」。この一次材料を生産するための材料が「二次材料」です。一次材料には、次のパターンがあります。

  1. 他社から原産性がある材料を仕入れている
  2. 他社から非原産の二次材料を仕入れて、自社の工場で一次材料を内製
  3. 他社から非原産の材料を仕入れて、そのまま使う。*外国からの輸入品も含む。

この内、1番と2番のときは、生産工場または、材料の納品業者の所で「原産性があること」を証明する必要があります。証明は、加工とはみなされない作業をしていないこと、関税分類の変更基準を満たしていることの2つをクリアしていることを確認します。

一次材料を納品している業者が原産性を確認したときは、納品業者がサプライヤー証明書を発行します。自社の工場にて内製化して、原産化した物については、自社にて、関税変更がなされているのかを証明する資料を作成します。つまり、完成品の対比表とは別に、一次材料の原産性を証明するための対比表も合わせて作成します。(内製品として申請するときに限る)

3番は、非原産材としてそのまま申請をします。このときは、完成品に定められている関税分類の変更基準を満たしているのかを完成品の対比表の中で証明すればOKです。一次材料を原産材料として申請するときは、大きな負担があります。そのため、実務上では、本当に原産品であも、あえて原産品と申請せず、非原産として申請することも多いです。原産部分が決められた値(閾値)を上回っていれば良いため、必要以上に労力をかける必要はありません。

証明ルール 必要な資料の例示
関税分類変更基準 対比表、総部品表または総原材料表、製造工程フロー図、生産委託証明書(必要なとき)
付加価値基準 ワークシート、ワークシートに記載する数字の根拠を示す資料(請求書など)、製造原価計算書、利益計算書、インボイス、生産委託証明書(必要なとき)

原産資料の保管

輸出者は、事後的な検認に備えるため、特定原産地証明書を取得したときの書類を一定期間、保管します。保管すべき書類と保管期限は、次の通りです。

保管する期間

輸出者や生産者の方は、特定原産地証明書の発給日の翌日から起算して、5年間または3年間、保管します。

5年間 日メキシコ、日マレーシア、日チリ、日タイ、日インドネシア、日フィリピン、日インド、日ペルー、日オーストラリア、日モンゴル、TPP、日欧EPA
3年間 日ブルネイ、日アセアン、日スイス、日ベトナム

保管する書類

保管するべき資料は、基本的に特定原産地証明書を取得するときに使ったすべてです。資料の保存方法としては、特に特定原産地証明専用にしておく必要はありません。しかし、後から色々と資料を探し回る手間を考えると、特定原産地証明書専門の資料集を作り、輸出取引ごとにまとめておくことが賢明だと思います。

保存するべき資料例としては、次の通りです。基本的には、証明するときに使用したルールに応じた資料のみでOKです。

よくある疑問

申請ミスをしてしまいました。どうなりますか?

ミスをした時点で、日本商工会議所に報告をします。担当者に判断を仰ぎましょう。ちなみに、日本に輸入するときのEPAのミス(輸出国側のミス)に対しては、日本税関は、次のようなプロセスで適用の可否を判断すると発表しています。

Hunade

最終的な三つの選択とは?

特定原産地証明書の記載ミスを説明できない場合は、次の三つの選択ができます。

  1. EPAの適用をあきらめて有税で引き取る
  2. 港へ貨物を留め置いたまま、新しい特定原産地証明書を提出する。
  3. 輸入許可引き取り承認を受ける。

有効期間は何日ですか?

協定毎に起算日は変わります。特定原産地証明書の有効期間は、おおむね一年間です。

修正や変更

ケースによっては、証明書の取り消しを通報する義務があります。そのため、必ず発給を受けた日本商工会議所の事務局まで連絡をします。

遡及発給

すでに輸出した商品でも船積み日から一年以内であれば、事後的に証明書を取得できます。これを「遡及発給(そきゅうはっきゅう)」と言います。

三国間貿易

COOとは?

原産地証明書の略語です。

CTC

原産性を証明するうちの一つのルールです。最終完成品と原材料とのHSの差をもって原産性を判断します。

FORM AJ、D、Eとは?

それぞれ次の通りです。

Form D ASEAN物品貿易協定
Form AJ 日ASEAN包括的経済連携協定
Form E ASEAN中国自由貿易協定

検認

輸入国側の税関による特定原産地証明書に関する追跡調査です。基本的には、日本税関を通して行われます。逆に日本に輸入としてEPAを使っている方は、日本税関の調査を受ける義務があります。

サプライヤー証明書

完成品の製造に使用する材料(一次材料)を納品する業者が「その材料に原産性があること」を証明する書類。特定原産地証明書の申請者は、自身が作成する対比表やワークシート内にサプライヤー証明書がある旨を記載することで「原産性がある材料」として立証ができます。

梱包材や予備品、説明書にも必要?

例えば、ある機械製品を輸出するとします。商品の構成は次の通りです。

  • 商品の本体部分
  • 付属品(オプションパーツ)
  • 工具などの予備費
  • 説明書や仕様書
  • 製品を保護する保護剤
  • 化粧箱
  • ラッピング袋
  • 梱包材料・梱包容器(ダンボールなど)
  • 小売用の梱包材料、包装容器
  • 産品の付属品(説明書など)や予備品
  • 工具類

これら梱包材や付属品などは、原産性ルールを満たさなくても良いです。つまり、原産性資料である対比表やワークシートなどには、記入する必要はありません。仮に記入するとしても、原産性があるのかを証明は不要です。ただし、これらの物であっても、付加価値基準を使って「原産性の部分を積み増したい」ときは、原産性資料の中に記入しても良いことになっています。要は、証明書の中に加算してもいいですし、加算しなくても良い存在です。このあたりは、ご自身の手間と原産部分の兼ね合いなどから判断します。

→ 根拠:各協定書の三章三十条あたりに記載

もし、付属品や予備品などを含めて証明書を取得するときは、それらを一つのインボイス上に記載することが求められます。また、インボイスに記載する表記内容にも注意が必要です。いわゆる「オプション品一式」などでまとめて記載すれば、それらは、原産性ルールを無視できる可能性があります。しかし、インボイス上に、個々に表示していると、認められない可能性があります。

ポイント:オプション品や予備品などは、できる限り、ひとくくりで表示するようにしましょう。インボイス上は、あくまで本体の付属品であることがわかるよう記載します。つまり、独立して製品としての「価値があるわけではないこと」がわかるようにするのがポイントです。

発給システムのマニュアルはある?

日本商工会議所のサイト内に掲載されています。またHUNADEでも一部の操作方法を説明しています。

輸出者は必ず原産品判定を受ける必要がある?

生産者同意通知と呼ばれる仕組みを使うことで、原産品登録を受けなくても、特定原産地証明書をを取得できます。

他者の製品の特定原産地証明書を取得するには?

輸出者Yは特定原産地証明書を取得できる立場にあるのか?を考えます。法律によると、特定原産地証明書を取得できる人は、次の2者と言われています。

  1. 商品の製造者
  2. 商品の輸出者

今回のケースであれば、某メーカーYが製造者。Xは、Yの商品を輸出しているため、どちらも法律上、特定原産地証明書を取得することができます。ただし、輸出者として証明書を取得するときは、商品を製造するときの生産情報を提出できることが大前提です。ここでいう生産情報とは….

  • 商品に含まれている原材料(部材リスト)一覧
  • 生産工程を説明できる資料

などがあります。適用する証明方法次第では、これにプラスして、商品の原材料価格を証明するための資料が必要になることもあります。これらの情報をご覧になるとわかる通り、生産者としては、あまり外に出したくない情報を輸出者に提供する必要があります。したがって、通常は、この部分を懸念して、生産者が取得した原産品情報を輸出者に付与する形(生産者同意通知*後述)で運用されることが多いです。

証明書を取得する2つの方法

輸出者Xは、自身が特定原産地証明書をゼロから取得するときは、生産者Yから生産資料を取得する必要があります。仮のお話として、生産者とは何も関係がなく、国内で仕入れた商品を勝手に国外へ輸出しているときは、生産者から生産情報を取得するのが難しいです。この場合、特定原産地証明書を取得するときは、次の2つの内、いずれかを選びます。

  1. 生産者から生産情報を開示してもらう。
  2. 生産者から「生産者同意通知」をしてもらう

生産者同意通知とは、生産者が原産品判定を受けた物を輸出者に付与することです。これにより、輸出者は、ゼロから原産品判定をする必要がなくなり、製造メーカーYが取得した原産品情報を使い、特定原産地証明書を取得できます。どちらの方法も生産者側に協力してもらわない限り、特定原産地証明書を取得することは不可能です。これが結論です。

もし、あなたの仕入れている商品が名だたる大企業が生産している物であれば、まずは「EPAの原産品判定を受けているのか?」を確認するといいです。受けているときは「○○国へ輸出したいので、生産者同意通知をしてほしい」と伝えます。同意通知をしてくれるのかは、メーカーの考え方にもよりますが、少なくても生産情報を教えてほしいと伝えるよりも、受け入れてもらえる可能性は高いです。

■結論

  • 生産者に対して「EPAの原産品判定を受けているのか?」を確認する。
  • 生産者から「生産者同意通知」をしてもらう

メーカー(製造者)が特定原産地証明書を取得する方法(VAルール使用)

メーカー「特定原産地証明書が欲しい」と言われて困っている

まとめ

特定原産地証明書は、関税ゼロ貿易(EPA)を利用するときに必要になる書類です。この書類は、輸出国側で発行して、輸入国側へ送付する流れになります。今後、このEPAは、一層拡大していくことになりますので、しっかりと仕組みを学ぶことが大切です。

なお、Hunadeは、EPAを体系的に学べるように「EPAマニュアル」を公開しています。どのように手続きをしていけばいいのかなど、かなり詳細に記載をしているため、ぜひご利用ください。また、特定原産地証明書の発行をサポートするサービスも提供しています。よろしければ「EPAサポートサービス」もご利用ください。

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