輸出者は、輸出する商品の準備と船積みまで終えたら「シッピングアドバイス」という書類を送付します。この書類は、輸入者に「無事に船積みしたら安心してね!」と伝えるための物です。輸入者は、この書類を受け取ったら、海上保険を「確定保険」に切り替えたり、日本側で輸入に必要になる通関書類の準備を行ったりすることになります。
そこで、この記事では、シッピングアドバイスには、どのような役割があるのか? また、どのような内容が書かれているのかをご紹介していきます。
船積みの完了を知らせるシッピングアドバイス
外国に向けて商品を輸出するときは、出港するまでには、多くの準備が必要になります。
例えば、あなたが輸出商社であるなら、仕入れた商品を船積みに間に合うように納品してもらう必要があります。また、同時に、船会社への予約、税関への「輸出申告」も必要になります。このようなことを考えると「輸出」というのは、実に多くの準備が必要であることがわかります。
では、これらの準備を輸入者の立場から考えてみましょう。
輸入者としては「無事に船積みができてのか?」がとても気になりますね。もしかすると、商品の生産が間に合わなかったかもしれませんし、税関から許可が下りなかった可能性も考えられるからです。そこで、輸出者は、船積みが完了した時点で、輸入者に対して「シッピングアドバイス」を送付するようにしています。
シッピングアドバイスは「船積みできたよ!」と通知する書類です。輸入者は、この書類で船積みができたことがわかるようになっています。
シッピングアドバイスと一緒に送る書類
輸出者は、シッピングアドバイスを送るときは、貿易書類も合わせるようにしています。これには、インボイス(価格などの書かれている書類)やパッキングリスト(どのように梱包しているのか?)、船荷証券、原産地証明書(貨物の原産地を示すもの)などがあります。これらの貿易書類とシッピングアドバイスをセットにしてeメールなどで輸入者へ送るようにしています。
輸入者は、シッピングアドバイス+貿易書類の一式を受け取ったら、取引している通関業者へ転送します。通関業者は、受け取った書類(シッピングアドバイス+貿易書類のセット)をもとにして輸入申告のための準備に入ります。また、シッピングアドバイスを送る目的は、それだけではありません。輸入者が海上保険をかけるときは、シッピングアドバイスのタイミングで海上保険の予約から「確定保険」に切り替えるようにしています。
関連記事:海上保険ってなに?
では、シッピングアドバイスに書かれている内容を詳しく確認していきましょう。
シッピングアドバイスの内容
シッピングアドバイスに書かれている内容を大きく分けると次の7項目になります。
- 注文番号→輸入者が注文をした日付
- 日付→シッピングアドバイスを作成した日付
- 貨物の詳細内容(重さやトータル金額)→コンテナ番号、貨物名、重さ、インボイス金額など
- 本船名(voy含む)→積み込んだ本船の名前、航海番号
- 船積み日→船に積み込んだ日です。B/Lの日付と同じ
- 到着予定日(E.T.A)→日本へ入港する日付(予定)
- フォワーダー名など→輸入地で貨物の問い合わせをする先の情報
この1~7の中でも特に情報として使うのは「本船」や「コンテナ番号」です。実は、これらの情報を知ることによって「今、どこに船がいるのか?」「日本の入港日はいつなのか?」を日ごとに確認ができます。
例えば、OOCLという船に積まれたのであれば、OOCLさんのサイトの以下の部分に情報(ブッキング番号やコンテナ番号など)を入力すれば、本船の動向を確認できます。もし、様々な船会社のコンテナを利用しているときは「マリントラフィック」を利用して調べることもできます。
まとめ
シッピングアドバイスは、輸出者から輸入者へ送る「船積み通知」です。この書類を送る意味は3つあります。1つは「しっかりと船積みが完了したことをお知らせすること」、2つめは「輸入者側の通関準備」、3つめは「海上保険の確定切り替え」です。
この内、2番と3番は、シッピングアドバイスのタイミングで次の作業に取り掛かることです。2番であれば、シッピングアドバイスと一緒になっている船積み書類(インボイスなど)を使って、輸入申告の準備を行うことです。3番であれば、海上保険の予約をしておいたものを「確定」させて、保険効力がしっかりと有効になるようにします。
この記事をお気に入りに登録