台湾は、とても身近な国だと思います。しかし、様々な「大人の事情」により、日本と公式に何かをするのが難しい国でもあります。ただ、このような状況下、台湾製品を輸入したい方や日本製品を台湾へ輸出したい方は、多いだろうと予想しています。
そこで、この記事では、主に台湾製品の日本への輸入を中心にして、国際輸送、関税率、輸入規制、輸入代行業者等を解説していきます。
台湾からの輸入
まずは、現在の日本と台湾の関係について簡単にご紹介します。2022年現在、台湾と日本には、正式な外交関係はありません。昭和47年に中国との国交を樹立した際に、一方的に外交関係を断絶し、以来、その状況が続いています。そのため、実務的な問題の処理は日本台湾交流協会(日本側)又は台湾日本交流協会(台湾側)で行っています。
中国は「台湾を一つの中国」として扱う一方、後述するRCEPには、台湾を含まれていないです。日本と台湾は、非常に微妙な状況下で醸成されてきたといえるでしょう。
台湾と日本の貿易状況(台湾からの輸入品)
・2019年(年度内数量)の資料によると、日本と台湾との間には、次の品目がやり取りされています。*数量順で上位20位までを記載
台湾→日本への上位輸入品目
IC、トランジスター等、アンプ・スピーカー・マイク、抗生物質、魚介類、家具、果実及び野菜、プラスチック製品、野菜、まぐろ、織物用繊維糸、合成繊維の糸、冷凍野菜、染料・なめし剤及び着色剤、自動車の部分品、荷役機械、手道具類及び機械用工具、果実、絶縁電線及び絶縁ケーブルなど。
日本→台湾の上位輸出品目
半導体、IC、キシレン、コンデンサー、潤滑油及びグリス、果実及び野菜、印刷・筆記・図画用紙、板ガラス、自動車の部分品、半導体等製造装置、原動機、ゴムタイヤ、チューブ、プラスチック製品など。
台湾からの輸入を検討する方は、次の品目に興味を持つ方が多いようです。
- お茶
- スマホ
- バイクやバイクパーツ
- フルーツ類(パイナップル、マンゴー、ライチ)
- 化粧品などの美容関連品
- 自転車
台湾製品や製品の売り手(サプライヤー)の見つけ方 便利なサイト!
台湾製品やサプライヤー探す場合は、日台湾交流協会が便利です。日本と台湾との貿易に関する情報が集約されています。この内、特に台湾製品の検索、台湾メーカーとのマッチングができる「Taiwantrade」は便利です。なんと日本語でもやり取りができるそうです。
この他、台湾の現地で、サプライヤーを見つけたり、展示会等に参加したりして現地商品やサプライヤーを見つけられます。もし、台湾側に商品を売り込みたい方は、台湾のジェトロ事務所に連絡をして、市場調査等の協力をお願いします。サプライヤーの開拓は、様々な方法があるため、ぜひ、色々と検討してみてください。
台湾と輸入代行サービス
もし、英語力等に不安があり、自身で輸入が難しい場合は「輸入代行サービス」の利用もできます。グーグル等で「台湾 輸入代行」等と検索します。多数のサイトがヒットします。
ただし、業務目的で輸入する場合は、輸入代行の利用はオススメしません。手数料や配送料の高さ等を考えると、利用するメリットがないです。
- パングー
- 台湾トランス
*上記のサイトとHUNADEには、一切、関係はございません。検索結果の上位に表示されたので紹介しただけです。ご利用は、自己責任でお願いします。
台湾製品の日本の輸入関税・調べ方
日本側の台湾製品に対する関税は、WTO税率が適用されます。少し前、中国や韓国を含む「RCEP」が締結されました。しかし、台湾、香港、マカオには適用されないです。
日本側の台湾製品に対する関税制度は、次の通りです。
- 輸入貨物の合計が20万円以下×非商売貨物を携帯して持ち帰る=入国者の簡易税率(関連:別送品申告)
- 輸入貨物の合計が30万円以下×商売貨物を携帯して持ち帰る=旅具通関
- 輸入価格の合計が20万円以下×通販等の場合=少額輸入貨物の簡易税率
- 輸入価格の合計が20万円超え×一般商業輸入の場合=一般税率
上記の内、一般税率は、次の2つの方法で調べられます。
上記、どちらか好きな方を選びましょう。この表の「WTO欄」の税率を確認します。
台湾製品は、WTO税率が適用されます。
参考:日本製品の台湾への輸入関税
台湾側の日本製品に対する関税は、WTO税率が適用されます。台湾の税率を調べたいときは、ワールドタリフを使います。品目又は、HSコードを入力するだけで台湾側の輸入関税を調べられます。
一覧の「JAPAN」を見つけます。ここに表示されているのが関税率です。
日本でもお酒の輸入には、関税や消費税の他、酒税がかかるように、台湾側にも同様の税があります。関税以外の税がかかる場合は「輸入に課されるその他の税」の部分で確認します。下の場合は、酒税、トレードサービス費、VATがかかることがわかります。
基本:台湾側の日本製品には、WTO税率が適用される!
台湾製品の関税や消費税の計算方法
日本に台湾製品を輸入する場合は、品目のHSコードを特定します。HSコードを特定することで、商品の関税率と輸入規制がわかります。HSコードの特定は、ウェブタリフ、取引がある通関業者への聞き込み、税関の事前教示等で可能です。より確実な方法は、税関の事前教示制度です。
例えば、台湾から紅茶を輸入したい場合は…
まず、WEBタリフで確認をします。左の赤枠がHSコードですね! 0902.30-010がHSコードです。そして、台湾製品はWTO税率が適用されるため、関税率は12%です。
次にこの紅茶の輸入規制を調べてみます。この場合は、実行関税率表が便利です。
画面を右端に移動すると「他法令コード」が記載されています。紅茶の場合は、FD(食品衛生法)とPL(植物防疫法)の輸入規制があります。よって、台湾から食品を輸入する場合は、税関への申告の他、食品検疫所や植物防疫所とのやり取りも必要があると判断できます。
その他の品目の輸入規制例
- スマホ=特になし。但し輸入後、電波法の規制
- フルーツ類(パイナップル、マンゴー、ライチ)=食品衛生法、植物防疫法、一部ワシントン
- 化粧品などの美容関連品=薬機法、CBDを含む物(●麻取り締まり法)
- 自転車=一部、労働安全衛生法
関税率、輸入規制は、HSコードを調べることでわかります。
実際の関税と消費税の計算例
実際に関税額と消費税額を計算してみましょう。ここでは、台湾から紅茶を商売目的で輸入するとします。それぞれの条件は、次の通りです。
・台湾から日本までの送料=5万円
・台湾から日本までの保険代金=3000円
・HSコードは、0902.30-010。関税率は12%
- 関税額=(50万+5万+3000)×0.12
- 消費税額=(50万+5万+3000+関税額)×0.08
- 納税額合計=115000円(66000円+49000)
*商品代金や送料の合計に対して20%(12+8)の税金がかかると考えればOKです!
*端数処理等完全無視です。千円以下もざっくりと切っています。細かい指摘はご遠慮ください。消費税率を0.08としているのは、食用の紅茶には、軽減税率が適用されるためです。
台湾と日本の国際輸送を検討
次に台湾の製品を日本へ輸送する方法をご紹介します。既述の通り、個人使用や小規模輸入等であれば、輸入代行業者等を活用するこで、台湾から日本への国際輸送を手配できます。
しかしながら、ある一定の規模を上回る場合は、必ず下のいずれの方法を選びましょう。輸送コストが大きく変わる可能性が高いです。
この場合は、航空輸送又はLCL(海上コンテナの混載)が便利です。海上輸送の場合は、輸送日数よりコストを重視したいときに活用します。航空輸送はその逆です。輸送する荷物に合わせて最適な物を選びましょう。航空輸送と海上輸送の違いとは?
国際輸送の手配方法には、2つの方法があります。
- 売り手が日本までの送料を全て負担して輸送する。
- 買い手が台湾から日本までの送料を負担して輸送する
*どちらが負担するのかは、インコタームズで決定します。
初心者の場合は、1番の方が何かと便利です。経験者の方は、2番の方法を選ぶと、よりコストを圧縮できたり、コントロールがしやすくなったりします。2番を活用するときに注意したいのは、台湾との航路に強みがあるフォワーダーに依頼することです。
参考情報:台湾と日本の貿易で使う港や空港例
台湾側 | 港名(空港名)/ポートコード |
主要な港 |
|
主要な空港 |
|
参考情報:台湾の港と日本側の港一覧
台湾側の港 | 日本側の港(左から就航数順に記載) |
Kaohsiung | Yokohama、Tokyo、Hakata、Moji、Osaka、Nagoya,、Kobe、Fukuyama、Hiroshima、Imari 、Mizushima、Shibushi、Oita |
Keelung | Yokohama、Nagoya、Tokyo、Hakata、Kobe、Moji、Osaka、Fukuyama、Hiroshima、Imari、Mizushima、Shibushi、Oita |
Taichung | Nagoya、Yokohama、Tokyo、Hakata、Osaka 、Kobe、Moji、Fukuyama、Hiroshima、Imari 、Mizushima、Shibushi、Oita |
Taipei | Tokyo、Yokohama、Fukuyama、Hakata、Hiroshima、Imari、Kobe、Mizushima、Moji、Nagoya、Osaka、Shibushi、Oita、Hibikishinko 、Yokkaichi、Shimizu |
もっと台湾に詳しくなるには?
グーグルトレンドとYOUTUBE等を活用すると、台湾の方が注目していることが良くわかります。
例えば、2022年6月16日にトレンドで日本を調べてみると、次のキーワードが急増しています。
正直、言葉の意味はよくわかりませんが、薬の購入(直送購入)、円安、プラグ、古銭、アマゾンや楽天等に注目しているようです。他にも様々な無料ツールで情報を調べられます。ぜひ、色々とご活用ください!
- 日本 雙 效益 生 菌
- 日本 藥 妝 直送
- 日本 大 國藥 妝
- 日本 插座
- 日本 藥 妝 線上 購物
- 日 幣 匯率
- 日本 amazon 必 買
- 日本 錢幣
- aeon 日本
- 日本 眼 藥水 推薦
- 日本 亞馬遜
引用元:グーグルトレンド
よくある疑問
台湾からの輸送日数例は?
例えば、台湾から東京までの海上輸送日数例は、次の通りです。
- エバーグリーン= 2日~
- CMA、COSCO、Yang Ming、CNC= 3日~
- ONE、TSL、OOCL= 4日~
台湾に対する規制品、禁止品はありますか?
国単位の禁止品は、外為法に基づく指定があります。その他は、品目に基づき規制されています。規制品および禁止品は、輸入禁止・規制品リストまとめをご覧ください。注意点は、食品衛生法上の規制強化リスト、経済産業省の報復関税等に指定される可能性はあります。(いずれの国も同じ扱い)
コストの計算方法は?
これは、少し難しい質問です。輸入品目によっても大きく変わります。一般的な商品の輸入コストは「輸入コストのまとめ記事」をご覧ください。
福島産品に対する台湾の輸入規制は?
によると、令和4年2月8日に福島産等の農産物の輸入規制を緩和しています。(放射性物質検査報告書及び産地証明書を添付することが条件)
台湾に対する特恵関税は?
台湾に対する特恵関税はないです。WTO税率が適用されます。
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