海外からくる海上コンテナは、輸送途中で荷物が抜き取られないように「シール」をします。これは、コンテナの扉の下にある5センチ~10センチほどの金属棒のことを言います。
輸出国側でバンニング(コンテナに物を詰める作業)を終えた後は、このシールを使って、コンテナの扉をロックします。一方、輸入であれば、デバンニング(コンテナから荷物を降ろす作業)の前に、このシールを荷主が「切って」解除することになります。
このように輸出地でシールをした後に、輸入地でシールを外すことによって、コンテナが開封されていないかを確認できようになっています。この記事では、海上コンテナのシール(封印・鍵)の役割などを中心に説明します。
海上コンテナのシールの役割
海上コンテナへシールが行われるのは、なぜでしょうか。それは、外国という土地柄に関係しています。日本ではあまり考えられないですが、海外では「コンテナの積荷」が盗難被害にあうことがあります。
例えば、海外にてバンニング作業を終えて輸出港へ向かう途中に、トラックの運ちゃんがどこかへ立ち寄って、積荷の一部を盗み取ることがなどが考えられます。また、港湾内も油断はできません。ここで働いている人たちもスキがあれば、積荷を抜き取るチャンスはいくらでもあります。
そこで、このような運送途中での盗難被害を防止するために、コンテナの扉部分に金属製の棒で「封印」を行うようにしています。封印を行うための金属製の棒のことを「シール」といいます。下の画像がそのシールです。よく見ると、シールが切断されていることがわかります。これは日本側でコンテナを開封するときに、専用の工具によって切断をしているためです。
一見、単なる金属棒に見えますが、とても頑丈な作りになっています。専用カッターを使っても、なかなか切断することができません。これにより、輸送途上での不正な開封があったかどうかを確認することができます。
シールの種類
シールは、利用する船会社によって大きく異なります。だいたい6種類ほどのタイプがあります。船会社によっては、単なる「ひも」のような物で封印をするタイプもあります。個人的には、とても危険な感じがしますので、できるだけ避けるようにしています。
この記事でお伝えをしている「SITC」という船会社のシールは、とても頑丈に作られているため、シール面での安心が高いと言えます。また、D/Oレスにも対応しているため、煩わしい配送手配も簡易的に行うことができます。
シールの位置はどこなるの?
このシールは、コンテナのどこに行われているのでしょうか。以下の画像をご覧ください。
これは、コンテナの入り口(扉部分)をイメージした画像です。扉には、四本のロックレバー(青枠)がついています。扉を開けるときは、このレバー部分を動かして、扉にかかっているロックを解除します。ロックを解除した後に、両方の扉を手前方向に引いてコンテナを開封します。しかし、これですと誰の手でも簡単に開封ができてしまいます。そこで、図の右下の赤枠部分に「シール」を挟みます。
上記で述べた通り、シールは金属製の強い素材でできていて、一度ロックをしてしまうと、二度と開けることはできません。シールのロックは、合鍵などを使って解除するわけではなく、シール自体を壊して開封します。つまり、シールは、一度限りにの使い捨てであるため、不正開封が分かる仕組みになっています。
しかし、実は一か所だけ合法的に開封されるところがあります。それが「税関検査」です。これは日本側で輸入申告をした後に、税関により「検査を行う通知」がされた場合に行われるものです。いわゆる強制的な検査であり、これを断ることはできません。断れば、輸入は許可されず、港に留まることになります。
税関検査には、大型X線と開披検査(かいひけんさ)があります。大型X線は、X装置の中にコンテナをくぐらせて中身を検査します。この場合は、コンテナを開封する必要はありません。一方、開披検査の場合は、実際にコンテナを開けて中も貨物の確認を行います。この開披検査のときにシールを解除することになります。基本的にこれ以外のシールの開封はありません。
まとめ
コンテナの扉をロックするために輸出国側で「金属製のシール」を行います。これにより、日本の納品先に到着するまでの間に、コンテナが開封されていないことを確かめられます。このシールが唯一、合法的に解除されるのは「税関検査」の時だけです。このことをしっかりと覚えて置き、デバン作業に入る前に不審な点はないのかを確認するようにしましょう!
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