「日本に貨物が到着。無事に税関からの許可も受けた。さぁ、貨物を引き取るぞ!」しかし、このままでは貨物を引き取れません!
輸入貨物を引き取るには、税関からの輸入許可の他、貨物を引き取るための出庫手続きが必要だからです。この手続きに関係するのがD/O(デリバリーオーダーです。
そこで、この記事では、輸入貨物の引き取りで必要な「D/O」の役割、交換方法、実際の利用手順について解説していきます。
この記事の要点
- D/O(delivery order)とは、貨物を引き取るための引換書
- D/O交換とは、アライバルのチャージを支払い、D/Oを発行してもらうことを指す。
- D/Oは、アライバルノーティスに記載の諸チャージを支払うことで発行される。
- D/Oには、電子タイプ=D/Oレス(ディスパッチ)と書類タイプがある
- 2022年現在は、ほぼ電子タイプ
- D/O FEEの相場は5000円前後。なお、doc feeとは、B/Lの発行手数料。
- D/O処理が完了すると、輸入許可下り次第、いつでも貨物を引き取れる。
- 逆にいうと、輸入許可を得ていても、D/O処理をしない限り貨物を引き取れない。
デリバリーオーダー(D/O)
日本に到着した貨物は、税関の輸入許可の後に港から引き取れます。しかし、実は税関の許可とは別に貨物を引き取るための手続きが必要です。これが「D/O処理=D/O交換」です。
D/Oの意味
D/Oは、Delivery Order(デリバリーオーダー)の略です。貨物の引換券のことであり、輸入者が港から荷物を引き取るとき、輸入許可書と一緒に提出します。コンテナターミナルや保税倉庫の担当者は、この輸入許可書とD/Oの2つの処理が完了していることを確認して出庫します。
輸入貨物の引き取りに必要な2つの条件
- D/Oの処理が完了いる
- 税関から輸入許可が下りている
この2つの条件を満たさない限り、輸入許可を受けても貨物を引き取れません。では、実際にD/Oは、どのように処理をするのか?など、D/Oに関する基本的な知識を確認していきましょう!
D/Oの処理をする人は、誰?
D/O交換をする人は、以下2つのパターンがあります。
- 自分で通関をする(自社通関)
- 通関業者に依頼する。
1.自分で通関する場合
自社通関の場合は、ご自身で、アライバルノーティスに記載されている代理店(フォワーダー)に、費用の入金やB/L原本を差し入れます。なお、サレンダー印がある場合は、B/L原本は不要です。
2.通関業者に依頼している場合
通関業者に依頼しているときは、D/Oの処理を含めて業者が代行してくれます。なお、D/Oの処理は、税関の申告作業とは全く別です。税関に対しての申告の有無に関わらず、アライバルノーティスが届き次第、手続きをしていきます。
- 自社通関=自分でする。
- 通関業者=通関業者が代行する。
D/O交換に必要な書類
D/Oを交換するときに必要な書類は、次の2つです。
- B/L(船荷証券)の原本
- アライバルノーティスに記載のチャージ
1.B/Lの原本が必要な場合と裏書
が「サレンダー」でないときは、D/Oの交換に「B/Lの原本」が必要です。B/Lの原本と2番のチャージを支払うことで、D/Oを引き取れます。このとき、船会社(代理店)に差し出すB/Lには「裏書」をして、B/Lを手放す意思を示します。この裏書は、B/L原本に社印や殴り書き程度のサインをするだけで足ります。豪快に斜めに記載する等でもOKです。
裏書:輸出者と輸入者の2つのサインが必要
2.船会社(代理店)へのチャージ入金
D/O交換時に支払う料金は、「アライバルノーティス」に記載されています。もし、インコタームズがFOBのときは、海上運賃はコレクト扱いです。この場合、海上運賃+その他の諸費用(THC、CFSチャージ、BAF、D/OFEE、CO-LOAD FEEなど)を支払います。
一方、CIFなどのときは、輸出者側が海上運賃を支払っているためプリペイド扱いとなり、日本側では、海上運賃(オーシャンフレート)以外の諸費用のみを支払います。
D/Oの交換先と交換方法
D/Oの交換先は、どこにあるのでしょうか?
実は、ひと昔前は、このD/Oは書類状態でしたが、2020年現在はほとんど「レス処理」されています。つまり、D/Oは書類ではなく「貨物引換券」のような物(リリースオーダー)をFAXなどで受け取り、輸入許可書とともに貨物を引き取る形が多いです。
*D/Oの発行先は、船会社に直接依頼しているのか?それともフォワーダーに依頼しているのか?によっても変わります。
D/O交換の手順
例えば、個人で輸入ビジネスをしているとしましょう。そのときのD/O交換手順は、次の通りです。
- アライバルノーティスの「D/O交換先」に諸費用を振り込んだ「振込書の控え」をFAX
- D/O交換先から「貨物引換券(コンテナ単位の場合:ディスパッチ)」のような書類がFAXや電子メールで届く。これをプリントアウト。
- 輸入許可を受けたら許可書をもらう。
- 許可書と2番の貨物引換券を依頼する配送業者に渡す。ご自身で倉庫への引き取りもできる
- なお、貨物の保管場所は、アライバルノーティスの「搬入先倉庫」になる。
チャージなどを支払う代理店は、こちらに記載されています!
搬入先の倉庫(貨物を引き取れる倉庫)はこちらです。
D/O、D/Oレス、ディスパッチ、リリースオーダー等は、ほぼ同じ意味
関連疑問:D/O Releasedの意味は?
書類を見ると「D/O Released」と記載されている場合があります。この場合は、すでに上記のD/O処理が完了していることを意味します。
D/Oの相場とDOCとの違い。
D/Oを入手するには、アライバルノーティスに記載されている料金を支払う他、必要な場合はオリジナルB/Lを出します。アライバルの費用は、コンテナ単位かLCL(コンテナ未満)で変わります。
当サイトでは「アライバルノーティスの概算費用の見積ツール」を公開していますので、よろしければご利用ください。
- D/O Feeは輸入許可後の書類費用なので課税
- DOC費は、B/L発行手数料
なお、DOC費とD/O費は、利用するフォワーダーで違います。中には、非常に悪徳な会社もあるため「フォワーダーの選定基準」を参考にして、相場の費用を請求する業者を選ぶことが賢明です。
各社のd/o feeとdoc feeの相場例
費用 | A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | F社 |
DOC | 2500 | 9000 | 2500 | 9000 | 4000 | 2000 |
D/O fee | 6000 | 5000 | 6000 | 5000 | 7000 | 8000 |
まとめ
- D/Oとは、貨物を引き取るための引換書
- 最近は、レス処理されているため、正式書面としての発行はない。
- ファックスやEメールなどで処理依頼をする形が多い。
- 輸入貨物を引き取るときは、貨物引換書もどきの書類と輸入許可書の2つを用意する。
- 通関業者に依頼するときは、自身でのD/O処理は不要
輸出入と国際輸送の手引き
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