「日本に貨物が到着。無事に税関からの許可も受けた。さぁ、貨物を引き取るぞ!」しかし、このままでは貨物を引き取れません。輸入貨物を引き取るには、税関からの許可の他、貨物を引き取るための「出庫手続き」が必要だからです。この手続きに関係する書類が「D/O(デリバリーオーダー)」です。そこで、この記事では、輸入貨物の引き取りで必要な「D/O」の役割、交換方法、実際の利用手順についてご紹介していきます。
デリバリーオーダー(D/O)
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日本に到着した貨物は、税関の輸入許可の後に港から引き取れます。しかし、実は税関の許可とは別に貨物を引き取るための手続きが必要です。これが「D/O処理」です。
D/Oの意味
D/Oは、Delivery Order(デリバリーオーダー)という証書です。いわゆる貨物の引換券のことであり、輸入者が港から荷物を引き取るとき、輸入許可書と一緒に提出する物です。コンテナターミナルや倉庫の作業者は、税関からの輸入許可書とこのD/Oの2つの処理が完了していることを確認し、貨物を出庫します。
輸入貨物の引き取りに必要な2つの条件
- D/Oの処理が完了していること
- 税関から輸入許可が下りていること
逆にいうと、この2つの条件を満たさない限り、輸入許可を受けたとしても貨物を引き取ることはできないです。では、実際にD/Oは、どのように処理をするのか?など、D/Oに関する基本的な知識を確認していきましょう!
D/Oの処理をする人
D/Oの処理をする人は、自分で通関をするのか?(自社通関)それとも通関業者に代行してもらっているのか?によって変わってきます。自社通関の場合は、ご自身で、アライバルノーティスに記載されている代理店に、費用の入金やB/L原本を差し入れます。
一方、通関業者に依頼しているときは、D/Oの処理を含めて業者が代行してくれます。なお、このD/Oの処理は、税関の申告作業とは全く別です。税関に対しての申告の有無に関わらず、アライバルノーティスが届き次第、手続きをしていきます。
D/Oの処理をする人
- 自社通関=自分でする。
- 通関業者=通関業者が代行する。
D/O交換に必要な書類とは?
D/Oを交換するときに必要な書類は、次の2つです。
- B/L(船荷証券)の原本
- アライバルノーティスに記載されているチャージ
1.B/Lの原本が必要な場合と裏書
B/Lが「サレンダー」でないときは、D/Oの交換に「B/Lの原本」が必要です。B/Lの原本と2番のチャージを支払うことで、D/Oを引き取れます。このとき、船会社(代理店)に差し出すB/Lには「裏書」をして、B/Lを手放す意思を示します。この裏書は、B/L原本に社印や殴り書き程度のサインをするだけで足ります。豪快に斜めに記載する等でもOKです。
2.船会社(代理店)へのチャージ入金
D/O交換時に支払う料金は、船の到着を示す「アライバルノーティス」に記載されています。もし、あなたがインコタームズを「FOB」にしているときは、海上運賃が「コレクト扱い」であり、あなたは、解除運賃+その他の諸費用(THC、CFSチャージ、BAF、D/OFEE、CO-LOAD FEEなど)を支払います。
他方「CIF」など、すでに輸出者側が海上運賃を支払っているときは「プリペイド扱い」となり、日本側では、海上運賃(オーシャンフレート)以外の諸費用のみを支払います。
D/Oの交換先と交換方法
D/Oの交換先は、どこにあるのでしょうか? 実は、ひと昔前は、このD/Oは書類状態でしたが、2020年現在はほとんど「レス処理」されています。つまり、D/Oとして正式な書類ではなく、代わりに「貨物引換券」のような物(リリースオーダー)をFAXなどで受け取り、輸入許可書とともに貨物を引き取る形が多いです。なお、D/Oの発行先は、船会社に直接依頼しているのか?それともフォワーダーに依頼しているのか?によっても変わります。
D/O交換の手順
例えば、あなたが個人で輸入ビジネスをしているとしましょう。そのときのD/O交換手順は、次の通りです。
- アライバルノーティスの「D/O交換先」に諸費用を振り込んだ「振込書の控え」をファックスする。
- D/O交換先から「貨物引換券(コンテナ単位の場合:ディスパッチ)」のような書類がFAXや電子メールで届く。これをプリントアウト。
- 輸入許可を受けたら許可書をもらう。
- 許可書と2番の貨物引換券を依頼する配送業者に渡す。ご自身で倉庫に貨物を引き取りに行くこともできる。
- なお、貨物の保管場所は、アライバルノーティスの「搬入先倉庫」になる。
チャージなどを支払う代理店
搬入先の倉庫:
D/Oの相場とDOCとの違い。
D/Oを手に入れるためには、アライバルノーティスに記載されている料金を支払う他、必要な場合はオリジナルB/Lを差しだします。アライバルノーティスの費用は、コンテナ単位の輸送なのか? LCLでの輸送なのか?によっても変わります。当サイトでは「アライバルノーティスの概算費用の見積ツール」を公開していますので、よろしければご利用ください。なお、D/Of eeは輸入許可後の書類であるため「課税」です。
また、同じくアライバルノーティスに記載されている「DOC」費は、B/L発行手数料です。そもそもB/Lは、輸出国側で発行されているのに、それを輸入国側で徴収するのもよくわからない闇の部分だと感じます。なお、DOC費とD/O費は、あなたが利用するフォワーダーで大幅に違います。中には、非常に悪徳な会社もあるため「フォワーダーの選定基準」を参考にして、相場の費用を請求する業者を選ぶことが賢明です。
費用 | A社 | B社 | C社 | D社 | E社 | F社 |
DOC | 2500 | 9000 | 2500 | 9000 | 4000 | 2000 |
D/O fee | 6000 | 5000 | 6000 | 5000 | 7000 | 8000 |
まとめ
- D/Oとは、貨物を引き取るための引換書
- 最近は、レス処理されているため、正式書面としての発行はない。
- ファックスやEメールなどで処理依頼をする形が多い。
- 輸入貨物を引き取るときは、貨物引換書もどきの書類と輸入許可書の2つを用意する。
- 通関業者に依頼するときは、自身でのD/O処理は不要

